最終更新: 2026-07-13
ユニット型特養とは
ユニット型特養とは、個室と10人程度の共同生活空間(ユニット)を組み合わせ、24時間の個別ケアを重視した特別養護老人ホームの形態です。相部屋中心の従来型(多床室)との費用・プライバシー・待機期間の違いを比較し、家計と本人の状態から選べるよう解説します。
この記事の要点
- ユニット型特養とは、個室と10人程度の共同生活空間(ユニット)を組み合わせ、なじみの職員が24時間体制で個別ケアを行う特別養護老人ホーム(特養)の形態です
- 月額費用の目安は、ユニット型が約13万〜16万円、従来型(多床室)が約9万〜13万円で、ユニット型のほうが月3万円以上高くなります(2026年時点)
- 住民税非課税世帯が負担限度額認定を受けても、ユニット型個室の居住費(1日880円〜)は多床室(1日430円)より高く残ります(第2段階の場合)
- 近年新しく開設される特養はユニット型が中心のため、従来型(多床室)を希望する場合は開設から年数が経った施設を候補にすると見つけやすくなります
- 費用とプライバシーの中間として、ユニット型個室的多床室(準ユニット型、居住費1日1,728円)を用意する施設もあります
ユニット型特養とはどんな施設ですか?
結論ユニット型特養とは、居室を個室にしたうえで10人程度を1つの共同生活単位(ユニット)にまとめ、なじみの職員による24時間の個別ケアを行う特別養護老人ホーム(特養)の形態です。
特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の方が入居できる公的な介護施設です。同じ特養でも、居室のつくりと介護の提供方法によって大きく「ユニット型」と「従来型」の2つに分かれ、費用や暮らし方に違いが生まれます。
個室を10人程度でまとめた「ユニット」ごとに専用のリビング・ダイニングを設け、担当の職員をなるべく固定してケアするのがユニット型の特徴です。起床・食事・入浴の時間も、フロア全体の一斉対応ではなく入居者一人ひとりの生活リズムに合わせやすく、この個別ケアの考え方は「ユニットケア」と呼ばれています。
国の施策もあり、2000年代以降に新しく開設される特養はユニット型が中心となっています。そのため、比較的新しい特養を見学すると、ユニット型であることが多くなっています。
従来型(多床室)特養とは何が違うのですか?
結論従来型は、2〜4人部屋の多床室や廊下沿いの個室を中心に、フロア単位で複数の職員が入居者全体をケアする特養の形態です。個別対応よりも運営の効率と費用の抑制を重視したつくりになっています。
従来型の特養は、居室が廊下の両側に並び、フロアや棟単位で職員が交代しながら入居者全体を見守るスタイルです。居室の中心は「多床室(2〜4人の相部屋)」で、カーテンや家具で仕切って個人のスペースを確保します。
ユニット型が「10人程度の家庭的な暮らし」を目指すのに対し、従来型は「フロア単位で効率よく介護を提供する」ことに重きを置いた運営といえます。どちらが優れているというより、目指す暮らし方の設計思想が異なると考えるとわかりやすいでしょう。
なお従来型にも、廊下沿いの個室である「従来型個室」があります。個室であってもユニットケアではなくフロア単位の運営という点で、ユニット型個室とは区別されています。
従来型では食事や入浴の時間がフロア全体で一斉に決められていることが多く、ユニット型に比べると大人数のペースに合わせる場面が増えます。一方で、大勢で過ごす時間が長く、にぎやかな雰囲気を好む方には落ち着きやすい環境ともいえます。
費用はユニット型と従来型でどのくらい違いますか?
結論月額費用の目安は、ユニット型が約13万〜16万円、従来型(多床室)が約9万〜13万円です(2026年時点)。差の多くは居住費(部屋代)から生まれ、部屋タイプが細かくなるほど金額も変わります。
特養の月額費用は、介護保険の自己負担(施設サービス費)・居住費・食費・日常生活費の4つの合計で決まります。居住費(部屋代)は、大きく「従来型(多床室・従来型個室)」と「ユニット型(ユニット型個室的多床室・ユニット型個室)」の2グループ・4段階で国の基準費用額が定められています。
居住費は国が部屋タイプごとに基準費用額を定めており、ユニット型個室は多床室より1日1,000円以上高く設定されているため、月額費用の差もおおむねこの居住費の差から生まれます。要介護3・自己負担1割の場合で、部屋タイプ別の目安をまとめると次のとおりです。
| 部屋タイプ | 居住費(1日) | 居住費(30日) | 月額合計の目安(要介護3・1割) |
|---|---|---|---|
| 多床室(従来型) | 915円 | 約27,500円 | 約10万〜11.5万円 |
| 従来型個室 | 1,231円 | 約36,900円 | 約11万〜12.5万円 |
| ユニット型個室的多床室(準ユニット型) | 1,728円 | 約51,800円 | 約12.5万〜14万円 |
| ユニット型個室 | 2,066円 | 約62,000円 | 約13.5万〜15.5万円 |
居住費は国の基準費用額(2024年8月改定・厚生労働省)による2026年時点の目安です。月額合計は食費(月約4.3万円)と日常生活費(月約1万円)を含み、加算や地域区分により前後します。冒頭の「ユニット型約13万〜16万円/従来型約9万〜13万円」は、負担割合や地域による差も含めたやや幅広い目安です。
費用・プライバシー・認知症ケア・待機期間の4つの視点で比べるとどう違いますか?
結論ユニット型は個室によるプライバシーと24時間の個別ケア(月額約13万〜16万円)に優れ、従来型(多床室)は費用の安さ(月額約9万〜13万円)と入りやすさに優れます。認知症ケアの向き不向きは本人の性格によって変わります。
「ユニット型」と「従来型」のどちらが向いているかは、費用だけでなく本人の性格や状態によっても変わります。4つの視点で整理すると、次のようになります。
- 費用を最優先するなら従来型、個室での落ち着いた生活と個別ケアを優先するならユニット型が、選び方のひとつの目安になります
- 費用と生活環境のどちらを優先するかを考えると、見学すべき施設の候補が自然と絞られてきます
| 視点 | ユニット型 | 従来型(多床室) |
|---|---|---|
| 費用(月額目安) | 約13万〜16万円 | 約9万〜13万円 |
| プライバシー | 個室で確保しやすい。共用リビングで他の入居者と過ごす時間もある | 相部屋が中心でカーテン仕切り。個人の空間は限られる |
| 認知症ケアへの向き不向き | 少人数・なじみの職員による生活で、環境の変化に不安を感じやすい方に向くとされる | 大人数での関わりに慣れている方や、他の入居者との交流を好む方に向く場合もある |
| 入所の待機期間の傾向 | 新設施設に多く、都市部の人気施設では待機が長引きやすい | 古くからの施設に多く、比較的空きが出やすい傾向がある |
費用は要介護3・自己負担1割で概算した2026年時点の目安です。実際の金額や待機状況は施設・地域によって異なるため、見学時に個別に確認することをおすすめします。
住民税非課税世帯の負担軽減を使っても、ユニット型のほうが高くなりますか?
結論負担限度額認定(補足給付)を受けても、ユニット型個室の居住費は多床室より1日400円以上高く設定されているため、軽減後も自己負担はユニット型のほうが高めに残ります。
住民税非課税世帯などの方は、負担限度額認定(補足給付)により居住費と食費が所得段階に応じて軽減されます。ただしこの制度は、同じ段階なら部屋タイプにかかわらず一律の金額になるわけではなく、部屋タイプごとに軽減後の上限額が別々に決まっている点に注意が必要です。
例えば第2段階の方の場合、多床室の居住費は1日915円から430円まで下がりますが、ユニット型個室は1日2,066円から880円までしか下がりません。軽減を受けてもユニット型は多床室より1日450円、月換算で約1万3,500円高くなる計算です。
| 利用者負担段階 | 多床室(1日) | ユニット型個室(1日) | 差額(1日) |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 0円 | 880円 | 880円 |
| 第2段階 | 430円 | 880円 | 450円 |
| 第3段階(1) | 430円 | 1,370円 | 940円 |
| 第3段階(2) | 430円 | 1,370円 | 940円 |
利用者負担段階は住民税非課税世帯の所得区分です(第1段階がもっとも所得が低く、数字が大きいほど所得が高くなります)。金額は2024年8月改定の負担限度額(厚生労働省)による2026年時点の目安で、食費は部屋タイプに関わらず段階ごとに同額(第1段階300円〜第3段階(2)1,360円)です。
準ユニット型(ユニット型個室的多床室)とはどんな部屋ですか?
結論準ユニット型(ユニット型個室的多床室)とは、ユニット型の少人数ケアを取り入れながら簡易な間仕切りで仕切った部屋のことで、居住費の基準費用額は1日1,728円と多床室とユニット型個室の中間です。
「ユニット型か従来型か」の二択だけでなく、ユニット型と従来型の間を取った「準ユニット型(ユニット型個室的多床室)」を用意している施設もあります。建物は多床室のままユニットケアの体制を取り入れた施設や、天井まで届かない簡易な壁で仕切った準個室を指します。
居住費の基準費用額は1日1,728円で、多床室(915円)とユニット型個室(2,066円)のほぼ中間に位置します。完全な個室ほどのプライバシーは確保できないものの、少人数での個別ケアを受けながら費用を抑えたい方には検討の価値がある選択肢です。
ただし、すべての特養に準ユニット型があるわけではありません。対応している施設は限られるため、気になる場合は見学の際に部屋タイプの内訳を施設へ確認してみましょう。
認知症の場合、ユニット型と従来型どちらが向いていますか?
結論10人程度の少人数で顔なじみの職員に囲まれて過ごすユニット型は、環境の変化に不安を感じやすい認知症の方に向いているとされています。ただし本人の性格や症状によっては、従来型でも落ち着いて過ごせる場合があります。
認知症の方は、初めての場所や大人数の環境で混乱や不安が強まりやすいとされています。ユニット型は生活空間が10人程度に区切られ、担当の職員も固定されやすいため、顔なじみの関係の中で落ち着いて過ごしやすい環境として整備が進められてきました。
一方で、もともと集団での活動やにぎやかな環境を好む方、他の入居者との交流を楽しみにしている方の場合は、大人数で過ごす従来型のほうが生活に張り合いを感じられることもあります。認知症の症状の現れ方や合う環境には個人差があるため、迷ったときはケアマネジャーや主治医に相談しながら、本人の様子を見学で確かめることをおすすめします。
介護の窓口の相談現場では、「ユニット型に憧れていたが、費用を聞いて従来型に変更した」というご家族の声をよく聞きます。逆に、認知症の症状が強く集団での生活がストレスになりやすい方には、費用が上がってもユニット型を選び直すケースもあります。どちらが正解というものではなく、本人の状態と家計の両方から検討することが大切です。
入所を申し込むとき、部屋タイプは希望できますか?
結論特養の入所申込みは施設ごとに直接行い、希望する部屋タイプも申込書で伝えられますが、実際に入れるかは空き状況次第です。都市部の人気のユニット型では1年以上待つこともあります。
特養の入所申込みは、施設ごとに直接行い、先着順ではなく必要性の高い方から入所する仕組みです。申込書には希望する部屋タイプを記入する欄があることが多く、複数の部屋タイプを持つ施設なら、ユニット型と従来型のどちらを希望するか選んで申し込めます。
ただし、施設によってはユニット型のみ、または従来型のみしか居室がないこともあります。近年新しく開設される特養はユニット型が中心のため、従来型の多床室を希望する場合は、開設から年数が経った施設を候補に入れて探すのがポイントです。
待機期間の傾向としては、個室志向の高いユニット型・新設施設に申込みが集中しやすく、都市部では数か月から1年以上待つこともあります。一方、多床室中心の施設や郊外の施設は、比較的早く空きが出ることも少なくありません。費用を抑えたい場合と早く入所したい場合の両方で、従来型は選択肢として意識しておく価値があります。
なお、入所後に施設内で空きが出れば、多床室からユニット型個室へ、あるいはその逆へ住み替えができる場合もあります。当初の希望と違う部屋タイプで入所したときも、あきらめずに施設の生活相談員へ相談してみましょう。
お住まいの地域でユニット型・従来型それぞれの空き状況や費用の目安は、相談員が無料でお調べします。
結局、ユニット型と従来型どちらを選べばよいですか?
結論月9万〜13万円で費用を抑えたい、早めに入所したい場合は従来型(多床室)、月13万〜16万円でもプライバシーと個別ケアを重視したい場合はユニット型が候補になります。家計とご本人の状態の両方から検討することが大切です。
特養は原則として要介護3以上の方が対象で、要介護1・2でも事情によっては特例入所が認められます。要介護3に届かない場合や、もっと早く入居できる施設を探したい場合は、グループホーム(認知症対応型共同生活介護、要支援2以上・認知症の診断があり原則同一市区町村に住所がある方が対象)や、介護老人保健施設(老健、要介護1以上)を一時的な選択肢として検討する方法もあります。
最後に、ユニット型と従来型で迷ったときの判断の目安を整理します。
| 従来型(多床室)が向いている方 | ユニット型が向いている方 |
|---|---|
| 月々の費用をできるだけ抑えたい | プライバシーを確保した個室での生活を重視したい |
| 早めに入所できる施設を優先して探したい | 環境の変化に敏感で、少人数・顔なじみの職員によるケアが合いそうだ |
| 相部屋でも他の入居者との交流を負担に感じにくい | 費用が多少上がっても、本人の落ち着きを優先したい |
一般的な傾向の目安です(2026年時点)。実際にどちらが合うかは、本人の性格や認知症の有無、家計の状況によって変わります。見学時にユニット型と従来型の両方の生活の様子を見比べ、判断に迷ったときは相談員にご相談ください。
よくある質問
ユニット型特養を一言でいうと何ですか?
個室と10人程度の共同生活空間(ユニット)を組み合わせ、なじみの職員が24時間体制で個別ケアを行う特別養護老人ホーム(特養)の一形態です。月額費用は約13万〜16万円が目安です(2026年時点)。
ユニット型と従来型、費用はどちらが安いですか?
従来型(多床室)のほうが安く、月額約9万〜13万円が目安です。ユニット型個室は月額約13万〜16万円で、差の多くは居住費(部屋代)から生まれます。
住民税非課税世帯なら、ユニット型も従来型と同じくらいの費用になりますか?
同じ金額にはなりません。負担限度額認定(補足給付)を受けても、ユニット型個室の居住費は多床室より1日450円ほど高く設定されているため(第2段階の場合)、軽減後もユニット型のほうが高めに残ります。
認知症の場合、ユニット型と従来型どちらが向いていますか?
10人程度の少人数で顔なじみの職員に囲まれて過ごすユニット型は、環境の変化に不安を感じやすい方に向いているとされています。ただし本人の性格によっては従来型でも落ち着いて過ごせるため、見学で様子を確かめることをおすすめします。
入所を申し込むとき、部屋タイプは選べますか?
施設に複数の部屋タイプがあれば、申込書で希望を伝えられます。ただし施設によってはユニット型のみ、従来型のみのところもあり、実際に入れるかは空き状況次第です。
準ユニット型とは何ですか?
ユニット型のケア体制を取り入れながら、居室は完全な個室ではなく簡易な間仕切りで仕切った「ユニット型個室的多床室」のことです。居住費の基準費用額は1日1,728円で、多床室とユニット型個室の中間です。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1280(令和6年8月からの基準費用額・負担限度額)」
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