最終更新: 2026-07-12
もの忘れ外来とは
もの忘れ外来とは、もの忘れや認知症の可能性を専門的に調べる外来のことです。神経内科・精神科・脳神経外科・老年内科などが窓口となります。受診を検討したいサインや初診の流れ、検査内容、費用の目安、家族が付き添う際の準備までやさしく解説します。
この記事の要点
- もの忘れ外来とは、もの忘れや認知症の可能性を専門的に調べる外来のことで、神経内科(脳神経内科)・精神科・脳神経外科・老年内科など主に4つの診療科が窓口となります(認知症内科という名称の場合もあります)
- 直近の予定を忘れる、同じ話を繰り返す、置き忘れやしまい忘れが増える、日付や場所が分からなくなるという代表的な4つのサインのうち複数が重なり、以前と比べて数ヶ月単位で目立って増えている場合は受診を検討する目安になります
- 初診では問診に加え、長谷川式認知症スケール(HDS-R、30点満点)などの認知機能検査、必要に応じてMRIやCTなどの脳画像検査を組み合わせて評価することが多いとされています
- 受診費用は医療保険が適用され、自己負担割合(1〜3割)に応じて、問診と認知機能検査のみなら数千円程度、脳画像検査を追加すると数千円〜2万円程度が目安です
- 認知症と診断された場合は、地域包括支援センターへの相談や介護保険の申請が次のステップとなり、65歳以上は原因を問わず、40〜64歳は特定疾病(16疾病)に該当する場合に申請できます
もの忘れ外来とは、どのような専門外来ですか?
結論もの忘れ外来とは、もの忘れや認知症の可能性を専門的に調べる外来のことで、神経内科(脳神経内科)・精神科・脳神経外科・老年内科など主に4つの診療科が窓口となっています。「認知症かもしれない」と感じた段階から相談できる入り口です。
「最近、親が同じ話を何度も繰り返す」「置き忘れが増えた気がする」——そう感じても、認知症と決まったわけではない段階で、何科を受診すればよいのか分からず、検索の手を止めてしまうご家族は少なくありません。
もの忘れ外来とは、特定の診療科名ではなく、もの忘れや認知症の可能性を専門的に調べるために設けられた外来のことです。病院やクリニックによって、神経内科(脳神経内科)、精神科、脳神経外科、老年内科などが窓口となっており、「もの忘れ外来」「認知症外来」「認知症内科」といった名称で案内されていることもあります。
受診したからといって、必ず認知症と診断されるわけではありません。結果的に年齢相応のもの忘れの範囲内とわかり、家族の気持ちが軽くなることもあります。この記事では、受診を検討したいサイン、何科が窓口になるか、初診の流れと検査内容、費用の目安、家族の付き添い準備、診断後の相談先までを順番に解説します。
どのようなサインがあれば、もの忘れ外来の受診を検討すべきですか?
結論直近の予定を忘れる、同じ話を繰り返す、置き忘れやしまい忘れが増える、日付や場所が分からなくなるという代表的な4つのサインのうち複数が重なり、以前と比べて数ヶ月単位で目立って増えている場合は、受診を検討する目安になります。
もの忘れのサインは、本人よりも一緒に暮らす家族が先に気づくことが多いとされています。次のような変化が複数、かつ以前と比べて明らかに増えている場合は、念のため受診を検討したい段階です。
- 直近の予定や約束を忘れることが増えた(数分前に話した内容も忘れてしまう)
- 同じ話や質問を、短時間のうちに何度も繰り返す
- 物の置き場所を忘れ、探し物やしまい忘れが増えた(財布や鍵、通帳など)
- 今日の日付や、自分が今いる場所が分からなくなることがある
- 料理の手順や家電の操作など、いつもできていたことに時間がかかる、または間違えるようになった
- 公共料金の支払いを忘れる、または二重に払うなど、金銭管理でのミスが増えた
サインが1つあるだけで、すぐに認知症と決まるわけではありません。もの忘れとは別に、突然の激しい頭痛や手足の麻痺、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなど症状が急激に現れた場合は、もの忘れ外来の予約を待たず、救急要請(119番)や救急外来の受診を検討してください。ゆっくり進行するもの忘れと、急に起こる症状とでは、対応の緊急度が異なります。
もの忘れ外来は何科が窓口になりますか?
結論もの忘れ外来は特定の診療科名ではなく、神経内科(脳神経内科)・精神科・脳神経外科・老年内科など4つの診療科が窓口となって、もの忘れや認知症の可能性を調べる仕組みです。近年は「認知症内科」という名称を掲げる医療機関も増えています。
どの診療科が「もの忘れ外来」の窓口になっているかは、病院やクリニックによって異なります。代表的な窓口を整理すると、次の表のとおりです。
| 診療科 | 得意な領域 | こんなときに向いている |
|---|---|---|
| 神経内科(脳神経内科) | 脳や神経の病気全般を診療し、身体的な神経症状もあわせて評価 | もの忘れ以外に、手足のふるえや歩行の変化など身体症状もあるとき |
| 精神科・心療内科 | 気分の落ち込みや意欲低下、不眠、妄想などの精神症状もあわせて評価 | もの忘れとあわせて気分の変化や不眠がみられるとき |
| 脳神経外科 | MRIやCTなどの脳画像検査による評価に強い | 急激な変化がある、頭部外傷歴があるとき |
| 老年内科(高齢者専門内科) | 持病を含めた高齢者の全身状態を踏まえて診療 | 複数の持病があり、全身的にみてほしいとき |
「認知症内科」は、正式な標榜診療科名として広く定着しているわけではありませんが、認知症の診断・治療に特化した窓口として掲げるクリニックも増えており、機能的にはもの忘れ外来とほぼ同じ役割を担います。窓口となる診療科は医療機関により異なるため、迷う場合は電話で問い合わせるか、かかりつけ医に紹介してもらう方法もあります。
初診では、どのような流れで診察が進みますか?
結論初診では、受付・問診・認知機能検査・医師の診察・必要に応じた脳画像検査・結果説明という6つのステップで進むことが多く、医療機関によっては画像検査を後日に分けて行います。
もの忘れ外来の初診は、次のような流れで進むことが多いとされています。医療機関によって順序や所要時間は異なりますが、大まかな流れをつかんでおくと、当日の不安を減らせます。
- ① 受付・問診票の記入(本人の生活状況や困りごとを、家族が記入する欄が用意されていることが多い)
- ② 問診(本人と家族の双方から、いつ頃からどのような変化があったか、持病や服薬状況を確認)
- ③ 認知機能検査(長谷川式認知症スケールなど、質問形式で記憶や見当識などを調べる)
- ④ 医師の診察(神経学的な診察を含む身体診察)
- ⑤ 必要に応じて脳画像検査(MRI・CTなど)の予約・実施
- ⑥ 検査結果の説明と、今後の方針についての相談
医療機関によっては、初診当日に画像検査まで行わず、後日にあらためて検査日を設ける場合があります。初診の予約が数週間先まで埋まっている医療機関もあるため、気になる様子があれば早めに電話で問い合わせておくと安心です。
もの忘れ外来では、どのような検査を行いますか?
結論もの忘れ外来では、問診に加えて長谷川式認知症スケール(HDS-R、30点満点)などの認知機能検査、必要に応じてMRIやCTなどの脳画像検査を組み合わせて評価することが多いとされています。
検査は大きく、問診・認知機能検査・脳画像検査の3つに分けられます。認知機能検査の代表例が長谷川式認知症スケール(HDS-R)で、日付の見当識や計算、言葉の記憶などを問う質問形式の検査です。それぞれの内容と目的を整理すると、次の表のとおりです。
| 検査 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 問診 | 症状がいつ頃から始まったか、生活にどう影響しているか、持病や服薬状況を確認 | 症状の経過や背景を把握する |
| 認知機能検査(長谷川式認知症スケール(HDS-R)など) | 日付の見当識、計算、言葉の記憶などを問う質問形式の検査(30点満点) | 記憶などの認知機能の状態を点数の目安として把握する |
| 脳画像検査(MRI・CT) | 脳の萎縮の程度や血流、脳梗塞・出血の有無を画像で確認 | 慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症など、治療によって症状が改善する可能性がある病気を除外する |
長谷川式認知症スケール(HDS-R)は30点満点中20点以下で認知症の可能性を考慮する目安とされていますが、点数だけで診断が確定するわけではなく、問診や画像検査を含めた総合的な判断が行われます。検査内容や実施の有無は医療機関やご本人の状態により異なるため、具体的な内容や結果の解釈については、主治医にご相談ください。
受診にかかる費用の目安はどのくらいですか?
結論もの忘れ外来の受診費用は医療保険が適用され、自己負担割合(年齢や所得に応じて1〜3割)に応じて、問診と認知機能検査のみであれば数千円程度、脳画像検査を追加すると数千円〜2万円程度が目安です。
もの忘れ外来の検査は、多くが医療保険の対象です。ここでの自己負担割合は医療保険によるもので、認知症と診断されたあとに利用する介護保険サービスの自己負担割合(1〜3割)とは別の制度です。
検査ごとの費用の目安を整理すると、次の表のとおりです。
| 検査・費用の目安 | 自己負担3割の場合 | 自己負担1割の場合 |
|---|---|---|
| 認知機能検査(長谷川式スケールなど、保険点数80点) | 約240円 | 約80円 |
| 脳画像検査(MRI) | 約7,500円〜1万円程度 | 約2,500円〜3,300円程度 |
| 脳画像検査(CT) | 約5,000円〜1万円程度 | 約1,700円〜3,300円程度 |
| 初診(問診)+検査の総額の目安 | 数千円〜2万円程度 | 数千円程度 |
健康保険の診療報酬点数(1点10円)にもとづく目安です(2026年7月時点)。医療保険の自己負担割合は年齢や所得により1〜3割です。検査の組み合わせや医療機関により金額は異なるため、実際の費用は受診先にご確認ください。紹介状を持たずに大病院を受診する場合、別途選定療養費(自費、数千円程度)がかかることがあります。
家族が付き添う際は、どのような準備をすればよいですか?
結論家族が付き添う際は、症状のメモ・お薬手帳・健康保険証という3点を準備しておくと、限られた診察時間の中でも状況を正確に伝えやすくなります。
初診の診察時間は限られているため、具体的なエピソードを記録しておくと、医師に状況が伝わりやすくなります。「もの忘れがひどい」という感想だけでなく、いつ、何を、どのように忘れたかを書き留めておくことがポイントです。
- 症状のメモ(いつ頃からどのような変化があったか、具体的なエピソードを記録)
- お薬手帳(現在服用中の薬や持病の情報。薬の影響でもの忘れに似た症状が出ることもあるため)
- 健康保険証・医療証、(あれば)かかりつけ医からの紹介状
本人の前では症状を伝えにくいという場合は、事前にメモを渡しておく、受付で一言伝えておくといった配慮をしてくれる医療機関もあります。予約の際に相談してみましょう。
受診の結果、認知症と診断された場合はどうすればよいですか?
結論認知症と診断された場合は、地域包括支援センターへの相談や介護保険の申請が次のステップになります。65歳以上は原因を問わず申請でき、40〜64歳でも特定疾病(16疾病)に該当すれば申請できます。
診断がついたからといって、すぐに施設への入居が必要になるわけではありません。多くの方は、デイサービス(通所介護)や訪問介護などのサービスを利用しながら、自宅での生活を続けています。
今後の生活や利用できるサービスについて相談したいときや、要介護認定を申請したいときの窓口を整理すると、次の表のとおりです。
| 状況 | 相談・申請窓口 | ポイント |
|---|---|---|
| 今後の生活や利用できるサービスについて相談したい | 地域包括支援センター | 介護保険の申請前でも相談できる、地域の総合窓口 |
| 要介護認定を申請したい | 市区町村の窓口(地域包括支援センター経由でも可) | 申請から原則30日以内に認定結果が出て、効力は申請日にさかのぼる |
| ケアプランを作成したい | 要介護と認定されればケアマネジャー、要支援と認定されれば地域包括支援センター | いずれも自己負担なしでケアプランを作成できる |
65歳以上は原因を問わず要介護認定を申請できますが、40〜64歳の方は特定疾病(16疾病、若年性認知症を含む)に該当する場合のみ申請できます(2026年7月時点の制度)。将来、常時の見守りが必要になった場合は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム、要支援2以上・認知症の診断・原則同一市区町村への住民登録が入居の条件)、介護老人保健施設(老健)、介護付き有料老人ホームなどが選択肢になります。
「年のせい」と決めつけず、早めに受診したほうがよいのはなぜですか?
結論「年のせい」だと様子を見ている間に、治療で改善する可能性がある病気を見逃したり、軽度認知障害(MCI、年間約10〜15%が認知症へ移行するとされる段階)での対応が遅れたりする可能性があります。心配な段階で一度受診しておくと、何もなければ安心材料になります。
「歳をとれば誰でも忘れっぽくなる」という感覚は、決して間違いではありません。しかし、もの忘れの背景には、甲状腺機能の異常や薬の副作用、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、治療によって症状が改善する可能性がある病気が隠れていることもあります。もの忘れ外来での脳画像検査には、こうした病気を見つける役割もあります。
「年のせい」と決めつけず、早めに受診することには意味があります。軽度認知障害(MCI)の段階で気づき、生活習慣の見直しや持病の管理を始めることで、認知機能の低下速度を緩やかにできる可能性があるとされています。
介護の窓口の相談現場では、「受診してみたら年齢相応のもの忘れの範囲内とわかり、家族の気持ちが軽くなった」という声を聞くこともあります。受診は、認知症だと決めつけるためではなく、今の状態を確かめて次の一歩を考えるためのものです。
介護の窓口では、もの忘れ外来の受診後に必要になる介護保険の申請や、将来的な施設探しについてのご相談も無料で承っています。何から始めればよいか迷ったときは、お気軽にご相談ください。
よくある質問
もの忘れ外来を一言でいうと、どのような外来ですか?
一言でいうと、もの忘れや認知症の可能性を専門的に調べる外来のことで、神経内科(脳神経内科)・精神科・脳神経外科・老年内科などが窓口となります。認知症と決まったわけではない段階からでも相談できる入り口です。
もの忘れ外来は何科を受診すればよいですか?
医療機関によって神経内科(脳神経内科)、精神科、脳神経外科、老年内科などが窓口になっており、「もの忘れ外来」「認知症内科」といった名称で案内されていることもあります。迷う場合はかかりつけ医に紹介してもらう方法もあります。
もの忘れ外来の受診費用はどれくらいかかりますか?
医療保険が適用され、自己負担割合(1〜3割)に応じて、問診と認知機能検査のみであれば数千円程度、MRIやCTなどの脳画像検査を追加すると数千円〜2万円程度が目安です(2026年7月時点)。
もの忘れ外来ではどのような検査をしますか?
問診に加えて、長谷川式認知症スケール(HDS-R、30点満点)などの認知機能検査、必要に応じてMRIやCTなどの脳画像検査を組み合わせて評価することが多いとされています。画像検査には、治療で改善する可能性がある病気を除外する目的もあります。
家族が付き添う際は何を準備すればよいですか?
症状が気になり始めた時期や具体的なエピソードのメモ、お薬手帳、健康保険証の3点を準備しておくと、限られた診察時間の中でも状況を正確に伝えやすくなります。
受診した結果、認知症と診断されたらどうすればよいですか?
地域包括支援センターへの相談や、介護保険の申請が次のステップになります。65歳以上は原因を問わず申請でき、認定されればケアマネジャーがケアプランを作成し、介護サービスの利用につながります。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「認知症施策推進大綱」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「認知症」
- 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン」
- 公益社団法人日本精神神経学会
記事を読んでも迷ったら、相談できます
ご家族の状況に当てはめてどうなのかは、相談員が一緒に整理します。無料です。
無料相談はこちら