最終更新: 2026-07-05
介護医療院とは
介護医療院とは、長期の医療と介護、生活の場を一体で提供する2018年創設の介護保険施設です。I型とII型の違い、要介護1以上などの入所条件、療養型病院や特養・老健との違い、月9〜17万円が目安の費用と入所の流れをやさしく解説します。
この記事の要点
- 介護医療院とは、長期の医療と介護、生活の場を一体で提供する介護保険施設です(2018年創設)
- 対象は原則要介護1以上で、たんの吸引や経管栄養など継続的な医療的ケアが必要な方です
- I型は医療の必要度が高い方向け、II型は老健相当で比較的容体が安定した方向けです
- 費用は介護保険の自己負担+居住費+食費で月9〜17万円が目安。補足給付や高額介護サービス費で軽減できます
- 全国917施設(2024年)とまだ少なく地域差が大きいため、病院の相談員やケアマネジャーと早めに動くのが安心です
介護医療院とは?どんな施設ですか?
結論介護医療院とは、長期にわたって医療と介護の両方を必要とする方に、日常的な医学管理や看取りと、生活の場としての機能を一体で提供する介護保険施設です。2018年(平成30年)4月に創設されました。
介護が必要になった親御さんの退院先を探していると、病院でもなく、いわゆる老人ホームとも少し違う「介護医療院」という名前を目にすることがあります。介護医療院は、医師や看護師による医療体制と、介護職員による日常の介護、そして住まいとしての暮らしをひとつの施設でまとめて担うのが最大の特徴です。たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを受けながら、長期間生活することができます。
創設の背景には、2024年3月末で廃止された介護療養型医療施設(介護療養病床)があります。その主な移行先として2018年に生まれたのが介護医療院で、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)と並ぶ介護保険施設のひとつです。公的な位置づけの施設のため、費用のしくみや負担軽減の制度にも共通点が多くあります。
実際の施設は病院や診療所に併設されていることが多く、建物の見た目は病院に近いこともあります。一方で、療養室はパーテーションや家具の配置でプライバシーに配慮した造りとされ、レクリエーションや季節の行事など、生活の場としての取り組みが行われるのが一般的です。
I型とII型の違いは?
結論介護医療院にはI型とII型の2種類があり、I型は医療の必要度が高い方向け、II型は比較的容体が安定した方向けです。どちらも医師・看護師が配置されています。
I型はかつての介護療養病床(療養機能強化型)に相当し、重篤な身体疾患のある方や、身体合併症のある認知症高齢者など、常時の医学管理が必要な方を主な対象としています。II型は介護老人保健施設(老健)相当の体制で、I型ほどの医療必要度ではないものの、長期の医学管理と介護が必要な方が対象です。
どちらの型に入るかは、ご家族が自由に選ぶというより、本人の医療の必要度をもとに施設側が判定するのが一般的です。ひとつの施設の中にI型とII型の両方の療養床を持つ施設もあります。
| 項目 | I型 | II型 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 旧介護療養病床(療養機能強化型)相当 | 介護老人保健施設(老健)相当 |
| 主な対象 | 重篤な身体疾患のある方、身体合併症のある認知症の方など | I型に比べて容体が安定している方 |
| 医師の配置 | 入所者48人に対し1人以上(施設全体で3人以上) | 入所者100人に対し1人以上(施設全体で1人以上) |
| 夜間の医療体制 | 医師の宿直など手厚い体制が基本 | 医師の宿直は必須ではなく、オンコール対応などが中心 |
| 費用水準 | II型よりやや高め | I型よりやや低め |
出典: 厚生労働省の介護医療院に関する公表資料をもとに作成(2026年時点)。人員配置は基準の概要で、実際の体制は施設により異なります。
対象になるのはどんな人?入所条件
結論原則65歳以上で要介護1以上の認定を受けており、長期にわたる医療的ケアが継続的に必要な方が対象です。要支援1・2の方は入所できません。
特別養護老人ホーム(特養)の入所が原則要介護3以上とされているのに対し、介護医療院は要介護1から入所を検討できます。40〜64歳の方でも、特定疾病により要介護認定を受けていれば対象になります。
入所の目安になるのは、次のような医療的ケアが日常的に必要かどうかです。
- たんの吸引
- 経管栄養(胃ろう・鼻腔栄養など)
- インスリン注射などの血糖管理
- 在宅酸素などの酸素療法
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 看取り期(ターミナル期)の医学管理
療養型病院(医療療養病床)との違いは?
結論いちばん大きな違いは、介護医療院が介護保険の施設で「生活の場」であるのに対し、療養型病院(医療療養病床)は医療保険の病床で「治療の場」である点です。
名前が似ているため混同されやすいのですが、適用される保険制度から費用のしくみまで異なります。長期の暮らしの場を探しているなら介護医療院、治療や集中的な医学管理そのものが目的なら療養型病院、という整理が基本です。
療養型病院に長く入院していた方が、病状が落ち着いたタイミングで介護医療院へ移るケースもよくあります。どちらが合うか迷うときは、主治医や病院の医療相談員に、医療の必要度と今後の見通しを確認してみてください。
| 項目 | 介護医療院 | 療養型病院(医療療養病床) |
|---|---|---|
| 適用される保険 | 介護保険 | 医療保険 |
| 位置づけ | 生活の場を兼ねた介護保険施設(住まい) | 治療のための病床(入院) |
| 対象 | 要介護1以上で長期の医学管理が必要な方 | 医療区分などに基づき入院医療が必要な方 |
| 費用のしくみ | 介護サービス費の自己負担(1〜3割)+居住費+食費。補足給付の対象 | 医療費の自己負担(1〜3割)+食事代など。高額療養費制度の対象 |
| 暮らしの支援 | レクリエーションや行事など生活支援があるのが一般的 | 治療が中心で、生活の場としての機能は限定的 |
| 期間 | 長期の入所が前提 | 状態に応じて退院・転院の調整が行われることが一般的 |
出典: 厚生労働省資料をもとに作成(2026年時点)。自己負担割合は所得により異なります。
特養・老健との違いは?
結論同じ介護保険施設でも、特別養護老人ホーム(特養)は生活介護が中心の住まい、介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目指す施設、介護医療院は長期の医療と介護、住まいを兼ねる施設という役割の違いがあります。
3つの施設で迷ったときは、医療的ケアがどのくらい必要か、その施設で最期まで暮らしたいのかが大きな分かれ目になります。医療の必要度が高く長期の住まいを探しているなら介護医療院、生活介護が中心なら特養、リハビリをして自宅へ戻る予定なら老健、というイメージです。
| 項目 | 介護医療院 | 特別養護老人ホーム(特養) | 介護老人保健施設(老健) |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 長期の医学管理+介護+住まい | 生活介護が中心の終身の住まい | 在宅復帰のためのリハビリ |
| 入所条件 | 要介護1以上+継続的な医療的ケア | 原則要介護3以上(要介護1・2は特例入所のみ) | 要介護1以上 |
| 医療体制 | 医師・看護師を配置(I型は特に手厚い) | 医師は非常勤が多く、対応できる医療的ケアは施設差が大きい | 医師を配置(入所者100人に1人以上) |
| 入所期間 | 長期。看取りまで対応する施設が多い | 終身利用が基本 | 原則3〜6か月ごとに入退所を検討 |
| 費用の目安(月) | 約9〜17万円 | 約8〜15万円 | 約9〜17万円 |
費用は1割負担・国の基準費用額をもとにしたおおよその目安です(2026年時点)。部屋タイプ・加算・所得段階により変わります。
介護医療院の費用はいくらかかりますか?
結論介護保険の自己負担(1〜3割)に居住費・食費・日常生活費を加えた合計で、月額9〜17万円程度が目安です。所得の低い方は補足給付により居住費・食費が軽減されます。
内訳のイメージは次の表のとおりです。多床室なら月9〜12万円程度、個室・ユニット型なら月13〜17万円程度に収まるケースが多め、というのがおおまかな目安です。I型はII型より介護サービス費がやや高くなります。
負担を抑えるしくみも整っています。介護医療院は介護保険施設のため、住民税非課税世帯などは補足給付(特定入所者介護サービス費)により、居住費と食費が所得段階に応じて軽減されます。また、介護サービス費の自己負担が高額になった月は、高額介護サービス費により、一般的な世帯で月44,400円を超えた分が払い戻されます。医療と介護の負担が両方重なった年は、高額医療・高額介護合算療養費制度を使える場合もあります。
実際の金額は要介護度や部屋タイプ、加算の内容で変わります。気になる施設の概算費用は、介護の窓口の相談員が無料でお調べすることもできますので、お気軽にご相談ください。
| 費用項目 | 内容 | 月額の目安(30日で概算) |
|---|---|---|
| 介護サービス費の自己負担 | 要介護度・型(I型/II型)・部屋タイプで変動。1〜3割負担 | 約2.5〜4.5万円(1割負担の場合) |
| 居住費(室料・光熱水費) | 多床室からユニット型個室まで部屋タイプで変動 | 約1.3万〜6.2万円 |
| 食費 | 基準費用額は1日1,445円 | 約4.3万円 |
| 日常生活費など | 理美容代や嗜好品などの実費(おむつ代は保険給付に含まれます) | 約0.5〜1万円 |
| 合計 | - | 約9〜17万円 |
国が定める基準費用額(2024年8月改定)と介護報酬をもとにした概算の目安です(2026年時点)。一部の多床室では2025年8月から室料負担が導入されるなど、制度改定により金額が変わることがあります。
入所までの流れと必要な手続き
結論入院中なら病院の医療相談員(MSW)、在宅ならケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、見学・申込み・入所判定を経て契約に進むのが一般的な流れです。
介護医療院は、病院からの退院調整の中で医療相談員から紹介されて申し込むケースが多い施設です。申込みには主治医の診療情報提供書や看護サマリーなどの書類が必要になるため、病院やケアマネジャーと連携しながら進めるとスムーズです。空きがあれば数週間程度で入所できることもありますが、待機となって数か月かかる場合もあります。
空きが出るタイミングは読みにくいため、複数の施設へ並行して申し込んでおくことも珍しくありません。
| ステップ | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 相談 | 病院の医療相談員やケアマネジャーに希望を伝える | 退院期限が示される前の早めの相談が安心 |
| 2. 施設探し・見学 | 空き状況を確認し、候補の施設を見学する | 必要な医療的ケアに対応できるか必ず確認 |
| 3. 申込み | 申込書と診療情報提供書・看護サマリーなどを提出 | 書類の作成は主治医・病院に依頼 |
| 4. 入所判定 | 施設の判定会議や面談で受け入れ可否を判断 | 医療の必要度や空き状況により待機になることも |
| 5. 契約・入所 | 重要事項説明を受けて契約し、入所日を調整 | 費用や退所となる条件をここで最終確認 |
一般的な流れの例です(2026年時点)。施設や地域により順序・必要書類は異なります。
看取り(ターミナルケア)には対応していますか?
結論看取りへの対応は介護医療院の重要な機能のひとつと位置づけられており、最期までその施設で過ごせるケースが多いのが特徴です。
医師や看護師の体制が整っているため、状態が変化しても、そのたびに救急搬送や転院を繰り返すのではなく、住み慣れた療養室で医学管理を受けながら最期を迎えやすい環境です。医療の必要度が高く、特別養護老人ホーム(特養)などでは看取りの受け入れが難しかった方の選択肢にもなっています。
ただし、看取りの進め方やご家族の付き添い・面会のルールは施設ごとに差があります。見学の際には、どこまでの状態変化に対応できるのか、本人やご家族の意向をどのように確認していくのか(人生会議・ACPへの取り組み)を聞いておくと安心です。
施設数はまだ少ない?地域差と探し方のコツ
結論介護医療院は全国で917施設(厚生労働省・令和6年介護サービス施設・事業所調査)と、いずれも数千施設ある特養・老健に比べてまだ少なく、地域差が大きいのが実情です。
2018年の創設以降、介護療養病床などからの移行を中心に少しずつ増えてきましたが、市区町村によっては1施設もないことも珍しくありません。関西でも、府県や市区町村によって施設数や空き状況に差があり、希望するタイミングで近所に空きが見つかるとは限らないのが現状です。
相談現場では、退院期限が迫ってから介護医療院を探し始めたものの、近隣に空きがなく、隣の市や少し離れたエリアまで範囲を広げて探し直すケースが少なくありません。医療的ケアが必要な方の住まい探しは、受け入れ先の選択肢そのものが限られます。介護医療院にこだわりすぎず、老健や医療対応の手厚い介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)+訪問看護といった組み合わせも並行して検討しておくと、結果的に落ち着き先が早く決まりやすくなります。
介護の窓口では、関西エリアの介護医療院や医療的ケアに対応できる施設の空き状況を、相談員が無料でお調べしています。
よくある質問
介護医療院に入るには要介護度はいくつ必要ですか?
原則として要介護1以上の認定が必要で、要支援1・2の方は入所できません。あわせて、たんの吸引や経管栄養など長期の医療的ケアが継続的に必要かどうかが、入所判定で考慮されるのが一般的です。原則要介護3以上の特別養護老人ホーム(特養)と違い、要介護1・2の方でも検討できます。
介護医療院の費用は月いくらくらいですか?
介護保険の自己負担(1〜3割)に居住費・食費・日常生活費を加えて、月9〜17万円程度が目安です(2026年時点)。多床室なら9〜12万円程度、個室・ユニット型なら13〜17万円程度に収まることが多めです。住民税非課税世帯などは補足給付により居住費・食費が軽減されます。
介護医療院と療養型病院(医療療養病床)はどう違いますか?
介護医療院は介護保険が適用される「生活の場」で、長期に暮らすことが前提の施設です。療養型病院(医療療養病床)は医療保険が適用される「治療の場」で、状態によって退院・転院の調整が行われることが一般的です。長期の住まいを探している場合は、介護医療院が候補になります。
介護医療院で看取りまでお願いできますか?
看取り(ターミナルケア)への対応は介護医療院の重要な機能とされており、最期まで過ごせる施設が多いです。ただし対応の方針や範囲は施設ごとに異なるため、見学の際に、どこまでの状態変化に対応できるかを確認しておくと安心です。
申し込みから入所までどのくらいかかりますか?
空きがあれば数週間程度で入所できることもありますが、地域や施設によっては数か月待つケースもあります。施設数自体がまだ少ないため、複数の施設に並行して申し込んだり、老健など他の施設種別も同時に検討したりするのが現実的です。
介護医療院のI型とII型はどちらを選べばいいですか?
ご家族が自由に選ぶというより、主治医の診療情報をもとに、本人の医療の必要度に応じて施設側が受け入れの可否を判定するのが一般的です。医療の必要度が高い方はI型、比較的容体が安定している方はII型が目安です。迷う場合は病院の医療相談員やケアマネジャーに相談してみてください。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「介護医療院について」
- 厚生労働省「令和6年 介護サービス施設・事業所調査の概況」
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料(介護保険施設の居住費・食費)」
- WAM NET「介護医療院」(独立行政法人福祉医療機構)
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