最終更新: 2026-07-06
要介護認定の申請方法
要介護認定の申請方法を流れに沿って解説。申請窓口・必要なもの・代行できる人、申請から原則30日以内という期間、認定調査(基本調査74項目)で実態を正しく伝えるコツ、主治医意見書の準備、区分変更・不服申立て、認定前にできる暫定利用まで、はじめてのご家族向けにやさしくまとめます。
この記事の要点
- 申請窓口は市区町村の介護保険担当課。地域包括支援センターやケアマネジャーなどの代行も可能で、費用は無料です
- 申請から結果通知までは原則30日以内。認定の効力は申請日にさかのぼるため、結果が出る前でも暫定利用や施設探しを進められます
- 認定調査は全国共通の基本調査74項目+特記事項。家族が同席し、最も悪い状態を具体的なエピソードで伝えることが適正な判定につながります
- 主治医意見書は市区町村がかかりつけ医に直接依頼します。日頃の受診時に、家での様子や介護の困りごとを医師に伝えておくことが準備になります
- 結果に納得できないときは、実務的には区分変更申請が近道。正式な不服申立て(審査請求)は結果を知った日の翌日から3ヶ月以内です
要介護認定の申請とは?全体の流れと期間
結論要介護認定の申請とは、介護保険のサービスを利用するために、介護の必要度を市区町村に判定してもらう手続きです。申請から結果の通知までは原則30日以内と定められています。
訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)、施設への入居といった介護保険のサービスは、原則としてこの認定を受けてはじめて利用できます。申請は無料で、手続きの大きな流れは全国共通です。
全体像は次の表のとおりです。ご家族が実際に動くのは、主に①の申請と②の認定調査への立ち会いの2つで、あとは市区町村が進めてくれます。
| ステップ | 内容 | 期間・ポイント |
|---|---|---|
| ① 申請 | 市区町村の窓口に申請書と被保険者証などを提出 | 当日で完了。家族や事業者の代行も可 |
| ② 認定調査 | 調査員が自宅や入院先を訪問し、心身の状態を聞き取り | 申請から1〜2週間後が目安。所要約1時間 |
| ③ 主治医意見書 | 市区町村がかかりつけ医に作成を依頼 | 本人・家族の手続きは不要 |
| ④ 判定 | コンピュータによる一次判定+介護認定審査会による二次判定 | 専門家の合議で最終決定 |
| ⑤ 結果通知 | 認定結果通知書と被保険者証が郵送で届く | 申請から原則30日以内 |
標準的な流れの目安です(2026年時点・厚生労働省の制度資料を参考)。調査や意見書の日程により30日を超える場合は、見込み期間と理由を記した通知が届きます。
どこで申請する?窓口・必要なもの・代行できる人
結論申請窓口は、お住まいの市区町村の介護保険担当課です。地域包括支援センターでも相談・代行ができ、必要なものがそろっていれば申請自体は当日で終わります。
入院中の方は、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援の担当者に「介護保険を申請したい」と伝えれば、院内で段取りを整えてくれます。認定調査も病院で受けられます。
在宅の方で「何から始めればいいかわからない」という場合は、まず地域包括支援センターに電話するのがおすすめです。申請の代行から認定後のサービス調整まで、無料で一緒に進めてくれます。窓口で準備するものは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請窓口 | 市区町村の介護保険担当課(介護保険課・高齢福祉課など)。地域包括支援センター経由でも申請できる |
| 申請できる人 | 本人・家族・親族のほか、地域包括支援センター、ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)、介護保険施設などが代行可 |
| 必要なもの(65歳以上) | 要介護・要支援認定申請書、介護保険被保険者証、マイナンバーのわかるもの、窓口に行く人の本人確認書類 |
| 必要なもの(40〜64歳) | 申請書に加えて健康保険(医療保険)の被保険者証。脳血管疾患や初老期の認知症など、国が定める16の特定疾病が原因の場合に対象 |
| 主治医の情報 | かかりつけ医の氏名・医療機関名を申請書に記入するため、診察券などで事前に確認しておく |
| 費用 | 無料(認定調査・主治医意見書の本人負担もなし) |
申請書の様式や添付書類の細かい扱いは市区町村により異なります(2026年時点・大阪市など各自治体の案内を参考)。
認定調査では何を聞かれる?基本調査74項目と特記事項
結論認定調査では、全国共通の基本調査74項目で心身の状態を確認し、選択肢に収まらない事情は特記事項として文章で記録されます。所要時間は1時間ほどです。
調査は市区町村の職員や委託を受けた調査員が行い、ご本人への質問、実際の動作確認(立ち上がりなど)、ご家族からの聞き取りを組み合わせて進みます。聞かれる内容は、おおむね次の6つの分野に分かれています。
| 分野(項目数) | 聞かれる内容の例 |
|---|---|
| 身体機能・起居動作(20項目) | 麻痺の有無、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行、視力・聴力など |
| 生活機能(12項目) | 食事、排せつ、着替え、洗顔、移動、外出の頻度など |
| 認知機能(9項目) | 意思の伝達、生年月日の理解、短期記憶、今いる場所の理解、徘徊など |
| 精神・行動障害(15項目) | 被害的な訴え、昼夜逆転、大声を出す、介護への抵抗、ひどい物忘れなど |
| 社会生活への適応(6項目) | 薬の内服、金銭の管理、買い物、簡単な調理など |
| 特別な医療(12項目) | 点滴、たんの吸引、床ずれの処置など、受けている医療処置 |
厚生労働省の認定調査員テキストにもとづく基本調査の構成です(2026年時点)。
認定調査で実態を正しく伝える6つのコツ
結論コツをひとことで言うと、調査の1時間ではなくふだんの24時間を伝えることです。家族が同席し、いちばん大変な場面を具体的なエピソードで伝えましょう。
認定調査の結果はコンピュータによる一次判定に使われ、続く介護認定審査会(二次判定)では特記事項と主治医意見書が重要な判断材料になります。チェック項目に表れない介護の大変さを審査会に届けてくれるのは特記事項です。次のコツは、日頃の実態をきちんと特記事項に残してもらうための工夫でもあります。
相談現場では、「しっかり者の母が調査員の前だけ完璧に受け答えをして、実際より軽い区分になってしまった」というお話を本当によく伺います。おすすめは、調査日が決まったら1週間だけ介護メモ(日時・出来事・家族がした対応)をつけておくことです。当日はメモを見ながら話し、コピーを調査員に渡せば、伝え漏れがほぼなくなります。
- 必ず家族が同席する: ご本人は調査員の前では張り切って「できます」と答えがちです。日頃の様子を知る家族の補足が欠かせません
- 最も悪い状態を基準に伝える: できたりできなかったりする動作は、夜間や体調の悪い日の様子まで含めて伝えます。「調子のいい日はできます」で終わらせないことが大切です
- 認知症の症状はエピソードをメモして渡す: もの忘れ・徘徊・妄想・火の不始末などは、「いつ・何が・どのくらいの頻度で」を書いたメモを調査員に渡すと、特記事項に残りやすくなります
- 介護の手間を数字で伝える: 「夜中のトイレ介助が2回」「服薬の声かけが毎食」など、回数や時間で伝えると手間が正確に伝わります
- 遠慮せず困りごとを言う: 「家族が頑張ればなんとかなります」と伝えると、そのまま「介護の手間が少ない」と評価されかねません
- 本人の前で話しにくいことは別の場で: 調査の前後に玄関先で伝える、事前に電話やメモで知らせておくといった方法も一般的で、調査員も慣れています
主治医意見書はどう準備する?かかりつけ医への伝え方
結論主治医意見書は市区町村がかかりつけ医に直接依頼するため、ご家族の手続きは不要です。ただし、医師が日頃の様子を知らないと実態より軽い内容になりがちなため、受診時に家での困りごとを伝えておくことが何よりの準備になります。
意見書には、病気の状況に加えて、認知症の症状や生活機能(歩行の安定性・転倒のリスクなど)についての医師の意見が記載され、認定調査の特記事項と並ぶ二次判定の重要な資料になります。
とくに認知症の症状は、短い診察の場では表に出にくいものです。申請の前後に一度受診し、家族が付き添って「家ではこういう様子です」というメモを渡しておくと、意見書に実態が反映されやすくなります。もの忘れ外来や訪問診療を受けている場合は、その医師に意見書を依頼するのも一つの方法です。
かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受けて作成してもらえます。いずれの場合も、意見書の作成費用をご本人が負担することはありません。
結果通知の見方と、認定後の最初の一歩
結論結果は、区分と有効期間が書かれた認定結果通知書と介護保険被保険者証で届きます。認定後はケアプランの作成を依頼すると、サービス利用が本格的に始まります。
まず、区分(非該当・要支援1・2・要介護1〜5の8区分)と有効期間(新規は原則6ヶ月・更新は原則12ヶ月)を確認しましょう。区分ごとの状態の目安や月の限度額、入れる施設の一覧は、親記事「要介護認定の区分早わかり表」で詳しく整理しています。その後の動き方は次のとおりです。
- 要介護1〜5の方: 居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプラン作成を依頼します(作成費用の自己負担はありません)
- 要支援1・2の方: 地域包括支援センターが介護予防のプラン作成を担当します
- 非該当(自立)の方: 介護保険の給付は対象外ですが、市区町村の総合事業(介護予防・生活支援サービス)を使える場合があります。地域包括支援センターに相談を
- 施設を検討する方: 特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は要支援2以上+認知症の診断が条件など、区分によって選べる施設が変わります。迷ったときは介護の窓口(関西4府県対応)でも無料でご相談いただけます
結果に納得できないときは?区分変更申請と不服申立て
結論「実際より軽く出た」と感じたら、実務では区分変更申請で見直しを求めるのが近道です。正式な不服申立て(審査請求)には、3ヶ月以内という期限があります。
区分変更申請をする場合は、前回の調査で伝えきれなかったことを整理してから臨みましょう。家族の同席・介護メモ・エピソードの提出という4章のコツは、区分変更や更新の調査でもそのまま使えます。
なお、転倒や入院などで状態が大きく変わったときも、次の更新を待たずに区分変更申請ができます。2つの方法の違いは次のとおりです。
| 方法 | 申請先 | 期限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 区分変更申請 | 市区町村の窓口 | 有効期間中いつでも | 認定調査からやり直し、結果は原則30日以内。状態が変わったときにも使える |
| 審査請求(不服申立て) | 都道府県の介護保険審査会 | 結果を知った日の翌日から3ヶ月以内 | 認定の取り消しを求める正式な手続き。結論まで時間がかかることがある |
2026年時点の制度です。どちらが向いているかは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してから決めると安心です。
認定を待つ間にできること(暫定利用と施設探し)
結論認定の効力は申請日にさかのぼるため、結果が出る前でも暫定ケアプランで介護保険サービスを使い始められます。退院が迫っているなど急ぐ場合は、施設探しも申請と並行するのが鉄則です。
暫定利用とは、見込みの区分でケアプランを組み、結果を待たずにサービスを始める仕組みです。退院直後で介護ベッドがすぐ必要、といった場面で広く使われています。ただし、想定より軽い区分や非該当になった場合は、限度額を超えた分が全額自己負担になることがあります。ケアマネジャーや地域包括支援センターと相談し、控えめな内容から始めるのが安全です。
施設探しも、認定結果を待つ必要はありません。とくに病院から退院の期日を伝えられているケースでは、結果を待ってから動くと間に合わないことがあります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のように、申請中の段階から入居の相談を進められる住まいも多くあります。
介護の窓口(関西4府県対応)では、「申請したばかりで区分はまだ」という段階からのご相談を無料でお受けしています。見込みの区分を踏まえた費用の考え方から、退院期限に間に合う施設の空き状況まで一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
申請から30日を過ぎても結果が届きません。どうすればいいですか?
認定調査や主治医意見書の日程によっては30日を超えることがあり、その場合は見込み期間と理由を記した通知が市区町村から届きます。退院が迫っているなど急ぐ事情があるときは、窓口や地域包括支援センターに伝えると調整してもらえることがあります。認定の効力は申請日にさかのぼるため、暫定利用は先に始められます。
入院中でも要介護認定を申請できますか?
できます。病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援の担当者に相談すると、申請の代行や院内での認定調査の受け入れなど、段取りを整えてくれます。退院後の生活に間に合わせるため、退院のめどが立ったら早めに動くのがおすすめです。
認定調査はやり直してもらえますか?
一度出た結果について同じ調査をやり直す制度はありませんが、区分変更申請をすれば改めて認定調査を受けられます。結果そのものへの不服申立て(審査請求)は、結果を知った日の翌日から3ヶ月以内に都道府県の介護保険審査会へ行います。まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。
かかりつけ医がいない場合、主治医意見書はどうすればいいですか?
市区町村が指定する医師の診察を受けて作成してもらえます。申請時に窓口で「かかりつけ医がいない」と伝えれば案内があります。今後の更新手続きのことも考えると、これを機会に通いやすい医療機関を決めておくと安心です。
認定調査に家族が立ち会えないときはどうすればいいですか?
調査の日程は相談できますので、まずは同席できる日への調整を頼んでみてください。難しい場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員に同席を依頼する、日頃の様子を書いたメモを事前に送っておく、調査員に電話で補足するといった方法があります。
申請に費用はかかりますか?認定はいつまで有効ですか?
申請・認定調査・主治医意見書とも、ご本人の負担はありません。有効期間は新規で原則6ヶ月、更新では原則12ヶ月(状態が安定している場合は最長48ヶ月まで)です。有効期間が終わる60日前から更新の申請ができ、時期が近づくと市区町村から案内が届きます。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」
- 厚生労働省「認定調査員テキスト2009(改訂版)」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 大阪市「要介護・要支援認定の申請」
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