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最終更新: 2026-07-13

老健(介護老人保健施設)の費用

老健(介護老人保健施設)の費用とは、リハビリで在宅復帰を目指す入所中にかかる介護保険自己負担・居住費・食費などの合計で、月額約9〜17万円(1〜2割負担の場合)が目安です。部屋タイプ別の内訳、補足給付や高額介護サービス費による軽減、特養との比較まで解説します。

この記事の要点

  • 老健(介護老人保健施設)の費用は月額約9〜17万円が目安です(多床室〜ユニット型個室・1〜2割負担の場合、2026年時点)。入居一時金は不要で、介護保険自己負担・居住費・食費・日常生活費の4項目で構成されます
  • 部屋タイプ別では、要介護3・1割負担の場合で多床室が月約9.9万円、従来型個室が月約12.3万円、ユニット型個室が月約14.8万円が目安です
  • 自己負担割合が1割から3割になると介護保険自己負担分が2〜3倍になり、多床室でも月17万円程度まで増えることがあります
  • 住民税非課税世帯は負担限度額認定(補足給付)の対象で食費・居住費が軽減されますが、老健の多床室はもともと基準額が低いため軽減の幅は特養より小さめです
  • 老健は3〜6ヶ月の入所が前提のため、費用は「月額×想定入所期間」で計画するのが基本です。自己負担分は医療費控除の対象で、老健は特養と異なり自己負担額の全額が対象になります

老健(介護老人保健施設)の費用は月額いくら?

結論老健(介護老人保健施設)とは、リハビリを受けながら在宅復帰を目指す方が入所する公的な介護保険施設で、月額の費用は約9〜17万円が目安です(多床室〜ユニット型個室・1〜2割負担の場合。3割負担でユニット型個室を選ぶと20万円を超えることもあります)。入居一時金は不要で、部屋タイプ・要介護度・自己負担割合によって金額が変わります。

介護老人保健施設(老健)は、病気やけがで入院したあと「今のままでは自宅での生活が不安」というときに、リハビリをしながら心身を整える施設です。対象は原則65歳以上(40〜64歳は特定疾病による要介護認定の場合のみ対象)・要介護1以上の方で、3〜6ヶ月ほどの入所を前提としています。

老健の費用は、特別養護老人ホーム(特養)などと同じく国が定めた基準にもとづいて決まるため、施設ごとの差が比較的小さいのが特徴です。入居一時金や敷金・礼金は不要で、毎月の支払いだけで利用できます。

月額の総額は、部屋タイプ(多床室・従来型個室・ユニット型個室)・要介護度・自己負担割合(1〜3割)の組み合わせで決まります。まずは部屋タイプ別のおおまかな目安を見てみましょう。

部屋タイプ月額の目安(要介護3・1割負担)
多床室(相部屋)約9.9万円
従来型個室約12.3万円
ユニット型個室約14.8万円

自己負担1割・30日で概算した2026年時点の目安です。多床室〜ユニット型個室・1〜2割負担では月9〜17万円の幅で変動し、3割負担でユニット型個室を選ぶと月20万円を超えることもあります。詳しい内訳は次章以降で解説します。

老健の費用は何で決まる?

結論老健の月額費用は、介護保険自己負担(施設サービス費)+居住費+食費+日常生活費という4つの項目の合計で決まり、このうち食費は全国一律1日1,445円です。

介護保険自己負担(施設サービス費)は、要介護度・部屋タイプ・施設の体制(在宅復帰の実績など)で金額が決まる基本料金で、所得に応じて1〜3割を負担します。居住費と食費は国が「基準費用額」という目安の金額を定めており、施設ごとの差が小さいのが特徴です。日常生活費は理美容代やレクリエーション費など、施設ごとに設定される実費です。

これに加えて、リハビリ体制や医療的なケアの内容に応じた加算が上乗せされることがあります。各種加算を合計すると、後述の表の金額より月数千円〜1万円程度高くなることも珍しくありません。

  • 介護保険自己負担(施設サービス費) — 要介護度・部屋タイプ・施設体制で決まる基本料金の1〜3割
  • 居住費 — 部屋タイプごとの基準費用額(多床室は低め、個室は高め)
  • 食費 — 1日1,445円が基準費用額(3食+おやつ分)
  • 日常生活費 — 理美容代・嗜好品・レクリエーション費など施設ごとの実費

部屋タイプ(多床室・従来型個室・ユニット型個室)で費用はどう違う?

結論部屋タイプによる差は主に居住費で生まれます。多床室とユニット型個室では居住費だけで月5万円ほどの差がつき、総額でも月5万円近く変わります。

老健の部屋は大きく3タイプに分かれます。多床室は4人部屋などの相部屋、従来型個室は廊下沿いに並ぶ個室、ユニット型個室は10人程度のグループで共用リビングを囲む個室です。

居住費は国の基準費用額にもとづいており、多床室が最も低く設定されています。介護保険自己負担(施設サービス費)は部屋タイプによる差が比較的小さいため、総額の差はほぼ居住費の差と考えて差し支えありません。

費用項目多床室従来型個室ユニット型個室
介護保険自己負担(1割)約2.8万円約2.8万円約2.8万円
居住費約1.3万円(437円/日)約3.7万円(1,231円/日)約6.2万円(2,066円/日)
食費約4.3万円(1,445円/日)約4.3万円(1,445円/日)約4.3万円(1,445円/日)
日常生活費など約1.5万円約1.5万円約1.5万円
合計の目安約9.9万円約12.3万円約14.8万円

要介護3・自己負担1割・30日で概算した2026年時点の目安です。居住費・食費は厚生労働省の基準費用額(2024年8月改定)、施設サービス費は令和6年度介護報酬をもとにしています。日常生活費は施設により月1〜2万円程度の幅があります。

要介護度や自己負担割合(1〜3割)で費用はどう変わる?

結論老健の自己負担割合が1割から3割になると、介護保険自己負担部分は2〜3倍になります。多床室の場合、要介護1・1割なら月約9.4万円、要介護5・3割なら月約17万円まで開きが出ます。

ここで注意したいのは、居住費・食費・日常生活費は自己負担割合に関わらず一定という点です。1〜3割で変わるのは介護保険サービス部分(施設サービス費)だけで、居住費や食費は所得にかかわらず同じ金額を支払います。

そのため、2割・3割負担の方は「総額も単純に2〜3倍になる」と誤解しがちですが、実際には居住費・食費・日常生活費(多床室で計約7.1万円)が変わらない分、総額の増え方はそれよりゆるやかになります。

下の表は多床室を例に、要介護度と自己負担割合ごとの月額目安をまとめたものです。部屋タイプに加えて、この2つの要素の組み合わせによっても月額は大きく変わります。

要介護度1割負担2割負担3割負担
要介護1約9.4万円約11.7万円約14.0万円
要介護2約9.7万円約12.3万円約14.9万円
要介護3約9.9万円約12.7万円約15.5万円
要介護4約10.2万円約13.3万円約16.4万円
要介護5約10.4万円約13.7万円約17.0万円

多床室・30日・日常生活費月1.5万円を含めた2026年時点の概算です。ユニット型個室で2〜3割負担の場合は、ここに居住費差額(約4.9万円)が加わり月20万円前後になることもあります。負担割合は介護保険負担割合証で確認できます。

リハビリなどの加算で費用は上がる?

結論老健では在宅復帰への取り組みやリハビリ体制に応じた加算が上乗せされることがあり、施設によっては月数千円〜1万円程度上乗せされることもあります。加算の内容は重要事項説明書で確認できます。

老健の介護報酬には、施設の在宅復帰率や在宅療養支援の実績に応じた区分(超強化型〜その他型)があり、体制が手厚い施設ほど基本料金自体が高めに設定される傾向があります。これに加えて、入所者ごとの状態に応じた加算が個別に発生します。

代表的な加算には、入所直後の集中的なリハビリに対する加算、栄養管理や口腔衛生の管理に関する加算、認知症の方へのケア体制に関する加算などがあります。いずれも医師・看護師・リハビリ専門職などの体制が基準を満たした施設で算定されるものです。

見学や申込みの際は、「基本料金にどんな加算が含まれているか」「入所後に加算が追加される可能性があるか」を施設の相談員に確認しておくと、想定外の請求を避けやすくなります。

住民税非課税世帯なら費用は軽減される?

結論補足給付(特定入所者介護サービス費・負担限度額認定)とは、住民税非課税世帯の居住費・食費に1日あたりの上限を設ける制度です。老健も対象施設で、食費は最大1日1,445円から300円まで下がります

対象になるのは、原則として世帯全員(世帯分離した配偶者を含む)が住民税非課税で、預貯金等が基準以下の方です。所得に応じて第1段階〜第3段階(2)に区分され、段階ごとに居住費・食費の上限額が決まります。市区町村への申請が必要で、原則として申請した月からの適用になります。

老健の多床室はもともと基準費用額が437円/日と低いため、補足給付を受けても居住費の下がり幅は特養の多床室(915円/日)ほど大きくありません。一方、食費の軽減幅は施設の種類を問わず共通で、下の表のとおりです。

ユニット型個室を選んでいる場合は、居住費も特養のユニット型個室と同水準まで軽減されるため、部屋タイプによって補足給付の効果の大きさが変わる点も知っておくと安心です。

利用者負担段階主な対象食費(1日)
第1段階生活保護受給者、老齢福祉年金受給の非課税世帯300円
第2段階非課税世帯で年金収入等が80万円以下390円
第3段階(1)非課税世帯で年金収入等が80万円超120万円以下650円
第3段階(2)非課税世帯で年金収入等が120万円超1,360円

2024年8月改定の食費の負担限度額(厚生労働省・2026年時点)。居住費の軽減額や預貯金等の資産要件は段階・部屋タイプにより異なるため、正確な金額は市区町村の窓口でご確認ください。

高額介護サービス費や医療費控除で負担はどう軽くなる?

結論介護保険自己負担には所得に応じた月の上限(高額介護サービス費・一般的な世帯で月44,400円)があり、超えた分は払い戻されます。老健の自己負担額は全額が医療費控除の対象になる点も特養と異なります。

高額介護サービス費は、1ヶ月の介護保険自己負担が所得区分ごとの上限額を超えたとき、超えた分が申請により払い戻される制度です。2〜3割負担の方や、ご夫婦とも介護サービスを使っている世帯では、払い戻しが発生しやすくなります。なお、居住費・食費・日常生活費は対象外です。

確定申告では、老健で支払った施設サービス費・居住費・食費の自己負担額の全額が医療費控除の対象になります(国税庁)。特別養護老人ホーム(特養)では自己負担額の2分の1のみが対象となるため、この点は老健ならではの特徴です。施設が発行する領収書に控除対象額が記載されるので、確定申告に備えて保管しておきましょう。

所得区分月の上限額(世帯)
課税所得690万円以上140,100円
課税所得380万円以上690万円未満93,000円
住民税課税〜課税所得380万円未満44,400円
世帯全員が住民税非課税24,600円
非課税で年金収入等が80万円以下24,600円(個人単位では15,000円)
生活保護受給者など15,000円

厚生労働省の資料をもとに作成(2021年8月改定・2026年時点)。高額介護サービス費は初回のみ市区町村から申請書が届くのが一般的で、以降は自動で振り込まれます。

特養と老健、費用が安いのはどちら?

結論月額の水準は老健が約9〜17万円、特養が約9〜16万円とほぼ同じです。ただし入所期間の前提が異なるため、費用の考え方はまったく別物になります。

特別養護老人ホーム(特養)は、原則要介護3以上の方が終身で暮らす生活の場です。老健と同じく入居一時金は不要で補足給付も使えますが、最大の違いは入所期間に区切りがあるかどうかです。

老健は3〜6ヶ月ごとに継続を判定される通過型の施設のため、月額が近くてもトータルの支払総額は入所期間によって大きく変わります。特養は終身利用が前提のため、月額がそのまま長期間続く計算になります。迷ったときは、ケアマネジャーや介護の窓口の相談員に相談すると、状況に合った選び方を確認できます。

項目老健(介護老人保健施設)特養(特別養護老人ホーム)
対象要介護1以上原則要介護3以上
入所期間3〜6ヶ月目安(3ヶ月ごとに判定)期限なし(終身利用が可能)
入居一時金不要不要
月額の目安約9〜17万円約9〜16万円
補足給付(負担限度額認定)対象対象
医療費控除の対象範囲自己負担額の全額自己負担額の2分の1

月額は自己負担1割・30日の概算(2026年時点)。特養の詳しい内訳は「特養の費用」の記事で解説しています。要介護1・2の方は原則として特養に入所できません(要介護1・2でも特例入所が認められる場合があります)。そのため老健のほか介護付有料老人ホーム(施設ごとに要介護度を設定、自立〜要介護が対象)も選択肢になります。

3〜6ヶ月の入所期間で費用はどう計画すればいい?

結論老健は終身の住まいではなく通過施設のため、3ヶ月なら約28万円、6ヶ月なら約56万円というように「月額×想定入所期間」で費用を計画することが大切です。

老健は3ヶ月ごとに入所継続が判定される仕組みのため、特養のように「月々いくら」だけでなく、「今回の入所でトータルいくらかかりそうか」という視点で考えると、資金計画が立てやすくなります。

介護の窓口の相談現場では、老健の費用そのものより、退所後にどこへ住むかが決まらないまま入所期間が過ぎてしまうご相談を多くお受けします。在宅復帰の準備(住宅改修や福祉用具のレンタルなど)にかかる費用、あるいは特養や介護付有料老人ホームへの住み替え費用(介護付有料老人ホームは補足給付の対象外です)まで含めて考えておくと、慌てずに次の一歩を選べます。お住まいの地域の受け入れ先や費用の目安は、相談員が無料でお調べします。

医療的なケアの必要度が高まった場合は、介護医療院(要介護1以上で、長期の医療管理とみとりに対応する施設)への住み替えが選択肢になることもあります。老健の支援相談員に早めに希望を伝えておくと、退所先の調整もスムーズです。

想定入所期間多床室・1割負担の総額目安
3ヶ月約28万円(月約9.4万円×3)
6ヶ月約56万円(月約9.4万円×6)
約10ヶ月(平均在所日数の目安)約94万円(月約9.4万円×10)

要介護1・多床室・1割負担・日常生活費を含む2026年時点の概算です。平均在所日数は厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」による全国平均(約310日)を10ヶ月で概算したものです。実際の期間は状態や施設により異なります。

よくある質問

老健の費用を一言でいうと、月いくらですか?

老健(介護老人保健施設)の費用は、月額約9〜17万円が目安です(多床室〜ユニット型個室・1〜2割負担の場合、2026年時点)。多床室なら月9万円台、ユニット型個室なら月14万円台からが中心で、3割負担を選ぶと20万円を超えることもあります。入居一時金は不要です。

老健に入居一時金はかかりますか?

かかりません。老健は公的な介護保険施設のため、入居一時金や敷金・礼金は不要で、毎月の支払いだけで利用できます。準備するのは日用品や衣類など数万円程度の初期費用にとどまります。

年金だけで老健の費用は払えますか?

多床室であれば、厚生年金の平均受給額(月14万円台半ば)の範囲に収まることが多く、住民税非課税世帯で補足給付を受けられる場合はさらに負担が下がります。ただし年金の受給額には個人差が大きく、女性や国民年金(基礎年金)のみの方は多床室でも年金だけで足りないことがあるため、ねんきん定期便等でご自身の受給見込み額を確認しておくと安心です。ユニット型個室や2〜3割負担の方は月14〜17万円程度かかるため、預貯金と合わせた検討が必要です。

老健と特養、費用が安いのはどちらですか?

月額の水準はどちらも約9〜16万円台とほぼ同じです。老健は3〜6ヶ月ごとに入所継続が判定される通過施設、特養は終身利用が前提の施設のため、総額で比べる際は入所期間の違いを踏まえる必要があります。

住民税非課税世帯だと老健の費用は安くなりますか?

はい。負担限度額認定(補足給付)を受けると、食費は1日1,445円から段階に応じて300円〜1,360円まで下がります。ただし老健の多床室はもともと居住費の基準額が低いため、軽減の効果は特養の多床室より小さめです。

老健の費用は医療費控除の対象になりますか?

対象になります。老健で支払った施設サービス費・居住費・食費の自己負担額は、確定申告で全額が医療費控除の対象になります(国税庁)。特養では自己負担額の2分の1のみが対象となるため、老健は控除を受けやすい施設といえます。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「介護老人保健施設の概要」
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
  • 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1280(令和6年8月からの負担限度額等)」
  • 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
  • 国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」

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