最終更新: 2026-07-04
グループホームと老人ホームの違い|対象者・費用・生活を比較
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)と老人ホームの違いを、対象者・定員・生活スタイル・住民票・費用の5項目の比較表で解説。1日の暮らしの例、向き不向きの判断軸、看取りや住み替え、見学時の確認ポイントまで、はじめての方にやさしくご案内します。
この記事の要点
- グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の方専用に5〜9人のユニットで共同生活を送る住まいです
- 老人ホームとの最大の違いは、対象者(認知症の診断が必要)・生活スタイル(家事を分担する共同生活)・地域限定(原則同じ市区町村)の3点です
- 月額はおよそ12〜18万円が目安で、介護付有料老人ホームより費用を抑えやすい傾向があります(2026年時点)
- 看護師の配置義務がないため、重度化・看取りへの対応はホームごとに差があり、住み替えの可能性も入居前の確認が大切です
- 見学は食事どきがおすすめ。入居者の表情・家事参加の様子・退去要件・費用の内訳を確認しましょう
グループホームと老人ホームは何が違う?まず結論から
結論グループホームは認知症の方専用の少人数の住まいで、老人ホームとの最大の違いは、対象者(認知症の診断が必要)・生活スタイル(家事を分担する共同生活)・地域限定(原則同じ市区町村)の3点です。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の診断を受けた高齢者が、5〜9人の少人数のユニットで、介護スタッフの支援を受けながら料理や掃除などの家事を分担し、共同生活を送る住まいです。介護保険の地域密着型サービスに位置づけられ、住み慣れた地域で暮らし続けることを目的としています(厚生労働省の制度資料より・2026年時点)。
一方の「老人ホーム」は特定の施設を指す言葉ではなく、有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)など、高齢者向けの住まい全体を指す総称として使われることが一般的です。この記事では、グループホームと代表的な老人ホームとの違いを順番に整理していきます。
両者を分けるのは対象者・生活スタイル・地域限定の3点です。グループホームは認知症の方だけが対象で、家庭に近い環境での共同生活が基本。さらに、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方しか入居できないという地域のしばりがあります。
なお「グループホーム」という名称は、障害のある方向けの共同生活援助という別の制度でも使われています。この記事で扱うのは、高齢者の認知症ケアを目的とした介護保険のグループホームです。
グループホームと老人ホームの違いが一目でわかる比較表
結論対象者・定員・生活スタイル・住民票・費用の5つの視点で比べると、違いがはっきり見えてきます。まずは全体像を表でご確認ください。
表のとおり、グループホームは「認知症」「少人数」「地域限定」という3つのキーワードで特徴づけられる住まいです。どちらが良い・悪いではなく、どちらがご本人に合うかという視点で、次の章からそれぞれの違いをくわしく見ていきましょう。
| 比較項目 | グループホーム | 一般的な老人ホーム(有料老人ホーム・特養など) |
|---|---|---|
| 対象者 | 認知症の診断+原則要支援2以上 | 施設により異なる(自立〜要介護5まで幅広い) |
| 定員・規模 | 1ユニット5〜9人(1事業所は最大3ユニットまで) | 数十人〜100人を超える規模の施設もある |
| 生活スタイル | 料理や掃除などの家事を分担する共同生活 | スタッフからサービスの提供を受ける生活が中心 |
| 住民票 | 原則、施設と同じ市区町村にあることが必要 | 地域の制限は原則なし |
| 制度上の位置づけ | 地域密着型サービス(介護保険) | 施設の種別により異なる |
| 月額費用の目安 | 約12〜18万円 | 約10〜30万円(種別・地域により差が大きい) |
厚生労働省の制度資料をもとに作成した2026年時点の目安です。費用は家賃・食費などの実費と介護保険の自己負担(1〜3割)を含む概算で、地域や施設により異なります。
対象者の違い:認知症の診断と要支援2以上が入居の条件
結論グループホームに入居できるのは、医師から認知症の診断を受け、要支援2または要介護1以上の認定を受けた方です。一般の老人ホームの条件は施設ごとに異なります。
グループホームの入居には医師による認知症の診断が必要です。介護保険上は、要支援2の方は介護予防認知症対応型共同生活介護、要介護1以上の方は認知症対応型共同生活介護というサービスを利用する形になり、要支援1の方は対象外です(厚生労働省・2026年時点)。
さらに地域密着型サービスであるため、原則として施設と同じ市区町村に住民票があることが求められます。別の市区町村のホームに入りたい場合は住民票を移してからの申し込みになりますが、自治体によっては一定期間の居住実績を求めることもあるため、事前の確認が安心です。
年齢は原則65歳以上ですが、初老期における認知症(若年性認知症)と診断された40〜64歳の方(第2号被保険者)も対象になります。
一方、老人ホーム側の条件は種別によりさまざまです。特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上、介護付有料老人ホームは自立から要介護まで施設ごとに幅広く受け入れています。認定区分の目安は「要介護認定の区分早わかり表」の記事もあわせてご覧ください。
- 医師による認知症の診断を受けていること
- 要支援2または要介護1以上の認定を受けていること
- 原則として、施設と同じ市区町村に住民票があること
- 少人数での共同生活に大きな支障がないこと(基準はホームにより異なります)
生活スタイルの違い:グループホームの1日の暮らしの例
結論グループホームでは、入居者が料理や洗濯などの家事をスタッフと分担しながら、家庭に近いリズムで1日を過ごします。サービスを受けることが中心の老人ホームとの大きな違いです。
こうした暮らしの背景には、家事への参加そのものがリハビリとなり、認知症の症状の安定につながるという考え方があります。できることを取り上げず、役割を持ち続けられることがグループホームの持ち味です。
また、少人数のユニットでスタッフや入居者同士がなじみの関係を築きやすく、環境の変化が苦手な認知症の方も落ち着いて過ごしやすいとされています。大規模な老人ホームは設備やイベントが充実している反面、人の出入りの多さが負担になる方もいらっしゃいます。外出や面会のルールもホームごとに違うため、暮らしの自由度を知る手がかりになります。
| 時間帯 | 過ごし方の例 |
|---|---|
| 7:00頃 | 起床・洗面・身支度(必要な部分をスタッフが支援) |
| 8:00頃 | 朝食。配膳や食器の片づけをスタッフと一緒に行う |
| 10:00頃 | 体操や散歩、洗濯物たたみなどの家事 |
| 12:00頃 | 昼食。野菜の下ごしらえなど調理のお手伝い |
| 14:00頃 | レクリエーションや近所への買い物、お茶の時間 |
| 18:00頃 | 夕食のあとは、テレビや談話でゆっくり過ごす |
| 21:00頃 | 就寝。夜間もスタッフが常駐して見守り |
あくまで一例です。1日の流れや家事への関わり方はホームごとに異なります。
費用の違いはどれくらい?月額の目安を比較
結論グループホームの月額はおよそ12〜18万円が目安で、介護付有料老人ホームより抑えやすい水準です。ただし、所得に応じた軽減制度は特養のほうが手厚くなっています。
グループホームの月額の内訳は、家賃・食費・水道光熱費などの実費に、介護保険の自己負担を加えたものです。介護サービス費の自己負担は、2024年度介護報酬改定後の基本報酬をもとにすると、1割負担で月およそ2.3万〜2.6万円(30日換算・各種加算を除く概算)が目安です(厚生労働省・2026年時点)。
注意したいのは、グループホームは特養などの介護保険施設と違い、食費・居住費の負担限度額認定(補足給付)の対象外である点です。一方、介護サービス費の自己負担が一定額を超えた分が戻る高額介護サービス費は、グループホームの利用分も対象です。費用の全体像や軽減制度のしくみは「老人ホームの費用」の記事でくわしく解説しています。
| 施設種別 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 0〜20万円程度(敷金など) | 約12〜18万円 |
| 介護付有料老人ホーム | 0〜数百万円(入居一時金) | 約15〜30万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 0〜数十万円 | 約10〜25万円+介護サービス費 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則0円 | 約9〜15万円(所得により軽減あり) |
2026年時点の全国的な目安(公的資料と民間調査をもとにした概算)です。地域・居室タイプ・要介護度により変わり、都市部はやや高めの傾向があります。
グループホームと老人ホーム、どちらが向いている?判断の軸
結論認知症の診断があり、少人数の落ち着いた環境で役割を持って暮らしたい方はグループホームが、医療ケアや夫婦での入居など幅広いニーズには老人ホームが向いています。
迷ったときは、本人が安心して過ごせる環境はどちらかを軸に考えるのがおすすめです。にぎやかな場が好きな方か、静かな環境で落ち着く方かによっても、合う住まいは変わります。施設の種類全体を整理したい方は「老人ホームの種類一覧」の記事が参考になります。
候補選びに迷うときは、介護の窓口の相談員がご本人の状態に合わせて無料でお調べしますので、お気軽にご相談ください。
- グループホーム向き:認知症の診断があり、要支援2以上の認定を受けている
- グループホーム向き:大人数の場が苦手で、少人数の落ち着いた環境が合う
- グループホーム向き:料理や掃除など、できる家事や役割を続けたい
- 老人ホーム向き:認知症以外の理由で介護が必要、または夫婦で一緒に入居したい
- 老人ホーム向き:たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアが日常的に必要
- 老人ホーム向き:住民票のある市区町村の外(お子さまの近くなど)で探したい
重度化や看取りへの対応は?住み替えの可能性も知っておく
結論グループホームは看護師の配置が義務ではないため、看取りまで対応できるかはホームごとに大きく異なります。重度化した場合の住み替えの可能性も、入居前に確認しておくと安心です。
グループホームには医師や看護師の配置義務がなく、医療的ケアへの対応力は、訪問看護や協力医療機関との連携体制などホームによって差があります。医療連携体制加算や看取り介護加算を算定して最期まで支える方針のホームがある一方、常時の医療ケアが必要になった段階で住み替えをお願いされるホームもあるのが実情です。
住み替え先としては、特別養護老人ホーム(特養)や介護医療院、医療体制の手厚い介護付有料老人ホームなどが候補になります。退去要件(どんな状態になったら住み替えが必要か)を入居前に書面で確認しておくことが、あとあとのすれ違いを防ぐポイントです。入院が長引いた場合に居室を確保しておけるのか、その間の月額費用はどうなるのかも、あわせて聞いておきたい点です。
見学時に確認したいポイントは?
結論見学では、入居者の表情や家事に参加している様子、医療連携と退去要件、費用の内訳の4点を中心に確認するのがおすすめです。
相談現場では、パンフレットだけで決めずに、食事の時間帯に見学して入居者と職員のやり取りを見ることをおすすめしています。認知症ケアの質は、設備や掲示物よりも、職員が入居者の言葉にどう耳を傾けているかに表れやすいためです。また、グループホームは定員が少なく空きが出にくいので、複数のホームへ並行して申し込んでおくご家族が多い印象です。
お住まいの市区町村で入居できるホームの候補や空き状況は、相談員が無料でお調べします。住民票の要件をふまえた探し方から、どうぞお気軽にご相談ください。
- 入居者の表情が穏やかで、職員の声かけがていねいか
- 入居者が家事や役割に自然に参加できているか
- 協力医療機関・訪問看護との連携内容と、看取りの方針
- 退去要件(入院が長引いた場合や医療ケアが必要になった場合の扱い)
- 月額費用の内訳と、介護保険の加算・おむつ代などの実費
- 空き状況と待機期間(1ユニット9人以下のため満室のことも多い)
よくある質問
グループホームは認知症でなくても入居できますか?
原則として入居できません。グループホームは認知症対応型共同生活介護という介護保険サービスで、医師による認知症の診断が入居の要件とされているためです。認知症以外の理由で介護が必要な場合は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが選択肢になります。
グループホームの費用は月いくらくらいかかりますか?
全国的にはおよそ12〜18万円が月額の目安です(2026年時点)。内訳は家賃・食費・水道光熱費などの実費と、介護保険の自己負担(1割の場合で月2万円台が目安)です。入居一時金は0〜20万円程度のホームが多く、有料老人ホームに比べて初期費用を抑えやすい傾向があります。
住民票が施設と別の市区町村にあると入居できませんか?
グループホームは地域密着型サービスのため、原則として施設と同じ市区町村に住民票が必要です。入居したいホームが別の市区町村にある場合は、住民票を移すことで入居できることもありますが、一定期間の居住実績を求める自治体もあります。事前に施設や市区町村の窓口に確認しておくと安心です。
グループホームと特別養護老人ホーム(特養)の違いは何ですか?
特養は原則要介護3以上の方が対象の介護保険施設で、規模が大きく、所得に応じた費用軽減が手厚いのが特徴です。グループホームは認知症の方専用で、要支援2から入居でき、9人以下の少人数ユニットで共同生活を送ります。認知症が軽度〜中等度のうちはグループホームで暮らし、重度化したら特養へ住み替えるという流れも珍しくありません。
要介護度が上がったらグループホームを退去しなければなりませんか?
一律に退去となるわけではなく、対応はホームによって異なります。看取りまで支える方針のホームもあれば、常時の医療的ケアが必要になった時点で住み替えをお願いされるホームもあります。契約前に退去要件と、これまでの看取りの実績を確認しておきましょう。
グループホームに夫婦で一緒に入居できますか?
居室は個室が基本で、入居にはお二人それぞれに認知症の診断が必要なため、夫婦で同じユニットに入るのは難しい場合が多いです。どちらかに認知症がない場合は、夫婦で入れる居室のある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も含めて検討するのがおすすめです。
参考(一次情報)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会資料「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?(認知症対応型共同生活介護)」
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
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