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最終更新: 2026-07-20

家族介護慰労金とは?年10万円前後もらえる条件と申請できる市区町村

家族介護慰労金とは、要介護4〜5程度の高齢者を介護保険サービスをほとんど使わず在宅で1年以上介護してきた家族に、市区町村が任意事業として年額10万円前後を支給する制度です。実施の有無や支給条件、金額は自治体により異なります。

この記事の要点

  • 家族介護慰労金は市区町村の任意事業で、支給額の相場は年額10万円前後です。全国に約1,700ある市区町村のうち実施していない自治体も少なくありません
  • 代表的な支給条件は、要介護4〜5程度の認定を受けた人を介護保険サービスをほとんど使わずに1年以上在宅で介護していること、住民税非課税世帯であることなどです
  • 申請は月ごとではなく、対象となる1年間分をまとめて年度末(1〜3月頃)までに行う市区町村が多く見られます
  • 支給を受けるにはサービスをほとんど利用しないことが前提のため、要介護4・5で月30万円前後まで使える介護保険サービスを利用する方が、総合的な負担軽減になるケースも多くあります

家族介護慰労金とは、どのような制度ですか?

結論家族介護慰労金とは、要介護4〜5程度の高齢者を介護保険サービスをほとんど使わずに1年以上在宅で介護してきた家族に、市区町村が独自に年額10万円前後を支給する任意の制度です。

家族の介護を続けていると、「介護保険をほとんど使わずにこれだけ頑張っているのに、何か支援はないのだろうか」と感じる場面があります。家族介護慰労金は、そうした在宅介護の労をねぎらう目的で、多くの市区町村が独自に設けている現金給付の制度です。

この制度は、2000年に介護保険制度が創設された際の激変緩和措置のひとつとして広がった経緯があります。介護保険サービスの基盤整備がまだ十分でなかった地域もあったことなどを背景に、サービスをほとんど利用せず在宅で重度の要介護者を介護し続ける家族を、金銭面から支える仕組みとして導入が進みました。

介護保険法にもとづく保険給付(要介護認定を受けた人がサービス費用の給付を受ける仕組み)とは別に、市区町村が地域支援事業や独自の高齢者福祉施策として実施しているのが実態です。そのため、実施の有無や支給条件、金額は全国一律ではなく、市区町村ごとに大きく異なります。

この記事では、家族介護慰労金がなぜ自治体によって実施状況が異なるのか、代表的な支給条件、支給額の相場、申請の時期や窓口、そして介護保険サービスを利用する場合との比較まで、はじめて調べる方にも分かるように整理します。

家族介護慰労金は、なぜ実施していない市区町村があるのですか?

結論家族介護慰労金は、法律で実施が義務づけられた制度ではなく市区町村独自の任意事業であるため、全国に約1,700ある市区町村のうち実施していない自治体も少なくありません。介護保険サービスの充実を理由に廃止した市区町村もあります。

家族介護慰労金は、介護保険法にもとづく地域支援事業のうち、市区町村の裁量に委ねられる任意事業(家族介護支援事業の一つ)として位置づけられることが多い制度です。「任意」という言葉のとおり、実施するかどうか、対象条件や金額をどう設定するかは、それぞれの市区町村の判断に委ねられています。

実際に、介護保険サービスの充実・強化が進み「介護は社会全体で支える」という考え方が広がったことなどを理由として、家族介護慰労金の支給を取りやめた市区町村もあります。財源も市区町村の一般財源等でまかなうことが多いため、対象者数や財政状況によって制度の継続が難しくなる場合があります。

一方で、静岡市や東京都世田谷区、大阪府守口市など、現在も制度を実施している市区町村は多くあります。同じ都道府県内でも実施状況が異なることがあるため、以前に調べた情報のまま判断せず、最新の状況を確認することが欠かせません。

家族介護慰労金を受け取るための代表的な支給条件は何ですか?

結論家族介護慰労金を受け取るための代表的な支給条件は、要介護4〜5程度の認定を受けた人を介護保険サービスをほとんど使わずに1年以上在宅で介護していること、住民税非課税世帯であることなどです。

支給条件は市区町村ごとに異なりますが、在宅で要介護4・5程度の高齢者を介護していることを前提に、多くの要綱に共通して見られる代表的な条件を整理すると、次のとおりです。

条件の項目代表的な内容
要介護度要介護4または5程度の認定を受けていること(自治体により要介護2・3から対象とする例もあります)
介護保険サービスの利用状況対象となる1年間、訪問介護やショートステイなどの介護保険サービスをほとんど利用していないこと
世帯の課税状況住民税非課税世帯であること(生活保護世帯を対象に含める市区町村もあります)
居住・入院の要件同一市区町村に住民登録し在宅で介護していること、長期間の入院(90日以上など)をしていないこと

上表は複数市区町村の家族介護慰労金支給要綱に共通して見られる代表的な条件を整理したものです(出典: 各市区町村が公表する支給要綱、2026年7月時点で確認できた内容)。要綱の改定時期は自治体により異なるため、最新の条件は必ず窓口でご確認ください。なお、同居していなくても近隣に住み日常的に介護していれば対象に含める市区町村や、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上が対象)・介護老人保健施設(老健、要介護1以上が対象)などの施設に入所している間は対象から外れるとする市区町村など、要綱の細部にも違いがあります。

支給額の相場はどのくらいですか?

結論支給額の相場は年額10万円前後で、静岡市や世田谷区のように年10万円と定める例が多く見られますが、自治体により金額や上限は異なります。

家族介護慰労金の金額は、要綱で対象者1人につき年額◯万円という形で定められているのが一般的です。要介護4・5程度の認定を受け、住民税非課税世帯であるなど支給条件を満たしていることを前提に、公表資料をもとにいくつかの例を整理すると、次のとおりです。

区分支給額(年額)の目安
全国的な相場10万円前後(自治体により10万〜12万円程度とする例もあります)
静岡市の例要介護高齢者等1人につき年額10万円
世田谷区の例対象となる家族に年額10万円
実施を見直した自治体の例介護保険サービスの充実などを理由に事業を廃止・縮小した市区町村もあります

出典: 静岡市・世田谷区の公表資料(2026年7月時点で確認した内容)にもとづく一例です。各市区町村の要綱の制定・改定時期は異なり、金額や対象条件は年度により見直される場合があります。月額に換算すると8,000円程度で、紙おむつ代や訪問介護の利用料の一部にあてる家庭もありますが、1年間サービスをほとんど使わずに介護を続けてきた労力に対して、金額として十分とは言えないと感じる方も少なくありません。最新の金額は必ず各市区町村の窓口でご確認ください。

家族介護慰労金は、いつ・どこに申請すればよいですか?

結論家族介護慰労金は、多くの市区町村で対象となる1年間分をまとめて年度末(1〜3月頃)までに申請する仕組みになっており、窓口は市区町村の介護保険担当課です。

家族介護慰労金は、月ごとや随時ではなく、1年間の実績をまとめて年度末までに申請する市区町村が多く見られます。たとえば静岡市では、毎年度1月末までに申請書を提出する必要があるとされています。対象となる1年間の起算日や申請期限は市区町村により異なります。

窓口になるのは、お住まいの市区町村の介護保険担当課や高齢福祉担当課が中心です。要介護認定やケアプランについて相談しているケアマネジャーや、地域包括支援センターに聞くと案内してもらえることもあります。

注意したいのは、多くの制度が「申請しないと支給されない仕組み(申請主義)」になっている点です。条件を満たしていても、申請を忘れると受け取れないまま1年が過ぎてしまうことがあります。要件を満たしていることが分かったあとの、一般的な申請の流れを整理すると、次のとおりです。

  • ① 確認: お住まいの市区町村に家族介護慰労金の制度があるか、対象条件を窓口やホームページで確認する
  • ② 実績の整理: 対象となる1年間の要介護度・サービス利用状況(利用がなかったこと)・入院日数などを確認する
  • ③ 申請: 介護保険担当課などの窓口へ、申請書と必要書類を年度末までの期限内に提出する
  • ④ 審査・支給: 市区町村が要件を満たしているか審査し、決定後に指定口座へ振り込まれる

申請に必要な書類には、どのようなものがありますか?

結論申請に必要な書類は、申請書のほか介護保険被保険者証の写しや課税状況が分かる書類など4〜5点程度を求められるのが一般的です。

必要書類は市区町村ごとに様式や名称が異なりますが、多くの要綱で共通して求められる書類を整理すると、次のとおりです。

  • 支給申請書(市区町村所定の様式)
  • 介護保険被保険者証の写し
  • 住民税の課税(非課税)状況が分かる書類
  • 介護保険サービスの利用状況(給付実績)が分かる書類
  • 入院の有無を確認できる書類(長期入院の要件がある市区町村の場合)

書類の中には、市区町村側ですでに把握している情報(介護保険の給付実績や課税状況など)を省略できる場合もあります。何が必要かは、事前に窓口へ問い合わせて確認しておくとスムーズです。

家族介護慰労金と介護保険サービスの利用は、どちらを選ぶべきですか?

結論家族介護慰労金と介護保険サービスの利用は、年10万円前後の慰労金よりも、要介護4・5で月30万円前後まで使えるサービスを選ぶ方が、総合的な負担軽減につながるケースも多いという関係にあります。慰労金はサービスをほとんど利用しないことが前提です。

家族介護慰労金は魅力的に見えますが、そもそも支給を受けるには介護保険サービスをほとんど利用しないことが条件になります。そのため、慰労金を受け取ることと、介護保険サービスを使うことは、基本的にどちらか一方を選ぶ関係になりやすい点に注意が必要です。

要介護4・5の区分支給限度基準額は、月額の目安でそれぞれ約30.9万円・約36.2万円(1単位10円で概算)にのぼり、自己負担は所得に応じて1〜3割です。この限度額の範囲内でショートステイや訪問介護を組み合わせて使った場合、自己負担が仮に月2万〜3万円程度になったとしても、家族が介護から離れられる時間や、緊急時に頼れる先が生まれるメリットは小さくありません。さらに1ヶ月の自己負担には高額介護サービス費(一般的な所得の世帯で月44,400円が上限)もあるため、負担が際限なく増え続けるわけではありません。

介護の窓口の相談現場では、慰労金の申請を検討する前にケアマネジャーへ相談し、ショートステイや訪問介護を組み合わせたケアプランに切り替えたことで、家族の負担が軽くなったという声も聞かれます。年額10万円前後の慰労金と、サービスを利用することで得られる負担軽減の両方を並べて考えてみることをおすすめします。

在宅で要介護4・5程度の家族を介護しており、慰労金の申請と介護保険サービスの利用のどちらを選ぶか迷っている状況を前提に比較すると、次のとおりです。

比較の視点家族介護慰労金を選ぶ場合介護保険サービスを利用する場合
年間に受け取れる金銭面年10万円前後(市区町村が定める上限額)を受け取れる現金は受け取れないが、費用の1〜3割負担でサービスを利用できる
家族の身体的・精神的負担在宅介護を続けるため負担そのものは軽くなりにくい訪問介護やショートステイで介護から離れる時間をつくれる
急な体調変化への備え在宅対応が基本のため対応に限界が生じやすいショートステイなどを組み合わせて備えやすい
要介護度が変わった場合要介護度や非課税要件から外れると対象外になることがある区分支給限度基準額の範囲内でサービス量を調整できる

前提として、家族介護慰労金は介護保険サービスをほとんど利用していないことが支給条件となるため、慰労金の受給とサービスの利用の多くは同時に成り立ちません。区分支給限度基準額や自己負担割合は介護保険制度にもとづく基準で、直近は令和6(2024)年度に改定されています。本記事の内容は2026年7月時点の制度にもとづきます。金額や条件は自治体・利用するサービス内容により異なります。

自分の市区町村で実施しているかは、どこで確認できますか?

結論自分の市区町村で実施しているかは、市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターへの問い合わせで確認でき、全国約1,700の市区町村のうち実施の有無や条件は自治体ごとに異なります。

家族介護慰労金は、市区町村のホームページで「家族介護慰労金」「介護慰労金」などのキーワードで検索するほか、多くの市区町村が発行している「高齢者福祉のしおり」「介護保険のしおり」といった冊子にも掲載されています。すでにケアマネジャーが付いている方は、ケアプランの相談のついでに聞いてみるのも一つの方法です。

実施していない市区町村や、条件が合わず対象にならない場合でも、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、高額介護サービス費や紙おむつの助成など、ほかに使える負担軽減策を案内してもらえることがあります。在宅介護の負担そのものが大きくなってきた場合は、特別養護老人ホーム(特養)への入所や、介護付き有料老人ホーム(介護付、特定施設入居者生活介護の指定を受けた民間施設で入居条件は施設ごとに異なります)への住み替えを含めて検討することも一つの方法です。慰労金だけにこだわらず、使える制度や選択肢を広い視野で確認することが、家族の負担を軽くする近道になります。

大阪府・兵庫県・京都府・奈良県にお住まいで、在宅介護の負担や使える制度について迷われている場合は、介護の窓口(関西4府県対応)の無料相談で、家族介護慰労金以外に使える支援策も含めて一緒に整理することができます。対象エリア外にお住まいの方は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターが同様の相談窓口になります。

よくある質問

一言でいうと、家族介護慰労金とは何ですか?

一言でいうと、家族介護慰労金とは、要介護4〜5程度の高齢者を介護保険サービスをほとんど使わずに在宅で介護してきた家族に、市区町村が独自に年額10万円前後を支給する任意の制度です。実施していない市区町村も多くあります。

介護保険サービスを少しでも使うと対象外になりますか?

介護保険サービスを少しでも使うと対象外になるかどうかは、市区町村の要綱によって判断が異なります。多くの自治体は「ほとんど利用していないこと」を条件としており、ごく短期間・少額の利用は例外的に認められる場合もありますが、詳しい基準は窓口での確認が必要です。

要支援の認定でも家族介護慰労金の対象になりますか?

要支援の認定は、多くの市区町村で家族介護慰労金の対象外です。対象は要介護4・5など重い要介護度とする市区町村が一般的ですが、対象となる要介護度の範囲は自治体により異なります。

支給を受けた翌年度から介護保険サービスを使い始めても大丈夫ですか?

支給を受けた翌年度から介護保険サービスを使い始めること自体は可能です。ただし慰労金は、申請対象となる1年間にサービスをほとんど利用していないことが条件のため、サービスを使い始めた年度は対象外になるのが一般的です。

施設に入所している家族は家族介護慰労金の対象になりますか?

施設に入所している家族は、在宅介護が前提の家族介護慰労金の対象から外れるのが一般的です。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などに入所した時点で、要件を満たさなくなる市区町村がほとんどです。

自分の市区町村で実施しているか分からないときはどうすればいいですか?

自分の市区町村で実施しているか分からないときは、介護保険担当課や地域包括支援センターに問い合わせるか、担当のケアマネジャーに相談すると確認できます。全国約1,700の市区町村のうち実施状況は異なるため、まず確認することが大切です。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「地域支援事業の実施について」(家族介護支援事業)
  • 静岡市「静岡市家族介護慰労金支給事業実施要綱」
  • 東京都世田谷区「家族介護慰労金の支給」公表資料
  • 大阪府守口市「家族介護慰労金」公表資料
  • 全国市長会 介護保険制度に関する調査結果

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