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最終更新: 2026-07-05

看取りとは?ターミナルケアとの違い

看取りとは、無理な延命を行わず自然な最期を穏やかに支えるケアのことです。ターミナルケア・緩和ケア・ホスピスとの違い、自宅・施設・病院の選択肢、特養など施設での看取りの流れや費用、家族で話し合っておきたいことをやさしく解説します。

この記事の要点

  • 看取りとは、無理な延命治療を行わず、自然な最期を穏やかに迎えられるよう支えるケアのことです
  • ターミナルケアは医療面のケア、看取り介護は生活面の支えが中心とされますが、重なり合う部分の多い言葉です
  • 最期を過ごす場所には自宅・施設・病院の3つの選択肢があり、近年は特別養護老人ホーム(特養)など施設での看取りが広がっています
  • 施設での看取りは意思確認書への同意から始まり、看取り介護加算は介護保険の対象(自己負担1〜3割)です
  • 看取り対応の有無や内容は施設ごとに異なるため、入居前の確認と、家族での話し合い(人生会議)が大切です

看取りとは?自然で穏やかな最期を支えるケアのこと

結論看取りとは、回復が見込めない方に無理な延命治療を行わず、自然な最期を穏やかに迎えられるよう支えるケアのことです。医療的な処置よりも、日々の暮らしの心地よさと心の安らぎを大切にする点が特徴です。

大切なご家族の「最期」について調べることは、とてもつらく、心細いことと思います。このページは、看取りという言葉にはじめて向き合うご家族に向けて、言葉の意味や場所の選択肢、施設での流れと費用をできるだけやさしく整理したものです。どうかご自身のペースで、必要なところだけでも読み進めてください。

看取り(看取り介護)では、人工呼吸器や心肺蘇生といった医療処置で命の時間を延ばすことよりも、無理な延命は行わず、痛みや不安をやわらげながら自然な最期を支えることを大切にします。食事や排泄の介助、身体を清潔に保つケア、床ずれを防ぐ姿勢の調整、そして手を握り声をかけるといった関わりを通じて、その方らしい時間を最期まで守っていきます。

看取りは、決して「死を待つこと」ではありません。残された時間を穏やかに、その方らしく生ききることを支える前向きなケアであり、不安を抱えるご家族の気持ちに寄り添うことも、看取りの大切な一部とされています。介護施設では、介護職員・看護師・医師が連携し、ご家族とともにこの時間を支えていきます。

ターミナルケア・緩和ケア・ホスピスとの違いは?

結論いずれも人生の最終段階を支える言葉ですが、看取り介護は生活面の支え、ターミナルケアは医療面のケア、緩和ケアは時期を問わない苦痛の緩和、ホスピスは主にケアを行う場所を指すのが一般的です。

似た言葉が多く、戸惑われるかもしれません。実際には明確に線引きされているわけではなく、重なり合う部分の多い言葉です。おおまかな違いを表に整理しました。

用語主な内容中心となる担い手対象となる時期
看取り(看取り介護)食事・排泄・清潔のケアなど生活面の支えを中心に、自然な最期を見守る介護職員・看護師回復が見込めない看取り期
ターミナルケア(終末期医療)痛みの管理や点滴・酸素投与など、医療面のケアが中心医師・看護師余命が限られた終末期
緩和ケア病気に伴う痛みや不安をやわらげるケア。治療と並行して受けられる医師・看護師など多職種病気と診断されたときから時期を問わず
ホスピス終末期の方が穏やかに過ごすための施設・病棟(ケアの場を指す言葉)緩和ケア病棟などの医療チーム主にがんなどの終末期

用語の使い分けは施設や病院によって異なる場合があります。名称の違いよりも、実際にどのようなケアを受けられるかを個別に確認することが大切です。

どこで看取る?自宅・施設・病院の3つの選択肢

結論最期を過ごす場所には、大きく自宅・介護施設・病院の3つの選択肢があります。医療体制や費用、ご家族の負担がそれぞれ異なるため、ご本人の希望と介護の状況をあわせて考えていきます。

厚生労働省の人口動態統計(2023年)によると、亡くなった場所の内訳は病院・診療所が約66%、自宅が約17%、老人ホームや介護医療院などの施設が約16%が目安です。かつては8割以上の方が病院で亡くなっていましたが、近年は施設や自宅で最期を迎える方が少しずつ増えています

どれか一つだけが正解、ということはありません。ぎりぎりまで自宅で過ごし、最期の期間は施設や病院で、というように組み合わせる形もあります。在宅での介護が限界に近いと感じるときは、どうか無理をせず、施設という選択肢も含めて考えてみてください。

看取りの場所特徴留意点
自宅(在宅看取り)住み慣れた家で家族と過ごせる。訪問診療・訪問看護を利用して支えるご家族の心身の負担が大きく、24時間の見守り体制づくりが必要
介護施設介護職員や看護師の見守りのもと、生活の延長線上で最期を迎えられる看取り対応の有無や医療体制が施設ごとに異なる
病院医療処置をすぐに受けられる安心感がある治療が中心になりやすく、面会や過ごし方の自由度は低めになることも

死亡場所の割合は厚生労働省「人口動態統計」(2023年)をもとにした概数です(2026年時点)。

施設での看取りは広がっている?種類別の対応状況

結論特別養護老人ホーム(特養)を中心に、看取りに対応する介護施設は年々広がっています。国も看取り介護加算などの仕組みを設けて、施設での穏やかな看取りを後押ししています。

介護保険には、施設が医師や看護師と連携しながら看取りを行った場合に算定できる看取り介護加算(介護老人保健施設(老健)ではターミナルケア加算)が設けられています。算定には、看取りに関する指針の整備や職員研修、夜間の連絡体制、静かに過ごせる個室の確保などの要件を満たす必要があり、こうした仕組みを通じて施設看取りの体制づくりが進んできました。

ここで大切なのは、同じ種類の施設でも、看取り対応の有無や内容は一つひとつ異なるという点です。特養だから必ず最期まで過ごせるとは限らず、逆に住宅型の施設でも手厚い看取りを行っている例があります。気になる施設があれば個別に確認していきましょう。介護の窓口の相談員も、看取り対応の施設探しを無料でお手伝いしています。

施設の種類看取りへの対応(目安)
特別養護老人ホーム(特養)看取り介護加算の対象。看取りの指針を整え、最期まで対応する施設が広く普及している
介護付き有料老人ホーム看取り介護加算の対象。看護体制の手厚い施設を中心に対応が増えている
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)看取り介護加算の対象。医療連携体制を整えた施設で対応
介護老人保健施設(老健)ターミナルケア加算の対象。医師が常勤しており対応する施設もある(本来は在宅復帰を目指す施設)
介護医療院長期の医療と介護に加え、看取り・ターミナルケアを担うことが制度上位置づけられた施設
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)施設としての看取り加算はないが、訪問診療・訪問看護を組み合わせて看取りに対応する例がある

2026年時点の介護保険制度をもとにした目安です。同じ種類でも、施設ごとに対応の可否や内容は異なります。

施設での看取りの流れ|意思確認から最期のときまで

結論施設での看取りは、医師の診断とご本人・ご家族への説明、意思確認書への同意から始まります。その後は多職種がケア計画を共有し、最期のときまで段階に応じて支えていきます。

看取り期に入ると、多くの施設では面会時間を柔軟にしたり、ご家族の宿泊や付き添いを受け入れたりと、そばで過ごせる環境を整えてくれます。お仕事や遠方にお住まいなどの事情で常に付き添えなくても、施設の職員が見守りを続けますので、ご自身を責める必要はありません。

また、一度同意した後でも、気持ちが変われば方針はいつでも変更できます。「やはり入院して治療を受けたい」となれば、入院に切り替えることも可能です。意思確認は一度きりではなく、体調や気持ちの変化に応じて繰り返し行われるのが一般的です。

段階主な内容
1. 医師の診断・説明回復が見込めない状態であると医師が判断し、ご本人・ご家族に病状と今後の見通しを丁寧に説明する
2. 意思確認・同意看取り介護の内容について説明を受け、納得したうえで意思確認書(看取り介護同意書)に同意する。迷いがあれば保留もできる
3. ケア計画の作成医師・看護師・介護職員・ケアマネジャー(介護支援専門員)などが看取りケア計画を作り、ご家族と共有する
4. 看取り期のケア苦痛をやわらげるケア、口腔ケアや体位変換、好きな音楽や思い出の品に囲まれた環境づくりなど、その方らしい時間を支える
5. 最期のとき・お見送り状態が変わったら速やかにご家族へ連絡。付き添いのなかで最期を迎え、医師の死亡確認ののち、エンゼルケア(死後のケア)を行いお見送りする

看取り期に見られる変化と、家族ができること

結論看取り期には、食事の量が減る、眠っている時間が増えるといった自然な変化が現れます。特別なことをしなくても、そばにいて声をかけることが何よりの支えになります。

最期が近づくと、食べる量や飲む量が少しずつ減り、うとうとと眠る時間が長くなっていきます。呼吸のリズムが変わることもあります。こうした変化は身体が自然に最期へ向かう過程であり、必ずしも苦痛を伴うものではないとされています。無理に食べていただくことがかえって負担になる場合もあるため、心配なことはそのつど医師や看護師にたずねてみてください。

特別なことをしようとしなくて大丈夫です。そばにいて、いつもどおりの声をかけること自体が、何よりのケアになります。たとえば次のような関わりが、ご本人にもご家族にも穏やかな時間をつくってくれます。

  • 手を握る、身体をやさしくさするなど、ふれあいの時間を持つ
  • 聴覚は最期まで保たれやすいといわれるため、いつもどおり声をかける
  • 思い出話や、感謝の気持ちを言葉にして伝える
  • 好きだった音楽を流す、写真を飾るなど、その方らしい空間をつくる
  • ご家族自身も食事と休息を取り、無理をしすぎない

事前に家族で話し合っておきたいこと(人生会議・ACP)

結論もしものときに備えて、望む医療やケアについて本人・家族・医療や介護の担当者が繰り返し話し合う取り組みを、人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)と呼びます。厚生労働省も普及を進めています。

厚生労働省の意識調査では、人生の最終段階を自宅で過ごしたいと希望する方が多い一方、その希望を家族と詳しく話し合ったことがある方は少数にとどまると報告されています。いざというとき、ご家族が判断に迷い苦しまないためにも、元気なうちから少しずつ話しておくことが大切です。

話し合った内容はメモやエンディングノートに残し、気持ちが変わればそのつど書き換えて構いません。一度に決める必要はなく、繰り返し話すこと自体に意味があるとされています。かかりつけ医やケアマネジャー(介護支援専門員)、お住まいの地域包括支援センターも相談に乗ってくれます。次のような項目から、話せるところだけでも共有しておきましょう。

  • 最期の時間を過ごしたい場所(自宅・施設・病院)
  • 心肺蘇生や人工呼吸器、胃ろうなどの延命治療を望むかどうか
  • 痛みや苦しさへの対応の希望(できるだけやわらげてほしい など)
  • 会いたい人や、大切にしたい時間の過ごし方
  • ご本人が判断できなくなったとき、意思を代弁してほしい人

看取りにかかる費用は?看取り介護加算と介護保険

結論施設での看取りに伴う看取り介護加算は介護保険の対象で、自己負担は所得に応じて1〜3割です。通常の月額費用に加えて、最期の期間に数千円〜1万円程度が上乗せされるイメージです。

看取り介護加算は、亡くなった日からさかのぼって最長45日分が段階的に算定される仕組みです。介護保険が適用されるため、自己負担は所得に応じて1〜3割で済みます。特別養護老人ホーム(特養)の例を表にまとめました。

45日間をすべて算定した場合でも、自己負担1割なら加算分の合計はおおむね8,000円前後が目安で、看取りだからといって費用が大きく跳ね上がるわけではありません。このほか、静養用の個室への移動や付き添い用の部屋の利用などで実費がかかる場合があります。月々の介護保険の自己負担が高くなったときは、一般的な所得の世帯で月44,400円を上限とする高額介護サービス費により、超えた分があとから払い戻されます。なお、自宅での看取りは訪問診療・訪問看護など医療保険の費用が中心になります。

算定期間単位数(1日あたり)自己負担1割の目安(1日あたり)
死亡日以前31日〜45日72単位約72円
死亡日以前4日〜30日144単位約144円
死亡日の前日・前々日680単位約680円
死亡日当日1,280単位約1,280円

特別養護老人ホーム(特養)の看取り介護加算(I)の例。厚生労働省の介護報酬(2024年度改定)をもとに、1単位=10円・自己負担1割で概算(2026年時点)。施設の種類や体制、地域区分により単位数・単価は異なります。

後悔しない看取りのために|入居前に確認しておきたいこと

結論看取りへの対応は施設によって大きく異なります。入居前に「最期までここで過ごせますか」と確認しておくことが、後悔しない看取りへの第一歩です。

相談現場では、入居して数年たってから看取りの話になった際、実はその施設が看取りに対応しておらず、最期の時期になって転居や入院を検討せざるを得なかった、というご相談が少なくありません。パンフレットに「看取り対応」と書かれていても、夜間に看護師がいるのか、ご家族は泊まれるのか、といった中身は施設によってさまざまです。入居前の見学の段階で、看取りの体制を具体的に質問しておくことをおすすめします。

看取りについて考えることは、ご本人の生き方に向き合うことでもあります。答えを急ぐ必要はありませんが、元気なうちに話し、確認しておいたことが、いつかきっとご家族の支えになります。介護の窓口では、看取り対応の実績がある施設を関西4府県から相談員が無料でお調べし、見学時に確認したいポイントのご案内までお手伝いしています。おひとりで抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。

  • 看取りの実績(これまでに施設内でお見送りした人数など)
  • 夜間の看護体制(常駐かオンコール対応か)と協力医療機関
  • どのような状態になったら入院となるのか、その基準
  • 看取り期のご家族の付き添い・宿泊の可否
  • 看取り期にかかる費用(加算・個室料・付き添い用の部屋の利用料など)

よくある質問

看取りとターミナルケアの違いは何ですか?

どちらも人生の最終段階を支えるケアですが、看取り(看取り介護)は食事や清潔のケアなど生活面の支えが中心、ターミナルケアは痛みの管理など医療面のケアが中心とされるのが一般的です。実際には重なり合う部分が多く、施設や病院によって言葉の使い方が異なることもあります。

特別養護老人ホーム(特養)でも看取りはできますか?

はい。看取り介護加算という仕組みが設けられており、医師や看護師と連携して最期まで支える特養が広がっています。ただし体制は施設ごとに異なるため、入居前に看取りの実績や夜間の看護体制を確認しておくと安心です。

施設での看取りに追加費用はかかりますか?

看取り介護加算として、死亡日以前45日から日数に応じて1日あたり数十円〜千円台(自己負担1割の場合)が上乗せされるのが目安です。介護保険の対象のため自己負担は1〜3割で、加算の合計はおおむね1万円前後にとどまることが多いです。個室への移動や付き添い用の部屋の利用などで、別途実費がかかる場合もあります。

一度看取りに同意したら、延命治療への変更はできませんか?

いいえ。同意した後でも、気持ちが変わればいつでも方針を変更できます。看取りの意思確認は一度で確定するものではなく、体調や気持ちの変化に応じて繰り返し行われるのが一般的です。迷いがあるときは、遠慮なく医師や施設に伝えてください。

人生会議(ACP)とは何ですか?

もしものときに備えて、本人が望む医療やケア、最期を過ごしたい場所などを、家族や医療・介護の担当者と前もって繰り返し話し合う取り組みのことです。厚生労働省が「人生会議」という愛称で普及を進めています。元気なうちに少しずつ話しておくことが、ご本人らしい最期につながります。

看取りの間、家族は付き添えますか?

多くの施設では、看取り期に面会時間を柔軟にしたり、ご家族の宿泊や付き添いを受け入れたりしています。対応は施設によって異なるため、付き添い用の部屋の有無や宿泊の可否を事前に確認しておくと安心です。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「人口動態統計」
  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

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