最終更新: 2026-07-19
高額介護サービス費とは
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担(1〜3割)の合計が所得区分ごとの上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。住民税非課税世帯で月1.5万円〜、一般で月4.4万円、現役並み所得で最大14万円超が上限の目安です。
この記事の要点
- 高額介護サービス費とは、1ヶ月の介護サービス自己負担(1〜3割)の合計が所得区分ごとの上限額を超えたときに、超えた分が払い戻される介護保険の制度です
- 2024年8月以降の上限額は、住民税非課税世帯で月15,000円〜24,600円、一般の課税世帯で月44,400円、現役並み所得の世帯で月93,000円〜140,100円です
- 施設の居住費・食費・日常生活費、福祉用具購入費(年10万円の枠)、住宅改修費(生涯20万円の枠)は対象外で、介護サービスそのものの自己負担分だけが計算の対象になります
- 申請が必要なのは基本的に初回だけで、一度振込先口座を登録すると、以降は該当する月の分が自動的に振り込まれます
- 払い戻しの申請には時効があり、対象になる月の翌月1日から2年を過ぎると請求できなくなります
高額介護サービス費とは、どのような制度ですか?
結論高額介護サービス費とは、1ヶ月(1日から末日まで)に支払った介護保険サービスの自己負担(1〜3割)の合計が、所得区分ごとに定められた上限額を超えたときに、超えた分があとから払い戻される公的な制度です。
訪問介護やデイサービス、ショートステイ、施設サービスなど、介護保険のサービスを利用すると、費用の1〜3割を自己負担します。要介護度が重くなり利用するサービスが増えると、この自己負担の合計が家計を圧迫することがあります。高額介護サービス費は、この自己負担の合計に所得区分ごとの上限額を設け、超えた分を払い戻すことで負担を一定の範囲に抑えるしくみです。
たとえば要介護3の方が訪問介護・デイサービス・福祉用具のレンタルを組み合わせて利用し、2割負担の自己負担が月60,000円を超えたようなケースでも、一般区分であれば月44,400円までに抑えられます。介護サービスの明細を見て「思ったより負担が減らない」と感じたときこそ、この制度を使えているかどうかを確認するタイミングです。
対象になるのは、要支援・要介護の認定を受けて介護保険サービスを利用しているすべての方です。追加の保険料や特別な条件は必要なく、上限額を超えた月があれば自動的に対象になります。ただし払い戻しを受け取るには、あとで説明するとおり初回だけ申請の手続きが必要です。
この記事では、2024年8月以降の所得区分別の上限額、高額療養費・高額介護合算療養費制度との違い、対象にならない費用、申請の流れと時効までを、はじめて介護サービスの明細を見て自己負担の大きさに驚いたご家族にも分かるように解説します。
自己負担の上限額はいくらですか?
結論上限額は所得区分によって6段階に分かれており、住民税非課税世帯は月15,000円〜24,600円、一般の課税世帯は月44,400円、現役並み所得の世帯は月93,000円〜140,100円です(2024年8月以降)。
2024年8月には、現役並み所得(65歳以上の方で課税所得145万円以上などに相当する世帯)の区分がさらに所得に応じて細かく分かれ、所得の高い世帯ほど上限額が引き上げられました。一方で、一般区分や住民税非課税世帯の上限額は従来のまま据え置かれています。
| 区分 | 対象となる方の目安 | 上限額(月) |
|---|---|---|
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 現役並み所得相当のうち特に所得の高い世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万〜1,160万円) | 現役並み所得相当 | 93,000円(世帯) |
| 市区町村民税課税世帯(現役並み所得相当を除く) | 一般 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が市区町村民税非課税 | 住民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| 上記のうち前年の公的年金等収入とその他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 非課税世帯のうち所得が特に低い方 | 24,600円(世帯)/15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 生活保護受給者等 | 15,000円(個人) |
出典: 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(2024年8月施行分)。年収額はおおよその目安で、実際の区分は市区町村民税の課税所得等で判定されます。「世帯」は同じ世帯内でサービスを利用する方全員の自己負担合計、「個人」はお一人分の自己負担が基準です。
上限額を超えた分は、実際にいくら払い戻されますか?
結論たとえば一般区分(上限44,400円)の方が1ヶ月に58,000円の自己負担を支払った場合、上限額を超えた13,600円が高額介護サービス費として払い戻されます。
計算はシンプルで、その月に支払った自己負担の合計から所得区分ごとの上限額を差し引くだけです。訪問介護・デイサービス・ショートステイなど複数のサービスを組み合わせて利用していても、同じ月・同じ世帯であればまとめて合算して判定します。所得区分によって上限額が異なるため、同じ自己負担額でも払い戻される金額は世帯ごとに変わります。
| 項目 | 一般区分の例 | 住民税非課税世帯の例 |
|---|---|---|
| 1ヶ月の介護サービス利用にかかった自己負担の合計 | 58,000円(2割負担) | 30,000円(1割負担) |
| 上限額 | 44,400円 | 24,600円 |
| 高額介護サービス費として払い戻される額 | 58,000円−44,400円=13,600円 | 30,000円−24,600円=5,400円 |
上記は制度のしくみを理解するための試算例です。実際の払い戻し額は、その月に利用したサービスの実績や所得区分によって変わります。
高額療養費・高額介護合算療養費とは何が違いますか?
結論高額療養費制度は医療保険の自己負担を、高額介護サービス費は介護保険の自己負担を、それぞれ1ヶ月単位で軽減する制度です。高額介護合算療養費制度は、その両方を1年間単位でさらに合算して軽減する、いわば3段構えのしくみです。
名前が似ているため、「高額療養費と高額介護サービス費は同じものだと思っていた」という混同はよく起こります。まずは医療費の話なのか介護費の話なのかで切り分けると、どちらの制度を確認すればよいか整理しやすくなります。
在宅介護をしながらご本人の通院が続く場合や、施設に入居しながら入院が重なる時期は、月ごとの2つの制度に加えて、年単位の高額介護合算療養費制度もあわせて確認すると、払い戻しの見落としを防げます。
| 比較項目 | 高額介護サービス費 | 高額療養費制度 | 高額介護合算療養費制度 |
|---|---|---|---|
| 対象となる費用 | 介護保険サービスの自己負担(1〜3割) | 医療保険の自己負担 | 医療保険+介護保険の自己負担 |
| 計算の単位 | 1ヶ月(暦月)ごと | 1ヶ月(暦月)ごと | 1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日) |
| 上限額の例 | 月44,400円(一般区分) | 月57,600円(69歳以下・区分エ) | 年56万円(70歳以上・一般) |
| 申請先 | 市区町村(介護保険担当課) | 加入する医療保険の保険者 | 市区町村と医療保険者の両方 |
| 対象外の例 | 施設の居住費・食費、福祉用具購入費など | 差額ベッド代・食事代・先進医療の技術料 | 月単位の軽減後もなお残る自己負担が対象 |
出典: 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」「高額介護合算療養費制度について」(2024年8月以降の額)。上限額はいずれも所得区分・年齢により異なります。
対象にならない費用にはどのようなものがありますか?
結論施設の居住費(部屋代)・食費・日常生活費、福祉用具購入費、住宅改修費、支給限度額を超えて全額自己負担になった利用料は、高額介護サービス費の対象外です。
特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)や介護老人保健施設(老健、要介護1以上で在宅復帰を目指す方が対象)、介護医療院(医療的なケアと介護を長期的に必要とする方が対象)、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームで、対象となる要介護度は施設により異なります)に入居していても、対象になるのは介護サービスそのものの自己負担分(1〜3割)だけです。次のような費用は、上限額の計算に含まれません。
- 施設の居住費(部屋代・滞在費): ユニット型個室で1日2,066円、多床室(特養)で1日915円が基準費用額の目安です(2024年8月時点)
- 食費: 1日1,445円が基準費用額の目安です(2024年8月時点)
- 理美容代やおむつ代などの日常生活費
- 福祉用具購入費(腰掛便座や入浴補助用具など、年10万円の枠で購入するもの)
- 住宅改修費(手すりの設置など、生涯20万円の枠で行うもの)
- 要介護度ごとの支給限度額(例: 要介護3で月27万円程度)を超えて全額自己負担となった利用料
出典: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2024年8月時点の基準費用額)。福祉用具購入費・住宅改修費の枠は別制度によるもので、高額介護サービス費の計算には含まれません。なお住民税非課税世帯の方は、居住費・食費そのものを軽減する補足給付(特定入所者介護サービス費)という別の制度もあり、対象は特養・老健・介護医療院・ショートステイ等に限られます(有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は対象外)。
申請はどうすればよいですか?
結論申請が必要なのは基本的に初回だけで、市区町村から届く通知にしたがって振込先口座を登録すれば、2回目以降は該当する月の分が自動的に口座へ振り込まれます。
上限額を超える月があると、市区町村から対象者へ支給申請の案内と申請書が届きます。申請書に振込先の口座情報を記入し、必要書類とあわせて市区町村の介護保険担当課へ提出するのが最初の手続きです。あわせて、介護保険被保険者証や振込先口座が分かるもの(通帳など)の提示を求められるのが一般的です。窓口に行く前に、必要書類を市区町村のホームページや電話で確認しておくと、二度手間を防げます。
一度口座を登録すれば、その後は同じ口座に自動的に振り込まれる仕組みが一般的で、月ごとに申請書を出し直す必要はありません。振込までは、サービスを利用した月から数ヶ月程度かかるのが目安です。転居などで市区町村が変わった場合は、新しい自治体で口座の登録をやり直す必要があるため注意しましょう。
| タイミング | 手続きの内容 |
|---|---|
| 初回(上限額を超えた月があるとき) | 市区町村から届く通知と申請書に振込先口座を記入して提出 |
| 2回目以降 | 手続き不要。登録した口座に自動的に振り込まれる |
| 転居したとき | 新しい市区町村で口座の登録をやり直す |
| 通知が届かないとき | 対象になっていると思われる場合は市区町村の窓口へ確認する |
手続きの様式や案内の時期は市区町村により異なります(2026年時点)。心当たりがあるのに通知が届かない場合は、早めに窓口へ相談しましょう。
申請に期限はありますか?
結論申請には時効があり、対象になる月の翌月1日から2年を過ぎると、時効により払い戻しを受けられなくなります。
市区町村からの通知に気づかず放置してしまったり、引っ越しなどで通知が手元に届かなかったりすると、時効を迎えてしまうことがあります。心当たりがある方は、2年以内であればさかのぼって申請できる場合があるため、まずは市区町村の介護保険担当課へ確認することをおすすめします。
ケアマネジャーに相談し、介護サービスの利用票や明細書で月々の自己負担額の合計を確認してもらうと、上限額に近いかどうかの見当がつけやすくなります。
世帯に複数の利用者がいる場合、上限額はどう計算されますか?
結論同じ世帯の中に介護保険サービスを利用している方が複数いる場合、世帯全員の自己負担を合算した金額と世帯の上限額を比較します。ひとりでは上限に届かなくても、合算すれば対象になることがあります。
たとえばご夫婦がともに要介護認定を受け、それぞれ訪問介護やデイサービスを利用している場合、2人分の自己負担を合計した金額をもとに判定します。世帯の上限額を超えた分は、利用したサービス費用の割合に応じて、それぞれの利用者に按分して払い戻されます。夫の自己負担が月70,000円、妻の自己負担が月20,000円で、世帯の上限額が一般区分の44,400円だった場合、合計90,000円から上限額を差し引いた45,600円が、2人分あわせて世帯に払い戻される計算です。
住民税非課税世帯の中でも所得が特に低い区分では、世帯の上限額に加えて個人ごとの上限額が設けられています。世帯としては上限内でも個人の負担が偏っている場合には確認が必要になることがあるため、詳しい按分方法は市区町村の窓口に確認すると安心です。
介護の窓口の相談現場では、どのような相談が多いですか?
結論介護の窓口の相談現場では、施設入居後にはじめて明細を見て自己負担の大きさに驚き、高額介護サービス費の対象になるか知りたいという相談を数多くいただきます。
とくに、複数のサービスを併用し始めた時期や、要介護度が上がって利用料が増えた時期に、この制度の存在を知らずに数ヶ月分の払い戻しを受け損ねていたというケースは少なくありません。市区町村からの通知を見落とさないよう、介護サービスの利用票や明細書は月ごとに保管しておくことをおすすめします。
施設への入居を検討する際は、介護サービス費だけでなく居住費・食費も含めた総額で予算を考える必要があります。高額介護サービス費でどこまで軽減できるかを踏まえたうえで、ご予算に合う施設を探したい方は、介護の窓口の相談員が無料でご相談をお受けしています。
- 毎月: 介護サービスの利用票・明細書で自己負担の合計を確認する
- 上限に近いと感じたら: ケアマネジャーに相談し、通知が届いているか確認する
- 通知が届いたら: 早めに振込先口座を登録して申請する
- 住民税非課税世帯の方は: 補足給付(特定入所者介護サービス費)も対象にならないか確認する
- 医療費もかさむ場合は: 高額療養費・高額介護合算療養費もあわせて確認する
よくある質問
高額介護サービス費を一言でいうと何ですか?
1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担(1〜3割)の合計が、所得区分ごとの上限額を超えたときに、超えた分が払い戻される介護保険の制度です。
上限額は具体的にいくらですか?
2024年8月以降、住民税非課税世帯は月15,000円〜24,600円、一般の課税世帯は月44,400円、現役並み所得の世帯は月93,000円〜140,100円です。世帯の所得や市区町村民税の課税状況によって区分が決まります。
高額療養費制度とは何が違いますか?
高額療養費制度は医療保険の自己負担を1ヶ月単位で軽減する制度です。高額介護サービス費は介護保険の自己負担を1ヶ月単位で軽減する制度で、対象になる費用と申請先が異なります。両方を合算してさらに軽減する高額介護合算療養費制度もあります。
施設に入居している場合、居住費や食費も対象になりますか?
対象になりません。高額介護サービス費の対象は介護サービスそのものの自己負担分(1〜3割)だけで、施設の居住費・食費・日常生活費は含まれません。住民税非課税世帯の方は、居住費・食費を軽減する補足給付という別の制度が使える場合があります。
申請は毎月する必要がありますか?
いいえ。申請が必要なのは基本的に初回だけです。市区町村から届く通知にしたがって振込先口座を登録すれば、2回目以降は該当する月の分が自動的に同じ口座へ振り込まれます。
申請には期限がありますか?
あります。対象になる月の翌月1日から2年を過ぎると時効となり、払い戻しを受けられなくなります。通知に気づかず時間が経ってしまった場合も、2年以内であれば市区町村の窓口に確認してみることをおすすめします。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」
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