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最終更新: 2026-07-06

老人ホームの費用

老人ホームの費用の全体像をやさしく解説。入居一時金・月額費用の内訳、9種類別の費用目安一覧、月額に含まれない実費、高額介護サービス費など負担軽減制度の総覧、予算の決め方まで整理します。

この記事の要点

  • 老人ホームの費用は「初期費用・月額費用・介護保険の自己負担・その他の実費」の4つのブロックで考えると全体像がつかめる
  • 広告の「月額○万円」には介護保険の自己負担や医療費・おむつ代が含まれないことが多く、実際の支払いは月額表示より数万円多くなるのが一般的
  • 月額の目安は特養などの公的施設で約6〜17万円、有料老人ホームなどの民間施設で約10〜30万円。初期費用は0円〜数千万円まで幅がある
  • 高額介護サービス費や補足給付など負担を軽くする制度は多くが申請制。対象になるかを入居前に確認しておく
  • 予算は年金などの収入と取り崩せる資産からの逆算で先に決め、無理なく続けられる月額の範囲で施設を探す

老人ホームの費用とは?4つのブロックで全体像をつかみましょう

結論老人ホームの費用とは、入居時に一度だけ支払う初期費用と、毎月支払う月額費用、介護保険サービスの自己負担、おむつ代などの実費を合わせた総額のことです。この4つのブロックに分けて考えると、全体像がぐっとつかみやすくなります。

はじめて施設のパンフレットを見ると、「入居金0円」「月額12万円〜」といった表示が並び、結局いくら用意すればよいのか分かりにくく感じられるものです。その原因の多くは、表の2(月額費用)だけが大きく表示され、3と4が別枠になっているためです。実際に毎月支払う金額は、月額表示に介護保険の自己負担と実費を足した合計で考える必要があります。

この記事では、費用の全体構造と種類別の目安、負担を軽くする制度、予算の決め方までを一枚の地図として整理します。特別養護老人ホーム(特養)やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、種類ごとの詳しい費用内訳は個別の解説記事にまとめていますので、全体像をつかんだあとにあわせてご覧ください。

費用のブロック主な内容特徴
1. 初期費用(入居時)入居一時金・敷金・保証金など0円〜数千万円まで施設差が大きい。公的施設は原則不要
2. 月額費用家賃相当額・管理費・食費など広告の「月額○万円」は主にこの部分を指す
3. 介護保険の自己負担介護サービス費用の1〜3割要介護度と施設の種類・サービスの使い方で変わる
4. その他の実費医療費・おむつ代・理美容代など月額表示に含まれないことが多い

入居時にかかる費用|入居一時金と敷金のきほん

結論入居時の費用は、有料老人ホームでは入居一時金(0円〜数千万円)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では敷金(家賃の2〜3ヶ月分程度)が中心です。特養や介護老人保健施設(老健)などの公的施設では原則かかりません。

入居一時金は、家賃の一部を前払いする性格のお金で、想定居住期間に応じて少しずつ償却(施設の収入への振り替え)されていきます。期間の途中で退去した場合は未償却分が返還されるほか、契約から90日以内の解約では利用日数分などを除いて前払金が返還される仕組み(いわゆる90日ルール)もあります。償却期間や初期償却の割合は施設ごとに異なるため、契約前の確認が欠かせません。

最近は入居一時金0円プランを用意する施設も増えています。初期の負担は軽くなりますが、その分月額が高めに設定されるのが一般的で、長く住むほど総額では割高になる場合があります。想定する入居期間によってどちらが有利かは変わりますので、一時金の仕組みと選び方の詳細は入居一時金の記事で解説しています。

なお、サ高住などの敷金は、退去時に原状回復費などを差し引いて返還されるお金で、償却されていく入居一時金とは性格が異なります。また、有料老人ホームの前払金には保全措置(500万円までの保護)が義務付けられており、運営会社に万一のことがあった場合の備えも制度化されています。

毎月かかる費用の内訳|「月額○万円」に含まれるもの

結論月額費用の基本は家賃相当額+管理費+食費の3点セットです。どこまでが月額に含まれるかは施設ごとに違うため、同じ「月額15万円」でも実際の総支払額は変わってきます。

広告やパンフレットの「月額○万円」は、多くの場合この基本部分だけを指しています。次の章で見るとおり、介護保険の自己負担や実費は別枠になっているのが一般的なので、複数の施設を比べるときは含まれる項目を同じ条件にそろえて見比べることが大切です。

項目内容確認のポイント
家賃相当額居室と共用部分の利用料立地・築年数・部屋の広さで大きく変わる
管理費(運営費)事務・共用部の維持管理、生活支援の人件費など含まれるサービスの範囲が施設により異なる
食費1日3食+おやつの費用欠食した日に減額があるか、1食単位の精算かを確認
水道光熱費居室の電気・水道・ガスなど月額に込みの施設と、実費精算の施設がある

項目の名称や範囲は施設ごとに異なります。正確な内訳は各施設の重要事項説明書・料金表で確認できます。

月額費用に含まれないことが多い費用は?

結論介護保険サービスの自己負担、医療費・薬代、おむつなどの消耗品、理美容代などは月額表示に含まれないのが一般的です。介護度や持病にもよりますが、月額表示に3〜5万円程度の上乗せを見込んでおくと実際の支払いに近づきます。

このうちおむつ代は、医師の証明があるなど条件を満たすと医療費控除の対象になる場合があります。毎月かかる費目だけに年間では大きな差になりますので、詳しくはおむつ代と医療費控除の記事をご覧ください。

  • 介護保険サービスの自己負担(要介護度・利用量・所得によって変動。次章で解説)
  • 医療費・薬代、訪問診療や往診の費用
  • おむつなどの消耗品、日用品の購入費
  • 理美容代、衣類のクリーニング代
  • レクリエーションや外出行事の参加実費、嗜好品
  • 上乗せ介護費・各種サービス加算(人員体制の手厚い施設などで設定)

種類別の費用マップ|9種類の初期費用と月額の目安

結論月額の目安は、特養・老健などの公的施設で約6〜17万円、有料老人ホームなどの民間施設で約10〜30万円です。初期費用の有無もあわせて、まず費用帯の合う種類から検討を始めましょう。

同じ種類でも、駅からの距離や築年数、部屋のタイプによって月数万円の差が出ます。郊外の住宅型有料老人ホームやサ高住では月額15万円前後から、駅近で介護体制の手厚い介護付有料老人ホームでは30万円以上まで、という幅をイメージしてください。種類ごとの詳しい内訳や安く抑える工夫は、特養・介護付・住宅型・サ高住・グループホームそれぞれの費用記事で解説しています。

個別の施設の正確な費用は、パンフレットだけでなく重要事項説明書と料金表で確認するのが確実です。介護の窓口では、気になる施設の費用明細を相談員が確認し、総額ベースで比べられる形にしてお伝えしています。

種類初期費用の目安月額の目安
介護付有料老人ホーム0〜数百万円(高額な施設も)約15〜30万円
住宅型有料老人ホーム0〜数百万円約10〜25万円+介護サービス費
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)敷金0〜数十万円約10〜20万円+介護サービス費
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)0〜数十万円約12〜18万円
健康型有料老人ホーム0〜数千万円約15〜40万円
ケアハウス(軽費老人ホーム)保証金0〜数十万円約7〜15万円
特別養護老人ホーム(特養)原則なし約6〜15万円(所得により軽減)
介護老人保健施設(老健)なし約8〜15万円
介護医療院なし約8〜17万円

2026年時点・関西エリアの概算目安(介護保険の自己負担1割を想定)。公的施設の居住費・食費は国の基準費用額(2024年8月改定。食費1日1,445円、特養の多床室1日915円、ユニット型個室1日2,066円)がもとになり、所得に応じて軽減されます。実際の金額は施設・部屋タイプ・地域で変わります。

介護保険の自己負担はどう決まりますか?

結論介護保険サービスの自己負担は、所得に応じてかかった費用の1〜3割です。負担のしかたは、要介護度ごとのほぼ定額制の施設と、使った分だけ支払う施設の2パターンに分かれます。

介護付有料老人ホームや特養・老健・介護医療院・グループホームでは、介護サービス費は要介護度ごとにほぼ定額で、介護度が上がると自己負担も段階的に増えます。毎月の負担が読みやすいのが特徴です。

一方、住宅型有料老人ホームやサ高住では、訪問介護やデイサービスといった外部のサービスを使った分だけ支払う方式です。要介護度ごとに決められた支給限度額の範囲内であれば1〜3割の負担で利用でき、限度額を超えた分は全額自己負担になります。介護度が重い方が住宅型やサ高住を検討する場合は、必要なサービスが限度額に収まるかの確認が重要です。

ご自身の負担割合が1〜3割のどれにあたるかは、市区町村から交付される介護保険負担割合証で確認できます。

要介護度支給限度額の目安(月)1割負担の場合の目安
要支援1約5万円分約5,000円
要支援2約10.5万円分約10,500円
要介護1約16.8万円分約16,800円
要介護2約19.7万円分約19,700円
要介護3約27万円分約27,000円
要介護4約30.9万円分約30,900円
要介護5約36.2万円分約36,200円

在宅や住宅型・サ高住などで外部サービスを使う場合の区分支給限度基準額(1単位=10円で概算・2026年時点、厚生労働省資料より)。要介護認定は非該当・要支援1・2・要介護1〜5の8区分です。地域やサービスの種類により単価は多少変わります。

負担を軽くする制度の総覧|高額介護サービス費・補足給付など

結論代表的な軽減制度は、高額介護サービス費・補足給付(特定入所者介護サービス費)・高額医療・高額介護合算制度・医療費控除の4つです。多くは申請しないと受けられないため、対象になりそうな制度を入居前に確認しておきましょう。

特に補足給付は、対象になる施設とならない施設がはっきり分かれる制度です。住民税非課税世帯の方が特養に入居した場合と有料老人ホームに入居した場合とでは、この制度が使えるかどうかだけで月数万円の差が生まれることがあります。費用を最優先に考えるご家庭では、まず補足給付の使える公的施設から検討してみる価値があります。

高額介護サービス費は、市区町村によっては一度申請すれば2回目以降は自動的に振り込まれる運用もありますが、最初の申請を忘れるとそのまま受け取れないことがあります。施設への入居が決まったら、市区町村の介護保険窓口で使える制度をまとめて確認しておくと安心です。

制度内容主な対象・注意点
高額介護サービス費1ヶ月の介護保険自己負担が上限額を超えた分の払い戻し一般的な所得の世帯は月44,400円が上限。市区町村への申請が必要
補足給付(特定入所者介護サービス費)施設の居住費・食費を所得に応じて軽減住民税非課税世帯が対象。特養・老健・介護医療院・ショートステイのみ(有料老人ホーム・サ高住・グループホームは対象外)
高額医療・高額介護合算療養費制度1年間の医療費と介護費の自己負担合計が基準額を超えた分の払い戻し医療と介護の両方の負担が大きい世帯。加入する医療保険への申請
医療費控除医療費のほか、おむつ代や施設の自己負担の一部が所得控除の対象確定申告が必要。おむつ代は医師の証明などの条件あり
世帯分離世帯を分けることで負担の判定区分が下がる場合がある市区町村での住民票の手続き。効果は世帯の収入状況による
社会福祉法人等による軽減・自治体独自の減免低所得の方の利用者負担を法人や自治体が軽減実施の有無や条件は市区町村・法人ごとに異なる

2026年時点の制度概要です(厚生労働省・国税庁の資料より)。上限額や対象は所得区分によって細かく分かれるため、正確な判定はお住まいの市区町村の介護保険窓口でご確認ください。

予算はどう決める?収入からの逆算が出発点です

結論予算は、ご本人の毎月の収入(年金など)と取り崩せる資産から逆算して決めるのが基本です。支払いは何年も続くため、無理なく続けられる月額を先に決めてから施設を探しましょう。

月額だけでなく、初期費用に資産をどこまで充てるかも大切な論点です。手元の資金を大きく減らすと、医療費や住み替えといった想定外の出費に対応しにくくなるため、入居一時金を支払う場合も生活予備費は残しておきましょう。

また、ご家族が費用を補填する形で始めると、入居が長期化したときに続けられなくなるリスクがあります。まずはご本人の収入と資産で成り立つ計画を立て、足りない部分をどう補うかを家族で話し合っておくと安心です。年金だけで入居できる施設の探し方や、支払いが厳しくなりそうなときの対処は、それぞれ個別の記事で詳しく解説しています。

ステップやることポイント
1. 毎月の収入を確認年金の手取り額を年金振込通知書などで確認原則としてご本人の収入・資産の範囲で考える
2. 使える資産を整理預貯金・保険・自宅などを一覧にする自宅の売却や貸し出しは時間がかかる前提で
3. 入居期間を長めに見込む5年・10年続いた場合の総額を試算平均ではなく長生きを前提に考える
4. 月額の上限を決める収入+(資産÷想定期間)から医療費などの予備費を引く上限ぎりぎりではなく余裕を残す
5. 費用帯の合う種類を絞る種類別の費用マップと照らして候補を選ぶ初期費用と月額の配分もあわせて検討

費用シミュレーション例|同じ要介護3でも月額はこう変わります

結論同じ要介護3・自己負担1割でも、特養の多床室なら月10万円前後、民間の介護付有料老人ホームなら月20万円台と、選ぶ施設によって月額は大きく変わります。

相談現場では、広告の月額だけを見て「予算内に収まる」と判断し、入居後に介護保険の自己負担や医療費・おむつ代が加わって「思ったより高かった」と戸惑うご家族が少なくありません。候補を比べるときは、月額表示ではなく実費まで含めた総額を同じ条件でそろえて試算することをおすすめしています。

同じ施設でも、要介護度や医療の状況によって総額は変わります。見学の際に「同じような状態の入居者の1ヶ月の請求例」を見せてもらうと、より実態に近い金額がつかめます。

モデルケース月額の内訳イメージ合計の目安
特養・多床室(要介護3・住民税非課税世帯)居住費+食費(補足給付で軽減)+介護保険自己負担+日常生活費約6〜9万円
特養・多床室(要介護3・課税世帯)居住費約2.7万円+食費約4.3万円+介護保険自己負担約2.5万円+実費約10〜13万円
介護付有料老人ホーム(要介護3・1割負担)家賃・管理費・食費約15〜20万円+介護保険自己負担約2万円+実費約19〜25万円

1単位=10円・1ヶ月30日・自己負担1割で計算した概算モデルです(居住費・食費は2024年8月改定の基準費用額をもとに試算、2026年時点)。加算や部屋タイプ、地域区分により実際の金額は変わります。

費用で迷ったら|契約前の確認ポイントと相談先

結論費用の正確な情報は、各施設の重要事項説明書と料金表で確認できます。判断に迷うときは、地域包括支援センターなどの公的窓口や、施設紹介の無料相談を活用しましょう。

高額介護サービス費や補足給付の対象になるかといった制度面の確認は、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで無料で相談できます。なお、ケアプランの作成費用は介護保険から全額給付されるため、要介護の方がケアマネジャー(介護支援専門員)に依頼しても自己負担はありません(要支援の方は地域包括支援センターが担当します)。

介護の窓口では、ご予算とご希望をうかがったうえで、関西エリアの施設から費用条件に合う候補のご提案と費用明細の確認までを無料でお手伝いしています。「予算の決め方から一緒に考えてほしい」という段階のご相談も歓迎です。

  • 月額に含まれる項目・含まれない項目はどれか
  • 入居一時金の償却期間・初期償却・返還の条件
  • 要介護度が上がった場合や部屋を移った場合に費用がどう変わるか
  • おむつなどの実費の請求方法と、入居者の1ヶ月あたりの実績額
  • 支払いが難しくなった場合の相談窓口と退去の条件

このテーマの詳しいガイド

よくある質問

老人ホームの費用は月いくらくらいが目安ですか?

介護保険の自己負担や実費まで含めると、特養などの公的施設で月6〜15万円程度、民間施設で月15〜30万円程度が関西での大まかな目安です(2026年時点)。介護度・地域・部屋タイプで大きく変わるため、平均額よりも「ご本人の条件での試算」が大切です。費用の平均データは別記事で詳しく解説しています。

年金だけで入れる施設はありますか?

年金額によりますが、特養や、郊外の住宅型有料老人ホーム・サ高住など月額を抑えられる選択肢はあります。収入と資産の状況を整理したうえで、無理なく続けられる施設を探すことが大切です。

入居一時金は返ってきますか?

多くの施設では償却期間が設定されており、期間内に退去した場合は未償却分が返還されます。また、契約から90日以内の解約では利用日数分などを除いて前払金が返還される仕組みもあります。償却の条件は施設ごとに異なるため、契約前の確認が必須です。

費用が払えなくなったらどうなりますか?

滞納が続くと契約解除(退去)につながる可能性がありますが、多くの施設は事前の相談に応じています。高額介護サービス費など軽減制度の確認、費用の低い施設への住み替えなど打てる手はありますので、厳しくなる前の早めの相談が大切です。対処の選択肢は個別の記事で解説しています。

生活保護を受けていても老人ホームに入れますか?

入居できる施設はあります。特養などの公的施設のほか、生活保護の方を受け入れる住宅型有料老人ホームやサ高住も一定数あります。家賃が住宅扶助の基準内に収まることなどの条件があるため、担当のケースワーカーに相談しながら探しましょう。

夫婦で入居すると費用は単純に2倍になりますか?

2倍よりは抑えられるのが一般的です。二人部屋を利用すれば、家賃相当額や管理費が一人あたりでは割安になる場合があります。ただし食費や介護保険の自己負担はお一人ずつかかります。二人部屋のある施設は限られるため、早めの情報収集がおすすめです。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「介護保険制度の概要」
  • 厚生労働省「サービスにかかる利用料」(自己負担割合・高額介護サービス費・補足給付)
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?」
  • 国税庁 タックスアンサー「医療費控除の対象となる医療費」

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