介護の窓口ひとりで悩まない、施設探しを。

最終更新: 2026-07-04

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な方の財産管理や契約を法的に支援する制度です。法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の違い、申立ての流れと期間、費用と報酬の目安、施設入居で必要になる場面まで、はじめてのご家族向けにやさしく解説します。

この記事の要点

  • 成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な方の財産管理や契約を法的に支援する制度で、法定後見と任意後見の2種類があります。
  • 法定後見には後見・保佐・補助の3類型があり、本人の判断能力の程度に応じて家庭裁判所が類型と後見人を決定します。
  • 申立ての実費は鑑定がなければ1〜2万円程度が目安で、専門職後見人には月額2万円前後からの報酬が原則として本人が亡くなるまで続きます(大阪家庭裁判所のめやす・2026年時点)。
  • 後見人は親族以外の専門職が選ばれる割合が約8割で、誰を選ぶかは家庭裁判所が決めます(最高裁「成年後見関係事件の概況」令和6年)。
  • 施設の入居契約や費用の支払いで必要になる場面が多い一方、一度始めるとやめられないため、日常生活自立支援事業などより軽い支援との比較も大切です。

成年後見制度とは?どのような制度?

結論成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が不十分になった方の財産管理や契約の手続きを、法律上の権限を持つ後見人などが支援する制度です。家庭裁判所が関わり、本人の財産と権利を守ります。

認知症が進むと、預貯金の管理や介護サービスの契約、施設への入居契約といった法律行為を自分で行うことが難しくなります。成年後見制度は、こうした場面で本人に代わって、あるいは本人を支えながら契約や財産管理を行う人を法律上定める仕組みで、判断能力が不十分になった方の財産や権利を、法律の力で守るための制度です。

成年後見制度には大きく2つの種類があります。すでに判断能力が低下している方のために家庭裁判所が支援者を選ぶ法定後見制度と、元気なうちに将来の支援者を自分で決めておく任意後見制度です。最高裁判所の統計では、2024年(令和6年)12月末時点の利用者数は約25.4万人にのぼります(最高裁「成年後見関係事件の概況」・2026年時点)。

「名前は聞いたことがあるけれど、いつ何のために使う制度なのか分からない」という方がほとんどです。この記事では、種類・費用・手続き・注意点から、介護や施設入居との関係まで、はじめてのご家族が知っておきたいポイントを順番に解説します。

法定後見の3類型|後見・保佐・補助はどう違う?

結論法定後見には、本人の判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3つの類型があります。支援する人の権限の範囲が異なり、どの類型になるかは家庭裁判所が決定します。

最も手厚いのが「後見」で、判断能力がほとんど失われた状態の方が対象です。「保佐」は判断能力が著しく不十分な方、「補助」は多くのことは自分でできるものの重要な判断に不安が残る方が対象になります。

どの類型に当たるかは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。申立ての際は、かかりつけ医などに家庭裁判所所定の様式で診断書を作成してもらうのが一般的です。

類型本人の状態(目安)支援する人主な権限
後見判断能力がほとんどない状態(日常の買い物も難しい)成年後見人財産に関するほぼすべての法律行為の代理権と、日常生活に関する行為を除く取消権
保佐判断能力が著しく不十分(重要な契約は難しい)保佐人借金や不動産売買など重要な行為への同意権・取消権。申立てにより代理権の付与も可能
補助判断能力が不十分(おおむね自分でできるが不安がある)補助人申立てで定めた特定の行為についての同意権・取消権・代理権(本人の同意が必要)

民法の規定に基づく一般的な整理(2026年時点)。類型は本人の状態に応じて家庭裁判所が決定します。

任意後見制度とは?法定後見との違い

結論任意後見制度は、判断能力があるうちに、将来支援してもらう人と支援の内容を自分で決めて公正証書で契約しておく制度です。支援者を自分で選べる点が法定後見との大きな違いです。

任意後見は、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点から効力が生じます。信頼できる家族や専門家をあらかじめ自分で選べることが最大の特徴で、公正証書の作成には合計2万円前後の手数料がかかるのが一般的です。

一方で、任意後見人には法定後見のような取消権がなく、任意後見監督人への報酬(目安として月額1〜2万円程度・管理財産額による)が別途かかります。また、すでに判断能力が低下してからでは任意後見契約は結べず、その場合は法定後見を利用することになります。

項目法定後見任意後見
利用できるタイミング判断能力が不十分になった後判断能力があるうちに契約(効力は低下後)
支援する人を選ぶのは家庭裁判所本人(自分で選ぶ)
支援の内容法律で定まった範囲(類型による)契約で自由に決められる
取消権あり(類型・内容による)なし
監督のしくみ家庭裁判所(後見監督人が付く場合も)任意後見監督人が必ず付く

制度上の一般的な違いの整理(2026年時点)。監督人報酬の目安は大阪家庭裁判所公表の資料によります。

手続きの流れは?申立てから開始までの期間目安

結論法定後見は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所への申立てが必要です。書類の準備から利用開始まで、おおむね2〜4か月程度が目安です。

申立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族などです。身寄りのない方などについては、市区町村長が申し立てる仕組みもあります。手続きは次のような流れで進みます。

最高裁判所の統計では、申立てから審判までは2か月以内に終わるケースが多いとされています(最高裁「成年後見関係事件の概況」・2026年時点)。診断書や財産目録などの準備期間も含めると、動き始めてから利用開始までおおむね2〜4か月程度を見込んでおくと安心です。判断能力の確認のために医師の鑑定が行われる場合は、さらに期間と費用がかかることがあります。

  • 1. 相談: 地域包括支援センター、市区町村の相談窓口(中核機関)、社会福祉協議会などに相談する
  • 2. 診断書の取得: かかりつけ医などに家庭裁判所所定の診断書を作成してもらう
  • 3. 書類の準備: 申立書、戸籍謄本、財産目録、収支予定表、後見人候補者の情報などをそろえる
  • 4. 申立て: 本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる
  • 5. 審理: 裁判所による面接や調査が行われ、必要に応じて鑑定が実施される
  • 6. 審判・登記: 後見人等が選任され、法務局で登記されると活動が始まる

費用はいくらかかる?申立て実費と後見人報酬の目安

結論申立ての実費は、鑑定が行われなければ合計1〜2万円程度が目安です。専門職が後見人に選ばれた場合は、月額2万円前後からの基本報酬が継続的にかかります。

費用は、申立てのときに1回だけかかる実費と、後見人等に支払う継続的な報酬の2つに分けて考えると分かりやすくなります。報酬は本人の財産から支払われ、金額は家庭裁判所が決定します。

大阪家庭裁判所が公表するめやすでは、基本報酬は月額2万円で、管理財産が多いほど増額されます。親族が後見人になった場合も報酬の請求は可能です(請求しないこともできます)。医師の鑑定は家庭裁判所が必要と判断した場合のみ行われ、近年実施されるのは申立て全体の1割未満とされています。

報酬の負担が難しい場合は、市区町村の成年後見制度利用支援事業により、申立て費用や報酬の助成を受けられる場合があります。お住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターで確認してみてください。

区分項目金額の目安
申立て時(1回)申立手数料(収入印紙)800円
申立て時(1回)登記手数料(収入印紙)2,600円
申立て時(1回)郵便切手(予納郵券)3,000〜5,000円程度
申立て時(1回)診断書の作成料数千円〜1万円程度
申立て時(1回)鑑定費用(実施された場合のみ)10〜20万円程度
利用開始後(毎月)基本報酬: 管理財産1,000万円以下月額2万円
利用開始後(毎月)基本報酬: 1,000万円超〜5,000万円以下月額3〜4万円
利用開始後(毎月)基本報酬: 5,000万円超月額5〜6万円

申立て実費は家庭裁判所の案内等をもとにした概算、基本報酬は大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月)によります(いずれも2026年時点)。報酬額は裁判官が事案ごとに決定し、特別な事務があった場合は付加報酬が加わることがあります。

後見人には誰がなる?親族でもなれる?

結論後見人は、家庭裁判所が最も適任と考える人を選任します。親族のほか、司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門職が選ばれており、近年は親族以外が約8割を占めています。

最高裁判所の「成年後見関係事件の概況」によると、2024年(令和6年)の申立件数は41,841件で、選任された後見人等のうち親族は約2割、司法書士・弁護士・社会福祉士などの親族以外が約8割でした(2026年時点)。

親族を候補者として申し立てた場合には親族が選ばれることも多くありますが、管理する財産が多い場合や親族間に意見の対立がある場合などは、専門職が選ばれたり、親族後見人を専門職が確認する後見監督人が付いたりすることがあります。後見人を最終的に決めるのは家庭裁判所で、希望した人が選ばれなかったことを理由に申立てを取り下げることは原則できません。

このほか、社会福祉協議会などの法人が担う法人後見や、研修を受けた市民による市民後見人という形もあります。

成年後見人ができること・できないこと

結論成年後見人ができるのは、財産管理と、契約など法律行為による生活の支援(身上保護)です。介護行為そのものや医療行為への同意、本人の財産を家族のために使うことはできません。

後見人はあくまで法律面の支援者です。日々の介護は介護保険サービスやご家族が担い、後見人はその契約や支払いを支える、という役割分担になります。

注意したいのは、本人が住んできた自宅(居住用不動産)を売却するには家庭裁判所の許可が必要という点です。施設の入居費用にあてる目的であっても、後見人の判断だけでは売却できません。

区分主な内容
できること(財産管理)預貯金の管理・払い戻し、年金や収入の受け取り、税金や介護費用の支払い、不動産の管理、遺産分割協議への参加など
できること(身上保護)介護サービスの契約、老人ホームへの入居契約、入院の手続き、要介護認定の申請、不利益な契約の取消しなど
できないこと食事や排せつの介助など介護行為そのもの、手術など医療行為への同意、婚姻・離婚・養子縁組・遺言の代理、本人の財産を家族のために使うこと、身元保証人・連帯保証人になること

一般的な整理(2026年時点)。個別の可否は家庭裁判所や司法書士・弁護士などの専門職にご確認ください。

メリットと注意点|始める前に知っておきたいこと

結論本人の財産と権利を法的に守れる一方、法定後見は原則として本人が亡くなるまで続き、専門職後見人の場合は報酬の負担も続きます。目的をはっきりさせてから利用を検討することが大切です。

特に知っておきたいのは、法定後見は本人の判断能力が回復しない限り、原則として亡くなるまで続くという点です。「遺産分割のためだけ」「不動産売却のためだけ」といった一時的な目的で始めても、目的を果たした後にやめることはできず、専門職後見人の場合は報酬の負担もその後ずっと続きます。

一方で、判断能力が不十分なまま何の備えもないと、預貯金が動かせない、不利益な契約を取り消せないなど、本人が困る場面が増えていきます。いつ、何のために必要かをはっきりさせてから検討するのが後悔しないコツです。なお、国ではより利用しやすい制度に向けた見直しの議論も続けられています(2026年時点)。

  • メリット: 本人の預貯金を介護費用などに適切に使える体制が整う
  • メリット: 施設入居や介護サービスの契約を法的に有効に行える
  • メリット: 悪質商法などによる不利益な契約を取り消せる(類型・内容による)
  • 注意点: 原則として途中でやめられず、報酬の負担が続く
  • 注意点: 財産は本人のためにしか使えず、生前贈与などは原則できなくなる
  • 注意点: 家庭裁判所への定期的な報告義務があり、誰が後見人になるかは裁判所が決める

介護・施設入居で成年後見制度が必要になる場面

結論老人ホームへの入居契約や、入居費用にあてる預貯金の解約・自宅の売却など、本人に代わる契約やお金の手続きが必要な場面で成年後見制度が使われます。

特別養護老人ホーム(特養)やグループホーム(認知症対応型共同生活介護)、介護付き有料老人ホームなどに入る際は、入居契約を結ぶことになります。契約を結べるのは本人か、法律上の代理権を持つ人だけのため、本人の判断能力が不十分でご家族にも代理権がない場合、施設から成年後見制度の利用を求められることがあります。

また、金融機関が本人の判断能力の低下を把握すると、ご家族でも預貯金の引き出しや定期預金の解約が難しくなるのが一般的です。入居一時金や毎月の費用を本人の財産から支払うために、後見人が必要になるケースは少なくありません。施設ごとの費用の考え方は「老人ホームの費用」の記事で詳しく解説しています。

相談現場では、入居申込みを進める段階になって「本人の定期預金が解約できない」「契約書に誰が署名するかで止まってしまった」と気づき、慌てて申立てを始めるご家族が少なくありません。申立てから利用開始まで2〜4か月程度かかるため、施設探しと並行して早めに準備を始めるのがおすすめです。制度の準備が必要になりそうかどうかも含めて、相談員が無料でお調べしますので、お気軽にご相談ください。

なお、要介護認定の申請は、ご家族や地域包括支援センターなどが代行できるため、後見人がいなくても進められます。認定の仕組みは「要介護認定の区分早わかり表」の記事が参考になります。

日常生活自立支援事業との違い|より軽い支援もある

結論日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会(社協)が日常的なお金の管理や福祉サービスの利用手続きを手伝う制度です。契約内容を理解できる判断能力が残っている方が対象で、成年後見制度より軽い支援といえます。

「通帳の管理や毎月の支払いだけが不安」という段階であれば、成年後見制度の前に日常生活自立支援事業を検討する余地があります。窓口はお住まいの市区町村の社会福祉協議会で、利用料は訪問1回あたり1,200円前後が平均的な目安とされています(厚生労働省資料・2026年時点)。

両者の大きな分かれ目は、本人が契約内容を理解できる判断能力が残っているかどうかです。日常生活自立支援事業は本人との契約に基づくサービスのため、判断能力が大きく低下すると続けられず、成年後見制度への移行を検討することになります。どちらが合うか迷うときは、地域包括支援センターや社協の窓口に相談してみてください。施設選びとあわせた段取りは、介護の窓口の相談員が無料でお手伝いします。

項目日常生活自立支援事業成年後見制度
実施・関与社会福祉協議会(社協)家庭裁判所
対象契約内容を理解できる判断能力がある方判断能力が不十分な方(類型による)
支援の内容福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、書類の預かり財産管理全般と契約などの法律行為(施設入居契約・不動産の処分など)
費用訪問1回あたり1,200円前後が平均的な目安申立て実費に加え、後見人報酬(月額2万円前後〜)
やめたいとき本人の意思でいつでも終了できる原則として本人が亡くなるまで続く

厚生労働省資料等をもとにした一般的な整理(2026年時点)。利用料は地域により異なり、生活保護世帯は無料とされるのが一般的です。

このテーマの詳しいガイド

よくある質問

成年後見制度は途中でやめられますか?

法定後見は、本人の判断能力が回復したと認められる場合などを除き、原則として本人が亡くなるまで続きます。不動産の売却や遺産分割など当初の目的を果たした後もやめることはできず、後見人への報酬も続きます。始める前に、目的と長期的な費用を確認しておくことが大切です。

親族でも成年後見人になれますか?

なれます。申立ての際に親族を候補者として記載でき、適任と判断されれば選ばれます。ただし、財産が多い場合や親族間で意見が分かれている場合などは、専門職が選ばれたり後見監督人が付いたりすることがあります。最終的に誰を選ぶかは家庭裁判所が決定します。

後見人への報酬は誰が支払いますか?

本人の財産の中から支払います。金額は家庭裁判所が決定し、大阪家庭裁判所が公表するめやすでは基本報酬が月額2万円(管理財産が多い場合は増額)とされています(2026年時点)。本人の財産で支払いが難しい場合は、市区町村の成年後見制度利用支援事業による助成を確認してみてください。

認知症と診断されたら、必ず成年後見制度を使わないといけませんか?

義務ではありません。契約や預貯金の手続きなどで具体的に困る場面が出てきたときに検討する制度です。通帳の管理や支払いの不安だけであれば、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業など、より軽い支援で対応できる場合もあります。

申立てから利用開始までどのくらいかかりますか?

最高裁判所の統計では、申立てから審判までは2か月以内に終わるケースが多いとされています(2026年時点)。診断書や財産目録など書類の準備期間も含めると、全体で2〜4か月程度が目安です。施設入居などの予定がある場合は、早めに準備を始めると安心です。

成年後見人は老人ホームの身元保証人になれますか?

原則としてなれません。身元保証人や連帯保証人になることは後見人の職務の範囲外です。ただし、入居契約の締結や費用の支払い、緊急時の連絡先としての対応など、実務上は身元保証人に近い役割の一部を担えるため、後見人が付いていることを踏まえて受け入れる施設も多くあります。

参考(一次情報)

  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(令和6年1月〜12月)」
  • 大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月)
  • 厚生労働省 成年後見制度利用促進ポータルサイト「成年後見はやわかり」
  • 厚生労働省「日常生活自立支援事業」

記事を読んでも迷ったら、相談できます

ご家族の状況に当てはめてどうなのかは、相談員が一緒に整理します。無料です。

無料相談はこちら

関連する施設を探す

あわせて読みたい

📍 近くで探す無料で相談