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最終更新: 2026-07-05

老人ホームは身元保証人がいないと入れない?

身元保証人がいなくても老人ホームへの入居はあきらめなくて大丈夫です。施設が保証人を求める理由、身元保証会社・成年後見制度・保証人不要の施設・自治体支援という4つの選択肢、費用相場や契約時の注意点まで、はじめての方にもわかりやすく解説します。

この記事の要点

  • 身元保証人がいなくても入居の道はあります。主な選択肢は身元保証会社・成年後見制度・保証人不要の施設探し・自治体や社協の支援の4つです
  • 施設が保証人に求めるのは緊急時対応・支払い保証・退去時対応・死後事務などの役割で、役割ごとに別の手段で代替できます
  • 身元保証会社の費用は総額100万〜200万円程度が目安です。解約時の返金ルールと預託金の管理方法を契約前に必ず書面で確認しましょう
  • 特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設は、保証人がいないことだけを理由に入所を断らないよう国が通知しています
  • 迷ったら地域包括支援センターへ。契約の不安は消費者ホットライン188、施設探しは紹介センターに無料で相談できます

身元保証人がいないと老人ホームに入れないのですか?

結論身元保証人がいなくても、老人ホームへの入居をあきらめる必要はありません。身元保証会社の利用、成年後見制度の活用、保証人不要の施設探し、自治体や社協の支援という4つの道があります。

身元保証人とは、老人ホームに入居する際、緊急時の連絡先になったり、利用料の支払いを保証したり、退去や亡くなった後の手続きを本人に代わって引き受けたりする人のことです。多くの施設では入居契約のときに身元保証人(身元引受人)を1〜2名求めるのが一般的で、子どもや兄弟姉妹などの親族にお願いすることが多い役割です。

一方で、おひとりさまの高齢者や、親族と疎遠な方、頼れる親族も高齢という方は年々増えており、国の調査でも大半の施設が入居時に身元保証人等を求めている実態が報告されています。それでも身元保証人がいないこと自体は、入居を断られる正当な理由にはならないというのが国の考え方です。

身元保証人は法律で義務付けられたものではなく、あくまで施設ごとの契約実務として求められているものです。だからこそ、代わりの手段を用意すれば受け入れてもらえる余地があります。この記事では、保証人がいない場合の選択肢と費用、契約時の注意点を、はじめての方にもわかりやすく順番に解説します。

なぜ老人ホームは身元保証人を求めるのですか?

結論施設が身元保証人に期待するのは、緊急時の対応、利用料の支払い保証、生活上の意思決定の支援、退去時の対応、死後の事務という役割です。逆にいえば、これらを別の方法で満たせれば入居の道は開けます。

施設側にとっては、この5つの役割をまとめて1人に頼めると安心なため、契約時に身元保証人を求める運用が広く定着しています。ただし、役割を分解すれば、それぞれ別の制度やサービスで代替することができます。たとえば支払いの不安は成年後見制度や預り金で、死後の手続きは死後事務委任契約で備える、といった組み合わせ方です。

どの役割をどこまで求めるかは施設によって異なります。保証人の人数や条件も施設ごとに違うため、気になる施設には具体的に何を求められるのかを早めに確認しておきましょう。

身元保証人に求められる役割具体的な場面の例
緊急時の連絡・対応体調急変や事故の際に連絡を受け、治療方針などの相談相手になる
利用料の支払い保証本人が月額利用料などを支払えなくなったときに連帯して保証する
生活上の手続き・意思決定の支援入院の手続きやケアプランへの同意など、本人の判断が難しい場面を支える
退去時の対応退去が必要になったときの身柄の引き受けや居室の明け渡し
死後の事務亡くなった後の遺体・遺品の引き取り、利用料の精算、葬儀や納骨

身元保証人がいないときの4つの選択肢

結論主な選択肢は、身元保証会社を利用する、成年後見制度を活用する、保証人不要の施設を探す、自治体や社会福祉協議会(社協)の支援を受けるの4つです。状況に応じて組み合わせることもできます。

どれか1つに絞る必要はありません。保証会社と契約しながら将来に備えて任意後見契約も結んでおく、まず特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設を検討しつつ社協の支援を組み合わせる、といった形で、ご本人の判断能力・資産・お急ぎの度合いに合わせて選ぶのが現実的です。次の章から順に詳しく見ていきましょう。

選択肢向いているケース費用の目安
身元保証会社(高齢者等終身サポート事業者)の利用判断能力があり、まとまった費用を負担できる方総額100万〜200万円程度の契約が多い
成年後見制度(法定後見・任意後見)の活用判断能力に不安がある方、将来に備えたい方申立て実費1万円前後+専門職後見人の報酬月2万〜6万円程度
保証人不要・相談可の施設を探す費用を抑えたい方、早く入居先を決めたい方施設の通常費用のみ(預り金等を求められる場合あり)
自治体・社協の支援を受ける収入や資産が少なく、頼れる人が身近にいない方比較的低額(地域・事業内容により異なる)

費用は2026年時点の一般的な目安です。国民生活センターの公表資料、東京家庭裁判所の成年後見人等の報酬額のめやすなどを基にした概算で、実際の金額は契約内容や地域により異なります。

身元保証会社の費用相場はいくらですか?

結論入会金・月会費・預託金などを合わせて、総額100万〜200万円程度になる契約が多いとされています。料金体系は事業者ごとに大きく異なるため、必ず総額で比較することが大切です。

身元保証会社(国の資料では高齢者等終身サポート事業者と呼ばれます)は、入居時の身元保証に加えて、日常生活の支援から死後の事務までを一括して引き受ける民間サービスです。頼れる親族がいない方には心強い存在ですが、契約が高額で内容が複雑になりやすい点には注意が必要です。

国民生活センターには、契約内容をよく理解できないまま高額な契約をしてしまった、解約時の返金額に納得できないといった相談が寄せられ、注意喚起が行われています。過去には預託金を管理する事業者の経営破綻により、預けたお金が戻らなくなった事例もありました。こうした背景から、2024年6月には国(内閣官房・消費者庁・厚生労働省など)が高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを策定し、契約内容の書面での説明や預託金の分別管理などを事業者に求めています。

費用項目相場の目安内容
入会金・初期費用数十万〜100万円程度身元保証や生活サポートの基本契約にかかる費用
月会費・年会費月数千円〜1万円台契約を維持するための費用
預託金50万〜100万円程度死後の精算や葬儀などに備えて事前に預けるお金
都度払いのサービス料1回数千円程度〜入退院の付き添いや買い物支援などの実費・手数料

2026年時点の目安です。国民生活センターへの相談事例や事業者の公表資料を参考にした概算で、サービスの範囲によって総額は大きく変わります。

身元保証会社を選ぶときのチェックポイントは?

結論契約前に、サービスの範囲・料金の総額・解約時の返金ルール・預託金の管理方法を必ず書面で確認し、その場で契約しないことが大切です。国のガイドラインに沿った運営かどうかも判断材料になります。

その場での即決は避け、できれば複数の事業者から見積もりを取って比べるのが安心です。判断に迷ったときや契約後に不安を感じたときは、消費者ホットライン188に電話すると最寄りの消費生活センターにつながり、専門の相談員に無料で相談できます。

  • サービスの範囲: 緊急時対応・日常の支援・死後の事務のどこまでを頼めるのかが契約書に明記されているか
  • 料金の総額: 入会金・月会費・都度払い・預託金を合計するといくらになるか、追加料金の条件はあるか
  • 解約時のルール: 中途解約が可能か、返金額の計算方法が具体的に示されているか
  • 預託金の管理方法: 会社の運転資金と分けて管理(信託や供託など)されているか
  • 契約前の相談: 家族や地域包括支援センター、消費生活センターなど第三者に内容を見てもらったか

成年後見制度は身元保証人の代わりになりますか?

結論成年後見人は保証人そのものにはなれませんが、利用料の支払い管理や入所契約の手続きなど、施設が心配する役割の多くをカバーできます。後見人が付いていることで受け入れる施設は少なくありません。

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分になった方の財産管理や契約手続きを、家庭裁判所が選んだ成年後見人が支援する公的な制度です。後見人は本人の財産から利用料を確実に支払うため、施設にとって支払い面の不安が大きく減ります。入院や入所に伴う手続きも後見人が行えるため、身元保証人の役割のうち金銭面・手続き面にはおおむね対応できます。

一方で、後見人は本人の利益を守る立場のため、連帯保証(支払いの肩代わり)を引き受けることや、葬儀の主催などは原則として職務の範囲外です。費用は、法定後見の申立て実費が1万円前後(医師の鑑定が必要な場合は別途10万円程度)、弁護士や司法書士などの専門職が後見人になった場合の報酬は月2万〜6万円程度が目安とされています(東京家庭裁判所公表のめやす・2026年時点)。

まだ判断能力がある方は、将来の支援者を自分で決めておく任意後見契約という方法も選べます。詳しくは成年後見制度の記事もあわせてご覧ください。

保証人不要の老人ホームはありますか?自治体や社協の支援は?

結論保証人がいなくても入居を相談できる施設はあります。特に特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設については、保証人がいないことだけを理由に入所を断らないよう国が通知しています。

厚生労働省は、身元保証人等がいないことは、入所を拒否する正当な理由に該当しないという考え方を通知で示し(2018年8月、2024年6月にも改めて周知)、特養や介護老人保健施設(老健)、介護医療院を指導する都道府県などに適切な対応を求めています。民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも、身元保証会社や成年後見制度の利用、預り金の納付などを条件に、保証人なしで受け入れる施設が増えています。

また、市区町村や社会福祉協議会(社協)には、通帳の管理や支払いの手続きを手伝う日常生活自立支援事業、低所得の方向けの入居支援など、保証人がいない方を支える仕組みがあります。地域によっては社協が身元保証に近い事業を行っている例もあるため、お住まいの窓口に確認してみましょう。

相談現場では、最初に「保証人がいない」と伝えていただくことが入居への近道だと感じています。条件を伏せたまま見学を重ねると、最後の契約段階で断られて心が折れてしまいがちです。介護の窓口では、身元保証会社と提携している施設や、後見人が付いていれば受け入れ実績のある施設を関西4府県からお調べできますので、無料相談を気軽にご利用ください。

おひとりさま・親族と疎遠な方が元気なうちにできる準備は?

結論判断能力があるうちに、任意後見契約や死後事務委任契約などを組み合わせて備えておくと、保証人がいなくても入居の手続きや亡くなった後の対応への不安を大きく減らせます。

これらの契約は、弁護士や司法書士などの専門職に相談し、公証役場で結ぶのが一般的です。任意後見契約は判断能力があるうちにしか結べませんので、思い立ったときが検討のタイミングです。作成費用は公正証書1通あたり1万〜2万円程度の手数料に、専門職へ依頼する場合の報酬を加えた額が目安です。

身元保証会社にすべてをまとめて頼む前に、必要な備えだけを個別の契約で組み立てるという考え方もあります。ご自身の財産や希望に合わせて選ぶことで、費用を抑えられる場合もあります。

備えの契約・制度カバーできることポイント
任意後見契約判断能力が低下した後の財産管理や施設との契約公正証書で結ぶ。効力を生じさせるには家庭裁判所への申立てが必要
死後事務委任契約葬儀・納骨・家財の処分・利用料の精算など死後の手続き施設が心配する死後の事務を専門家などに託せる
公正証書遺言財産の行き先の指定死後事務委任契約とあわせて作成すると安心
財産管理等委任契約体が不自由になったときの支払いなど手続きの代行判断能力があるうちから利用できる

身元保証人のことはどこに相談すればいいですか?

結論まずはお住まいの地域の地域包括支援センターに相談するのが基本です。契約への不安は消費生活センター、施設探しは老人ホーム紹介センターと、内容に応じて窓口を使い分けましょう。

介護の窓口でも、身元保証人がいない方の施設探しを無料でお手伝いしています。ご事情をうかがったうえで、相談員が関西4府県の受け入れ実績のある施設をお調べしますので、おひとりで悩まずにお声がけください。

  • 地域包括支援センター: 高齢者の総合相談窓口。保証人がいない場合に使える地域の支援策を無料で案内してもらえます
  • 市区町村の高齢者福祉窓口・社会福祉協議会(社協): 日常生活自立支援事業や低所得の方向けの支援の相談
  • 消費生活センター(消費者ホットライン188): 身元保証会社の契約前の確認や契約トラブルの相談
  • 家庭裁判所・公証役場: 成年後見制度の申立てや、任意後見・死後事務委任などの契約手続き
  • 老人ホーム紹介センター: 保証人がいなくても相談できる施設の受け入れ条件や空き状況の情報収集

よくある質問

身元保証人と身元引受人はどう違いますか?

施設によって呼び方が異なりますが、実務上はほぼ同じ意味で使われることが一般的です。支払い保証や緊急時対応を身元保証人、退去時や死亡時の引き取りを身元引受人と呼び分ける施設もあります。契約前に、どこまでの役割を求められるのかを書面で確認しておくと安心です。

子どもはいますが疎遠で頼めません。施設に正直に話すべきですか?

正直に伝えることをおすすめします。事情を伏せたまま話を進めると、契約の段階で手続きが止まってしまうことがあります。保証会社や成年後見制度の利用など、代わりの方法を一緒に考えてくれる施設も多くあります。

身元保証会社が倒産したら、預けたお金はどうなりますか?

事業者の経営破綻で預託金が戻らなかった事例が実際にあり、国民生活センターも注意を呼びかけています。契約前に、預託金が会社の運転資金と分けて管理(信託など)されているかを必ず確認しましょう。

生活保護を受けていて保証人もいない場合、入居できますか?

可能性はあります。特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設は、保証人がいないことのみを理由に入所を断らないよう国が通知しており、生活保護に対応した民間施設もあります。担当のケースワーカーや地域包括支援センターに早めに相談しましょう。

成年後見人がいれば身元保証会社は不要ですか?

重なる部分は多いものの、まったく同じではありません。後見人は財産管理や契約手続きを担いますが、日常の細かな手伝いや葬儀の主催などは原則として範囲外です。足りない部分だけを死後事務委任契約などで補う方法もあります。

保証人不要の老人ホームはどうやって探せばいいですか?

パンフレットやホームページに明記されていないことが多いため、問い合わせの際に条件を伝えて確認するのが確実です。地域包括支援センターや老人ホーム紹介センターに保証人がいない旨を伝えると、受け入れ実績のある施設に絞って探せます。

参考(一次情報)

  • 内閣官房・消費者庁・厚生労働省ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年6月)
  • 国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意」(2019年5月)
  • 厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.1273」(2024年6月)
  • 厚生労働省「市町村や地域包括支援センター等における身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」(2018年8月)
  • 消費者庁「いわゆる高齢者等終身サポート事業の利用に関する注意点」
  • 東京家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」

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