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最終更新: 2026-07-06

おむつ代の医療費控除

大人用おむつ代は、おおむね6ヶ月以上寝たきりで医師がおむつの使用を必要と認めた場合に医療費控除の対象になります。おむつ使用証明書などの必要書類、市区町村の確認書で代替できる特例、確定申告の流れ、所得別にいくら戻るかの目安をやさしく解説します。

この記事の要点

  • 大人用おむつ代は、おおむね6ヶ月以上寝たきりで、医師の治療上おむつが必要と認められる場合に医療費控除の対象になります
  • 原則は医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要です。要介護認定を受けている方は、市区町村の確認書などで代替できる特例があります
  • 手続きは年末調整ではなく確定申告で行い、還付申告なら過去5年分までさかのぼれます
  • 戻る金額は「医療費控除額×所得税率+住民税約10%」が目安で、生計を一にする家族の中で所得の高い人が申告すると有利になりやすいです
  • 自治体のおむつ助成と併用できます。助成分を除いた自己負担額が対象で、領収書と証明書類は5年間保管します

おむつ代は医療費控除の対象になりますか?

結論大人用おむつ代は、寝たきりの状態などの条件を満たし、医師の証明書類があれば医療費控除の対象になります。まずは制度の全体像から確認していきましょう。

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を所得から差し引いて、所得税や住民税の負担を軽くできる制度です。病院の診療費や薬代だけでなく、介護に関わる費用の一部も対象に含まれます。

大人用の紙おむつや尿とりパッドは日常の生活用品として扱われるため、通常は医療費控除の対象になりません。ただし国税庁のタックスアンサーでは、傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受けている方のおむつ代は、医師が発行する「おむつ使用証明書」などの書類があれば医療費控除の対象になるとされています。

在宅介護の方はもちろん、有料老人ホームなどに入居していてご家族がおむつを購入して届けている場合も、条件を満たせば対象になります。おむつ代は月5,000円〜1万円程度かかることも多く、1年分では決して小さくない金額です。ほかの医療費と合算して申告すれば、家計の負担軽減につながります。

対象になる条件は?2つの要件をやさしく解説

結論国税庁のタックスアンサーでは、おおむね6ヶ月以上寝たきりであることと、医師の治療を受けていて治療のうえでおむつの使用が必要と認められることの、2つが要件とされています。

この2つを満たしているかを医学的に証明するのが、次の章で説明する「おむつ使用証明書」です。ご本人やご家族の自己判断ではなく、主治医が治療上必要と認めているかどうかがポイントになります。

注意したいのは、要介護認定を受けているだけでは対象にならないという点です。要介護度が高くても歩行できる方は対象外となる場合があり、逆に要介護度が低くても要件を満たすケースはあります。証明書を発行できるかどうかは病状や治療の状況によって異なるため、実際の判断は主治医・かかりつけ医にご相談ください。

なお「寝たきり」といっても、一日中まったく起き上がれない状態だけを指すわけではないとされています。ベッド上の生活が中心で、排せつにおむつが欠かせない状態などが目安です。迷ったときは、発行できるかどうかを含めて医師に確認してみましょう。

  • 要件1: 傷病(病気やけが)により、おおむね6ヶ月以上にわたって寝たきりの状態にあること
  • 要件2: 医師の治療を受けており、治療を行ううえでおむつの使用が必要と認められること

必要な書類は?おむつ使用証明書が基本です

結論初めて申告する年は、医師が発行する「おむつ使用証明書」と1年分のおむつ代の領収書が基本セットです。確定申告書と医療費控除の明細書もあわせて準備します。

おむつ使用証明書の文書料は保険がきかない自費で、1,000〜3,000円程度が目安です(医療機関により異なります)。なお、この文書料自体は医療費控除の対象にならないとされている点に注意しましょう。

証明書は原則として確定申告書に添付または提示しますが、証明年月日・証明書の名称・証明者名を医療費控除の明細書の欄外に記載すれば、添付を省略できる取り扱いもあります。省略した場合も破棄せず、自宅で5年間保管が必要です。

書類入手先ポイント
おむつ使用証明書主治医(かかりつけ医)決まった様式があり、医療機関に依頼して作成してもらいます
おむつ代の領収書・レシート購入した薬局・スーパー・通販など大人用紙おむつと分かる品名入りのものを1年分保管します
医療費控除の明細書国税庁サイト・税務署領収書の内容をまとめて記載する様式で、領収書そのものの提出は不要です
確定申告書国税庁サイト・税務署国税庁の確定申告書等作成コーナーならスマートフォンでも作成できます
源泉徴収票・マイナンバー関係書類勤務先・日本年金機構など申告書の作成時に手元にあるとスムーズです

出典: 国税庁タックスアンサーNo.1119・No.1122(2026年時点)。証明書の様式は厚生労働省・国税庁の通知に基づくものです。

証明書の代わりになる書類は?市区町村の確認書という特例

結論介護保険の要介護認定を受けている方は、市区町村が主治医意見書の内容を確認した「確認書」や主治医意見書の写しを、おむつ使用証明書の代わりにできる特例があります。

毎年医師に証明書を書いてもらうのは、文書料の負担も手間もかかります。そこで要介護認定を受けている方については、要介護認定のときに作成される主治医意見書を活用する特例が設けられています。市区町村の介護保険窓口に申し出ると、「おむつ使用の確認書」「主治医意見書内容確認書」といった名称の書類(名称は自治体により異なります)を交付してもらえます。

この特例を使うには、主治医意見書に、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)がB1〜C2に当たることと、尿失禁の発生可能性がある(またはカテーテルを使用している)ことなどの記載が必要とされています。

以前はおむつ代の控除を受けるのが2年目以降の方だけの特例でしたが、国税庁の情報により、2024年(令和6年)分以降の申告では、1年目の方も主治医意見書の作成時期や要介護認定の有効期間などの要件を満たせば利用できるようになったとされています。ご自身が使えるかどうかは、市区町村の窓口で確認するのが確実です。

証明書類発行元主な使いどころ
おむつ使用証明書主治医(医療機関)原則の書類。要介護認定を受けていない方はこちらが必要です
おむつ使用の確認書(主治医意見書内容確認書など)市区町村の介護保険窓口要介護認定があり、主治医意見書に寝たきり度・尿失禁関連の記載がある方
主治医意見書の写し市区町村確認書と同様。意見書の作成年や認定有効期間の要件があります

確認書の交付は無料の自治体が多い一方、取り扱いや名称は市区町村により異なります。出典: 国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて」(2026年時点)。

手続きの流れは?確定申告5つのステップ

結論おむつ代の医療費控除は確定申告(還付申告)で手続きします。書類集めから還付金の受け取りまで、流れは次の5ステップです。

会社員や年金受給者の方も、医療費控除は年末調整では手続きできず、確定申告が必要です。おむつ代は健康保険の医療費通知(医療費のお知らせ)には載らないため、領収書をもとに明細書へ記入します。

申告を忘れていた場合も、還付申告は対象になる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できます。その年ごとの証明書類と領収書が必要になるので、まずは手元に残っている書類を確認してみましょう。

相談現場では、おむつ使用証明書という書類の存在を知らないまま、何年分ものおむつ代を申告せずにいたご家族によくお会いします。寝たきりの方を在宅で介護しているご家庭では、おむつ代が年間10万円を超えることも珍しくありません。さかのぼりの申告で数万円が戻ったというお話も聞かれますので、思い当たる方は一度領収書を探してみる価値があります。

  • ステップ1: 主治医におむつ使用証明書の発行を依頼する(要介護認定がある方は市区町村窓口で確認書の交付を相談)
  • ステップ2: 1年分のおむつ代と、そのほかの医療費の領収書を集計する
  • ステップ3: 医療費控除の明細書を作成する(国税庁の確定申告書等作成コーナーが便利です)
  • ステップ4: 翌年2月16日〜3月15日ごろの申告期間に提出する(還付のみの申告は翌年1月1日から可能です)
  • ステップ5: 申告からおおむね1〜2ヶ月後に、指定した口座へ還付金が振り込まれます

いくら戻りますか?所得別のかんたん計算例

結論戻る金額の目安は、医療費控除額に所得税率をかけた額と、住民税の軽減(約10%)の合計です。控除額10万円なら、およそ1.5万〜3万円台が目安になります。

医療費控除額は「(1年間に支払った医療費の合計−保険金などで補填される金額)−10万円」で計算します(上限200万円)。総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。年金収入が中心の方は、医療費が10万円以下でも控除できる場合があります。

たとえば、おむつ代が年12万円、通院の診療費や薬代が年8万円で合計20万円、保険などの補填がない場合、医療費控除額は10万円です。この場合の軽減額を、申告する人の課税所得別に見てみましょう。

医療費は、生計を一にする家族の分をまとめて1人が申告できます。家族の中で所得税率が高い人がまとめて申告するほうが、戻る額は大きくなるのが一般的です。高額療養費や高額介護サービス費、民間保険で補填された分は差し引く点に注意し、最終的な取り扱いは所轄の税務署にご確認ください。

申告する人の課税所得所得税率所得税の軽減住民税の軽減合計の目安
195万円以下5%約5,000円約1万円約1.5万円
195万円超〜330万円以下10%約1万円約1万円約2万円
330万円超〜695万円以下20%約2万円約1万円約3万円
695万円超〜900万円以下23%約2.3万円約1万円約3.3万円

医療費控除額10万円の場合の概算(復興特別所得税を除く)。住民税の軽減は還付ではなく翌年度分の減額です。出典: 国税庁タックスアンサーNo.2260(2026年時点)。

おむつ代のほかに医療費控除の対象になる介護費用は?

結論介護保険サービスの自己負担分の一部も医療費控除の対象です。特別養護老人ホーム(特養)は自己負担額の2分の1、介護老人保健施設(老健)と介護医療院は全額が対象とされています。

特養や老健などの介護保険施設では、おむつ代は施設サービス費に含まれていて別料金にならないのが原則です。そのため施設の領収書にある「医療費控除の対象額」をそのまま明細書に写せばよい仕組みになっています。一方、有料老人ホームなどでご家族が紙おむつを購入して届けている場合は、この記事で説明した条件と証明書類がそろえば対象になります。

介護費用と医療費控除の全体像は、親記事の費用ガイドでも詳しく解説しています。おむつ対応や医療的ケアの体制が整った施設をお探しの場合は、介護の窓口の相談員が無料でお調べしますので、お気軽にご相談ください。

費用の種類医療費控除の取り扱い
特別養護老人ホーム(特養)の施設サービス費(介護費・食費・居住費の自己負担分)2分の1が対象
介護老人保健施設(老健)・介護医療院の施設サービス費全額が対象
訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーション(デイケア)などの医療系サービス自己負担分が対象
医療系サービスとあわせて利用する訪問介護(身体介護中心)などケアプランに位置づけられていれば対象になるものがあります
通院のための交通費(公共交通機関)対象(自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外)
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の家賃・管理費・食費対象外

出典: 国税庁タックスアンサーNo.1122(2026年時点)。対象額は施設や事業所が発行する領収書に記載されるのが一般的です。

自治体のおむつ助成と併用できますか?領収書の保管のコツ

結論多くの市区町村には紙おむつの現物支給や購入券の助成制度があり、医療費控除と併用できます。控除の対象になるのは、助成分を除いて自分で支払った金額です。

関西の自治体でも、要介護度や住民税の課税状況などに応じて、月数千円分の紙おむつの現物支給や、指定店で使える購入券(給付券)を交付する助成事業が広く行われています。窓口は市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターで、内容や対象要件は自治体ごとに異なります。

助成と医療費控除は併用できますが、現物支給された分や購入券でまかなった分は自己負担ではないため、控除の対象になりません。実際に自分のお金で支払った分の領収書だけを集計するのが基本ルールです。

領収書は、品名が分かるレシートを月ごとに封筒へまとめる、通販の購入明細を印刷しておくなど、1年分をためる仕組みを作っておくと申告がぐっと楽になります。明細書方式では領収書の提出は不要ですが、税務署から提示を求められることがあるため、領収書と証明書類は確定申告の期限から5年間の保管が必要とされています。

お住まいの自治体にどのような助成があるか分からないときも、介護の窓口の相談員が無料でお調べします。医療費控除と助成制度を上手に組み合わせて、おむつ代の負担を少しずつ軽くしていきましょう。

よくある質問

おむつ使用証明書の発行に費用はかかりますか?

文書料として1,000〜3,000円程度が目安です(自費のため医療機関により異なります)。なお、この文書料自体は医療費控除の対象にならないとされています。金額は依頼するときに医療機関へ確認しましょう。

要介護認定を受けていれば、おむつ代は自動的に医療費控除の対象になりますか?

自動的には対象になりません。要介護認定と医療費控除の要件は別のもので、おおむね6ヶ月以上寝たきりで治療上おむつが必要という要件を満たしたうえで、おむつ使用証明書や市区町村の確認書などの書類が必要です。

家族が支払ったおむつ代も控除できますか?

生計を一にする家族が支払った分は、支払った人の医療費控除として申告できます。同居していなくても、仕送りなどで生計が一体であれば対象になり得ます。所得税率の高い人が申告すると、軽減額が大きくなるのが一般的です。

何年前のおむつ代までさかのぼって申告できますか?

還付申告は、対象になる年の翌年1月1日から5年間できます。たとえば2021年分は2026年12月末まで申告できる計算です。年分ごとに、その年の証明書類とおむつ代の領収書が必要になります。

特別養護老人ホーム(特養)に入居中のおむつ代はどうなりますか?

特養や介護老人保健施設(老健)などの介護保険施設では、おむつ代は施設サービス費に含まれていて別料金がかからないのが原則です。施設が発行する領収書の「医療費控除の対象額」に反映されるため、その金額を明細書に記入します。

医療費が年10万円以下でも医療費控除を受けられますか?

総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超えた分が控除の対象です。年金収入が中心の方などは、医療費が10万円以下でも控除できる場合があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと自動で計算されます。

参考(一次情報)

  • 国税庁 タックスアンサーNo.1122 医療費控除の対象となる医療費
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1119 医療費控除に関する手続について
  • 国税庁 おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(法令解釈通達・情報)
  • 国税庁 タックスアンサーNo.2260 所得税の税率
  • 厚生労働省 おむつに係る費用の医療費控除の取扱い

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