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最終更新: 2026-07-04

若年性認知症とは

若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症の総称です。全国推計約3.57万人・平均発症年齢およそ54歳という調査結果をもとに、高齢発症との違い、初期サイン、傷病手当金や障害年金など使える制度、仕事とお金の段取り、施設選びまでご家族向けにやさしく解説します。

この記事の要点

  • 若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症の総称で、全国に約3.57万人、平均発症年齢はおよそ54歳という全国調査の結果があります(2026年時点)。
  • 現役世代での発症のため、収入の減少・住宅ローン・子どもの教育費など、経済面への影響が高齢発症より大きいのが特徴です。
  • 傷病手当金・障害年金・自立支援医療などを組み合わせて負担を軽くでき、介護保険も40歳以上なら特定疾病(初老期における認知症)として利用できます。
  • 各都道府県に若年性認知症支援コーディネーターが配置されており、制度の申請順序や職場との調整を無料で相談できます。
  • 診断されてもすぐに退職せず、休職制度や傷病手当金を確認してから今後の働き方を決めるのが一般的です。

若年性認知症とは?65歳未満で発症する認知症の総称です

結論若年性認知症とは、65歳未満で発症した認知症の総称です。全国に約3.57万人いると推計され、平均発症年齢はおよそ54歳、働き盛りの50歳代での発症が中心という調査結果があります。

認知症というと高齢の方の病気というイメージがありますが、若年性認知症は18〜64歳で発症した認知症をまとめて呼ぶ言葉です。特定の病名ではなく発症年齢による区分のため、原因となる病気はさまざまで、診断や治療の基本は高齢で発症する認知症と共通する部分が多くあります。

国の研究事業として行われた全国調査(2017〜2019年度)では、若年性認知症の方は全国に約3.57万人、平均発症年齢はおよそ54歳と報告されました。18〜64歳人口10万人あたり50.9人という割合で、決してまれな病気ではありません(2026年時点で公表されている最新の全国推計)。

原因となる病気の内訳は次のとおりで、アルツハイマー型認知症が約半数を占めています。

  • アルツハイマー型認知症: 約52.6%で最も多い
  • 血管性認知症: 約17.1%
  • 前頭側頭型認知症: 約9.4%
  • 頭部外傷による認知症: 約4.2%
  • レビー小体型認知症・パーキンソン病による認知症: 約4.1%

出典: 東京都健康長寿医療センター研究所による全国調査(2017〜2019年度実施)の推計値です。割合は概数で示しています。

高齢で発症する認知症との違いは?経済面の影響が大きいのが特徴

結論症状の現れ方に加えて、就労中の発症による収入の減少、住宅ローンや子どもの教育費といった経済面・生活面への影響が大きい点が、高齢発症との最も大きな違いです。

若年性認知症の方の多くは、発症した時点で仕事を持ち、家計の中心を担っています。全国調査では、発症時に働いていた方の多くがその後退職していたという結果も報告されており、収入減少への備えを介護の準備と同じくらい早い段階から考えることが大切です。

また、ご本人が若いぶん、親の介護と時期が重なる、配偶者も働いている、お子さんがまだ学生といった状況が起こりやすく、ご家族全体の生活設計に関わる点も高齢発症とは異なる特徴です。

項目若年性認知症(65歳未満)高齢発症の認知症(65歳以上)
発症年齢18〜64歳(平均およそ54歳)65歳以上で年齢とともに増加
気づかれ方仕事のミスなど職場で気づかれることが多い物忘れなど生活の場面で家族が気づくことが多い
経済面の影響収入減少・住宅ローン・教育費など影響が大きい年金収入が中心で就労への影響は小さい
主に使う制度傷病手当金・障害年金・介護保険(40歳以上)など複数介護保険が中心
介護の担い手働いている配偶者や学生の子どもになりやすい配偶者や成人した子どもが中心

一般的な傾向を整理した比較です。症状や生活への影響には個人差が大きく、あてはまらない場合もあります。

初期サインは?仕事のミスが増えるなど職場での変化に注意

結論若年性認知症の初期サインは、仕事のミスや段取りの悪さなど職場での変化として現れることが多く、うつ病や更年期障害と間違われやすい点に注意が必要です。

現役世代は日々の業務が複雑なぶん、記憶や判断の小さな変化が家庭よりも先に仕事の場面に現れやすいといわれます。意欲の低下などから、うつ病や更年期障害と間違われて診断が遅れるケースが少なくないため、次のような変化が続くときは、もの忘れ外来や認知症疾患医療センターなど専門の医療機関に相談すると安心です。

  • 同じことを何度も確認する、会議や約束を忘れる
  • 慣れた業務の手順がわからなくなる、段取りが悪くなる
  • 書類の記入ミスや計算の間違いが増える
  • 通い慣れた道で迷う、車の運転に不安が出る
  • 意欲が湧かない、身だしなみに構わなくなる
  • 怒りっぽくなるなど、人柄が変わったように見える

上記はあくまでサインの一例です。ほかの病気でも同じような症状は起こるため、自己判断せず受診して確認することが大切です。

若年性認知症で使える制度は?一覧表でチェック

結論医療費を抑える自立支援医療、収入を補う傷病手当金や障害年金、介護サービスを受けるための介護保険など、複数の制度を段階に応じて組み合わせて使うのが一般的です。

介護保険は65歳未満でも、40歳以上であれば特定疾病(初老期における認知症)として要介護認定を申請できます。認定を受ければ、デイサービス(通所介護)や訪問介護(ホームヘルプ)などを高齢の方と同じ仕組みで利用できます。39歳以下で発症した場合は介護保険の対象外ですが、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスを利用できる場合があります。

主な制度と窓口は次の表のとおりです。どれから申請すべきか迷ったら、後述の若年性認知症支援コーディネーターに相談すると、状況に合わせて整理してもらえます。

制度内容の目安主な窓口
自立支援医療(精神通院医療)認知症の通院医療費の自己負担が原則1割に軽減される市区町村の障害福祉窓口
精神障害者保健福祉手帳税の軽減や各種割引など。初診からおおむね6か月後に申請可能市区町村の障害福祉窓口
傷病手当金会社員などが働けない間、給与のおよそ3分の2を通算1年6か月まで支給勤務先・加入している健康保険
障害年金初診日から原則1年6か月たつと請求可能。障害基礎年金と障害厚生年金がある年金事務所・市区町村の年金窓口
介護保険サービス40歳以上なら特定疾病(初老期における認知症)として要介護認定を申請できる市区町村の介護保険窓口・地域包括支援センター

2026年時点の一般的な内容の目安です。支給額や要件は加入している健康保険・年金の種類や病状により異なります。出典: 全国健康保険協会・日本年金機構・厚生労働省の各資料。

若年性認知症支援コーディネーターとは?各都道府県の無料相談窓口

結論若年性認知症支援コーディネーターとは、若年性認知症のご本人とご家族を専門に支援する相談員のことで、各都道府県と一部の指定都市に配置されています。相談は無料です。

国の認知症施策にもとづき、すべての都道府県に若年性認知症支援コーディネーターが配置されており、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県にも専門の相談窓口があります。医療・介護・障害福祉・雇用と複数の分野にまたがる手続きをまとめて相談でき、制度を申請する順番や勤務先との話し合いの進め方についても助言が受けられます。

このほか、全国どこからでも電話で相談できる若年性認知症コールセンターや、お住まいの地域ごとの地域包括支援センター、認知症の人と家族の会などの家族会も心強い相談先です。診断の直後から利用できる窓口なので、お一人で抱え込む前に早めに相談することをおすすめします。

仕事とお金の段取りはどう進める?退職を急がないのが基本

結論診断されてもすぐに退職しないことが大切です。まず職場の休職制度や配置転換の可能性を確認し、傷病手当金・障害年金へと順につないでいく流れが一般的です。

退職してしまうと、傷病手当金のように在職中であることが前提の制度を使えなくなる場合があります。まずは主治医と相談したうえで産業医や人事担当に伝え、業務内容の調整、休職、障害者雇用への切り替えといった選択肢を確認しましょう。職場に伝える範囲やタイミングは、支援コーディネーターと相談してから決めても遅くありません。

住宅ローンが残っている場合は、団体信用生命保険(団信)の契約内容も確認します。契約によっては、高度障害状態と認定された場合に残りの返済が不要になることがあるため、早めに金融機関へ問い合わせると安心です。

時期の目安やることの例
診断の前後若年性認知症支援コーディネーターに相談。自立支援医療を申請して通院費の負担を軽くする
在職中休職や配置転換を職場と相談。住宅ローンの団体信用生命保険の条件を確認
長期の休みに入るとき傷病手当金を申請(通算1年6か月まで)。初診から6か月たてば精神障害者保健福祉手帳も検討
初診から1年6か月ごろ障害年金を請求。40歳以上なら介護保険の要介護認定を申請
生活が変わってきたら介護保険や障害福祉のサービスを組み合わせ、必要に応じて施設入居も検討

一般的な流れの一例です(2026年時点)。実際の順序やタイミングは、勤務先の制度や病状の経過によって異なります。

家族(配偶者・子ども)のケアはどうする?

結論配偶者には仕事と介護を両立するための制度活用、お子さんには気持ちと進路のフォローが必要です。家族だけで抱え込まず、家族会や学校も含めた支え合いの体制づくりが大切です。

配偶者の方は、家計を支えながら介護も担う立場になりがちです。介護休業(対象家族1人につき通算93日まで・3回まで分割取得)や介護休暇、短時間勤務などの両立支援制度は、要介護状態の家族がいれば利用できるのが一般的です。まずは勤務先に制度を確認してみましょう。

お子さんが学生の場合、親の変化への戸惑いや進学費用への不安を一人で抱えてしまうことがあります。年齢に応じた言葉で病気のことを説明し、学校の先生やスクールカウンセラー、奨学金制度も活用しながら、子どもが介護を背負いすぎない(ヤングケアラーにならない)環境づくりを意識したいところです。

相談現場では、配偶者の方が仕事を辞めて介護に専念しようと考えるご相談をよくお受けします。ただ、ご本人の収入減に配偶者の退職が重なると家計への影響がとても大きくなるため、介護休業や在宅サービスを組み合わせて、お仕事を続けながら支える形をまず一緒に検討することが多いです。ご本人が若く体力があるぶん在宅で過ごす期間も長くなりやすいので、長く続けられる無理のない体制づくりが何より大切だと感じています。

施設・サービス選びのポイントは?若い方の受け入れ実績を確認

結論施設やデイサービスを選ぶときは、若年性認知症の方の受け入れ実績があるかを必ず確認します。介護保険の施設・サービスは、40歳以上で要介護認定を受けていれば利用できます。

介護施設やデイサービスの利用者は80歳代が中心のため、活動内容や話題が合わず、若い方にはなじみにくいことがあります。見学の際は、受け入れ実績に加えて、体を動かすプログラムや役割を持って過ごせる活動があるか、ご本人が落ち着ける雰囲気かを確認すると安心です。

主な選択肢は次の表のとおりです。若年性認知症の方の受け入れ実績が豊富な施設は地域の中でも限られるため、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県でお探しの際は、受け入れ実績や空き状況を相談員が無料でお調べします。

施設・サービス特徴入居・利用の目安
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)認知症の方専門の少人数ケア。家庭的な環境40歳以上・要支援2または要介護1以上。施設と同じ市区町村に住民票が必要
介護付き有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム)介護職員が24時間常駐。施設ごとに入居条件が異なる40歳以上の特定疾病該当者を受け入れる施設もある(要確認)
特別養護老人ホーム(特養)公的施設で費用を抑えやすい。長期入居向き原則要介護3以上
介護老人保健施設(老健)リハビリを行いながら在宅復帰を目指す要介護1以上。入所は数か月単位が目安
デイサービス(通所介護)など在宅サービス自宅で暮らしながら日中の活動の場を持てる要介護・要支援の認定を受けていれば利用可

2026年時点の一般的な目安です。若年性認知症の方の受け入れ可否や実績は施設ごとに異なるため、見学時に必ずご確認ください。

よくある質問

若年性認知症は何歳から何歳までの認知症を指しますか?

18歳から64歳までに発症した認知症を指すのが一般的です。全国調査では平均発症年齢はおよそ54歳で、50歳代での発症が中心という結果でした。65歳以上で発症した場合は、高齢発症の認知症として同じ介護保険の仕組みで支援を受けます。

若年性認知症でも介護保険は使えますか?

40歳以上であれば使えます。若年性認知症は介護保険の特定疾病(初老期における認知症)に含まれるため、40〜64歳の方も市区町村に要介護認定を申請できます。39歳以下の場合は介護保険の対象外ですが、障害福祉サービスを利用できる場合があります。

若年性認知症と診断されたら仕事はすぐ辞めるべきですか?

すぐに辞めないほうがよいのが一般的です。退職すると、傷病手当金のように在職中であることが前提の制度を使えなくなる場合があります。まず休職や配置転換を職場に相談し、若年性認知症支援コーディネーターにも申請の段取りを相談することをおすすめします。

若年性認知症の初期症状にはどんなものがありますか?

仕事のミスや物忘れが増える、段取りが悪くなる、慣れた道で迷うなどが代表的です。意欲の低下からうつ病や更年期障害と間違われることも多いため、気になる変化が続く場合は、もの忘れ外来など専門の医療機関で確認すると安心です。

若年性認知症の相談はどこにすればよいですか?

各都道府県に配置されている若年性認知症支援コーディネーターが専門の相談窓口です。電話で相談できる若年性認知症コールセンターや、お住まいの地域包括支援センターでも相談できます。いずれも無料で利用できます。

若年性認知症の人はグループホームに入居できますか?

条件を満たせば入居できます。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、40歳以上で特定疾病による要支援2または要介護1以上の認定があれば対象になります。施設と同じ市区町村に住民票があることが条件で、若い方の受け入れ実績は施設ごとに異なるため、事前の確認が大切です。

参考(一次情報)

  • 東京都健康長寿医療センター研究所「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」
  • 厚生労働省「若年性認知症支援コーディネーター配置のための手引書」
  • 厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」
  • 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
  • 日本年金機構「障害年金ガイド」

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