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最終更新: 2026-07-04

特養(特別養護老人ホーム)の費用

特別養護老人ホーム(特養)の費用は多床室で月9〜13万円、ユニット型個室で月13〜16万円が目安です。4つの内訳と部屋タイプ別・要介護度別の金額、負担限度額認定(補足給付)など費用を抑える制度、年金で払えるかまでやさしく解説します。

この記事の要点

  • 特養(特別養護老人ホーム)の月額費用は、多床室で約9〜13万円、ユニット型個室で約13〜16万円が目安です(2026年時点)
  • 費用の内訳は、介護保険の自己負担+居住費+食費+日常生活費の4つで、入居一時金は不要です
  • 住民税非課税世帯は負担限度額認定(補足給付)で居住費・食費が下がり、多床室なら月5万円前後になるケースもあります
  • 高額介護サービス費により介護保険の自己負担には月の上限があり、特養の自己負担額は2分の1が医療費控除の対象です
  • 入所待機が発生しやすいため、待機中に老健(介護老人保健施設)や民間施設を併用する場合の費用も見込んでおくと安心です

特養(特別養護老人ホーム)の費用はいくら?月額の目安

結論特養の月額費用は、多床室で約9〜13万円、ユニット型個室で約13〜16万円が目安です(2026年時点)。入居一時金は不要で、所得の低い方は軽減制度によりさらに下がります。

特別養護老人ホーム(特養)とは、原則として要介護3以上の方が入居し、食事・入浴・排せつなどの介護を24時間体制で受けながら終身で暮らせる公的な介護施設です。社会福祉法人や自治体が運営するため、民間の有料老人ホームに比べて費用が抑えられていることが大きな特徴です。

月々の費用は、介護保険の自己負担(施設サービス費)・居住費・食費・日常生活費の4つの合計で決まります。入居一時金や敷金・礼金は不要で、月々の支払いだけで利用できるのも特養ならではの安心材料です。

さらに、住民税非課税世帯の方は負担限度額認定(補足給付)により、多床室なら月5万円前後まで下がることもあります。まずは全体像を下の表で押さえましょう。

部屋タイプ月額の目安(軽減なし)月額の目安(非課税世帯・軽減あり)
多床室約9〜13万円約5〜9万円
ユニット型個室約13〜16万円約6〜12万円

自己負担1割・30日で概算した2026年時点の目安です。幅は要介護度・負担段階・日常生活費の違いによるものです(厚生労働省の基準費用額(2024年8月改定)と2024年度介護報酬をもとに作成)。

特養の費用の内訳|4つの項目で決まります

結論特養の月額費用は、介護保険サービスの自己負担、居住費、食費、日常生活費の4つの合計です。このうち居住費と食費が全体の6〜7割を占めるのが一般的です。

介護保険の自己負担は所得に応じて1〜3割で、多くの方は1割負担です。居住費と食費は国が標準額(基準費用額)を定めており、施設ごとの差が小さいのも特養の特徴です。おむつ代は施設サービス費に含まれるため、別途かからない点も民間施設との違いです。

費用項目内容月額の目安(1割負担)
介護保険の自己負担(施設サービス費)要介護度と部屋タイプで決まる基本料金+各種加算約1.8万〜3.5万円
居住費(部屋代)部屋タイプごとに国の基準費用額が設定約2.7万〜6.2万円
食費1日1,445円が基準費用額(3食+おやつ)約4.3万円
日常生活費など理美容代・嗜好品・日用品・医療費や薬代など約1万〜2万円

基準費用額は2024年8月改定の額(厚生労働省)。30日で概算した2026年時点の目安です。医療機関の受診費用や薬代は医療保険での支払いになります。

部屋タイプ別の月額比較|多床室とユニット型個室の差

結論部屋タイプによる費用差は主に居住費で生まれ、多床室とユニット型個室では月3万円以上の差がつきます。同じ特養でも部屋の選び方で年間40万円以上変わることがあります。

特養の部屋は大きく4タイプあります。多床室は4人部屋などの相部屋、従来型個室は廊下沿いに並ぶ個室、ユニット型は10人程度のグループで共用リビングを囲む個室タイプです。プライバシーと費用のバランスをどう取るかが選択のポイントになります。

近年に開設された特養はユニット型個室が中心で、多床室は古くからある施設に多い傾向があります。費用を最優先にしたい場合は、多床室のある施設を候補に入れて探すのがポイントです。

部屋タイプ居住費(1日)居住費(30日)月額合計の目安(要介護3・1割)
多床室915円約27,500円約10万〜11.5万円
従来型個室1,231円約36,900円約11万〜12.5万円
ユニット型個室的多床室1,728円約51,800円約12.5万〜14万円
ユニット型個室2,066円約62,000円約13.5万〜15.5万円

居住費は国の基準費用額(2024年8月改定・厚生労働省)。月額合計は食費(月約4.3万円)と日常生活費(月約1万円)を含む2026年時点の概算で、加算や地域区分により前後します。

要介護度別|介護保険の自己負担はいくら?

結論介護保険の自己負担(1割の場合)は、要介護3で月2.2万〜2.5万円程度が目安です。要介護度が1段階上がるごとに、月2,000円前後ずつ増えていきます。

下の表は、2024年度介護報酬改定後の基本報酬をもとに、30日・1割負担で概算した金額です。実際には職員の処遇改善加算や看護体制加算などが上乗せされるため、表の金額より1〜2割ほど高くなるのが一般的です。一定以上の所得がある方は2割・3割負担になります。

要介護度従来型個室・多床室ユニット型個室
要介護1約17,700円約20,100円
要介護2約19,800円約22,200円
要介護3約22,000円約24,500円
要介護4約24,100円約26,600円
要介護5約26,100円約28,700円

2024年度介護報酬改定の基本報酬(1単位10円・30日・1割負担)による2026年時点の概算です。各種加算と地域区分(都市部は単価が高め)により、実際の請求額はこれより高くなります。

費用が大きく下がる負担限度額認定(補足給付)とは?

結論負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)とは、住民税非課税世帯の方の居住費と食費に1日あたりの上限を設ける制度です。認定されると月3万〜7万円ほど負担が下がることも珍しくありません。

対象になるのは、原則として世帯全員(世帯分離している配偶者を含む)が住民税非課税で、預貯金等が基準以下の方です。所得に応じて第1段階〜第3段階(2)に分かれ、段階ごとに食費・居住費の上限額が決まります。基準費用額との差額は介護保険から施設へ支払われるため、ご家族がすることは市区町村への申請だけです。

預貯金等の要件は単身で500万〜1,000万円以下(段階により異なる)で、夫婦の場合は表の額に1,000万円を足した金額が基準です。65歳未満(第2号被保険者)は段階にかかわらず単身1,000万円・夫婦2,000万円以下となります。

効果の例を挙げると、第2段階の方が多床室に入った場合、食費は1日1,445円が390円に、居住費は915円が430円になります。月額では居住費+食費が約70,800円から約24,600円となり、この制度だけで月あたり約4.6万円軽くなる計算です。

相談現場では、この制度を知らずに基準費用額のまま支払い続けていたご家族にお会いすることがあります。原則として申請した月からの適用となり、さかのぼれないため、入居が決まったら(または決まる前でも)早めに市区町村の窓口へ申請しておくのが鉄則です。ご本人が対象になりそうかどうか、相談員が無料でお調べします。

利用者負担段階主な対象預貯金等(単身)食費(1日)多床室(1日)ユニット型個室(1日)
第1段階生活保護受給者、老齢福祉年金受給の非課税世帯1,000万円以下300円0円880円
第2段階非課税世帯で年金収入等が80万円以下650万円以下390円430円880円
第3段階(1)非課税世帯で年金収入等が80万円超120万円以下550万円以下650円430円1,370円
第3段階(2)非課税世帯で年金収入等が120万円超500万円以下1,360円430円1,370円

2024年8月改定の負担限度額(厚生労働省・2026年時点)。特養の従来型個室は380〜880円です。年金収入等には非課税の遺族年金・障害年金も含めて判定されます。

高額介護サービス費と医療費控除も忘れずに

結論介護保険の自己負担には所得に応じた月の上限額(高額介護サービス費)があり、超えた分は申請により払い戻されます。特養の自己負担額は、確定申告の医療費控除の対象にもなります。

高額介護サービス費の上限は世帯の所得区分ごとに決まっており、一般的な所得の世帯では月44,400円が上限です。1割負担の方が特養の施設サービス費だけで超えることはまれですが、2〜3割負担の方や、ご夫婦それぞれが介護サービスを使っている世帯では払い戻しが発生しやすくなります。なお、居住費・食費・日常生活費は対象外です。

また、特養では支払った施設サービス費・居住費・食費の自己負担額の2分の1が医療費控除の対象になります(国税庁)。施設が発行する領収書に控除対象額が記載されるので、確定申告に備えて保管しておきましょう。世帯の医療費と合算すれば、税金が戻る可能性があります。

所得区分月の上限額(世帯)
課税所得690万円以上140,100円
課税所得380万円以上690万円未満93,000円
住民税課税〜課税所得380万円未満44,400円
世帯全員が住民税非課税24,600円
非課税で年金収入等が80万円以下24,600円(個人単位では15,000円)
生活保護受給者など15,000円

厚生労働省の資料をもとに作成(2021年8月改定・2026年時点)。初めて対象になった月には市区町村から申請書が届くのが一般的で、一度申請すれば以降は自動で振り込まれます。

年金だけで特養の費用は払えますか?ケース別の目安

結論住民税非課税の方は負担軽減が使えるため、国民年金だけでも多床室なら支払える水準になることが一般的です。課税世帯でユニット型個室を選ぶ場合は、月15万円前後の年金がひとつの分かれ目になります。

厚生労働省の統計では、厚生年金の平均受給額は月14万円台半ば、国民年金(老齢基礎年金)は月5万円台後半が目安です(厚生年金保険・国民年金事業の概況・2026年時点)。代表的な3つのケースで、年金と特養の費用のバランスを見てみましょう。

  • 年金で足りない分は、預貯金の取り崩しやご家族の援助で補うのが実際のところです
  • 支払いが難しい場合は、多床室への変更や、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度(利用料の原則4分の1軽減)を検討できます
  • それでも難しいときは、生活保護の相談も選択肢になります。特養は生活保護を受けながら入居できる施設です
ケース想定(部屋タイプ・負担段階)月額の目安年金内に収まるか
国民年金 月6万円多床室・第2段階約5万円収まることが多い
厚生年金 月10万円ユニット型個室・第3段階(1)約9.5万円おおむね収まる
厚生年金 月15万円ユニット型個室・課税世帯(軽減なし)約14万円ぎりぎり収まる水準

要介護3・1割負担・日常生活費月1万円・高額介護サービス費適用後で概算した2026年時点の目安です。医療費や理美容代が多い月は超えることがあります。

特養と老健・介護付有料老人ホームの費用比較

結論月額の安さでは特養と老健(介護老人保健施設)がほぼ同水準で、介護付有料老人ホームはその1.5〜2倍が目安です。ただし入居対象や入居期間の性格が異なるため、費用だけでは選べません。

老健はリハビリをして自宅へ戻ることを目的とした施設のため、3〜6か月ごとに入所継続の判定があり、終身で暮らす前提の特養とは役割が違います。民間の介護付有料老人ホームは費用が高いぶん、入居までの早さや設備・サービスの選択肢の広さが魅力です。

項目特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)介護付有料老人ホーム
入居一時金不要不要0〜数百万円(施設による)
月額の目安約9〜16万円約9〜17万円約15〜30万円
入居対象原則要介護3以上要介護1以上(在宅復帰が目的)施設ごとに設定(自立〜要介護)
入居期間終身利用が基本3〜6か月ごとに継続を判定契約により終身も可
負担限度額認定(補足給付)対象対象対象外

2026年時点の目安(介護付有料は関西の相場を含む概算)。老健や介護医療院の一部の多床室では、2025年8月から月8,000円程度の室料負担が導入されています。

特養の待機中はどうする?費用との付き合い方

結論特養は費用が抑えられるぶん入所待ちが起きやすく、待機中は老健やショートステイ、民間施設を併用するのが現実的です。待機期間の費用も見込んだ資金計画を立てておきましょう。

厚生労働省の調査では、特養の入所申込者(待機者)は全国で約25万人(2022年時点)とされています。地域差が大きく、関西でも都市部の人気施設では1年以上待つことがある一方、数か月で入所できる施設もあります。申し込みは先着順ではなく必要度の高い方が優先される仕組みのため、複数の施設に同時に申し込んでおくのが一般的です。

待機中の主な選択肢は、老健(介護老人保健施設)への入所、ショートステイ(短期入所生活介護)の利用、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居です。月15〜20万円前後の民間施設にいったん入居し、特養の順番が来たら住み替えるという流れもよくあります。

待機中にかかる費用まで含めてトータルで考えると、施設選びの優先順位が変わることもあります。お住まいの地域の特養の空き状況や待機の目安、併用しやすい施設は、相談員が無料でお調べしますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

特養の費用は月額いくらですか?

多床室で約9〜13万円、ユニット型個室で約13〜16万円が目安です(2026年時点)。住民税非課税世帯の方は負担限度額認定により、多床室なら月5万円前後まで下がることもあります。要介護度や地域、加算の内容によって前後します。

特養に入居一時金は必要ですか?

不要です。特養は月々の支払いのみで利用でき、敷金や保証金もかかりません。初期費用は日用品や衣類の準備程度で、この点が入居一時金のかかる民間の有料老人ホームとの大きな違いです。

年金だけで特養の費用は払えますか?

住民税非課税で負担限度額認定を受けられる方なら、多床室で月5万円前後が目安となり、国民年金でも支払える水準になることが一般的です。課税世帯でユニット型個室を選ぶ場合は月14万円前後かかるため、厚生年金の額や預貯金と合わせた検討が必要です。

特養の費用が払えないときはどうすればよいですか?

まず市区町村で負担限度額認定と高額介護サービス費の申請状況を確認しましょう。そのうえで、多床室への変更、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度、生活保護の相談といった方法があります。滞納してしまう前に、ケアマネジャーや施設の生活相談員へ早めに相談することが大切です。

要介護2でも特養に入れますか?

特養は原則として要介護3以上が対象ですが、認知症による症状や虐待のおそれなど、やむを得ない事情がある場合は要介護1・2でも特例入所が認められることがあります。判断は施設と市区町村が行うため、まずは希望する施設に相談してみましょう。

特養の待機期間はどのくらいですか?

地域と施設によって大きく異なり、数か月で入れる施設から1年以上待つ施設まで様々です。全国の入所申込者は約25万人(2022年時点・厚生労働省調査)とされています。複数の施設に同時に申し込み、待機中は老健やショートステイなどを併用するのが一般的です。

参考(一次情報)

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