最終更新: 2026-07-06
老人ホーム入居までの流れ
問い合わせ→見学→申し込み→入居審査→契約→入居までの標準的な流れと期間の目安を、はじめての方向けにやさしく解説。健康診断書・診療情報提供書など必要書類の一覧(取得先・費用つき)、入居審査で見られるポイント、体験入居の活用法、契約時の重要事項説明書と90日ルール、退院からそのまま入居するコツまでまとめました。
この記事の要点
- 民間施設(有料老人ホーム・サ高住など)では、問い合わせから入居まで、スムーズに進めば2週間〜1カ月程度が目安です。見学や書類準備を並行して進めると短縮できます
- 必要書類の中心は健康診断書と診療情報提供書の2つです。健康診断書は発行までに1〜2週間かかるため、申し込む施設が決まったら最初に手配しましょう
- 入居審査では、健康状態・医療的ケアへの対応可否、支払い能力、身元引受人の有無などが確認されます。状態を正直に伝えることがトラブル防止の基本です
- 前払金(入居一時金)には、契約から90日以内の解約なら実費を除いて全額返還される短期解約特例(90日ルール)があります
- 退院に合わせて入居する場合は、退院日が決まる前から、病院の地域医療連携室・医療ソーシャルワーカー(MSW)と相談しつつ施設探しを並行で進めるのがコツです
老人ホーム入居までの流れとは?7つのステップと期間の目安
結論老人ホーム入居までの流れとは、情報収集・問い合わせにはじまり、見学・体験入居、申し込み、入居審査、契約を経て入居日を迎えるまでの一連の手続きのことです。民間施設では、スムーズに進めば問い合わせから2週間〜1カ月程度で入居できます。
すべてを順番に進めると1〜2カ月ほどかかりますが、スムーズに進めば問い合わせから入居まで2週間〜1カ月程度が目安です。お急ぎの場合は、空室のある施設に候補を絞ったうえで、見学と書類準備を並行して進めると短縮できます。
なお、特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上の方が対象で、申し込みから入居まで待機期間(数カ月以上)が生じることが多く、この記事の流れとは大きく異なります。以下では、有料老人ホームやサ高住など民間施設の流れを中心に解説します。
| ステップ | 主にやること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 情報収集・問い合わせ | 空室・費用・受け入れ可否(要介護度や医療的ケア)を確認 | 数日〜1週間 |
| 2. 見学 | 2〜3施設を見比べ、資料と重要事項説明書を入手 | 1〜2週間 |
| 3. 体験入居(希望する場合) | 実際の居室に宿泊して生活を試す | 1泊〜1週間 |
| 4. 申し込み・書類準備 | 申込書の提出、健康診断書・診療情報提供書の取得 | 1〜2週間 |
| 5. 入居審査 | 提出書類の確認と本人面談 | 数日〜2週間 |
| 6. 契約 | 重要事項説明を受けて契約を締結 | 1日〜数日 |
| 7. 入居準備・引っ越し | 荷物の準備、薬・保険関係の引き継ぎ | 数日〜1週間 |
有料老人ホーム(介護付き・住宅型)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、民間施設の一般的な目安です(2026年時点)。ステップの一部は並行して進められます。
最初の問い合わせで確認したい3つのこと
結論最初の問い合わせでは、空室があるか、費用が予算に合うか、ご本人の状態を受け入れてもらえるかの3点を確認します。条件が合わない施設を早めに候補から外すことで、見学や申し込みの手戻りを防げます。
問い合わせの段階から、ご本人の要介護度・持病・医療的ケアの内容を正確に伝えることが大切です。あいまいなまま話を進めると、申し込みの段階になって受け入れできないとわかり、それまでの時間がむだになってしまいます。見学は2〜3施設を同じ項目で見比べるのがおすすめです(見学時の質問のコツは別の記事で詳しく紹介しています)。
介護の窓口では、関西4府県の施設の空室状況や受け入れ可否の確認を無料で代行しています。候補選びの段階からお気軽にご相談ください。
- 空室の有無: すぐに入居できるのか、空き待ちなのか。空き待ちの場合はおおよその期間
- 費用: 初期費用(入居一時金・敷金)と月額の総額が、年金や預貯金から無理なく払える範囲か
- 受け入れ可否: 要介護度、認知症の症状、たん吸引やインスリン注射などの医療的ケアに対応できるか
必要書類の一覧|健康診断書は早めの手配が肝心です
結論申し込みから契約までに必要な書類の中心は、健康診断書と診療情報提供書の2つの医療書類です。健康診断書は発行までに1〜2週間かかることが多いため、申し込む施設が決まったらまず手配しましょう。
施設指定の健康診断書には、胸部エックス線検査や血液検査など感染症に関する項目が含まれることが多く、検査の内容によって費用が変わります。入院中の方は退院前に病院で作成してもらえるため、病棟の看護師や相談員に早めに依頼しておくとスムーズです。
| 書類 | 取得先 | 費用の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 健康診断書 | かかりつけ医・入院中の病院 | 5,000円〜1万5,000円程度(自費) | 施設指定の様式が多い。有効期限を発行から3カ月以内とする施設が一般的 |
| 診療情報提供書(紹介状) | かかりつけ医・入院中の病院 | 数百円程度(保険適用・1〜3割負担) | 病歴・薬・治療内容を施設や協力医療機関へ引き継ぐ書類 |
| 介護保険被保険者証・負担割合証 | お手元(紛失時は市区町村で再交付) | 無料 | 要介護度と自己負担割合(1〜3割)の確認に使われます |
| 健康保険証(後期高齢者医療被保険者証など) | お手元 | かかりません | 入居後の受診や入院時に必要です |
| 住民票・印鑑登録証明書など | 市区町村の窓口 | 1通数百円 | 契約時に本人分と身元引受人分を求められることがあります |
| 収入がわかる書類(年金振込通知書など) | お手元 | かかりません | 支払い能力の確認資料として提出を求める施設があります |
一般的な例です(2026年時点)。必要書類・様式・費用は施設や医療機関ごとに異なります。診療情報提供書の費用は診療報酬250点(2,500円)の1〜3割負担が目安です(厚生労働省の診療報酬点数表による)。
入居審査では何を見られる?
結論入居審査で確認されるのは、大きく分けて、施設の体制で安全に生活を支えられるかという健康面と、費用を払い続けられるかという経済面の2つです。ふるい落とすための試験ではなく、入居後のミスマッチを防ぐための確認です。
審査は提出書類の確認に加えて、施設の相談員や看護職員による本人面談で行われます。入院中の場合は、病院まで面談に来てくれる施設も多くあります。ご本人の状態は包み隠さず正直に伝えることが何より大切です。入居後に、伝えていなかった症状がわかると信頼関係が崩れ、退去を求められるトラブルにつながりかねません。
1つの施設で審査に通らなくても、看護体制の手厚い施設なら受け入れられるケースは多くあります。断られたときは理由を確認し、その条件に対応できる施設を探し直しましょう。
- 健康状態と医療的ケア: たん吸引・経管栄養・インスリン注射などの内容が、施設の看護体制(日中のみか24時間か)で対応できるか
- 認知症の症状: 大声や外へ出て行ってしまう行動など、ほかの入居者との共同生活に大きな支障がないか
- 感染症の有無: 種類や治療の状況に応じて、受け入れ時の体制を確認
- 支払い能力: 年金や預貯金で月額費用を継続して支払えるか
- 身元引受人(身元保証人)の有無: 緊急時の連絡、入院時の手続き、退去時の対応などを担う人がいるか
体験入居の使い方|見学ではわからない暮らしを確かめる
結論体験入居とは、契約の前に実際の居室へ宿泊し、数日間の生活を試せる仕組みです。有料老人ホームでは、国の設置運営標準指導指針で体験入居の機会を設けることが求められています。
費用は1泊5,000円〜1万円程度(食費込み)、期間は1泊〜1週間程度が一般的な目安です。食事の味や夜間の職員の対応など、日中の見学だけではわからない点を確かめられるのが最大の利点です。
相談現場では、見学の印象はとても良かったのに、体験入居で食事が口に合わないとわかって候補を変えた、というケースが少なくありません。反対に、体験入居中に職員となじんで、ご本人の入居への不安が和らぐことも多くあります。2つの施設で迷ったときに、両方に泊まって決める使い方も有効です。宿泊で確認したいのは次のポイントです。
- 食事の味・量・かたさ(かむ力や飲み込む力に合わせた食事形態への対応)
- 夜間の職員の人数と、呼び出しへの対応の速さ
- 入浴介助の進め方と浴室の設備
- ほかの入居者や職員の雰囲気と、ご本人との相性
- 居室の音・温度・においなど、泊まってはじめてわかる住み心地
契約時の確認ポイント|重要事項説明書と90日ルール
結論契約の前には、重要事項説明書にもとづいて職員体制や費用、退去の条件などの説明を受けます。前払金(入居一時金)には、契約から90日以内の解約なら実費を除いて全額返還される短期解約特例(いわゆる90日ルール)があります。
説明の場には、できるだけご家族も同席しましょう。その場で契約せず、重要事項説明書と契約書の控えを持ち帰り、比較検討する時間を取っても失礼にはあたりません。わからない言葉をそのままにせず、納得してから署名することが、入居後のトラブルを防ぐいちばんの近道です。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 重要事項説明書 | 職員体制(夜間の人数・看護職員の配置時間)、介護サービスの内容、料金表、入退去の要件 |
| 月額費用の内訳 | 家賃・管理費・食費に含まれるものと、別料金になるもの(おむつ代・医療費・理美容代など)の線引き |
| 前払金(入居一時金) | 初期償却の割合、償却期間、返還金の計算式、倒産などに備えた保全措置の有無 |
| 短期解約特例(90日ルール) | 契約から90日以内に解約した場合や死亡で契約が終了した場合は、日割りの家賃などの実費を除いて前払金が全額返還されます(老人福祉法にもとづくルール) |
| 解約・退去の条件 | 事業者側から退去を求める要件(長期入院や症状の変化など)と予告期間、原状回復の範囲 |
| 身元引受人の役割 | 求められる役割の範囲と、立てられない場合の代替手段 |
有料老人ホームの重要事項説明書は、都道府県などのホームページでも公開されています(2026年時点)。前払金の償却・返還の詳しい仕組みは、入居一時金の記事で解説しています。
入居日までの準備と当日の持ち物
結論入居日までに荷物の準備と、薬・保険関係の引き継ぎを済ませます。当日は書類の最終確認と生活についての説明があるため、ご家族が付き添うのが一般的です。持ち物にはすべて名前を書いておきましょう。
入居に合わせて、かかりつけ医から施設の協力医療機関や訪問診療への切り替え、薬局の変更などの調整も行います。住民票を施設へ移すかどうかは世帯の事情によって判断が分かれるため、施設と市区町村に確認しましょう(介護保険には、施設へ転居しても前の市区町村が保険者のままになる住所地特例という仕組みがあります)。
環境の変化で、入居後の1〜2週間はご本人の気持ちが不安定になることも珍しくありません。可能な範囲でご家族が顔を見せることが、新しい暮らしになじむ何よりの支えになります。
- 衣類・日用品(洗濯や紛失防止のため、すべての持ち物への記名を求められるのが一般的です)
- 服用中の薬とお薬手帳(残っている薬と処方の情報を施設の看護職員へ引き継ぎます)
- 介護保険被保険者証・負担割合証・健康保険証などの原本
- 使い慣れた寝具や小物、家族の写真(新しい環境になじむ助けになります)
- 家具・家電(ベッドなどは備え付けが多いため、持ち込みの可否を事前に確認しましょう)
退院からそのまま入居するには?連携室と並行で進めるのがコツ
結論退院に合わせて入居する場合は、退院日が決まってからではなく、退院のめどが立った段階で施設探しを始めることが最大のコツです。病院の地域医療連携室や医療ソーシャルワーカー(MSW)が退院調整の窓口になります。
退院日が決まってから探し始めると、健康診断書の取得や入居審査が間に合わず、時間との勝負になってしまいます。主治医や看護師から退院の見通しを聞いたら、その時点で候補探しを始めましょう。病院には退院支援の専門部署があり、施設探しと退院調整を同時に進めるのは一般的な流れです。
医療的ケアが必要な方は、診療情報提供書や看護サマリーで施設へ情報を引き継ぎます。たん吸引・経管栄養・在宅酸素などがある場合は、施設側で対応できる体制かどうかを申し込みの前に必ず確認してください。
介護保険をまだ申請していない場合は、入院中でも市区町村に申請できます。結果が出るまで原則30日以内とされていますが、認定の効力は申請日にさかのぼるため、退院の見通しが立ったら早めに申請しておくと安心です。
どうしても退院までに入居先が決まらないときは、介護老人保健施設(老健)や短期入所生活介護(ショートステイ)をいったん挟んで、落ち着いて次の住まいを探す方法もあります。
介護の窓口では、退院期限のあるご相談を優先してお手伝いしています。医療的ケアの受け入れ可否の確認も相談員が代行しますので、退院の見通しが立った段階でまずはご連絡ください。
よくある質問
問い合わせから入居まで、最短でどのくらいかかりますか?
空室があり、書類がそろっていれば、1週間程度で入居できた例もあります。ボトルネックになりやすいのは健康診断書の取得(1〜2週間)です。入院中の方は退院前に病院へ作成を依頼する、施設に入院中の検査結果で代用できないか相談するなど、書類を先に動かすことが短縮のポイントです。
入居審査で断られることはありますか?
あります。医療的ケアが施設の看護体制を超える場合、共同生活が難しい症状がある場合、支払いの見通しが立たない場合などです。ただし体制は施設ごとに大きく異なるため、1カ所で断られても、対応できる施設がほかに見つかることは多くあります。断られた理由を確認して、条件に合う施設を探し直しましょう。
健康診断書はどこで、どうやって取ればいいですか?
かかりつけ医または入院中の病院に、施設から渡された指定様式を持ち込んで依頼します。費用は検査内容により5,000円〜1万5,000円程度(自費)、発行まで1〜2週間が目安です。発行から3カ月以内などの有効期限が決められていることが多いため、申し込みの時期に合わせて取得しましょう。
身元引受人(身元保証人)がいない場合は入居できませんか?
多くの施設で身元引受人を求められますが、いない場合でも相談は可能です。成年後見制度の利用や、身元保証を行う法人・社会福祉協議会などの事業の利用を条件に受け入れる施設もあります。あきらめる前に、施設や地域包括支援センターに相談してみましょう。
体験入居は必ずしたほうがいいですか?
時間に余裕があれば、1泊でも体験するのがおすすめです。食事や夜間の対応、入居者の雰囲気は、見学だけでは判断が難しいためです。退院に合わせた入居などで時間がない場合は、見学時に食事を試食させてもらう、時間帯を変えて2回見学するなどの方法で補うこともできます。
契約してすぐ解約したら、お金は戻ってきますか?
前払金(入居一時金)は、契約から90日以内の解約や死亡による契約終了であれば、日割りの家賃など実費を除いて全額返還されます(短期解約特例)。90日を過ぎると、初期償却と償却期間のルールに沿った返還額になります。月額費用や食費は利用した分の精算です。詳しくは入居一時金の記事をご覧ください。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
- e-Gov法令検索「老人福祉法」
- 内閣府消費者委員会「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 大阪府「有料老人ホーム設置運営指導指針」
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