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最終更新: 2026-07-19

認知症の昼夜逆転への対応|原因・今日からできる工夫・限界のサイン

昼夜逆転とは、認知症により体内時計を司る脳の機能が乱れ、夜間の不眠や興奮、日中の傾眠が起こるBPSD(行動・心理症状)の一つです。原因の整理と今日からできる工夫、介護者が限界を迎える前に頼れる相談先や施設の選択肢をやさしく解説します。

この記事の要点

  • 昼夜逆転とは、認知症により体内時計を司る脳の機能が乱れることで、夜間の不眠・興奮と日中の傾眠が起こるBPSD(行動・心理症状)の一つです。加齢による睡眠の変化・日中の活動量不足・入院や転居などの環境の変化が重なって起こりやすいとされています
  • 対応の基本は、朝に日光を浴びる、日中の活動量を増やす、就寝前1〜2時間は照明を落として静かに過ごすの3点で、今日から取り組めます
  • 介護者本人の眠れない状態が2週間以上続く、日中のミスが増えているといった様子は、介護うつや共倒れに近づいているサインです。1つでも当てはまれば早めに相談してよい時期です
  • 家庭での工夫で改善しないときは、主治医に相談することで、生活リズムの指導に加えて睡眠薬や抑肝散などの漢方薬の使用を検討できる場合があります
  • 在宅対応に限界を感じたら、ショートステイ(短期入所生活介護)のほか、要支援2以上が目安のグループホーム、介護付き有料老人ホームなど夜間の見守り体制がある施設が選択肢になります。高額介護サービス費により、一般的な所得の世帯では自己負担の上限は月44,400円です

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昼夜逆転とは、認知症のどのような症状ですか?

結論昼夜逆転とは、認知症によって体内時計を司る脳の機能が乱れ、夜間の不眠や興奮、日中の強い眠気が現れるBPSD(行動・心理症状)の一つです。記憶障害などの中核症状とは別の症状で、原因への対応や環境の工夫によって和らぐことがあるとされています。

夜中に何度も起き出し、大声を出すこともあります。朝方になってようやく静かになったと思ったら、今度は日中うとうとして過ごしてしまいます。そんな様子が続くと、介護するご家族も一緒に眠れない日が積み重なり、心身ともに限界に近づいてしまいます。昼夜逆転とは、認知症によって体内時計を司る脳の機能が乱れ、夜間に不眠や興奮が、日中に強い眠気が現れる状態のことです。ご本人のわがままや性格の変化ではなく、認知症にともなって現れやすいBPSD(行動・心理症状)の一つとされています。

中核症状は記憶障害や見当識障害など、脳の障害から直接起こる症状です。一方で昼夜逆転を含むBPSDは、体内時計の乱れに加えて、日中の活動量や環境の変化などが重なって二次的に現れる症状とされ、出方には個人差があります。原因を知り、環境を整えることで、症状が和らぐ可能性があるとされています。

この記事では、昼夜逆転が起こる主な原因、今日から日中と夜間それぞれで試せる工夫、介護者の睡眠不足が続く危険性、医師に相談してできること、そして家庭での対応に限界を感じたときの選択肢までを順番に解説します。

昼夜逆転の主な原因は何ですか?

結論主な原因は、加齢による睡眠の変化、認知症による体内時計そのものの機能低下、日中の活動量不足、入院や転居などの環境の変化の4つに大きく分けられるとされています。複数の原因が重なっていることも少なくありません。

私たちの体には、脳の中で体内時計の働きを担う部分があり、朝に日光を浴びることで1日のリズムを整えているとされています。認知症が進行すると、この体内時計を司る脳の機能そのものが乱れやすくなるうえ、白内障など加齢性の目の病気により日中に十分な光を感じにくくなることも、リズムのずれに拍車をかけるとされています。

そこに、日中の活動量の少なさや、入院・転居といった環境の変化が重なると、昼と夜の感覚がさらにあいまいになりやすいといわれています。原因は一つとは限らず、いくつかが同時に影響していることも珍しくありません。

主な原因具体的な内容気づきやすいポイント
加齢による睡眠の変化深い眠りが減り夜中に目が覚めやすくなる、メラトニンの分泌が減るなど以前と比べて眠りが浅く、途中で目覚める回数が増えていないか
認知症による体内時計の機能低下体内時計を司る脳の機能や、日中の光を感じる力そのものが弱くなる白内障など目の病気の有無、日中に日光を浴びる機会があるか
日中の活動量不足外出や会話の機会が減り、日中にうとうとする時間が増えるデイサービスに行かない日ほど、昼夜逆転が強く出ていないか
環境の変化(入院・転居など)入院や施設入所、部屋の模様替えなど、なじみのない環境への変化変化の直後から数日〜数週間、落ち着かない様子が続いていないか

原因は複数が重なっていることも多く、1つに決めつけずに振り返ってみることが大切です(2026年時点の一般的な整理)。

今日から日中にできる工夫には、どのようなものがありますか?

結論起床後にカーテンを開けて日光を浴びることと、散歩や家事など日中の活動量を増やすことが、体内時計を整える基本とされています。昼寝は30分以内を目安にすると、夜の睡眠への影響を抑えやすいといわれています。

体内時計は、朝に光を浴びることでリセットされやすいとされています。天気が悪い日でも、カーテンを開けて外の明るさを取り込むだけで一定の効果が期待できるとされ、難しい準備をしなくても今日から始められる工夫です。

日中はできるだけ座りっぱなし・寝たきりの時間を減らし、家事の手伝いや短い散歩、デイサービスでのレクリエーションなど、体を動かす機会をつくることが勧められています。疲れすぎない範囲で活動量を増やすことが、夜の自然な眠気につながるとされています。

時間帯試したい工夫ポイント
起床後すぐカーテンを開けて日光を取り込む、窓際で朝食をとる毎日同じくらいの時刻に起こすことも、リズムを整える助けになります
午前中〜昼短い散歩、家事の手伝い、デイサービスの利用疲れすぎない範囲で、体を動かす時間をつくります
午後昼寝をとる場合は30分以内を目安にする長い昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の寝つきを妨げやすいとされています
夕方テレビの音量や照明を少しずつ落としていく夜に向けて、心身を静かなモードに切り替えていきます

個人差があるため無理のない範囲で試し、体調の変化があれば中止してください(一般的な生活習慣の工夫として厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」等を参考に整理・2026年時点)。

夜、眠りやすい環境を整えるにはどうすればよいですか?

結論就寝前1〜2時間は照明を落とし、テレビや強い光を避けること、寝る前にトイレを済ませておくこと、夕方以降のカフェインを控えることが、夜間の目覚めを減らす工夫として挙げられます。

夜に何度も起きてしまう背景には、室温や照明、トイレの回数といった環境面の要因が隠れていることもあります。就寝前は部屋の照明を落とし、テレビやスマートフォンなど強い光を発するものを控えると、寝つきやすくなるとされています。

夜中にトイレに起きて、そのまま覚醒してしまうことも少なくありません。就寝前にトイレを済ませておく、トイレまでの通路の足元を薄明かりで照らしておくといった工夫は、転倒予防にもつながります。

項目試したい工夫
照明就寝1〜2時間前から照明を落とし、テレビやスマートフォンの光を控える
室温・寝具季節に合わせて室温を調整し、体に合った寝具で寝苦しさを減らす
トイレ就寝前に済ませておき、通路は足元灯などで薄明るくして転倒を防ぐ
飲食物夕方以降のカフェイン(お茶・コーヒーなど)やアルコールを控える

症状の出方には個人差があります。工夫を続けても改善がみられないときは、後述のとおり主治医への相談も選択肢です。

介護者が眠れない状態が続くと、どのような危険がありますか?

結論介護者自身の眠れない状態が2週間以上続く場合は、介護うつや心身の共倒れに近づいているサインとされています。1つでも当てはまる項目があれば、一人で抱え込まずに相談してよい時期です。

ご本人の昼夜逆転に付き合ううちに、介護者自身の睡眠時間が削られていきます。睡眠不足が続くと、判断力や気持ちの余裕が奪われ、日中の対応がさらに難しくなるという悪循環に陥りやすいとされています。次のような様子が続いていないか、時々振り返ってみてください。

  • 夜間の対応で、まとまった睡眠が2週間以上取れていない
  • 日中もぼんやりして、家事や仕事でのミスが増えている
  • 些細なことでイライラし、強い言葉を返しそうになったことがある
  • 誰にも今の状況を話せていない、話しても分かってもらえないと感じる
  • この生活がいつまで続くのか考えると涙が出る、消えてしまいたいと感じることがある

1つでも当てはまれば、がんばりが足りないからではなく、助けを求めてよいサインです。地域包括支援センターは高齢者虐待に関する相談・通報も匿名で受け付けており、介護がつらくて手が出そうというご家族自身のSOSも相談できます。最後の項目に当てはまる場合は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で案内されている電話・SNS相談も活用してください。

医師に相談すると、どのような対応をしてもらえますか?

結論医師に相談すると、生活リズムを整える指導に加えて、状態に応じて睡眠薬や抑肝散などの漢方薬の使用を検討できる場合があるとされています。薬の選択や量は個々の状態により異なるため、必ず主治医にご相談ください。

工夫を重ねても改善が見られないときは、かかりつけ医やもの忘れ外来、認知症疾患医療センターに相談することも選択肢です。医師は、体内時計を整える生活指導に加えて、必要に応じて睡眠薬や、BPSDに用いられることがあるとされる抑肝散などの漢方薬の使用を検討することがあります。高齢の方は薬の作用が強く出たり、転倒のリスクが高まったりすることもあるため、自己判断で市販薬やサプリメントを追加するのは避け、必ず主治医・かかりつけ医に相談しながら進めてください。

また、これまでなかった強い混乱や眠気が数時間から数日という短い期間で急に現れた場合は、認知症の症状というより、感染症などをきっかけとした「せん妄」の可能性も考えられるとされています。発熱や強い意識のもうろう感、けいれんを伴う場合は、様子を見ずに主治医へ連絡するか、症状が重ければ119番(救急)への連絡を検討してください

家庭での対応に限界を感じたら、どのような選択肢がありますか?

結論在宅での対応が難しいと感じたら、ショートステイ(短期入所生活介護)での一時的な休息のほか、要支援2以上が目安のグループホーム、介護付き有料老人ホームへの入居が選択肢になります。高額介護サービス費により、一般的な所得の世帯では自己負担の上限は月44,400円です。

工夫を重ねても昼夜逆転が続き、介護者の睡眠不足が解消されないときは、施設の力を借りることも前向きな選択肢の一つです。ショートステイ(短期入所生活介護)は、介護者の休息(レスパイト)自体が正式な利用目的として認められており、数日単位から利用できます。高額介護サービス費により、一般的な所得の世帯では介護サービスの自己負担の上限は月44,400円となるため、利用を増やしても負担が際限なく膨らむわけではありません。

在宅での対応そのものが難しくなってきたと感じたら、認知症ケアに特化したグループホーム(認知症対応型共同生活介護)や、夜間の見守り体制を備えた介護付き有料老人ホームへの入居も選択肢です。介護度がさらに重くなった場合には、原則要介護3以上が目安の特別養護老人ホーム(特養)も候補になります。

選択肢特徴主な条件の目安
ショートステイ(短期入所生活介護)数日〜1週間程度の短期入所で、介護者の休息を目的に利用できる要介護・要支援認定があれば利用可(自己負担1〜3割+食費等)
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)5〜9人の少人数ユニットで、夜間も職員が常駐し認知症ケアに特化要支援2以上+医師による認知症の診断+原則同一市区町村に住民票
介護付き有料老人ホーム24時間の職員体制があり、夜間の見守りにも対応する施設が多い施設により自立〜要介護5まで幅広く受け入れ(体制は施設ごとに異なる)
特別養護老人ホーム(特養)介護度が重い方向けの公的な施設で、夜間も職員が常駐原則要介護3以上(要介護1・2は特例入所のみ)

条件・費用は2026年時点の一般的な目安で、施設ごとに異なります。高額介護サービス費により、一般的な所得の世帯では介護サービスの自己負担上限は月44,400円です。入居の可否は個別の状況により判断されます。

施設の夜間の体制は、何を確認すればよいですか?

結論見学や問い合わせの際は、夜勤の職員数、夜間の巡回や見守りの頻度、体調急変時の医療連携の3点を具体的に確認すると、施設の実力が見えやすくなります。

施設だからといって、すべてが同じように夜間対応をしているわけではありません。同じ種別の施設でも、夜勤の人数や巡回の頻度は施設ごとに差があるため、見学の際に具体的な数字で確認しておくと安心です。

介護の窓口の相談現場では、「夜中に何度も起こされて、もう限界」というご家族から、症状の出方を具体的に伺ったうえで、夜間の人員体制や認知症ケアの実績がある施設をご紹介するご相談を数多くお受けしています。情報収集だけの段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。

  • 夜勤の職員は何人体制か、入居者数に対して何人が目安か
  • 夜間、居室やフロアをどのくらいの頻度で巡回しているか
  • 昼夜逆転や大声・興奮といった症状の受け入れ実績があるか
  • 体調が急変したとき、提携する医療機関へどのようにつながるか

今日、何から始めればよいですか?

結論今日はカーテンを開けて日光を浴びる、日中の活動を少し増やすといった小さな一歩から始めてください。介護者ご自身の睡眠不足が2週間以上続く場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談を後回しにしないことが大切です。

昼夜逆転は、原因への理解と環境の工夫によって和らぐことがあるとされていますが、すぐにすべてが解決するとは限りません。今日からできる小さな工夫を積み重ねながら、つらさが続くときは我慢せず専門職に頼ってよいのだと、心のどこかに置いておいてください。

要介護1〜5の方はケアマネジャー、要支援1・2や未認定の方は地域包括支援センターが、ケアプランの見直しやサービス調整の相談窓口です(いずれも自己負担なし)。施設探しに迷ったときは、介護の窓口の相談員が、ご状況に合わせて無料でお手伝いします。

よくある質問

一言でいうと、昼夜逆転とはどのような症状ですか?

一言でいうと、認知症により体内時計を司る脳の機能が乱れ、夜間に眠れず日中に強い眠気が出てしまう状態のことです。BPSD(行動・心理症状)の一つとされ、原因への対応や環境の工夫で和らぐことがあります。

昼夜逆転は認知症が進行しているサインですか?

進行そのものよりも、加齢による睡眠の変化や日中の活動量不足、環境の変化への反応として現れていることが多いとされています。急に症状が強まった場合は、体調不良や感染症が隠れていないか、主治医・かかりつけ医にご相談ください。

日中に少し寝かせても大丈夫ですか?

短い昼寝であれば問題ないとされていますが、30分程度までを目安にし、夕方以降の長い昼寝は避けるほうが、夜の寝つきへの影響を抑えやすいといわれています。

睡眠薬を使うと認知症が進んでしまいますか?

薬の影響は個々の状態により異なり、一概にはお答えできません。高齢の方は薬の作用が強く出たり転倒のリスクが高まったりすることもあるため、自己判断で市販薬を使わず、必ず主治医にご相談のうえで検討してください。

介護者が眠れない状態は、いつまで我慢すればいいですか?

我慢する必要はありません。睡眠不足が2週間以上続く、日中のミスが増えている、消えてしまいたいと感じるといった様子が一つでもあれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してよいタイミングです。

ショートステイやグループホームは、昼夜逆転があっても利用できますか?

利用できることが多いです。ショートステイ(短期入所生活介護)は介護者の休息も正式な利用目的として認められています。グループホーム(要支援2以上+認知症の診断が条件)にも、夜間対応の実績がある施設があります。事前に症状を具体的に伝えることが、合う施設に出会う近道です。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「認知症施策推進大綱」
  • 厚生労働省「認知症施策推進基本計画」(2024年12月)
  • 認知症介護研究・研修センター「認知症介護情報ネットワーク(DCnet)」
  • 国立長寿医療研究センター

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