最終更新: 2026-07-07
小規模多機能型居宅介護とは
小規模多機能型居宅介護とは、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を1つの事業所で柔軟に組み合わせる地域密着型の在宅サービスです。対象者や要介護度別の月額料金、ケアマネジャー変更などの注意点、看護小規模多機能との違いをやさしく解説します。
この記事の要点
- 小規模多機能型居宅介護とは、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を1つの事業所で柔軟に組み合わせて利用できる地域密着型の在宅サービスです
- 対象は要支援1以上で、要支援1・2の方は「介護予防小規模多機能型居宅介護」、要介護1〜5の方は「小規模多機能型居宅介護」を利用します
- 料金は要介護度別の月額定額制で、自己負担1割の場合の月額目安は要支援1で約3,500円、要介護5で約2.7万円です(2024年度介護報酬改定にもとづく概算・2026年時点)
- 契約すると担当のケアマネジャーが事業所所属の担当者に切り替わり、訪問介護・デイサービス・ショートステイなど他の訪問系・通所系サービスは原則併用できません
- 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は訪問看護が加わり、原則要介護1以上を対象に医療的ケアへ手厚く対応できる点が、通常の小規模多機能との違いです
小規模多機能型居宅介護とは?どんなサービスですか?
結論小規模多機能型居宅介護とは、要支援・要介護の認定を受けた方が「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を1つの事業所で状況に応じて柔軟に組み合わせて利用できる、地域密着型の在宅サービスです。
「通い(日帰りで事業所へ通う)」「訪問(スタッフが自宅を訪れる)」「泊まり(事業所に短期間宿泊する)」という3つの支援を、1つの事業所・1つの契約でまとめて利用できるのが最大の特徴です。同じ顔なじみの職員が3つのサービスを一括して担当するため、その日の体調や家族の予定に合わせて「今日は通いだけ」「今夜は泊まりも」といった使い方を柔軟に変えられます。
正式名称は小規模多機能型居宅介護で、現場では「小多機(しょうたき)」と略して呼ばれることもあります。訪問介護や通所介護(デイサービス)がサービスの種類ごとに別々の事業者と契約するのが基本であるのに対し、小規模多機能型居宅介護は1つの事業所が3つの機能を担うため、状態の変化に応じて同じ事業所内で対応を切り替えやすい仕組みになっています。
「地域密着型サービス」に分類されており、原則として事業所と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。1つの事業所あたりの登録できる利用者数にも上限が設けられています。
登録定員(1事業所29人以内、通いの利用定員18人以内、泊まりの利用定員9人以内が目安)は厚生労働省が定める人員・設備基準にもとづく目安です(2026年時点)。
対象になるのはどんな人ですか?
結論小規模多機能型居宅介護の対象は要支援1以上の方です。要支援1・2の方は「介護予防小規模多機能型居宅介護」、要介護1〜5の方は「小規模多機能型居宅介護」という名称で、同じ事業所のサービスを利用します。
要介護認定は非該当・要支援1・2・要介護1〜5の8区分に分かれており、小規模多機能型居宅介護(介護予防を含む)はこのうち要支援1以上の7区分で利用できます。非該当(自立)と判定された方は対象外です。
地域密着型サービスという分類のため、原則として事業所と同じ市区町村に住民票がある方が利用対象です。引っ越しなどで住民票を移す場合は、利用を続けられるかどうかを事業所に確認しておくと安心です。
要介護認定をまだ受けていない場合は、市区町村の介護保険窓口への申請から始まります。要介護の方のケアプランは居宅介護支援事業所のケアマネジャー(自己負担なし)が、要支援の方は地域包括支援センターが作成しますが、小規模多機能型居宅介護の利用が決まると、担当が事業所所属のケアマネジャーへ切り替わります。詳しくはこのあとの「注意点」でご説明します。
具体的にどんなサービスを受けられますか?
結論小規模多機能型居宅介護では、「通い」「訪問」「泊まり」の3つを柱に、入浴・食事・排せつなどの介護や生活支援、機能訓練を受けられます。3つのサービスは同じ事業所の職員が担当します。
通い・訪問・泊まりの回数や組み合わせ方に、利用者ごとの決まった割合はありません。ケアプランに沿って、体調や家族の状況に合わせてそのつど調整できるのが、他の在宅サービスにはない柔軟さです。24時間365日の対応体制を敷く事業所も多く、夜間の急な体調変化などにも相談しやすくなっています。
- 通い: 日帰りで事業所に通い、入浴・食事・機能訓練やレクリエーションなどを受けます。3つの機能の中心となるサービスです。
- 訪問: スタッフが自宅を訪れ、入浴や排せつの介助といった身体介護、掃除や洗濯などの生活援助を行います。
- 泊まり: 事業所に短期間宿泊します。家族の外せない用事や体調不良、夜間の見守りが必要なときなど、急な宿泊にも対応しやすいのが特徴です。
料金はどのくらいかかりますか?
結論小規模多機能型居宅介護の料金は、利用回数に関わらない要介護度別の月額定額制です。介護保険の自己負担は所得に応じて1〜3割で、自己負担1割の場合の月額は要支援1で約3,500円、要介護5で約2.7万円が目安です。
訪問介護や通所介護(デイサービス)は使った回数に応じて費用が積み上がっていく仕組みですが、小規模多機能型居宅介護は要介護度ごとに1か月分の基本報酬があらかじめ決まっている月額定額制です。月に何度通っても、何泊しても、追加の利用によって費用が変わらないのが特徴です。自己負担1割の場合の月額目安は、次の表のとおりです。
| 要介護度 | 月額の目安(10割) | 自己負担1割の月額目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 約3.5万円 | 約3,500円 |
| 要支援2 | 約7.0万円 | 約7,000円 |
| 要介護1 | 約10.5万円 | 約10,500円 |
| 要介護2 | 約15.4万円 | 約15,400円 |
| 要介護3 | 約22.4万円 | 約22,400円 |
| 要介護4 | 約24.7万円 | 約24,700円 |
| 要介護5 | 約27.2万円 | 約27,200円 |
2024年度介護報酬改定後の基本報酬(同一建物に居住する方以外を対象とする単価)をもとに、1単位=10円で概算した目安です(出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定・小規模多機能型居宅介護、2026年時点)。自己負担2割・3割の方は、目安額のおよそ2倍・3倍になります。このほか食費・宿泊費などの実費や、初期加算・認知症加算などの各種加算が別途かかるほか、1か月の自己負担合計が上限(一般的な所得の世帯で月44,400円)を超えた分は高額介護サービス費として払い戻されます。地域区分によって1単位あたりの単価は前後するため、実際の金額は事業所にご確認ください。
訪問介護やデイサービスと何が違いますか?
結論小規模多機能型居宅介護と訪問介護・デイサービスの最大の違いは、契約の単位と料金体系です。訪問介護・デイサービスはサービスごとに別の事業者と契約して利用した分だけ費用がかかりますが、小規模多機能型居宅介護は1つの事業所と契約し月額定額で3つの機能をまとめて使えます。
「顔なじみの職員に、通いも訪問も泊まりも任せられる」ことが小規模多機能型居宅介護の強みですが、その分、他の訪問介護事業者やデイサービスを自由に選んで組み合わせる、という使い方はできなくなります。違いを整理すると、次の表のとおりです。
| 比較項目 | 小規模多機能型居宅介護 | 訪問介護・デイサービスなどの組み合わせ |
|---|---|---|
| 契約する事業所 | 1つの事業所と契約する | サービスごとに複数の事業者と契約するのが一般的 |
| 料金体系 | 要介護度別の月額定額制 | 利用した回数・時間に応じた積み上げ |
| 担当するケアマネジャー | 事業所所属のケアマネジャーに切り替わる | 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが継続して担当する |
| 急な泊まりへの対応 | 同じ事業所内で泊まりに対応しやすい | 別途ショートステイ事業所への申込みが必要 |
| 他サービスとの併用 | 原則、他の訪問系・通所系サービスと併用不可 | 複数のサービスを自由に組み合わせて利用できる |
2026年時点の制度の枠組みにもとづく整理です。なお、訪問介護やデイサービスなど通常の在宅サービスを組み合わせて使う場合は、要介護度ごとに1か月の利用上限(区分支給限度額)が決まっており、要介護3で月27万円分、要介護5で月36.2万円分が目安です。小規模多機能型居宅介護はこの限度額とは別の枠組みで、独自の月額報酬が要介護度ごとに決まっています。
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)と何が違いますか?
結論看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」が加わった複合型サービスです。対象は原則要介護1以上で、要支援の方は利用できません。
名前が似ているため混同されやすいのですが、「看」の字が付くかどうかで対象と医療対応力が変わると覚えておくと分かりやすいです。違いを整理すると、次の表のとおりです。
| 比較項目 | 小規模多機能型居宅介護 | 看護小規模多機能型居宅介護(看多機) |
|---|---|---|
| 対象 | 要支援1以上 | 原則要介護1以上(要支援は対象外) |
| サービス内容 | 通い・訪問・泊まり | 通い・訪問・泊まりに訪問看護を追加 |
| 医療的ケアへの対応 | 事業所により対応できる範囲が限られる | 看護職員が手厚く配置され、対応しやすい |
| こんな方に | 認知症などにより柔軟な生活支援が必要な方 | 医療的ケアや、看取りへの対応も必要な方 |
2026年時点の制度にもとづく整理です。実際の医療的ケアへの対応可否は事業所ごとに異なるため、たんの吸引や点滴管理など具体的なケア内容は個別に確認することをおすすめします。
利用するときの注意点は何ですか?
結論小規模多機能型居宅介護を契約すると、担当のケアマネジャーが事業所所属のケアマネジャーに切り替わり、訪問介護・デイサービス・ショートステイなど他の訪問系・通所系サービスは原則併用できなくなります。この2点は契約前に必ず確認しておきたい注意点です。
1つ目はケアマネジャーの変更が必須になる点です。これまで居宅介護支援事業所のケアマネジャーに担当してもらっていた場合でも、小規模多機能型居宅介護を契約すると、その事業所に所属する専門のケアマネジャー(小規模多機能型居宅介護計画作成担当者)がケアプランを作り直します。長く付き合ってきたケアマネジャーと離れることに、寂しさや不安を感じるご家族もいらっしゃいます。
2つ目は他の訪問系・通所系サービスと原則併用できない点です。小規模多機能型居宅介護の月額報酬には、通い・訪問・泊まりに加えて他の在宅サービスの機能もある程度含めた金額が設定されているため、契約すると訪問介護・デイサービス(通所介護)・ショートステイ(短期入所生活介護)など、他の訪問系・通所系の居宅サービスは原則利用できなくなります。福祉用具貸与や住宅改修など、一部のサービスは引き続き利用できる場合があります。
相談現場では、「今のヘルパーさんやデイサービスの顔なじみの職員と離れたくない」という理由で、小規模多機能型居宅介護への切り替えを迷われるご家族が少なくありません。一方で、状態が変わりやすく通いと泊まりを頻繁に切り替えたいケースでは、複数の事業者を調整する手間がなくなることを評価する声も多く聞かれます。「今のサービスへの愛着」と「柔軟な対応力」のどちらを優先するかを、ご本人・ご家族で話し合っておくことをおすすめします。
メリット・デメリットは何ですか?
結論小規模多機能型居宅介護のメリットは、同じ職員が柔軟に対応してくれる安心感です。デメリットは、ケアマネジャーの変更が必須になる点と、他の訪問系・通所系サービスと併用できない点です。
小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリットを整理すると、次の表のとおりです。体調や気分の変化が大きい方ほど、柔軟に対応できる小規模多機能型居宅介護の強みを感じやすい傾向があります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 同じなじみの職員が「通い」「訪問」「泊まり」を一括して担当するため、環境の変化に弱い認知症の方でも生活のリズムを保ちやすい | 契約すると、担当のケアマネジャーが事業所所属の担当者に切り替わる |
| 月額定額制のため、利用回数を気にせず、その日の体調や家族の予定に応じて柔軟に使い分けられる | 訪問介護・デイサービス・ショートステイなど、他の訪問系・通所系サービスと原則併用できない |
| 24時間365日対応の事業所が多く、夜間や急な体調変化にも相談しやすい | 登録定員が29人以内など人数に限りがあり、事業所によっては空き待ちが生じる |
| 通いを休んだ日に訪問へ振り替えるなど、複数の事業者を調整する手間がかからない | 事業所の数が他の在宅サービスより少なく、身近な地域にない場合もある |
登録定員(1事業所29人以内が目安)は厚生労働省が定める人員基準にもとづきます(2026年時点)。実際の定員や空き状況は事業所により異なります。
利用を始めるまでの流れはどうなっていますか?
結論小規模多機能型居宅介護の利用は、「相談→事業所探し・見学→ケアマネジャーの切り替え→登録・契約→ケアプラン作成」という流れで始まります。要介護認定を受けていない場合は、まず認定の申請から始まります。
小規模多機能型居宅介護の利用は、次の表のような流れで進みます。要介護認定を受けていない場合は、まず市区町村の窓口で認定の申請から始めましょう。事業所探しは、複数の候補を見学してから決めることをおすすめします。職員の雰囲気や、泊まりの部屋の様子、緊急時の対応体制は事業所によって差があるためです。
小規模多機能型居宅介護は在宅生活を続けるための心強い選択肢ですが、状態が重くなり在宅での対応が難しくなった場合には、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)や住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、特別養護老人ホーム(特養)への住み替えも選択肢になります。介護の窓口では、在宅サービスの組み合わせから施設への住み替えまで、関西エリアでの選択肢探しを無料でお手伝いしています。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 相談 | 地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談する | 要介護認定が未申請なら、まず市区町村窓口への申請から |
| ② 事業所を探す・見学する | 近隣の小規模多機能型居宅介護事業所を探し、見学する | 原則、住民票のある市区町村内の事業所が対象 |
| ③ ケアマネジャーの切り替え | 事業所所属のケアマネジャーに担当が変わる | これまでのケアプランの内容を引き継いで相談できる |
| ④ 登録・契約 | 事業所と契約し、利用者として登録する | 登録定員(29人以内が目安)に空きがあることが条件 |
| ⑤ ケアプラン作成・利用開始 | 通い・訪問・泊まりの組み合わせを決めて利用開始する | 状態の変化に応じて途中でプランを見直せる |
よくある質問
一言でいうと、小規模多機能型居宅介護とは何ですか?
一言でいうと、小規模多機能型居宅介護とは、「通い」「訪問」「泊まり」を1つの事業所が月額定額で柔軟に組み合わせて提供する地域密着型の在宅サービスです。なじみの職員が3つのサービスを一括して担当するため、状態が変わりやすい方でも生活のリズムを保ちやすいのが特徴です。
対象になるのはどんな人ですか?
要支援1以上の認定を受けている方が対象です。要支援1・2の方は介護予防小規模多機能型居宅介護、要介護1〜5の方は小規模多機能型居宅介護を利用します。地域密着型サービスのため、原則として事業所と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。
料金はどのくらいかかりますか?
利用回数に関わらない月額定額制で、自己負担1割の場合、要支援1で月額約3,500円、要介護5で月額約2.7万円が目安です(2024年度介護報酬改定にもとづく概算・2026年時点)。ここに食費・宿泊費などの実費が別途加わります。
今使っている訪問介護やデイサービスは続けられますか?
小規模多機能型居宅介護を契約すると、原則として訪問介護・デイサービス(通所介護)・ショートステイなど、他の訪問系・通所系サービスとの併用はできなくなります。使い慣れた事業者を続けたい場合は、契約前によく確認しておくことが大切です。
ケアマネジャーは変わりますか?
変わります。小規模多機能型居宅介護を利用すると、それまで担当していたケアマネジャーから、事業所に所属するケアマネジャーへ担当が切り替わります。これまでのケアプランの内容は引き継いで相談できます。
看護小規模多機能型居宅介護とは違うのですか?
違います。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、通い・訪問・泊まりに訪問看護が加わったサービスで、原則要介護1以上の方が対象です。医療的ケアが必要な方に対応しやすい点が、通常の小規模多機能型居宅介護との大きな違いです。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「小規模多機能型居宅介護」制度概要
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」小規模多機能型居宅介護 基本報酬
- 厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」
- 介護保険法施行規則(e-Gov法令検索)
- 独立行政法人福祉医療機構 WAMNET「小規模多機能型居宅介護」
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