最終更新: 2026-07-04
老老介護とは
老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の家族を介護する状態です。厚生労働省の最新調査では在宅介護の63.5%が老老介護。増えている背景、共倒れや認認介護のリスク、限界サインのチェックリスト、夫婦で入居できる施設まで、はじめての方にやさしく解説します。
この記事の要点
- 老老介護とは、65歳以上の人が65歳以上の家族を介護している状態で、ともに75歳以上の場合は超老老介護と呼ばれます
- 2022(令和4)年の国民生活基礎調査では、在宅介護の63.5%が老老介護で過去最高でした(2026年時点で公表されている最新の全国調査)
- 最大のリスクは共倒れです。介護者の体調悪化、双方に認知症がある認認介護、閉じこもり、虐待にも注意が必要です
- ショートステイ(短期入所生活介護)の定期利用や、地域包括支援センターへの家族の連絡先登録など、外部の力を早めに借りることが共倒れ予防の基本です
- 夫婦で入居できる二人部屋のある施設や、要介護の方だけが入居する方法もあり、片方だけの入居も2人の生活を守る前向きな選択です
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老老介護とは?どこからが老老介護?
結論老老介護とは、65歳以上の高齢者が、同じく65歳以上の家族などを介護している状態のことです。高齢の夫婦間だけでなく、親子やきょうだい同士の介護も含まれます。
老老介護は法律で定められた言葉ではありませんが、国の統計や介護の現場で広く使われている呼び方です。典型的なのは高齢の妻が夫を介護する(またはその逆の)ケースですが、90歳代の親を70歳代の子が介護する親子のケースや、高齢のきょうだい・親族同士のケースも老老介護にあたります。
さらに、介護する側とされる側がともに75歳以上の場合は超老老介護と呼ばれ、体力面・健康面の負担がいっそう大きくなりやすい状態です。
老老介護そのものが、ただちに問題というわけではありません。ただ、介護する方も年齢とともに体力や判断力が変化するため、気づかないうちに無理が積み重なりやすい点が特徴です。
老老介護はどのくらいある?最新データで見る割合
結論厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査では、在宅の要介護者と同居の主な介護者の63.5%が65歳以上同士の老老介護でした。2026年時点で公表されている最新の全国調査です。
この調査では、在宅の要介護者等と同居の主な介護者の年齢の組み合わせが公表されています。ともに65歳以上の割合は63.5%で、在宅介護のおよそ3件に2件が老老介護という規模です。前回2019年調査の59.7%から3.8ポイント上昇し、初めて6割を超えて過去最高を更新しました。
ともに75歳以上のいわゆる超老老介護も35.7%と、3件に1件を上回っています。65歳以上同士の割合は2001年調査では40.6%でしたから、約20年で20ポイント以上増え、老老介護は在宅介護の多数派になっています。
| 年齢の組み合わせ | 割合(2022年) | 呼ばれ方 |
|---|---|---|
| 60歳以上同士 | 77.1% | - |
| 65歳以上同士 | 63.5% | 老老介護 |
| 75歳以上同士 | 35.7% | 超老老介護 |
出典: 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」。在宅の要介護者等と同居の主な介護者の年齢の組み合わせの割合です。介護の詳しい調査は3年ごとに行われ、2026年時点ではこの2022年調査が公表されている最新データです。
なぜ老老介護が増えているのですか?
結論寿命が延びて介護を必要とする期間が長くなった一方、高齢の夫婦だけ・一人暮らしの世帯が増えたことが主な背景です。子ども世代と同居して介護を受ける形は少数派になっています。
日本人の平均寿命は延び続けていますが、介護を受けずに日常生活を送れる期間である健康寿命との間には、男性で約8年、女性で約12年程度の差があるとされています(内閣府「高齢社会白書」より)。長生きできるようになった分だけ、人生の後半に介護を必要とする期間が生まれやすくなりました。
一方で、家族の形も変わりました。2022(令和4)年の国民生活基礎調査では、65歳以上の人がいる世帯のうち夫婦のみの世帯と一人暮らしの世帯がそれぞれ約3割を占め、三世代で同居する世帯は1割を下回っています。家の中にいる高齢の配偶者が介護を担う構図が、自然に生まれやすくなっているのです。
老老介護が増えている背景を整理すると、次のとおりです。
- 平均寿命と健康寿命の差(介護が必要になりやすい期間)が男性約8年・女性約12年程度ある
- 高齢の夫婦のみ世帯・一人暮らし世帯が増え、三世代同居が減った
- 子ども世代が遠方に住んでいたり、仕事や自身の家庭の事情で介護を担いにくくなった
- 介護保険サービスの普及で、在宅のまま介護を続けやすくなった
老老介護のリスクは?共倒れ・認認介護など5つの注意点
結論最大のリスクは、介護者が倒れることで2人の生活が同時に立ちゆかなくなる共倒れです。介護者の体調悪化や認認介護、閉じこもり、虐待にも注意が必要です。
老老介護でいちばん避けたいのは、介護している方自身が体調を崩して共倒れになることです。高齢の介護者は腰痛や持病を抱えたまま介助を続けていることが多く、介護者の入院をきっかけに、要介護のご本人の在宅生活も一気に立ちゆかなくなるケースが少なくありません。
家庭内の虐待も、特別な家庭だけの問題ではありません。厚生労働省の令和5年度調査では、家庭内で虐待をした人の続柄は息子(38.7%)が最も多く、夫(22.8%)が続きます。背景には介護疲れや孤立があると指摘されており、まじめに抱え込む人ほど追い詰められやすいことがうかがえます。在宅介護の負担の重さを示すサインとして知っておきたいデータです。
| リスク | どのような状態か | 注意したいポイント |
|---|---|---|
| 共倒れ | 介護者が倒れ、2人とも生活が立ちゆかなくなる | 介護者の腰痛・持病の悪化・転倒がきっかけになりやすい |
| 介護者の体調悪化・介護うつ | 疲労や睡眠不足が積み重なり、心身の不調が続く | 本人は不調を自覚しにくく、受診が遅れやすい |
| 認認介護 | 介護する側とされる側の双方に認知症がある | 服薬・食事・金銭・火の管理が難しくなり、事故につながりやすい |
| 閉じこもり・孤立 | 外出や近所づき合いが減り、家庭の異変に気づかれにくい | 支援が届かないまま状況が悪化しやすい |
| 虐待・介護放棄 | 疲労と孤立が重なり、つい強く当たってしまう | 介護疲れが背景にあることが多く、誰にでも起こり得る |
リスクの分類は相談現場でよく見られるケースをもとにした一般的な整理です。虐待の続柄の数値は厚生労働省「令和5年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」によります(2026年時点)。
在宅の限界が近いサインは?老老介護のチェックリスト
結論介護者の体の痛みや慢性的な睡眠不足、食事や家事の滞りは、在宅介護の限界が近づいているサインです。次のチェックリストで確認してみてください。
限界のサインは、介護されるご本人よりも先に、介護している方の心と体に現れることが一般的です。3つ以上当てはまる場合は、支援体制を見直すタイミングが来ていると考えるのが目安です。
離れて暮らすご家族は、帰省したときに冷蔵庫の中身や郵便物のたまり具合、体重や表情の変化など、生活の細部を見ると気づきやすくなります。電話では「大丈夫」と答えていても、実際は限界に近いことがあります。
- 介護者が腰痛・関節痛などの痛みを我慢しながら介助している
- 介護者が自分の通院や持病の治療を後回しにしている
- 夜間の介助やトイレの付き添いで慢性的な睡眠不足になっている
- 食事が簡素になり、2人とも体重が減ってきた
- 家の中が片付かなくなり、郵便物や書類がたまっている
- 薬の飲み忘れや二重服用が増えた
- 転倒やボヤなど、ヒヤリとする場面が増えた
- 外出や近所づき合いがほとんどなくなった
- 介護者がつい強い口調で当たってしまい、自己嫌悪に陥ることが増えた
- 介護者が「眠れない」「自分がいなくなれば」などの弱音を口にするようになった
共倒れを防ぐには?今日からできる5つの対策
結論介護保険サービスをためらわずに使い、介護者がまとまって休める時間を計画的につくることが基本です。地域包括支援センターへの相談と、離れて暮らす家族の連絡先登録も有効です。
老老介護のご夫婦には、「人の世話にはなりたくない」「自分ができるうちは自分でやる」と考える方が少なくありません。その気持ちは自然なものですが、介護者が意識して休むことは手抜きではなく、介護を長く続けるために欠かせないケアです。外部の力を借りることを、2人の生活を守る手段と考えてみてください。
まだ介護保険を申請していない場合は、市区町村の窓口か地域包括支援センターで要介護認定の申請から始めましょう。すでにサービスを利用している場合も、ケアマネジャーに「介護する側の負担が限界に近い」と率直に伝えることで、ショートステイ(短期入所生活介護)の追加などプラン全体を見直してもらえます。お近くのショートステイの空き状況などは、介護の窓口の相談員が無料でお調べします。
| 対策 | 内容 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 介護保険サービスを十分に使う | デイサービス(通所介護)や訪問介護で日々の負担を減らす | ケアマネジャー |
| ショートステイ(短期入所生活介護)の定期利用 | 月に数日、施設に宿泊してもらい、介護者が休む時間を確保する | ケアマネジャー |
| 地域包括支援センターへの家族登録 | 離れて暮らす子どもの連絡先を伝えておき、異変があれば連絡してもらう | 地域包括支援センター |
| 見守り・緊急通報サービスの導入 | 自治体の緊急通報システムや民間の見守り機器を設置する | 市区町村の高齢者福祉窓口 |
| 家族・親族での役割分担 | 金銭管理や通院の付き添いなど、部分的にでも分担を決める | 家族での話し合い・ケアマネジャー |
介護保険サービスの自己負担は、所得に応じて費用の1〜3割が目安です(2026年時点)。要介護度ごとの支給限度額の範囲内で、ケアマネジャーが組み合わせを提案します。
認認介護になってしまったら?
結論認認介護とは、介護する側とされる側の双方に認知症がある状態です。ご家族だけで安全を保つことは難しいため、気づいた時点で地域包括支援センターへ相談することが最優先です。
認認介護では、薬の飲み忘れや二重服用、食事をとったこと自体を忘れる、火の消し忘れ、預金や支払いの管理ができないなど、生活の安全に直結する問題が起こりやすくなります。ご本人たちには困っている自覚がないことも多く、周囲が気づいたときには生活がかなり混乱していたというケースも見られます。
認認介護がどのくらいあるかを示す全国的な公的統計はまだありませんが、高齢化と認知症の人の増加にともなって、今後も増えるとみられています。認認介護に気づいたら、家族だけで抱え込まず、その時点で外部の支援につなぐことが最優先です。対応の基本は次のとおりです。
- 地域包括支援センターに連絡し、生活状況を見てもらう(ご本人の同意が得られなくても、家族や近隣の方が相談できます)
- かかりつけ医やもの忘れ外来を受診し、診断と治療・進行予防につなげる
- 要介護認定を申請し、訪問介護やデイサービス(通所介護)で毎日の見守りを確保する
- 金銭管理は、日常生活自立支援事業や成年後見制度の利用を検討する
- 火の管理が心配な場合は、IH調理器や自動消火装置への切り替えを検討する
- 在宅の継続が難しければ、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)など認知症ケアに慣れた施設への入居を検討する
施設という選択肢|夫婦で入居する・片方だけ入居する
結論在宅の継続が難しくなったら、施設への住み替えは共倒れを防ぐ現実的な選択肢です。夫婦で一緒に暮らせる二人部屋のある施設もあれば、要介護の方だけが入居する方法もあります。
夫婦での入居を考える場合、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームには、二人で入居できる居室を持つところが比較的多くあります。ケアハウス(軽費老人ホーム)にも夫婦で入れるタイプがあります。お二人の要介護度が違っても、介護サービスを個別に組み合わせられるタイプの住まいであれば対応しやすいのが特徴です。
一方で、介護が必要な方だけが施設に入居し、もう一方は自宅で暮らしながら面会に通う形もよく選ばれています。要介護度が高い場合は特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、認知症が進んでいる場合はグループホーム(認知症対応型共同生活介護)が候補になります。介護の負担から離れられた分、面会のときは夫婦として穏やかな時間を過ごせるようになったという声も多く聞かれます。
相談現場では、「最後まで自分が看てあげられなかった」と施設入居に罪悪感を抱くご高齢の配偶者の方に数多くお会いします。しかし、共倒れになってしまうと、2人の生活は同時に崩れてしまいます。片方だけの入居も、2人の生活と関係を守るための前向きな選択です。介護はプロに任せて、ご自身は配偶者として寄り添う役割に戻ることは、決して見捨てることではありません。
夫婦で入居できる二人部屋のある施設や、ご予算・介護度に合う施設の空き状況は、介護の窓口の相談員が無料でお調べします。参考までに、夫婦入居のしやすさの目安を施設種別ごとにまとめました。
| 施設種別 | 夫婦での入居 | 特徴 |
|---|---|---|
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 二人入居できる居室が比較的多い | 自立〜要介護まで幅広く、外部の介護サービスを利用する |
| 住宅型有料老人ホーム | 二人部屋のある施設がある | 要介護度が違う夫婦でも暮らしやすい |
| 介護付有料老人ホーム | 二人部屋は一部の施設に限られる | 介護職員が常駐し、介護が重くなっても住み続けやすい |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 夫婦で入居できるタイプがある | 比較的低料金で、所得に応じた負担で暮らせる |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 同じ居室での夫婦入居は原則難しい | 原則要介護3以上。費用を抑えやすく、同じ施設に別々に入居できた例もある |
2026年時点の一般的な傾向です。二人部屋の有無や空き状況、費用は施設ごとに大きく異なるため、個別の確認が必要です。
よくある質問
老老介護とは何歳からを指しますか?
介護する人と介護される人がともに65歳以上の場合を老老介護と呼ぶのが一般的です。ともに75歳以上の場合は超老老介護と呼ばれます。法律上の定義ではなく、統計や介護の現場で使われている呼び方です。
老老介護の割合はどのくらいですか?
厚生労働省の2022(令和4)年国民生活基礎調査では、在宅の要介護者と同居の主な介護者がともに65歳以上の割合は63.5%で、過去最高でした。ともに75歳以上の組み合わせも35.7%にのぼります。2026年時点で公表されている最新の全国調査の数値です。
認認介護とはどんな状態ですか?
介護する側とされる側の両方に認知症がある状態を指します。服薬や食事、金銭、火の管理が難しくなり、生活の安全に直結するため、家族だけで抱え込まないことが大切です。気づいた時点で地域包括支援センターに相談することが目安です。
老老介護の共倒れを防ぐには、まず何をすればいいですか?
地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請とケアマネジャーによるケアプラン作成につなげることが第一歩です。デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所生活介護)で介護者が休める時間を確保し、離れて暮らす家族の連絡先を地域包括支援センターに登録しておくと安心です。
夫婦で一緒に入居できる老人ホームはありますか?
あります。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホーム、ケアハウス(軽費老人ホーム)には、二人で入居できる居室を持つ施設があります。要介護度が違うご夫婦でも入居できる場合が多いため、二人部屋の有無を条件にして探すのがおすすめです。
配偶者を施設に入れるのはかわいそうでしょうか?
罪悪感を抱く方は多いですが、共倒れを防ぎ、専門職の安定したケアを受けられることは、ご本人にとっても利点の大きい選択です。介護の負担を手放した分、面会では配偶者として穏やかに向き合えるようになったという声も多く聞かれます。ご自身を責める必要はありません。
参考(一次情報)
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