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最終更新: 2026-07-07

嫌がる親を施設に入れるには

施設入居を嫌がる親への対応とは、理由のタイプを見極めて否定せずに気持ちを聞き、見学や体験ショートステイなど小さな一歩から進めることです。理由別の対応策や地域包括支援センターへの相談方法、認知症の声かけの注意点をやさしく解説します。

この記事の要点

  • 親が施設入居を嫌がる理由は、自宅への愛着・施設への偏見・見捨てられ不安・認知症由来の不安の4つのタイプに整理でき、複数が重なっていることも少なくありません
  • 正面から説得するよりも、「見るだけ」の見学や数泊程度の体験ショートステイなど、小さな一歩を重ねる段階的な進め方のほうが、本人の気持ちが動きやすいとされています
  • ケアプラン作成の相談先は、要介護の方はケアマネジャー(介護支援専門員、自己負担なし)、要支援の方は地域包括支援センターです。家族以外の第三者から話してもらうと伝わりやすいことがあります
  • 介護保険サービスの自己負担は所得に応じて1〜3割で、1か月の自己負担には上限額(高額介護サービス費、一般的な所得の世帯で月44,400円)があります。「施設は高すぎる」という思い込みをやわらげる材料になります
  • 認知症がある場合は、否定や正論での説得よりも、安心できる言葉を繰り返し、家族間で伝える内容やタイミングをそろえることが大切とされています

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施設入居を嫌がる親にはどう向き合えばよいですか?

結論施設入居を嫌がる親への対応とは、本人の気持ちを否定せずに理由を理解し、見学や体験ショートステイなど小さな一歩を重ねながら、本人が納得して選べる状況を整えていくことです。焦って正面から説得しようとするほど、気持ちがかたくなになりやすいとされています。

「施設に入って」と伝えたとたん、親がかたくなに拒否する。そのお気持ち、とてもよく分かります。長年暮らした自宅を離れることは、ご本人にとって暮らしそのものを変える大きな決断です。反対されるのは、わがままだからではなく、それだけ今の暮らしと自分らしさを大切にしている証でもあります。

一方で、介護をするご家族の側にも限界があります。仕事との両立、ご自身の体調、ほかの家族の事情など、抱えているものは一人ひとり違います。ここで大切なのは、「説得して従わせる」のではなく、「本人が納得して選べる状況をどう整えるか」という視点に切り替えることです。この記事では、嫌がる理由のタイプ別の対応、相談先の使い方、段階的な進め方、認知症がある場合の声かけの注意点まで、今日から使える工夫を順番に整理します。

親が施設入居を嫌がるのはなぜですか?理由の4つのタイプ

結論親が施設入居を嫌がる理由は、大きく「自宅への愛着」「施設への偏見・誤解」「見捨てられ不安」「認知症由来の不安」の4つのタイプに整理できます。複数のタイプが重なっていることも少なくありません。

「嫌だ」というひとことの裏には、いくつもの気持ちが隠れていることがあります。頭ごなしに「わがまま」と捉えず、まずは次の4つのタイプで整理してみましょう。

  • 自宅への愛着: 長年暮らした家、庭や仏壇、近所付き合いなど、生活の拠点そのものへの愛着です。「ここで最期まで過ごしたい」という気持ちの表れであることが多いです。
  • 施設への偏見・誤解: 「施設は集団生活で個性がなくなる」「厳しく管理される」といった、実際の施設とは異なるイメージです。過去に見聞きした昔の施設のイメージが基準になっていることもあります。
  • 見捨てられ不安: 「厄介者扱いされている」「家族に見捨てられる」という感情的な不安です。家族関係やこれまでの経緯が背景にあることもあります。
  • 認知症由来の不安: 見当識障害で状況を正確に把握しづらい、物を盗られたと感じるなどの症状により、家族の説明そのものを不安や疑いとして受け取ってしまう状態です。

どのタイプが強いかによって、有効な対応は変わります。まずは「嫌だ」という言葉の奥にある気持ちに耳を傾けることが、遠回りに見えて一番の近道です。

理由のタイプ別に、どう対応すればよいですか?

結論理由のタイプごとに響く対応は変わりますが、「決めつけずに理由を聞く」「見捨てないという安心を繰り返し伝える」という2つの姿勢は、どのタイプにも共通して効果的とされています。

「施設」とひとことで言っても、中身はさまざまです。24時間職員が常駐する介護付有料老人ホーム、認知症のケアに専門性のあるグループホーム(認知症対応型共同生活介護)、比較的自由度の高いサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、費用を抑えやすい特別養護老人ホーム(特養)など、雰囲気も体制も施設ごとに大きく異なります。ひとくくりのイメージで判断せず、本人に合いそうな種類を一緒に探す姿勢が、偏見をやわらげる一歩になります。

「施設は費用が高すぎるのでは」という思い込みが、施設への偏見の背景にあることも少なくありません。介護保険サービスの自己負担は所得に応じて1〜3割で、1か月の自己負担には上限額(高額介護サービス費、一般的な所得の世帯で月44,400円)が設けられています。想像していたより負担を抑えられる場合もあるため、漠然とした不安には具体的な金額で応えることも効果的です。

理由のタイプ背景にある気持ち有効な対応アプローチ避けたい対応
自宅への愛着住み慣れた場所を失う喪失感、変化への不安「まずは体験だけ」など期間を区切って伝える。自宅をすぐに手放すわけではないと伝える「もう自宅には戻れない」と決めつけて話す
施設への偏見・誤解昔ながらの施設のイメージ、悪い噂への不安実際に見学し、食事やレクリエーションの様子を本人の目で確かめてもらう「今は違うから」と説明だけで納得させようとする
見捨てられ不安家族に見捨てられる、厄介者扱いされているという感情「これからも会いに行く」「一緒に施設を選ぶ」と繰り返し伝える「もう面倒を見きれない」と突き放すように伝える
認知症由来の不安状況把握の難しさ、環境変化への恐怖、物を盗られたと感じる不安など否定せず安心できる言葉を繰り返し、ケアマネジャーなど第三者にも力を借りる正論で説き伏せようと理屈で押し切る

対応への反応には個人差があります。ここでは相談現場でよくみられる傾向を整理したものです。実際に合う進め方は、地域包括支援センターやケアマネジャーにも相談しながら探ってみてください。

説得ではなく気持ちを引き出す会話のコツは?

結論有効なのは、正論で説き伏せることではなく、本人自身の言葉で理由を話してもらう質問を重ねることです。「なぜ嫌なのか」を尋ねる順番に変えるだけで、話し合いの空気が変わることがあります。

「決めるのは本人」という姿勢を崩さないことが、遠回りに見えて一番の近道です。家族が答えを急ぐほど、本人は「自分の意思を無視されている」と感じやすくなります。返事を急がせず、考える時間を渡すことも、立派な対応のひとつです。

同じ内容を伝えるときも、言葉の選び方ひとつで受け取られ方は変わります。よくある場面ごとに、言い換えの工夫を整理しました。

場面言いがちなNGフレーズ言い換えの工夫
決断を迫るとき「いい加減決めてよ」「もう時間がないの」「一緒に考えたいから、まずは見るだけ見てみない?」
施設を勧めるとき「もう施設に入るしかない」「みんなそうしてるよ」「こういう場所があるみたい。どう思う?」
本人が反対したとき「わがまま言わないで」「迷惑かけてるの分かってる?」「そう感じる理由を聞かせてくれる?」
同じ話を繰り返すとき「何度も言ったでしょう」「約束したじゃない」「心配だよね。一緒にもう一度確認してみようか」

会話例はあくまで一例です。関係性やそれまでの経緯によって、響く言葉は変わります。

地域包括支援センターやケアマネジャーには何を相談できますか?

結論要介護認定を受けていない方や要支援の方は地域包括支援センター、要介護の方は担当のケアマネジャー(介護支援専門員)が主な相談先です。家族以外の第三者から話してもらうと、本人が素直に聞き入れやすいことがあります。

家族が何度説明しても伝わらなかった話が、ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員、主治医など、家族以外の人から伝えられると受け止め方が変わることがあります。専門職は日頃から多くの家庭を見てきた経験があり、本人の性格や状況に合わせた伝え方を一緒に考えてくれます。

ケアプランの作成は、要介護の方は居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)が担当し、自己負担はありません。要支援の方は地域包括支援センターが担当します。まだ要介護認定を受けていない場合は、市区町村の窓口か地域包括支援センターでの申請から始めることになります。

相談先主な役割こんなときに
地域包括支援センター要支援の方や未認定の方の総合相談窓口。第三者として説明に加わってもらえることもありますまだ認定を受けていない、何から始めればよいか分からないとき
ケアマネジャー(介護支援専門員)要介護の方のケアプラン作成担当。本人と関係ができていることが多いですすでに要介護認定を受けており、担当者がいるとき
主治医・かかりつけ医医学的な立場からの説明で、本人が納得しやすくなることがあります体調や物忘れなど、健康面の不安が背景にあるとき
施設紹介の相談窓口具体的な施設候補の提案や見学の手配、家族の気持ちの整理を手伝ってもらえます見学先を自分で探す余裕がないとき

介護の窓口では、ご家族だけで抱え込まずに済むよう、相談員が施設探しの実務や気持ちの整理を無料でお手伝いしています。誰に相談すればよいか迷ったときの入り口としてもご利用いただけます。

見学や体験ショートステイは、どう段階を踏んで進めますか?

結論有効とされるのは、「情報収集→見るだけの見学→日帰り利用→体験ショートステイ→本入居の相談」と段階を踏む進め方です。一足飛びに入居を決めるのではなく、本人が確かめながら進めることがポイントです。

本人の気持ちが動くまで、段階を踏んで進めるご家庭が多くいらっしゃいます。次の5つのステップを目安に、本人のペースに合わせて進めてみてください。

特に4つ目の体験ショートステイは、入居の練習ではなく、合うかどうかを確かめる機会と伝えると、本人の抵抗感が和らぐことがあります。実際に泊まってみて「思ったより良かった」と気持ちが変わる方もいれば、「やっぱり合わなかった」と感じる方もいます。どちらの感想も、本人が自分で確かめたという意味で、次の一歩につながる大切な経験です。

ステップ内容目安
1. 家族だけで情報収集パンフレットや資料を集める。本人にはまだ見せなくてよいいつからでも
2. 「見るだけ」の見学に誘う「決めるためじゃなく、見るだけ」と伝えて同行してもらう1回1〜2時間程度
3. デイサービスなど日帰り利用通所介護(デイサービス)で施設の雰囲気に慣れてもらう週1回程度から
4. 体験ショートステイ短期入所生活介護(ショートステイ)で数泊の宿泊を体験する1泊〜1週間程度
5. 本入居の話し合い体験後の感想を聞き、本人が話し合いに加わる形で検討する体験から日を置かず

短期入所生活介護(ショートステイ)は要介護度ごとの介護保険の支給限度額の中で利用でき、自己負担は所得に応じて1〜3割です。住民税非課税世帯には、食費・居住費の軽減(補足給付)が適用される場合があります。具体的な金額は施設により異なるため、ケアマネジャーや施設に確認すると安心です。2026年時点の制度の一般的な目安です。

認知症がある親に声をかけるときに注意することは?

結論認知症がある場合は、正論で説得しようとするより、否定せずに安心できる言葉を繰り返すことが大切とされています。同じ話の繰り返しにも、毎回初めて聞くように穏やかに応じることがポイントです。

認知症の症状として、見当識障害や記憶の変化により、家族の説明そのものが不安として受け取られることがあるとされています。厚生労働省の認知症施策推進大綱でも、本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられることを目指す考え方が示されています。感情的に追い詰めるような伝え方は、不安や混乱を強め、かえって話が進みにくくなることがあります。

症状の現れ方や進み具合には個人差があり、声かけの工夫だけでは対応が難しい場面もあります。日々の様子で気になる変化があるときや、行動・心理症状への具体的な対応については、実際の判断は主治医・かかりつけ医にご相談ください。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、専門職と一緒に対応を考える方法もあります。

  • 本人の言葉を頭ごなしに否定しない(記憶や事実関係の食い違いも、まずは受け止める)
  • 「何度も言ったでしょう」と問い詰めず、そのつど初めての話として穏やかに伝える
  • 物を盗られたと感じるなどの不安は、本人にとって現実の心配ごととして受け止める
  • 家族の間で伝える内容やタイミングをそろえ、人によって話が違う状態を避ける
  • 一度に長く話し込まず、本人の様子を見ながら区切りをつける

きょうだいや親族で意見が割れたときはどうすればよいですか?

結論家族の中で意見がまとまらないときは、本人に伝える前に窓口となる人を1人に決め、伝える内容をそろえることが有効です。対立している姿を本人に見せないようにする配慮も大切です。

相談現場では、本人が渋っている以上に、きょうだい間の意見の違いが話を止めてしまっているケースを多くお見かけします。日常的に介護をしている人と、遠方でたまにしか会わない人とでは、状況の見え方も危機感もどうしても違ってきます。

意見の違いそのものは自然なことです。大切なのは、誰か1人を窓口役に決め、本人に伝える内容と伝え方を家族の間であらかじめそろえておくことです。金銭的な負担の分担や面会の頻度といった具体的な取り決めも、事前に話し合っておくと、あとの行き違いを防ぎやすくなります。家族だけで話がまとまらないときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに同席してもらい、第三者を交えて整理する方法もあります。

本人の尊厳を守りながら進めるために大切なことは?

結論最後まで大切なのは、決めるのは本人であるという姿勢を崩さないことです。無理強いや脅しにあたる伝え方は避け、時間がかかっても本人が納得できるプロセスを一緒に歩む姿勢が、遠回りに見えて一番の近道になります。

「施設に入れる」という言い方そのものが、本人には自分の意思を無視されているように響くことがあります。「一緒に探す」「一緒に決める」という言葉に置き換えるだけでも、伝わり方は変わります。すぐに納得してもらえなくても、焦る必要はありません。見学や体験を重ねるうちに、本人の気持ちが少しずつ変わっていくことも珍しくありません。

気持ちの整理から見学の同行、施設への確認まで、介護の窓口の相談員が無料でお手伝いしています。ご本人への伝え方に迷ったときも、お一人で抱え込まずにお声がけください。

よくある質問

一言でいうと、施設入居を嫌がる親への対応とは何ですか?

一言でいうと、本人の気持ちを否定せずに理由を理解し、見学や体験ショートステイなど小さな一歩を重ねながら、本人が納得して選べる状況を整えることです。正面からの説得よりも、安心を繰り返し伝えることが遠回りなようで近道になるとされています。

無理やり施設に連れて行っても大丈夫ですか?

無理強いは避けたほうがよいとされています。本人の同意がないまま進めると、不信感や強い抵抗感が残り、その後の入居生活にも影響しかねません。緊急性が高い場合でも、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターなど専門職に相談し、本人の尊厳を保てる進め方を一緒に考えることをおすすめします。

施設の話を切り出すタイミングはいつがよいですか?

本人の体調が落ち着いていて、家族も感情的になっていないときが話しやすいとされています。退院や体調の変化などの節目は、暮らし方を見直す自然なきっかけになります。認知症がある場合は、混乱しやすい時間帯を避け、短い時間で区切って話すと伝わりやすくなります。

本人が最後まで納得しない場合はどうすればよいですか?

結論を急がず、見学や体験など小さな一歩を重ねながら気持ちの変化を待つことが基本です。ただし、ひとり暮らしでの事故や介護者の心身の限界など、安全に関わる緊急性が高い場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談し、本人の安全を最優先にした進め方を専門職と一緒に検討してください。

体験ショートステイの費用はどのくらいかかりますか?

短期入所生活介護(ショートステイ)は、要介護度ごとの介護保険の限度額の範囲内で利用でき、自己負担は所得に応じて1〜3割です。住民税非課税世帯には食費・居住費の軽減(補足給付)が適用される場合があります。具体的な金額は施設や部屋タイプで異なるため、ケアマネジャーや施設に確認することをおすすめします。

きょうだいの意見が合わないときはどうすればいいですか?

本人に伝える前に、家族の中で窓口となる人を1人決め、伝える内容をそろえておくことが有効です。金銭的な負担や面会の分担なども事前に話し合っておくと、あとの行き違いを防ぎやすくなります。家族だけでまとまらないときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに同席してもらう方法もあります。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「地域包括支援センターの手引き」
  • 厚生労働省「認知症施策推進大綱」
  • 公益社団法人 認知症の人と家族の会
  • 厚生労働省「サービスにかかる利用料」(自己負担割合・高額介護サービス費・補足給付)

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