最終更新: 2026-07-06
介護付と住宅型の違い
有料老人ホームの「介護付」と「住宅型」の違いを、介護サービスの提供方式(定額と従量)・費用構造・向いている人・介護度が上がった場合の現実・重要事項説明書での見分け方まで、はじめての方向けにやさしく解説します。
この記事の要点
- 介護付有料老人ホーム(介護付)は特定施設入居者生活介護の指定を受け、施設の職員が介護を提供します。介護保険の自己負担は要介護度ごとの定額です
- 住宅型有料老人ホーム(住宅型)は住まいと介護が別契約で、訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)など外部サービスを使った分だけ支払う従量制です
- 介護量が多い方・今後増えそうな方は定額の介護付、介護が軽く自分のペースで使いたい方は住宅型が向く傾向があります
- 住宅型は介護度が上がると区分支給限度額を超えやすく、超えた分は全額自己負担になります。重度化への対応力は施設ごとの差が大きい点に注意が必要です
- 2タイプは名前や外観では区別しにくいため、重要事項説明書の「類型」欄と特定施設入居者生活介護の指定の有無で確認するのが確実です
介護付と住宅型の違いとは?最大の違いは介護サービスの提供方式
結論介護付と住宅型の違いとは、有料老人ホームにおける介護サービスの提供方式の違いです。介護付は施設の職員が定額(包括)で介護を提供し、住宅型は外部の介護事業者と個別に契約して使った分だけ支払います。
介護付有料老人ホーム(介護付)は、都道府県などから特定施設入居者生活介護という介護保険サービスの指定を受けた施設です。食事・入浴・排せつの介助や見守りを施設のスタッフが直接行い、介護保険の自己負担は要介護度ごとの定額で、介護の回数が増えても基本部分は変わりません。
住宅型有料老人ホーム(住宅型)は、食事や安否確認・生活相談などが付いた住まいです。介護が必要になったら、訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)といった外部の介護保険サービスを自宅と同じ仕組みで利用し、使った分だけ自己負担が発生します。ホーム自体は介護保険サービスの指定を受けていません。
建物の外観や月額費用の水準だけでは、2つのタイプはほとんど区別がつきません。まずは制度上の違いを表で整理します。
| 項目 | 介護付有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 介護保険の指定 | 特定施設入居者生活介護の指定あり | ホーム自体は指定なし(外部サービスを利用) |
| 介護の担い手 | 施設の介護・看護職員 | 外部の訪問介護・デイサービスなどの事業者 |
| 介護費用の払い方 | 要介護度ごとの定額(包括) | 使った分だけの従量制 |
| ケアプランの作成者 | 施設の計画作成担当者(ケアマネジャー) | 外部の居宅介護支援事業所のケアマネジャー(自己負担なし) |
| 職員体制 | 要介護の入居者おおむね3人に介護・看護職員1人以上の基準あり | 介護職員の配置基準はなく施設の任意 |
制度上の区分の概要です(2026年時点)。実際のサービス内容や体制は施設ごとに異なります。
費用の仕組みはどう違う?定額の介護付・従量の住宅型
結論介護付は介護保険の自己負担が要介護度ごとの定額で毎月ほぼ一定、住宅型は利用したサービスの分だけ支払う従量制で月ごとに変動します。
介護付では、特定施設入居者生活介護として1日あたりの単価が要介護度ごとに決まっており、介護を何回受けても介護保険の基本部分は同じです。費用の見通しが立てやすい一方、介護をほとんど使わない月でも定額がかかります。
住宅型では、在宅と同じ区分支給限度額(要介護度ごとの月の上限。例えば要介護1で約16.8万円分、要介護3で約27万円分、要介護5で約36.2万円分)の範囲内で、使ったサービス費の1〜3割を負担します。軽度のうちは割安になりやすい半面、限度額を超えた分は全額自己負担になります。
なお、住民税非課税世帯の居住費・食費を軽減する補足給付は、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などが対象で、介護付・住宅型ともに有料老人ホームは対象外です。家賃や食費は施設が定めた額を支払う前提で資金計画を立てましょう。費用の内訳や相場の詳しい解説は、費用の記事をご覧ください。
| 比較ポイント | 介護付(定額) | 住宅型(従量) |
|---|---|---|
| 毎月の介護費 | 要介護度ごとにほぼ一定 | 使った量に応じて変動 |
| 介護量が増えたとき | 基本部分は変わらない | 負担が増え、限度額超過分は全額自己負担 |
| 介護が少ないとき | 使わなくても定額 | 使った分だけで済み割安なことも |
| 外部の訪問介護・デイサービス | 介護保険では併用不可(定額に含まれる) | 介護保険で利用(これが基本の形) |
| 福祉用具のレンタル | 介護保険では利用不可(施設側で対応) | 介護保険で利用可 |
| 高額介護サービス費 | 対象(一般世帯は月44,400円上限) | 対象(限度額超過の全額自己負担分は対象外) |
高額介護サービス費の上限は世帯の所得区分により異なります。出典: 厚生労働省の介護保険制度資料(2026年時点)。
1割負担ならいくら?介護費の目安を比較
結論1割負担・30日の概算で、介護付の介護費は月約5,500円(要支援1)〜約24,400円(要介護5)の定額です。住宅型は使った分だけですが、限度額まで使うと月約5,000円〜約36,200円になります。
概算を比べると、要介護3以上では定額の介護付のほうが、住宅型で限度額いっぱいまで使うより自己負担が小さくなりやすいことが分かります。逆に、週数回の訪問介護で足りる軽度の方なら、住宅型は月数千円で済むこともあり、従量制の良さが生きます。
このほかに、どちらのタイプも家賃相当額・管理費・食費・自費サービス代などがかかり、月額総額に占める割合はむしろこちらが大きくなります。介護保険の自己負担だけでなく、総額の月額と介護度が上がった場合の増え方をセットで比較することが大切です。
| 要介護度 | 介護付の定額(1割・30日) | 住宅型で限度額まで使った場合(1割) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 約5,500円 | 約5,000円 |
| 要支援2 | 約9,400円 | 約10,500円 |
| 要介護1 | 約16,300円 | 約16,800円 |
| 要介護2 | 約18,300円 | 約19,700円 |
| 要介護3 | 約20,400円 | 約27,000円 |
| 要介護4 | 約22,300円 | 約30,900円 |
| 要介護5 | 約24,400円 | 約36,200円 |
介護付は特定施設入居者生活介護の基本報酬(1日183単位〜813単位・2024年度改定、要支援は介護予防の報酬)を1単位10円・30日・1割負担で概算した目安。住宅型は区分支給限度額を満額利用した場合の1割の目安。加算・地域区分・上乗せ介護費等により変わります。出典: 厚生労働省の介護報酬・区分支給限度基準額資料(2026年時点)。
毎日の介護の受け方はどう違う?
結論介護付は施設内の職員が24時間体制で、必要なときに随時対応するのが基本です。住宅型はケアプランで決めた曜日・時間に外部の事業者がサービスを提供する形になります。
介護付には、要介護の入居者おおむね3人に対して介護・看護職員1人以上という人員基準があり、夜間も介護職員が常駐します。定額(包括)方式のため、時間を決めない見守りや随時の介助を頼めるのが強みです。
住宅型の介護は、訪問介護(ホームヘルプ)を「何曜日の何時から何分間」と計画して受ける仕組みです。計画外のちょっとした頼みごとは介護保険の対象にならず、ホーム独自の有料サービス(自費)になることがあります。同じ建物に訪問介護事業所が併設された施設も多く、その場合は呼べば来てもらいやすいなど、実際の使い勝手には施設差があります。
医療面では、介護付は基準上、看護職員の配置が必須です(夜間の看護体制は施設によります)。住宅型は看護職員の配置が任意のため、たんの吸引やインスリン注射などの医療的ケアが必要な方は、訪問看護との連携体制まで個別に確認しましょう。
介護付と住宅型、どちらが向いている?
結論介護量が多い方や費用を定額で見通したい方は介護付、介護が軽く今のサービスを続けたい方や支払いを使った分だけにしたい方は住宅型が向く傾向があります。
相談現場では、「要介護1のときに住宅型へ入居し、数年後に要介護3〜4まで進んで、介護費が想定より月3〜5万円増えた」というご相談を少なくない頻度でお受けします。入居時点の介護度だけで決めず、5年後の介護度を想定して2タイプを比較することをおすすめしています。
- 介護付が向く方: 要介護3以上など介護量が多い、夜間の介助や見守りが必要、費用を定額で見通したい、介護から生活支援まで施設内で完結する安心感を重視したい
- 住宅型が向く方: 自立〜要介護1・2程度で介護が比較的軽い、なじみの訪問介護やデイサービスを住み替え後も続けたい、支払いは使った分だけにしたい、サービスの組み合わせを自分で選びたい
介護度が上がったらどうなる?住み替えの現実
結論介護付は介護度が上がっても定額のまま施設内で対応が続くのが基本です。住宅型は負担増や体制の限界から、介護付や特別養護老人ホーム(特養)への住み替えが必要になる場合があります。
介護付では、要介護度が1段階上がると定額の単価も上がりますが、1割負担なら月2,000円前後の増加にとどまり、介護量が増えても急激な負担増にはなりにくい仕組みです。近年は看取りまで掲げる施設も増えています。
住宅型では、介護度が上がると訪問介護の回数が増えて区分支給限度額に近づき、超えた分は全額自己負担になるため、月の負担が数万円単位で増えることがあります。また、常時の見守りや頻回な夜間対応が必要になると、時間を区切った外部サービスの組み合わせでは支えきれない場面も出てきます。
その場合の選択肢は、同じ運営会社の介護付への住み替え、特別養護老人ホーム(特養)への申し込み(原則要介護3以上)、より体制の手厚い施設への転居などです。住み替えには入居一時金や引っ越しの負担に加え、環境の変化による心身への影響も伴います。だからこそ、重度化したときの対応方針を入居前に確認しておくことが重要です。
見分け方は?重要事項説明書のチェックポイント
結論確実な見分け方は、施設が必ず作成する重要事項説明書の「類型」欄を見ることです。特定施設入居者生活介護の指定があれば介護付、なければ住宅型です。
有料老人ホームは、行政への届出とあわせて重要事項説明書を作成し、入居希望者に開示することになっています。パンフレットの愛称や「介護対応」といった表現ではなく、重要事項説明書の「類型」欄で制度上の区分を確認するのが確実です。なお「介護付」「ケア付き」と表示できるのは、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設に限られています。
介護付の中にも、施設職員が介護する一般型と、委託先の外部事業者が介護する外部サービス利用型があります。大半は一般型ですが、類型欄にあわせて記載されるため一緒に確認しておくと安心です。
| 確認する欄 | 見るポイント |
|---|---|
| 類型 | 介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)か、住宅型有料老人ホームかの記載 |
| 類型の付記 | 介護付の場合、一般型か外部サービス利用型か |
| 職員体制 | 介護・看護職員の人数、夜間の最少職員数、看護職員がいる時間帯 |
| 利用料金 | 上乗せ介護費や自費サービスの有無と金額、家賃・管理費・食費の総額 |
| 契約解除・退居の要件 | 介護度が上がった場合や医療的ケアが必要になった場合に住み続けられる条件 |
重要事項説明書は都道府県のホームページ等で公表されている場合があります。見学前に取り寄せ、複数施設を読み比べると違いが分かりやすくなります。
迷ったときの進め方と相談先
結論現在の介護度と数年後の見通しを整理し、介護付と住宅型を1施設ずつ見学して比べるのが失敗しにくい進め方です。判断に迷うときは公的窓口や紹介窓口に相談できます。
要介護認定を受けている方なら、ケアプランを担当するケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)が、心身の状態をよく知る身近な相談相手になります。医療的ケアの要否や夜間の介助量など、タイプ選びの判断材料を一緒に整理してもらえます。
介護の窓口では、関西4府県の介護付・住宅型それぞれの空き状況や、介護度が上がった場合の対応実績をふまえて、ご本人の状態と予算に合う施設を無料でご紹介しています。「定額と従量のどちらが合うか分からない」という段階からのご相談も歓迎です。有料老人ホーム全体の位置づけや他の施設種別との比較は、施設の種類一覧の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
住宅型から介護付への住み替えは必要になりますか?
必ず必要になるわけではありません。住宅型でも訪問介護や訪問看護を組み合わせて重度の方や看取りまで対応している施設はあります。ただし夜間体制や医療連携は施設ごとの差が大きいため、将来の介護度の変化にどこまで対応できるか、要介護4・5の入居実例やどの状態になったら退居となるかを入居前に確認しておくことが大切です。
介護付と住宅型では、結局どちらが安いですか?
一概には言えません。介護保険の自己負担だけを見ると、軽度なら使った分だけの住宅型が、要介護3以上なら定額の介護付が安くなる傾向があります。ただし月額の大部分を占める家賃・管理費・食費は施設ごとの設定次第のため、同じ条件で総額を並べて比較することが必要です。
住宅型で区分支給限度額を超えたらどうなりますか?
限度額を超えた分の介護サービス費は全額自己負担(10割)になります。例えば要介護3の限度額は月約27万円分で、超過すると1回あたり数千円規模の負担が積み重なります。高額介護サービス費(一般世帯で月44,400円上限)も超過分には適用されません。限度額に近づいてきたら、ケアマネジャーにプランの見直しや住み替えの要否を相談しましょう。
「介護付」と名乗れるのはどんな施設ですか?
都道府県などから特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームだけが、「介護付」「ケア付き」などと表示できます。指定のない施設はこうした表示ができない決まりのため、広告の表現と重要事項説明書の類型欄を照らし合わせて確認すると確実です。
住宅型でもケアマネジャーは付きますか?
付きます。住宅型は制度上「在宅」の扱いのため、要介護の方は外部の居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作成します(作成費用の自己負担はありません)。要支援の方は地域包括支援センターが担当します。施設が併設の事業所を紹介することもありますが、どの事業所に頼むかはご本人が自由に選べます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型の違いは何ですか?
どちらも外部の介護サービスを使った分だけ利用する点は共通で、費用の仕組みは似ています。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は賃貸借契約が基本で、安否確認と生活相談が必須サービスとされた高齢者向け住宅です。住宅型有料老人ホームは食事提供など生活支援まで含む利用権方式が多いなど、契約形態に違いがあります。詳しくはサ高住の解説記事をご覧ください。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「特定施設入居者生活介護」
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和6年度改定)」
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