最終更新: 2026-07-11
高額介護合算療養費制度とは
高額介護合算療養費制度とは、1年間(8月1日〜翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担を世帯単位で合算し、所得区分ごとの基準額を超えた分が払い戻される制度です。限度額は70歳未満で年額34万〜212万円、70歳以上で19万〜212万円です。
この記事の要点
- 高額介護合算療養費制度は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に生じた医療保険と介護保険の自己負担を世帯単位で合算し、所得区分ごとの基準額を超えた分を払い戻す制度です
- 自己負担限度額は、70歳未満の世帯で年額34万円〜212万円の5区分、70歳以上の世帯で年額19万円〜212万円の6区分に分かれています
- 対象になるのは、高額療養費・高額介護サービス費など月単位の軽減制度を適用したあとも自己負担が残る世帯で、医療・介護の両方に自己負担が発生している必要があります
- 申請には、市区町村の介護保険担当課が発行する自己負担額証明書と、加入する医療保険者への支給申請書の両方の手続きが必要です
- 申請の時効は算定期間の基準日である7月31日の翌日から2年のため、早めの確認と申請が大切です
高額介護合算療養費制度とは何ですか?
結論高額介護合算療養費制度とは、同じ世帯で1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)に生じた医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、所得区分ごとの基準額(年額19万円〜212万円)を超えた分が払い戻される制度です。医療費だけ、介護費だけでは限度額に届かなくても、合算すれば対象になる場合があります。
正式には、医療保険の窓口では「高額介護合算療養費」、介護保険(市区町村)の窓口では「高額医療合算介護サービス費」と呼ばれ、両方をあわせて高額医療・高額介護合算療養費制度と呼ばれています。1つの世帯で医療費と介護費の両方がかさんでいる場合に、家計の負担を軽減することを目的とした制度です。
高額療養費制度や高額介護サービス費は、それぞれ医療費・介護費を1か月単位で軽減する制度です。これに対して高額介護合算療養費制度は、その月単位の軽減を適用したあとに残る自己負担を、1年間単位でさらに合算して軽減する仕組みです。
高額療養費制度・高額介護サービス費制度とはどう違いますか?
結論高額療養費制度(医療費のみ)と高額介護サービス費(介護費のみ、一般世帯で月44,400円が上限)は、いずれも1か月単位で自己負担を軽減する制度です。高額介護合算療養費制度は、医療費と介護費の両方を1年間単位で合算して軽減する点が異なります。
3つの制度は対象となる費用と計算期間が異なり、それぞれ独立した申請が必要です。高額介護合算療養費制度は、高額療養費と高額介護サービス費を適用したあとに残る自己負担額をベースに計算されるため、先に月単位の制度が適用されていることが前提になります。
たとえば医療費・介護費のどちらも高額療養費・高額介護サービス費の限度額をわずかに超えない範囲におさまり、月ごとの還付が発生しなかったとしても、1年間の自己負担を合計すると高額介護合算療養費制度の限度額を超え、まとまった金額が払い戻されることがあります。
| 制度名 | 対象費用 | 計算の単位 | 算定期間 |
|---|---|---|---|
| 高額療養費制度 | 医療保険の自己負担のみ | 1か月単位 | 毎月 |
| 高額介護サービス費 | 介護保険の自己負担のみ | 1か月単位 | 毎月 |
| 高額介護合算療養費制度 | 医療保険+介護保険の自己負担 | 1年間単位 | 毎年8月1日〜翌年7月31日 |
高額介護サービス費の一般世帯上限(月44,400円)は2024年時点の金額です。高額介護合算療養費制度の限度額は年齢・所得区分により異なるため、詳しくは次項以降の表を参照してください。出典:厚生労働省資料
対象となる世帯の条件はありますか?
結論高額介護合算療養費制度の対象になるのは、医療保険と介護保険の両方の自己負担が発生している世帯で、かつ世帯内の対象者が同じ医療保険に加入している場合です。どちらか一方の自己負担が年間を通じて0円の場合は対象になりません。
ここでいう「世帯」は住民票上の世帯ではなく、同じ医療保険に加入している人の範囲を指します。たとえば75歳以上の親は後期高齢者医療制度、50代の子は勤務先の健康保険というように医療保険が異なる場合、たとえ同居していても、合算の対象は親の医療費と親の介護費で1つの単位として計算され、子の医療費とは合算されません。
対象となる自己負担額は、高額療養費や高額介護サービス費といった月単位の軽減制度を適用したあとに残る金額です。施設に入居している場合の居住費(部屋代)や食費、差額ベッド代、保険外サービスの利用料は医療保険・介護保険の給付対象外のため、合算の計算には含まれません。特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院、有料老人ホームに入居していても、対象になるのは介護保険が給付するサービス費用の自己負担分(1〜3割)のみです。
ご自身の世帯が対象になるか不安な場合は、加入している医療保険者(協会けんぽ支部や健康保険組合等)の窓口に問い合わせると確認できます。
- 医療保険の自己負担と介護保険の自己負担の両方が発生している
- 世帯内の対象者が同じ医療保険に加入している
- 高額療養費・高額介護サービス費を適用したあとも自己負担額が残っている
- 施設利用の場合、居住費・食費ではなくサービス費用の自己負担であること
70歳未満の自己負担限度額はいくらですか?
結論70歳未満の世帯では、所得に応じて5段階の区分があり、1年間の自己負担限度額は年額34万円から212万円です。所得が高いほど限度額も高く設定されています。
70歳未満の区分は、高額療養費制度と同じ旧ただし書き所得(総所得金額等から基礎控除43万円を差し引いた額)を基準に5段階に分かれています。世帯内に70歳未満の人が1人でもいる場合は、この基準が適用されます。
| 所得区分 | 自己負担限度額(年額) |
|---|---|
| 区分ア(年収約1,160万円以上/旧ただし書き所得901万円超) | 212万円 |
| 区分イ(年収約770万〜1,160万円/旧ただし書き所得600万円超901万円以下) | 141万円 |
| 区分ウ(年収約370万〜770万円/旧ただし書き所得210万円超600万円以下) | 67万円 |
| 区分エ(年収約370万円以下/旧ただし書き所得210万円以下) | 60万円 |
| 区分オ(住民税非課税世帯) | 34万円 |
出典:厚生労働省資料(2018年8月改定時点の基準額)。年収額は旧ただし書き所得から算出したおおよその参考額です。実際の区分は所得に基づき判定されるため、詳細は加入する医療保険者にご確認ください。
70歳以上の自己負担限度額はいくらですか?
結論70歳以上の世帯では、所得に応じて6段階の区分があり、1年間の自己負担限度額は年額19万円から212万円です。70〜74歳と75歳以上(後期高齢者医療制度の被保険者)は同じ区分・金額が適用されます。
70歳以上は、現役世代と同じ所得水準の人向けの「現役並み」区分が3段階、「一般」区分、住民税非課税世帯向けの「低所得」区分が2段階の、合計6段階に分かれています。区分は市区町村民税の課税所得を基準に判定されます。
| 所得区分 | 自己負担限度額(年額) |
|---|---|
| 現役並みⅢ(課税所得690万円以上/年収約1,160万円以上) | 212万円 |
| 現役並みⅡ(課税所得380万円以上690万円未満/年収約770万〜1,160万円) | 141万円 |
| 現役並みⅠ(課税所得145万円以上380万円未満/年収約370万〜770万円) | 67万円 |
| 一般(現役並み・低所得のいずれにも該当しない世帯) | 56万円 |
| 低所得Ⅱ(世帯全員が住民税非課税) | 31万円 |
| 低所得Ⅰ(世帯全員が住民税非課税かつ年金収入80万円以下等) | 19万円 |
出典:厚生労働省資料(2018年8月改定時点の基準額)。70〜74歳と75歳以上(後期高齢者医療制度の被保険者)は同じ区分・金額が適用されます。区分の詳細な判定基準は加入する医療保険者・市区町村にご確認ください。
算定期間はいつからいつまでですか?
結論算定期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。この期間中に支払った医療保険と介護保険の自己負担額(月単位の軽減制度を適用したあとの金額)を合計して、限度額と比較します。
算定期間が8月始まりになっているのは、介護保険の高額介護サービス費の算定期間(8月〜翌年7月)に合わせているためです。4月始まりの年度や1月始まりの暦年とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
年度の途中で医療保険が変わった場合(就職や後期高齢者医療制度への加入、転居による市区町村の変更など)は、変更前後の期間に応じて自己負担額を按分して計算します。手続きが複雑になりやすいため、心当たりがある場合は早めに医療保険者や市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
申請の窓口はどこですか?
結論申請には、市区町村の介護保険担当課と加入している医療保険者という2つの窓口への手続きが必要です。先に市区町村で介護保険の自己負担額証明書を受け取り、それを添えて医療保険者に支給申請書を提出します。
医療保険者とは、協会けんぽ(全国健康保険協会)の支部、健康保険組合、市町村国保、後期高齢者医療広域連合など、ご本人が加入している保険の運営主体です。会社員とその家族は勤務先の健康保険、自営業や年金生活の方は市町村国保や後期高齢者医療制度が窓口になります。
| 手続き先 | 役割 | 主に必要な書類 |
|---|---|---|
| 市区町村の介護保険担当課 | 1年間の介護保険自己負担額を証明する書類を発行 | 自己負担額証明書の交付申請書、介護保険被保険者証、本人確認書類 |
| 加入している医療保険者 | 医療・介護の自己負担を合算し、限度額超過分を算定・支給 | 支給申請書、介護保険自己負担額証明書、健康保険証、振込先口座がわかるもの、マイナンバー確認書類 |
必要書類は医療保険者・市区町村により異なる場合があります(2026年時点)。押印やマイナンバー確認書類の要否も窓口ごとに異なるため、事前の確認をおすすめします。
申請から支給までの流れと期限はどうなりますか?
結論算定期間(7月31日)の終了後に自己負担額証明書を取得し医療保険者に申請すると、審査を経て医療保険と介護保険それぞれの負担割合に応じて按分された金額が指定口座に振り込まれます。申請の時効は7月31日の翌日から2年です。
対象になりそうな世帯には医療保険者や市区町村から案内が届く場合がありますが、案内がなくても対象になっている可能性があるため、心当たりがある場合は自分から確認・申請することが大切です。申請から支給までは、按分計算や関係機関同士の確認作業が必要なため数か月かかります。
介護の窓口の相談現場では、「高額療養費で医療費の一部は戻ってきたが、介護費もかさんでまだ負担が重い」というご相談を多くいただきます。医療費だけ、介護費だけで判断して対象外だと思い込み、合算すれば払い戻しを受けられたはずのケースに気づかないまま時効を迎えてしまった例もあるため、医療費と介護費は必ずあわせて確認することをおすすめします。
- 算定期間(8月1日〜翌年7月31日)の自己負担額が確定する
- 市区町村の介護保険担当課で自己負担額証明書の交付を受ける
- 医療保険者に支給申請書と証明書を提出する
- 医療保険者が審査・按分計算を行う
- 指定口座に医療分・介護分がそれぞれ振り込まれる
自己負担額はどのように試算すればよいですか?
結論試算では、高額療養費・高額介護サービス費を適用したあとの医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、年齢・所得区分ごとの限度額と比較します。例えば70歳未満の区分ウ(限度額67万円)で自己負担の合計が80万円なら、差額の13万円が払い戻されます。
実際に試算するときは、(1)医療機関の領収書や医療保険者からの通知で1年間の医療費自己負担額(高額療養費適用後)を確認する、(2)介護保険の自己負担額(高額介護サービス費適用後)をケアマネジャーの明細や介護保険者からの通知で確認する、(3)2つを合計して前述の限度額の表と照らし合わせる、という3つの手順で確認できます。
介護費用の見通しを立てたい場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、年間の自己負担額を一緒に確認してもらう方法もあります。
| 項目 | ケースA(70歳未満・区分ウ) | ケースB(70歳以上・一般) |
|---|---|---|
| 医療保険の自己負担(年間) | 52万円 | 38万円 |
| 介護保険の自己負担(年間) | 28万円 | 27万円 |
| 自己負担の合計 | 80万円 | 65万円 |
| 自己負担限度額(年額) | 67万円 | 56万円 |
| 払い戻される金額 | 13万円 | 9万円 |
上記は制度の仕組みを理解するための試算例(2026年時点の基準額をもとに作成)であり、実際の金額を保証するものではありません。実際の自己負担額は医療機関・介護サービス事業者からの通知や自己負担額証明書でご確認ください。
よくある質問
高額介護合算療養費制度を一言でいうと何ですか?
1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担を世帯単位で合算し、所得区分ごとの基準額(年額19万円〜212万円)を超えた分が払い戻される制度です。
高額療養費制度とは何が違いますか?
高額療養費制度は医療費のみを1か月単位で軽減する制度です。高額介護合算療養費制度は、医療費と介護費を合わせて1年間単位で軽減する点が異なります。
申請はどこで行いますか?
市区町村の介護保険担当課で自己負担額証明書の交付を受けたうえで、加入している医療保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市町村国保・後期高齢者医療広域連合など)に支給申請書とあわせて提出します。
支給までどのくらいの期間がかかりますか?
医療保険者による審査や按分計算が必要なため、申請から支給までは数か月かかります。案内が届く場合もありますが、届かない場合は自分から確認・申請することが大切です。
医療費と介護費のどちらか一方しかない場合も対象になりますか?
対象になりません。制度の対象になるのは、1年間のうちに医療保険と介護保険の両方で自己負担が発生している世帯です。どちらか一方の自己負担が年間を通じて0円の場合は対象外です。
申請には期限がありますか?
あります。時効は算定期間の基準日である7月31日の翌日から2年です。期限を過ぎると払い戻しを受けられなくなるため、早めの確認をおすすめします。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 市区町村介護保険担当課資料
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