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最終更新: 2026-07-12

老人ホームの住み替え(施設変更)

老人ホームの住み替えとは、入居中の施設を退去し、別の施設へ移り住むことです。介護度の重度化や費用負担の増加、家族の転居などが主なきっかけとなります。住み替えが可能なケース、退去予告期間や入居一時金の返還ルール、新しい施設の探し方までやさしく解説します。

この記事の要点

  • 老人ホームの住み替え(施設変更)とは、入居中の施設を退去し、別の施設へ移り住むことです。介護度の重度化や費用負担の増加、職員・他の入居者との相性、家族の転居などが主なきっかけになります
  • 特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は要支援2以上・認知症の診断・原則同一市区町村への住民登録が入居の条件で、住み替え先を選ぶ際はこの条件を満たすか確認が必要です
  • 退去の際は、多くの施設が解約の30日前までの届け出を契約条件としていますが、契約から90日以内の退去には短期解約特例が適用され、通常の予告期間ルールとは扱いが異なります
  • 入居一時金(前払金)は、退去時に未償却分のみが返還され、入居時に差し引かれた初期償却分は戻らないため、住み替え先の初期費用を全額まかなえるとは限りません
  • 新しい施設が決まるまでの間は、ショートステイ(短期入所生活介護)や訪問介護などの在宅サービスを、介護保険の支給限度額の範囲内(自己負担1〜3割)でつなぎとして活用できます

老人ホームの住み替え(施設変更)とは、どのようなことですか?

結論老人ホームの住み替え(施設変更)とは、現在入居している施設を退去し、別の施設へ移り住むことです。要介護3以上に介護度が重くなった、費用負担が増えたなど、入居後に事情が変わったことをきっかけに検討されます。

老人ホームの住み替えとは、いま契約している施設との入居契約を終了し、別の施設と新たに契約を結んで移り住むことです。特別養護老人ホーム(特養)などの公的な入所制度への申込みとは異なり、原則としてご本人・ご家族の意思で決められる選択肢です。

たとえば、住宅型有料老人ホームに入居した後に介護度が上がって要介護3以上になり、介護体制の手厚い介護付き有料老人ホームや特養への住み替えを検討する、といったケースも珍しくありません。「せっかく決めた施設なのに、また探し直すのは大変では」と感じる方も多いのですが、入居後に介護度や経済状況、人間関係が変わるのは自然なことです。

この記事では、住み替えを考えるきっかけ、契約上確認しておきたいポイント、新しい施設の探し方、住み替え期間中に使えるサービスまで、順を追って解説します。

住み替えを考えるきっかけには、どのようなものがありますか?

結論住み替えを考えるきっかけとして多いのは、介護度が重くなり今の施設では対応できなくなった、費用負担が重くなった、職員や他の入居者との相性が合わない、家族の転居で通いにくくなったという4つです。

住み替えの検討は、入居時には想定していなかった変化がきっかけになることがほとんどです。代表的な理由を整理すると、次のようになります。

  • 介護度の重度化: 住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居中、介護度が上がって外部の訪問介護だけでは対応しきれなくなり、介護付き有料老人ホームや特養への住み替えを検討するケース
  • 費用負担の増加: 介護サービスの利用が増えて自己負担額がふくらんだ、年金や貯蓄で払い続けるのが難しくなったなど、費用面が理由になるケース
  • 職員や他の入居者との相性: 対応への不満や人間関係のストレスが積み重なり、環境を変えたいと感じるケース
  • 家族の転居: ご家族が引っ越しをして、今の施設まで面会や通院の付き添いに通うのが難しくなったケース

住み替えはどのようなケースで可能ですか?

結論有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、契約に沿って解約すればいつでも住み替えが可能です。一方、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)は退去後に新たな申込みが必要で、グループホームは要支援2以上・認知症の診断・原則同一市区町村への住民登録という条件を満たす施設を探す必要があります。

住み替えのしやすさは、施設の種類によって大きく異なります。有料老人ホームやサ高住は、事業者との個別契約にもとづいて入居しているため、契約上の手続きを踏めばご本人・ご家族の意思で住み替えを決められます。一方、特養のような公的な入所制度を持つ施設は、退去してもすぐに他の施設へ優先的に入れるわけではなく、あらためて申込みをして順番を待つことになります。

施設の種類ごとの違いを整理すると、次の表のとおりです。

施設の種類契約・入所の形住み替えの考え方
介護付き有料老人ホーム/住宅型有料老人ホーム施設との個別契約(利用権方式が中心)契約書の退去要件に沿って解約すれば住み替え可能。前払金がある場合は返還ルールの確認が必要
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)建物賃貸借契約一般的な賃貸住宅に近く、予告期間を守れば比較的住み替えやすい
特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)行政が関与する入所制度退去後に他の特養へ移るには、あらためて申込みをして順番を待つ必要がある
介護老人保健施設(老健)在宅復帰を目指す入所制度原則3〜6か月程度の入所を想定しており、退所して次の住まいへ移ること自体が制度の前提になっている
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)施設との個別契約(利用権方式が中心)要支援2以上・認知症の診断に加え、原則入居する施設と同一市区町村に住民票があることが条件

出典:老人福祉法・介護保険法にもとづく一般的な傾向(2026年7月時点)。入所の要件や運用は施設・市区町村によって異なるため、個別の確認が必要です。特養は要介護1・2でもやむを得ない事情がある場合に特例入所が認められることがあります。

退去する際、契約上どのようなことを確認すればよいですか?

結論退去の際は、解約の予告期間・原状回復義務・前払金(入居一時金)の返還ルールの3点を契約書と重要事項説明書で確認します。多くの施設は解約の30日前までの届け出を契約条件としていますが、契約から90日以内の退去には短期解約特例が適用されます。

住み替えを決めたら、まず今の施設との契約内容を確認します。特に見落としやすいのが、次の3つのポイントです。

確認する項目内容
退去予告期間解約の30日前までの届け出を契約条件とする施設が多いですが、法令で日数が一律に定められているわけではなく、施設ごとの契約内容によります
短期解約特例(90日ルール)契約から90日以内の退去であれば、日割りの家賃など実費を除いて前払金が返還される特例があり、通常の予告期間ルールとは扱いが異なります
原状回復義務日常生活による自然な損耗分は求められないのが一般的ですが、手すりの後付けや壁紙の変更など本人・家族が行った改造がある場合は、原状回復費用を求められることがあります

出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会の公表情報、老人福祉法にもとづく一般的な内容(2026年7月時点)。日数や範囲は施設ごとの契約により異なるため、契約書・重要事項説明書で必ずご確認ください。

入居一時金はどのように返還されますか?

結論入居一時金(前払金)は、退去時に未償却分が返還されますが、入居時に差し引かれた初期償却分は戻りません。契約から90日を過ぎている場合は、償却期間の経過に応じて返還額が少なくなっていきます。

有料老人ホームの前払金は、入居時に一定割合が差し引かれる初期償却と、残りを毎月少しずつ減らしていく償却期間の2段階で減っていく仕組みです。住み替えで退去する場合、返還されるのは償却期間の途中で残っている未償却分だけで、初期償却分はすでに施設の収入となっているため戻りません

たとえば、前払金500万円・初期償却20%(100万円)・償却期間5年(60か月・毎月均等償却)という契約で退去した場合の返還イメージは、次の表のとおりです。

退去のタイミング未償却残高(返還額の目安)
入居直後(初期償却後)約400万円
1年経過後約320万円
3年経過後約160万円
5年経過後(償却完了)0円

前払金500万円・初期償却20%・償却期間5年(60か月均等償却)という設例にもとづく概算です。初期償却の割合や償却期間は施設ごとに大きく異なるため、実際の金額は契約書の償却表でご確認ください。契約から90日以内の退去には、この表とは別に短期解約特例が適用されます。

新しい施設はどのように探せばよいですか?

結論新しい施設探しは、要介護の方は今契約しているケアマネジャー、要支援の方は地域包括支援センターへの相談から始め、2〜3施設を見学して比較するとミスマッチを防ぎやすくなります。

住み替え先探しは、ケアマネジャーへの相談から始めるとスムーズです。すでに要介護認定を受けている場合、ケアプランを作成しているケアマネジャーが、これまでの状態やサービスの利用状況を把握しているため、条件に合う施設の情報を持っていたり、地域の空室状況に詳しかったりすることがあります。要支援の方は、地域包括支援センターが同様の窓口になります。

候補が挙がったら、初めて施設を探したときと同じように、2〜3施設を見学して比較します。住み替えの場合は、次の点を重点的に確認すると、今回の住み替え理由の再発を防ぎやすくなります。

介護の窓口の相談現場では、住み替えを検討するご家族から「今の施設に不満があると伝えにくい」という声を聞くことがありますが、不満に感じている点を具体的に伝えるほど、次の施設選びの比較軸がはっきりするという声を相談員からもよく聞きます。遠慮せず、困っていることを整理して伝えることが、住み替え先探しの近道になります。

介護の窓口では、今の施設の状況をうかがったうえで、関西4府県の施設を中心に空室状況の確認を無料でお手伝いしています。候補探しの段階からお気軽にご相談ください。

  • 今の施設で対応できなかった医療的ケアや介護の内容に対応できるか
  • 月額費用の総額が、想定している予算に収まるか(前払金の有無も含めて)
  • 職員体制(夜間の人数・看護職員の配置時間)と、実際の対応の様子
  • 重要事項説明書の内容を、今の施設と比べてどこが違うか
  • 体験入居ができるか(可能であれば数日間の生活を試す)

住み替えの期間中に頼れるサービスはありますか?

結論新しい施設が決まるまでの間は、ショートステイ(短期入所生活介護)や訪問介護、通所介護(デイサービス)などの在宅サービスをつなぎとして活用できます。いずれも介護保険の支給限度額の範囲内(自己負担1〜3割)で利用できます。

今の施設を退去する日と、新しい施設に入居できる日がぴったり一致するとは限りません。数日から数週間の空白期間が生じる場合は、次のようなサービスをつなぎとして活用できます。

サービス内容住み替え期間中の活用場面
ショートステイ(短期入所生活介護)施設に短期間宿泊し、食事・入浴・排せつなどの介護を受けられるサービス新しい施設が決まるまでの一時的な滞在先として
訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスいったん自宅に戻り、次の施設を探す間の生活を支える
通所介護(デイサービス)日中に施設へ通い、食事・入浴・機能訓練などを受けられるサービス自宅で過ごす日中の見守りと、ご家族の負担軽減に
福祉用具レンタルベッド・車椅子などのレンタル(原則要介護2以上が対象。例外給付あり)自宅に戻る期間だけ一時的に生活環境を整えたい場合に

出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」(2026年7月時点)。介護保険の支給限度額の範囲内(自己負担1〜3割)で利用できます。ケアプランの作成は要介護の方はケアマネジャー、要支援の方は地域包括支援センターが窓口で、いずれも自己負担はかかりません。

施設側から契約解除を求められる場合と何が違いますか?

結論施設側からの契約解除は、長期入院や医療対応の限界、費用の滞納(目安として3〜6か月程度の滞納)などを理由に、予告や催告を経て求められるものです。一方、ご本人やご家族が決める住み替えは、契約の予告期間に沿って届け出れば基本的にいつでも申し出ることができます。

住み替えは、ご本人やご家族の意思で新しい住まいを選ぶ前向きな手続きです。これに対して、施設側の都合による契約解除(退去要求)は、住み替えとは性質がまったく異なります

施設側が契約解除を求めてくる主な理由には、長期入院で在宅・入所いずれでもない状態が続く場合、医療的ケアの内容が施設の体制を超えてしまった場合、他の入居者との共同生活に大きな支障がある場合、費用の滞納が続いた場合などがあります。費用の滞納であれば、3〜6か月ほど滞納が続いた段階で契約解除の予告(催告)が行われることが多く、その後も一定の猶予期間が設けられるのが一般的です。ある日突然退去を迫られるわけではありません。

施設側から契約解除の話が出たときは、理由を書面で確認し、猶予期間の間に次の住まいを探す時間を確保することが大切です。対応に納得がいかない場合は、契約書の記載内容を確認したうえで、市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに相談しましょう。

住み替えを決める前に、誰に相談すればよいですか?

結論住み替えを決める前に相談できる窓口は、ケアマネジャー・地域包括支援センター、公益社団法人全国有料老人ホーム協会、市区町村の介護保険課の3つが中心です。契約や返還金の内容に不安があるときほど、早めの相談が安心につながります。

住み替えは、今の施設との契約の解約と、新しい施設との契約という2つの手続きが同時に進む、負担の大きい決断です。一人や家族だけで抱え込まず、次のような窓口を頼りましょう。

契約書や重要事項説明書を読んでもわからない点があれば、そのままにせず確認しましょう。介護の窓口のような無料相談窓口を頼ることもできますので、一人で抱え込まず、ひとつずつ確認しながら進めていきましょう。

  • ケアマネジャー・地域包括支援センター: 新しい施設探しやサービスの調整の相談先
  • 公益社団法人全国有料老人ホーム協会: 有料老人ホームの契約内容や前払金の返還など、契約に関する相談窓口
  • 市区町村の介護保険課: 要介護認定やグループホームの入居要件など、制度面の相談先

よくある質問

老人ホームの住み替えを一言でいうと、どのようなことですか?

今入居している施設を退去し、別の施設へ移り住むことです。介護度の重度化や費用負担の増加、職員・他の入居者との相性、家族の転居などをきっかけに検討されます。

住み替えはどんな施設でもすぐにできますか?

介護付き・住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、契約に沿って解約すれば住み替えが可能です。一方、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)は退去後にあらためて申込みが必要で、グループホームは要支援2以上・認知症の診断・原則同一市区町村への住民登録という条件を満たす施設を探す必要があります。

退去を申し出てから、どのくらいで退去できますか?

多くの施設は解約の30日前までの届け出を契約条件としていますが、日数は施設ごとに異なります。契約から90日以内の退去であれば短期解約特例により扱いが異なるため、契約書・重要事項説明書で確認しましょう。

入居一時金は住み替え時に全額戻ってきますか?

全額は戻らないことが多いです。退去時に返還されるのは償却期間の途中で残っている未償却分のみで、入居時に差し引かれた初期償却分は戻りません。

新しい施設が決まるまでの間はどう過ごせばいいですか?

ケアマネジャーに相談しながら、ショートステイ(短期入所生活介護)や訪問介護、通所介護(デイサービス)などの在宅サービスを、介護保険の支給限度額の範囲内でつなぎとして利用する方法があります。

施設から退去を求められる場合と、自分から住み替える場合は何が違いますか?

施設側からの契約解除は、長期入院や医療対応の限界、費用の滞納などを理由に、予告や猶予期間を経て求められるものです。一方、ご本人やご家族が決める住み替えは、契約の予告期間に沿って届け出れば基本的にいつでも申し出ることができます。

参考(一次情報)

  • 公益社団法人全国有料老人ホーム協会「重要事項説明書の見方」
  • 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
  • e-Gov法令検索「老人福祉法」
  • 横浜市健康福祉局「有料老人ホーム重要事項説明書」

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