最終更新: 2026-07-11
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは、老人福祉法第29条にもとづき都道府県知事等への届出が必要な高齢者向け施設です。介護付・住宅型・健康型の3分類の違いや特別養護老人ホームなど公的施設との比較、費用相場や向いている人の見分け方までやさしく解説します。
この記事の要点
- 有料老人ホームとは、老人福祉法第29条にもとづき、食事や介護などのサービスを提供する施設として都道府県知事等への届出が義務づけられた高齢者向け住まいのことです
- 有料老人ホームは介護保険サービスの提供方法によって介護付・住宅型・健康型の3種類に分かれ、月額費用の目安は介護付が約15〜30万円、住宅型が約10〜25万円+介護サービス費です
- 特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設と比べると、有料老人ホームは空きがあれば数週間〜1ヶ月程度で入居できる施設が多い一方、月額費用は特養の約9〜16万円より高めの約10〜30万円が目安です
- 健康型有料老人ホームは自立した方専用で介護サービスの提供がなく、厚生労働省の資料では2015年度時点で全国16施設にとどまるなど、選択肢としてはごくわずかです
- 入居時費用(入居一時金)は0円から数百万円まで施設差が大きく、多くの施設で入居後90日程度以内の契約解除に備えた返還ルールが設けられているため、契約前の確認が欠かせません
有料老人ホームとは?老人福祉法にもとづき届出が必要な施設です
結論有料老人ホームとは、老人福祉法第29条にもとづき、食事の提供や介護などのサービスを行う施設として都道府県知事等への届出が義務づけられた高齢者向けの住まいのことです。
有料老人ホームは、老人福祉法第29条第1項の規定により、高齢者を入居させ、(1)食事の提供、(2)入浴・排せつ・食事の介護、(3)洗濯・掃除等の家事、(4)健康管理のうち、いずれか一つ以上のサービスを行う施設と定義されています。特別養護老人ホームなどの老人福祉施設や、認知症対応型老人共同生活援助事業(グループホーム)を行う住居は、この定義から除かれます。
この定義にあてはまる施設を新しく開設するときは、老人福祉法第29条第1項にもとづき、施設の名称・所在地・事業内容などをあらかじめ都道府県知事等(都道府県・政令指定都市・中核市)へ届け出ることが義務づけられています。届出をしていない、いわゆる無届施設も一部に存在するため、検討中の施設が届出済みかどうかは見学時や資料請求時に確認しておくと安心です。
有料老人ホームは、老人ホームの種類一覧の記事で紹介している9種類のうち、介護付・住宅型・健康型の3つを合わせた民間施設のグループにあたります。この記事では、有料老人ホームというくくり全体の法的な位置づけと3分類の違い、公的施設との違いにしぼって詳しく解説します。
有料老人ホームには何種類ある?介護付・住宅型・健康型の3分類で比較
結論有料老人ホームは、介護サービスの提供方法の違いにより介護付・住宅型・健康型の3種類に分類されます。3つの違いは、サービス内容・対象となる要介護度・費用相場・職員配置・看取り対応の可否に表れます。
介護付有料老人ホーム(介護付)は、都道府県などから特定施設入居者生活介護の指定を受け、施設の職員が食事・入浴・排せつの介助を提供する施設です。住宅型有料老人ホーム(住宅型)は住まいと生活支援が中心で、介護が必要になったら訪問介護など外部の介護保険サービスを個別に契約します。健康型有料老人ホーム(健康型)は自立した方向けの住まいで、介護サービス自体の提供がありません。
3分類の中でも、介護付かどうかを分けるのは特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかという点です。「介護付」「ケア付き」と表示できるのは、この指定を受けた施設に限られています。介護付と住宅型は費用の仕組みや向いている人が大きく異なるため、より詳しい比較は介護付と住宅型の違いの記事で図解も交えて解説しています。
| 項目 | 介護付有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | 健康型有料老人ホーム |
|---|---|---|---|
| サービス内容 | 施設の職員が食事・入浴・排せつなどの介護を提供 | 住まいと生活支援が中心。介護は外部の訪問介護などと個別契約 | 食事提供や家事援助が中心。介護サービスの提供はなし |
| 対象となる要介護度 | 自立〜要介護5(施設により幅がある) | 自立〜要介護(施設により幅がある) | 自立している方に限る |
| 入居時費用の目安 | 0〜数百万円(施設による) | 0〜数百万円(施設による) | 0〜数千万円(高額な施設もある) |
| 月額費用の目安 | 約15〜30万円 | 約10〜25万円+介護サービス費 | 約15〜40万円 |
| 職員配置 | 要介護の入居者おおむね3人に介護・看護職員1人以上の基準あり | 介護職員の配置基準はなく施設の任意 | 介護職員の配置基準はなく生活支援スタッフが中心 |
| 看取り対応の可否 | 対応する施設が多く、近年広がっている | 施設や訪問看護との連携体制による | 原則不可(要介護になれば住み替えが前提) |
2026年時点の一般的な傾向の整理です。費用相場は関西エリアの目安を含みます。職員配置や看取り対応の実施状況は施設ごとに差があるため、個別の確認が欠かせません。
費用の仕組み|入居一時金と月額費用の組み合わせが基本です
結論多くの有料老人ホームは、入居時にまとまった費用を支払う入居一時金と、家賃相当額・管理費・食費などの月額費用を組み合わせた利用権方式を採用しており、入居後90日程度以内の解約には返還ルールを設けている施設が一般的です。
有料老人ホームの多くは利用権方式という契約形態をとっています。入居時に住まいとサービスを受ける権利として入居一時金(前払金)を支払い、月々は家賃相当額・管理費・食費・介護サービス費などの月額費用を支払う仕組みです。入居一時金を抑えて月額費用を高めにする「0円プラン」を用意する施設も増えています。
入居一時金は、入居者が施設を利用できる期間(想定居住期間)にわたって少しずつ費用化される「償却」という考え方で扱われます。多くの施設では、入居後短期間(目安として90日程度)のうちに契約を解除した場合、実費相当額を除いた一時金を返還する仕組みを設けています。細かな償却期間や返還条件は施設ごとに異なるため、契約前に重要事項説明書で確認することが欠かせません。
介護保険サービスの自己負担も、介護付は要介護度ごとの定額、住宅型は使った分だけの従量制と仕組みが異なり、これが月額費用の差につながっています。
有料老人ホームと特別養護老人ホームは何が違いますか?
結論有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)の最大の違いは運営主体・入居条件・費用です。有料老人ホームは民間運営で入居条件が緩やかな一方、特養は原則要介護3以上という条件があり、費用を抑えられる代わりに待機が生じやすい傾向があります。
有料老人ホームとよく比較されるのが、公的施設の代表である特別養護老人ホーム(特養)です。運営主体・入居条件・費用・入居までの期間という4つの軸で比べると、それぞれの特徴がはっきりします。介護老人保健施設(老健)などほかの公的施設との違いも含めた全体像は、老人ホームの種類一覧の記事で9種類まとめて整理しています。
特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上という入居条件があり、地域によっては数か月から1年以上の待機が生じることもあります。入居を急ぐ場合は、特養に申し込みつつ、比較的入居しやすい有料老人ホームを並行して探しておくと、状態の変化にも対応しやすくなります。お住まいの地域の特養の待機状況や、条件に合う有料老人ホームの空き状況は、相談員が無料でお調べすることもできます。
| 比較項目 | 有料老人ホーム(介護付・住宅型) | 特別養護老人ホーム(特養) | 介護老人保健施設(老健) |
|---|---|---|---|
| 運営主体 | 株式会社などの民間企業が中心 | 社会福祉法人・自治体など | 医療法人・社会福祉法人など |
| 入居条件 | 施設ごとに設定(自立〜要介護5まで幅がある) | 原則要介護3以上(要介護1・2は特例入所の場合あり) | 要介護1以上で、在宅復帰を目指す方 |
| 入居一時金 | 0〜数百万円(施設による) | 原則不要 | 不要 |
| 月額費用の目安 | 約10〜30万円 | 約9〜16万円 | 約9〜17万円 |
| 入居までの期間 | 空きがあれば数週間〜1ヶ月程度のことも | 申込み後、順番待ちが生じやすい | 比較的入りやすいが、3〜6ヶ月ごとに継続を判定 |
| 補足給付(食費・居住費の軽減) | 対象外 | 住民税非課税世帯は対象 | 住民税非課税世帯は対象 |
2026年時点の一般的な傾向です。特養・老健の月額は厚生労働省の基準費用額(2024年8月改定)等をもとにした概算目安。実際の金額は施設・部屋タイプ・所得区分により変わります。
有料老人ホームのメリット・デメリットを整理します
結論有料老人ホームの主なメリットは、自立から要介護5まで幅広い状態の方が入居でき、空きがあれば数週間程度で入居しやすい点です。デメリットは、公的施設に比べて費用が高めになりやすい点と、補足給付の対象外である点です。
良い面と注意したい面を並べて確認しておくと、特別養護老人ホームなど公的施設と比べるときの判断軸がはっきりします。
特養などの社会福祉法人・自治体が運営する施設と異なり、有料老人ホームの多くは株式会社などの民間企業が運営しています。運営会社が入居一時金の保全措置を適切に行っているかどうかは、倒産などの万一の場合に備えて確認しておきたいポイントです。保全措置の内容は重要事項説明書に記載されています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 空きがあれば数週間〜1ヶ月程度で入居できる施設が多い | 入居一時金や月額費用が公的施設より高めになりやすい |
| 自立から要介護5まで幅広い状態の方を対象とする施設が多い | 住民税非課税世帯の食費・居住費を軽減する補足給付の対象外 |
| 介護付なら要介護度が上がっても定額のまま施設内で対応が続きやすい | 施設ごとに設備・サービス・費用の差が大きく、比較に手間がかかる |
| 看取りまで対応する施設が増えており、住み替えの回数を抑えやすい | 運営会社の経営状況によって、まれに閉鎖や運営移管が生じることがある |
一般的な傾向を整理したものです(2026年時点)。実際の条件や体制は施設ごとに異なるため、契約前の個別確認が前提になります。
健康型有料老人ホームはなぜ数が少ないのですか?
結論健康型有料老人ホームは自立した方に対象を限定し、要介護になると住み替えが前提となるため運営が難しく、厚生労働省の資料では2015年度時点で全国16施設にとどまるなど施設数がごくわずかです。
健康型有料老人ホームは、家事援助や食事提供など生活支援サービスを中心に、自立した方が趣味やスポーツを楽しみながら暮らせる住まいです。介護サービスの提供がないため、要介護になった場合は原則として住み替えが必要になります。この「介護が必要になったら退去」という前提が入居者にとって将来の不安につながりやすく、事業者にとっても長期的な需要を見込みにくいことから、新規開設が進みにくい種類とされています。
厚生労働省の資料では、健康型有料老人ホームは2015年度時点で全国16施設にとどまるという調査結果が示されています。介護付・住宅型の施設数が全国で1万件を超える規模であるのに対し、健康型は極めて少数派です。実際の施設探しで候補に挙がる場面は少なく、自立した時期の住み替え先としては、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やケアハウス(軽費老人ホーム)と合わせて検討されることが多くなっています。
厚生労働省老健局の資料「有料老人ホームの現状と課題・論点について」による件数です。近年の新規開設もごくわずかで、選択肢としてはあくまで少数派と捉えておくとよいでしょう。
自分に合うのはどのタイプ?見分け方の3つの視点
結論「今と将来の介護度」「毎月の支払い方法の好み」「終身で暮らしたいか将来住み替える前提でよいか」という3つの視点で考えると、3分類のどれが合うかを絞り込みやすくなります。
3分類は名前が似ていて選びにくく感じられますが、次の3つの視点で整理すると方向性が見えやすくなります。介護付と住宅型のどちらが向いているかで迷ったときは、介護付と住宅型の違いの記事もあわせてご覧ください。
- 今と将来の介護度: 要介護3以上や今後の重度化が見込まれるなら介護付、自立〜軽い要介護で当面の生活支援が中心でよいなら住宅型、介護の必要がない今のうちの住み替えなら健康型が候補になります
- 毎月の支払い方法の好み: 費用を定額で見通したいなら介護付、使った分だけ支払いたい・なじみの訪問介護やデイサービスを続けたいなら住宅型が向いています
- 終身で暮らせるかどうか: 住み替えを避けて長く同じ施設で暮らしたいなら、看取りまで対応しているかどうかを確認しましょう。健康型は要介護になった時点で住み替えが前提になる点を踏まえておく必要があります
入居までの流れと確認しておきたいポイント
結論有料老人ホーム探しは「情報収集→資料請求→見学→体験入居→契約」という5つのステップで進むのが一般的です。契約前には、重要事項説明書で類型・費用・退去要件を必ず確認しましょう。
相談現場では、「有料老人ホームだから終身安心」と考え、重要事項説明書を確認しないまま契約直前まで話を進めてしまうご家族によくお会いします。要介護度が上がった場合に住み続けられる条件や、入居一時金の返還ルールは施設ごとに差が大きいため、契約前に必ず書面で確認することをおすすめしています。
| ステップ | 内容 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 1. 情報収集 | 希望エリア・予算・介護度から候補施設を洗い出す | 有料老人ホームか公的施設かも含めて幅広く検討 |
| 2. 資料請求・問い合わせ | パンフレットと重要事項説明書を取り寄せる | 類型(介護付・住宅型・健康型)の記載を確認 |
| 3. 見学 | 実際の設備・食事・職員の対応を確認する | 食事や介助の様子がわかる時間帯がおすすめ |
| 4. 体験入居 | 数日〜1週間程度、実際に滞在してみる | 夜間の対応や他の入居者との相性も確認 |
| 5. 契約 | 重要事項説明書の内容に同意し契約を結ぶ | 入居一時金の返還ルール・退去要件を書面で確認 |
一般的な流れの例です(2026年時点)。必要な手続きや期間は施設により異なります。
有料老人ホーム選びに迷ったら、どこに相談すればよいですか?
結論要介護認定を受けている方はケアプランを担当するケアマネジャー、まだ認定を受けていない方は地域包括支援センターが身近な相談先です。施設探しを具体的に進める段階では、民間の紹介窓口も活用できます。
すでに要介護認定を受けている方は、ケアプランを担当するケアマネジャー(自己負担なし)に施設探しを考え始めた段階で相談しておくと、その後の手続きがスムーズです。要支援の方や、まだ認定を受けていない方は、お住まいの地域包括支援センターが相談窓口になります。
介護の窓口では、関西エリアの介護付・住宅型・健康型それぞれの空き状況や費用感をふまえて、ご本人の状態と予算に合う施設を無料でご紹介しています。「まだ3分類のどれが合うか分からない」という段階のご相談も歓迎です。有料老人ホーム以外の施設種別まで含めた全体的な比較は、老人ホームの種類一覧の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
有料老人ホームを一言でいうとどんな施設ですか?
一言でいうと、老人福祉法第29条にもとづき都道府県知事等へ届出を行い、食事の提供や介護などのサービスを行う高齢者向けの民間施設です。サービス内容によって介護付・住宅型・健康型の3種類に分かれます。
介護付と住宅型はどちらを選べばよいですか?
介護量が多い方や費用を定額で見通したい方には介護付、介護が軽く支払いを使った分だけにしたい方には住宅型が向く傾向があります。より詳しい比較は、介護付と住宅型の違いの記事で解説しています。
有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)はどちらが安いですか?
月額費用だけを比べると、特養が約9〜16万円、有料老人ホームが約10〜30万円が目安で、特養のほうが抑えられる傾向があります。ただし特養は原則要介護3以上という条件があり待機が生じやすいため、費用と入居のしやすさを両方踏まえて検討することが大切です。
有料老人ホームに入居一時金は必ず必要ですか?
必ずではありません。入居一時金を0円に設定し、その分月額費用を高めにする「0円プラン」を用意する施設も増えています。一時金の有無や金額は施設ごとに大きく異なるため、総額で比較することが大切です。
健康型有料老人ホームに入居後、要介護になったらどうなりますか?
健康型有料老人ホームは介護サービスの提供がないため、要介護になった場合は原則として住み替えが必要です。入居を検討する際は、要介護になったときの提携施設や住み替え先の案内があるかをあわせて確認しておくと安心です。
有料老人ホームは無届でも運営できますか?
老人福祉法第29条の定義にあてはまる施設は、届出の有無にかかわらず有料老人ホームとして扱われ、都道府県知事等への届出が義務づけられています。届出をしていない、いわゆる無届施設も一部にあるため、検討中の施設が届出済みかどうかを見学時や資料請求時に確認しておくと安心です。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「有料老人ホームの概要」
- 老人福祉法第29条
- 公益社団法人全国有料老人ホーム協会
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「特定施設入居者生活介護」
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