最終更新: 2026-07-20
後期高齢者医療制度とは?75歳からの保険証と自己負担をわかりやすく解説
後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方(一定の障害がある65歳以上の方を含む)が加入する独立した公的医療保険制度です。運営主体の広域連合や保険料の決まり方、医療費の自己負担割合、介護保険との違いまでやさしく解説します。
この記事の要点
- 後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方(一定の障害がある65歳以上の方を含む)が加入する独立した公的医療保険制度で、運営主体は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合です
- 保険料は所得割額と均等割額の合計で決まり、令和7年度の全国平均は被保険者1人あたり年86,306円(令和6年度は年84,988円)です
- 医療費の自己負担割合は原則1割で、一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得のある方は3割になります
- 2割負担の方への配慮措置(1ヶ月の負担増加を3,000円までに抑える経過措置)は2025年9月30日で終了しています
- 介護保険とは対象年齢も給付の中身も異なる別の制度で、75歳以降も介護保険(65歳以上は第1号被保険者)への加入は続き、2つの保険料が別々に天引きされます
後期高齢者医療制度とは、どのような制度ですか?
結論後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方(一定の障害がある65歳以上の方を含む)が加入する独立した公的医療保険制度で、2008年4月に始まりました。それまでの国民健康保険や職場の健康保険とは別の制度です。
後期高齢者医療制度とは、75歳になった方(一定の障害がある場合は65歳から)を対象に、それまで加入していた国民健康保険や職場の健康保険から切り離して運営される、独立した公的医療保険制度のことです。高齢者の医療の確保に関する法律にもとづき、2008年4月に始まりました。
75歳の誕生日を迎えると、それまで自分や配偶者が加入していた医療保険の種類にかかわらず、自動的にこの制度へ切り替わります。会社員として働き続けている方であっても、75歳になれば職場の健康保険からは外れ、後期高齢者医療制度の被保険者になります。
制度が独立している理由は、現役世代とは医療費のかかり方が大きく異なる75歳以上の医療費を明確に区分し、現役世代からの支援金や公費(税金)、高齢者自身の保険料を組み合わせて安定的に支える仕組みにするためです。この記事では、対象になる方の範囲から運営のしくみ、保険料の決まり方、自己負担割合、介護保険との違い、手続きの注意点まで順番に解説します。
後期高齢者医療制度は、何歳から加入しますか?
結論後期高齢者医療制度は、原則として75歳の誕生日当日から自動的に加入します。一定の障害があると認定された方は、65歳から申請により加入することもできます。
75歳以上の方は、お住まいの都道府県内に住所があれば、所得や現役時代の職業にかかわらず、誕生日の当日から自動的に後期高齢者医療制度の被保険者になります。申請の手続きは不要で、誕生日の前後に新しい保険証が郵送されます(切り替え時の注意点は後の章で詳しく説明します)。
65歳から74歳までの方でも、政令で定める一定の障害の状態にあると後期高齢者医療広域連合の認定を受けた場合は、本人の申請にもとづいてこの制度に加入できます。対象になりうるのは、身体障害者手帳1〜3級や一部の4級、精神障害者保健福祉手帳1・2級、障害年金1・2級を受給している方などが一般的です。75歳以上の方と違って自動的な切り替えではなく、申請して認定を受けることで加入する仕組みである点が異なります。
なお、65〜74歳で認定を受けたあとに、加入をやめて元の医療保険に戻ることも可能です。対象になるかどうかや必要な書類は、市区町村の担当窓口や広域連合に確認するのが確実です。
| 区分 | 対象となる方 | 加入の手続き |
|---|---|---|
| 75歳以上の方 | 後期高齢者医療広域連合の区域内(都道府県内)に住むすべての方 | 誕生日当日から自動的に資格を取得(申請不要) |
| 65〜74歳で一定の障害がある方 | 身体障害者手帳や障害年金などで、国が定める障害の状態にあると認定された方 | 本人の申請にもとづき広域連合の認定を受けて加入(任意) |
出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度」(2026年7月時点の参照)。65〜74歳で認定を受けた方は、認定を撤回して元の医療保険に戻ることもできます。
制度を運営しているのは、誰ですか?
結論後期高齢者医療制度を運営しているのは、都道府県ごとに全市区町村が加入して設立する後期高齢者医療広域連合です。広域連合は全47都道府県に1つずつ設置されています。保険料の徴収や窓口業務は、お住まいの市区町村が担っています。
後期高齢者医療制度の運営主体(保険者)は、都道府県ごとに1つずつ設置されている後期高齢者医療広域連合です。広域連合とは、都道府県内のすべての市区町村が加入して構成する特別地方公共団体で、被保険者の資格を認定したり、保険料率を決めたり、医療費の給付を決定したりする役割を担っています。
一方で、日常的な手続きの窓口になるのは、広域連合ではなくお住まいの市区町村です。保険料の徴収(納付書の発送や口座振替の手続きなど)、保険証の引き渡し、各種申請の受け付けは市区町村の担当課(国保医療課、保険年金課など、名称は自治体により異なります)が行い、広域連合と連携しながら制度を支えています。
つまり、制度の内容や保険料率を決めるのは広域連合、日々の窓口になるのは市区町村、とイメージすると分かりやすいでしょう。介護保険の運営主体が基本的に市区町村単独であるのとは、この二層構造の点でしくみが異なります。
| 主体 | 主な役割 |
|---|---|
| 後期高齢者医療広域連合(都道府県単位・全47設置) | 被保険者の資格認定、保険料率の決定、保険証の発行、医療費の給付決定 |
| 市区町村(お住まいの市区町村) | 保険料の徴収、各種申請の受付窓口、保険証の引き渡し、広域連合との連絡調整 |
出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度」等(2026年7月時点の参照)。都道府県ごとに全市区町村が加入する特別地方公共団体として広域連合が設置されています。
保険料は、どのように計算されますか?
結論保険料は、所得に応じた「所得割額」と定額の「均等割額」を合計して決まります。令和7年度の全国平均は、被保険者1人あたり年86,306円となる見込みです。
後期高齢者医療制度の保険料は、加入者(被保険者)一人ひとりについて、前年の所得に応じて計算する所得割額と、所得にかかわらず定額で負担する均等割額を合計して決まります。この2つを合わせた金額には保険料の上限額(賦課限度額)が設けられており、所得が高い方でも保険料はそこで頭打ちになります。
所得割率や均等割額は、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が2年に一度見直して定めるため、同じ所得でも住んでいる都道府県によって保険料額が異なります。厚生労働省の発表によると、令和6・7年度の全国平均は、均等割額(年額)が50,389円、所得割率が10.21%で、1人当たりの平均保険料額は令和6年度が年84,988円、令和7年度が年86,306円となる見込みです。
所得の低い世帯には、均等割額を7割・5割・2割軽減する措置が設けられており、年金収入が少ない方の負担が重くなりすぎないよう配慮されているのが一般的です。保険料は原則として年金からの天引き(特別徴収)で納めますが、年金額が年18万円未満の方や、75歳になったばかりで手続きが間に合わない方などは、市区町村から送られる納付書や口座振替による普通徴収で納めることになります。
| 項目(全国平均) | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|
| 被保険者均等割額(年額) | 50,389円 | 50,389円(据え置き) |
| 所得割率 | 10.21% | 10.21%(据え置き) |
| 1人当たり平均保険料額(年額) | 84,988円 | 86,306円(前年度比1.6%増の見込み) |
出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」(令和6・7年度の改定内容にもとづく、2026年7月時点の参照)。全国平均の金額であり、実際の保険料は都道府県の広域連合ごとに異なります。
医療費の自己負担割合は、何割になりますか?
結論医療費の自己負担割合は、原則1割ですが、一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得のある方は3割になります。2割の方への負担軽減の経過措置は2025年9月30日で終了しています。
医療機関の窓口で支払う自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割の3段階に分かれます。多くの方があてはまる「一般」の区分では1割負担ですが、一定以上の所得がある方は2割、現役世代並みの所得がある方は3割を負担する仕組みです。
2割負担となるのは、住民税課税所得が28万円以上で、かつ年金収入とその他の所得を合わせた金額が単身世帯で200万円以上、2人以上の世帯で合計320万円以上の方が一般的です。3割負担(現役並み所得)となるのは、住民税課税所得が145万円以上の方が中心ですが、収入が単身世帯で383万円未満、2人以上世帯で520万円未満の場合は、申請により1割・2割に据え置かれることもあります。
2022年10月の制度改正で2割負担が導入された際には、急な負担増を和らげるため、1ヶ月の負担増加額を3,000円までに抑える配慮措置がとられていましたが、この経過措置は2025年9月30日で終了しました。2026年7月時点では、2割の対象となる方は上限なく2割の自己負担がかかります。ただし、1か月にかかる医療費の自己負担には所得区分に応じた上限額を設ける高額療養費制度が別に用意されており、上限を超えた分はあとで払い戻しを受けられるため、負担が際限なく増え続けるわけではありません。該当するかどうか心配な場合は、届いている通知や保険証を確認しておくと安心です。
| 区分 | 対象となる方の目安 | 自己負担割合 |
|---|---|---|
| 一般 | 下記の2割・3割にあてはまらない方 | 1割 |
| 一定以上所得のある方 | 住民税課税所得28万円以上、かつ年金収入等が単身200万円以上・複数世帯合計320万円以上 | 2割 |
| 現役並み所得のある方 | 住民税課税所得145万円以上(収入が単身383万円未満・複数世帯520万円未満なら申請で軽減される場合あり) | 3割 |
出典: 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等について」(令和4年10月施行の基準にもとづく、2026年7月時点の参照)。2割負担の方への配慮措置は2025年9月30日で終了済みです。所得区分の判定はご本人と世帯の状況により異なるため、詳しくは広域連合または市区町村にご確認ください。高額療養費制度による自己負担の上限額については、厚生労働省「高額療養費制度」をご確認ください。
介護保険とは、何がどう違うのですか?
結論後期高齢者医療制度と介護保険は、対象年齢も給付の中身も異なる別々の制度です。75歳以上になっても介護保険(第1号被保険者)への加入は続き、2つの保険料が別々にかかります。
後期高齢者医療制度と介護保険は、名前も窓口も似ているため混同されがちですが、まったく別の制度です。後期高齢者医療制度は病気やけがの治療にかかる医療費を、介護保険は訪問介護やデイサービス、施設入居といった介護・生活支援サービスの費用を、それぞれカバーしています。
75歳になって後期高齢者医療制度に加入したあとも、介護保険の加入(65歳以上の第1号被保険者としての立場)はそのまま続きます。医療保険が切り替わっても、介護保険の被保険者証や要介護認定の効力がなくなるわけではありません。
家族が混乱しやすいのが保険料の天引きです。65歳以上の方は、介護保険料と後期高齢者医療の保険料の両方が、原則として同じ年金から別々に天引きされます。年金振込通知書を見て天引きされる項目が増えたと感じる方も多いですが、これは2つの異なる保険料が並んで記載されているためです。医療と介護の両方の自己負担が1年間で重なり高額になった世帯には、高額医療・高額介護合算療養費制度という負担を軽くする仕組みも別に用意されています。
| 比較項目 | 後期高齢者医療制度 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 対象となる年齢 | 原則75歳以上(一定の障害がある65〜74歳を含む) | 40歳以上のすべての方(65歳以上=第1号被保険者、40〜64歳=第2号被保険者) |
| 受けられる給付 | 病気やけがの診察・入院・薬など医療サービス | 訪問介護やデイサービス、施設入居など介護・生活支援サービス |
| 運営主体(保険者) | 都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合 | 市区町村(一部は広域連合や一部事務組合) |
| 保険料の決まり方 | 所得割額と均等割額の合計(広域連合ごとに異なる) | 市区町村ごとの基準額×所得段階別の乗率(65歳以上の場合) |
| サービス利用時の自己負担 | 原則1割、一定以上所得は2割、現役並み所得は3割 | 原則1割、一定以上所得は2割・3割 |
出典: 厚生労働省「後期高齢者医療制度」「介護保険制度の概要」(2026年7月時点の参照)。どちらも原則として年金から天引きされますが、別々の保険料として天引きされます。
75歳になったら、どのような手続きが必要ですか?
結論75歳になったときの手続きは、新しい保険証が誕生日前後に自動的に届くため、基本的には不要です。ただし、家族が扶養に入っていた場合は別途の届出が必要になることがあります。
75歳の誕生日を迎えると、後期高齢者医療被保険者証(保険証)が誕生日の前後に簡易書留などで自宅に郵送されます。申請の手続きは不要で、それまで加入していた国民健康保険や職場の健康保険は自動的に資格を失います。古い保険証は、届いた案内にしたがって返却するのが一般的です。
とくに注意したいのが、会社員などの家族の健康保険で扶養に入っていた74歳以下の配偶者です。たとえば74歳以下の妻が、会社員の夫(75歳)の健康保険の扶養家族になっていた場合、夫が後期高齢者医療制度に移ると、妻はその健康保険の扶養家族ではいられなくなります。この場合、妻は国民健康保険などへ新たに加入する手続きが必要になるため、家族に74歳以下の被扶養者がいる方は、事前に職場や市区町村の窓口へ確認しておくと安心です。
後期高齢者医療の保険証は、自宅で暮らす方だけでなく、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上の方が対象の公的施設。やむを得ない事情がある場合は要介護1・2でも特例的に入所が認められることがあります)や介護老人保健施設(老健、要介護1以上の方を対象にリハビリを中心とする公的施設)、介護医療院(長期的な医療と介護の両方を必要とする方が対象の公的施設)に入居している方にとっても、通院や入院のときに欠かせないものです。引っ越しや入院で住所が変わったときは、住所変更の届け出も忘れずに行いましょう。
制度についてわからないことは、どこに相談できますか?
結論制度についてわからないことは、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口に相談できます。都道府県ごとに設置された全47の後期高齢者医療広域連合に直接確認することもできます。保険料の支払いが難しいときも、早めの相談で対応してもらえることがあります。
保険証の切り替えや保険料、自己負担割合について分からないことがあれば、まずはお住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口(国保医療課、保険年金課などの名称が多いようです)に問い合わせるのが確実です。より制度的な内容については、都道府県の後期高齢者医療広域連合に直接確認することもできます。
介護の窓口の相談現場では、親に届いた後期高齢者医療の保険証と、これまでの介護保険証の違いが分からず不安になった、というご相談をよくお受けします。2つの制度は別物ですが、どちらも高齢のご家族の暮らしを支える大切な仕組みです。保険料の支払いが難しいと感じたときも、一人で抱え込まず、早めに市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
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よくある質問
一言でいうと、後期高齢者医療制度とはどのような制度ですか?
一言でいうと、後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方(一定の障害がある65歳以上の方を含む)が加入する独立した公的医療保険制度です。運営主体は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合で、医療費の自己負担は原則1割です。
後期高齢者医療制度は65歳から加入できますか?
後期高齢者医療制度は、原則75歳からの加入ですが、65歳から74歳までの方でも、一定の障害の状態にあると後期高齢者医療広域連合の認定を受けた場合は、申請により65歳から加入できます。認定を受けたあとに元の医療保険へ戻ることも可能です。
後期高齢者医療制度の保険料はいくらくらいになりますか?
後期高齢者医療制度の保険料は、所得割額と均等割額の合計で決まり、令和7年度の全国平均は被保険者1人あたり年86,306円となる見込みです。実際の金額は所得や住んでいる都道府県の広域連合によって異なります。
医療費の自己負担は何割になりますか?
医療費の自己負担は、原則1割です。住民税課税所得が28万円以上などの条件にあてはまる方は2割、現役並み所得(課税所得145万円以上が目安)のある方は3割になります。2割の方への配慮措置は2025年9月30日で終了していますが、医療費が高額になった場合は高額療養費制度で自己負担に上限が設けられています。
後期高齢者医療制度と介護保険は同じものですか?
後期高齢者医療制度と介護保険は、別々の制度です。後期高齢者医療制度は病気やけがの治療にかかる医療費を、介護保険は訪問介護や施設入居などの介護サービスの費用をカバーしており、75歳以降もどちらの保険料も別々にかかります。
75歳になったら、何か手続きが必要ですか?
75歳になったときの手続きは、新しい保険証が誕生日前後に自動的に届くため、基本的には不要です。ただし、家族の健康保険の扶養に入っていた74歳以下の配偶者がいる場合は、国民健康保険などへの新規加入手続きが必要になることがあります。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等について」
- 厚生労働省「高額療養費制度」
- 全国後期高齢者医療広域連合協議会
- 各都道府県後期高齢者医療広域連合 公表資料
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