最終更新: 2026-07-05
要介護5とはどんな状態?
要介護5とは、要介護認定で最も重い区分で、ほぼ寝たきりとなり意思の伝達も難しいことが多い状態です。基準時間110分以上の定義と状態像、月約36.2万円分の支給限度額、在宅介護の組み立て方、特養・介護医療院など施設と看取りの選択肢までやさしく解説します。
この記事の要点
- 要介護5は8区分で最も重い区分。基準時間は1日110分以上で、ほぼ寝たきり・意思の伝達も難しい状態が目安
- 在宅サービスの支給限度額は月36,217単位(約36.2万円分)。1割負担なら自己負担はおよそ3.6万円まで
- 在宅では訪問診療・訪問看護・定期巡回型サービスを組み合わせた24時間体制づくりが基本
- 施設は特別養護老人ホーム(特養)・介護医療院・医療対応の手厚い介護付有料老人ホームが候補。看取り対応の確認が必須
- 褥瘡(床ずれ)や誤嚥性肺炎の予防ケアと、家族のレスパイト(休息)が長く支えるための鍵
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要介護5とはどんな状態?8区分で最も重い認定
結論要介護5とは、介護保険の要介護認定で最も重い区分で、日常生活のほぼすべてに全面的な介護が必要な状態です。ほぼ寝たきりで、意思の伝達が難しい方も多くみられます。
要介護認定は、非該当(自立)・要支援1・要支援2・要介護1〜5の8区分に分かれており、要介護5はその中で最も介護の必要度が高い区分です。判定の目安となる要介護認定等基準時間は1日110分以上とされ、食事・排泄・入浴・着替えなど、暮らしのほぼすべての場面で介助が必要な状態が想定されています。
この基準時間は、実際に介護へかける時間そのものではなく、訪問調査と主治医意見書をもとに介護の手間を推計した全国一律の指標です。ひとつ下の要介護4(90〜110分)と比べると、要介護5では自力での動作がほとんど難しくなり、言葉によるコミュニケーションにも支援が必要になる点が大きな違いです。
| 区分 | 基準時間(1日) | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 要介護3 | 70〜90分 | 立ち上がりや歩行が難しく、生活全般に介助が必要 |
| 要介護4 | 90〜110分 | 介助なしでは日常生活が送れず、寝たきりに近い状態も |
| 要介護5 | 110分以上 | ほぼ寝たきりで、意思の伝達も難しいことが多い |
出典: 厚生労働省の要介護認定資料をもとに作成(2026年時点)。基準時間は介護の手間を推計するための指標で、実際にかける介護時間とは異なります。
要介護5の具体的な状態像|食事も排泄も全介助
結論寝返り・食事・排泄・入浴のすべてに全面的な介助が必要な状態が中心です。飲み込む力が落ち、経管栄養(胃ろうなど)を利用する方も少なくありません。
要介護5では、ベッドの上で過ごす時間が長くなり、自力での寝返りや起き上がりが難しいため、日中も夜間も数時間おきの体位交換が必要になることが一般的です。食事は全介助が基本で、噛む力や飲み込む力(嚥下機能)が低下している場合は、きざみ食・とろみ食への変更や、経管栄養(胃ろう・経鼻栄養)が検討されることもあります。
排泄はおむつでの対応が中心になり、入浴には機械浴や訪問入浴介護といった特別な設備・体制が必要です。意思の伝達も難しくなり、言葉ではなく表情やまばたき、わずかな手の動きから気持ちを読み取る場面が増えていきます。
- 寝返り・起き上がりが自力ではできず、定期的な体位交換が必要
- 食事は全介助。嚥下機能の低下により経管栄養となる場合もある
- 排泄は全介助で、おむつでの対応が中心
- 入浴は機械浴や訪問入浴介護など特別な体制が必要
- 意思の伝達が難しく、表情や身ぶりから読み取ることが多い
あくまで典型例です。要介護5でも会話がある程度できる方、たんの吸引など医療的ケアが常時必要な方など、状態には個人差があります。
要介護5で使えるサービスと支給限度額はいくら?
結論在宅サービスの区分支給限度基準額は月36,217単位(約36.2万円分)で、8区分の中で最も大きな枠です。自己負担は所得に応じて1〜3割で、1割なら最大でもおよそ3.6万円が目安です。
介護保険の在宅サービスには、区分ごとに1か月に利用できる上限(区分支給限度基準額)が定められています。要介護5は月36,217単位(約36.2万円分)と8区分で最大となり、訪問介護(ホームヘルプ)・訪問看護・訪問入浴介護・通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)・福祉用具貸与などを組み合わせて利用できます。
限度額いっぱいまで使った場合の自己負担は、1割負担で月およそ3.6万円が目安です。2割・3割負担の方など自己負担が高額になった月には高額介護サービス費の払い戻しがあり、一般的な所得の世帯では月44,400円が上限となります。一方で、限度額を超えて利用した分は全額自己負担となる点に注意が必要です。
なお、この限度額は在宅(居宅)サービスの仕組みです。特別養護老人ホーム(特養)などの施設に入所した場合は、施設サービス費の1〜3割負担に居住費・食費・日常生活費を加えた月額を支払う形となり、計算のしくみが変わります。
| 負担割合 | 限度額まで使った場合の自己負担(月) |
|---|---|
| 1割 | 約36,000円 |
| 2割 | 約72,000円 |
| 3割 | 約109,000円 |
区分支給限度基準額36,217単位・1単位10円として概算(2026年時点、厚生労働省資料をもとに作成)。単価は地域・サービスにより異なります。福祉用具購入・住宅改修、ショートステイの食費・滞在費などは限度額の枠外です。
在宅で看る選択|医療と介護をどう組み合わせる?
結論在宅で介護を続ける場合は、訪問診療と訪問看護に、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護などを組み合わせ、医療と介護の両輪で体制をつくることが基本です。
要介護5の在宅介護を家族の力だけで続けるのは難しいのが実情です。医師が自宅に来る訪問診療、看護師が医療処置や体調管理を行う訪問看護、そして定期巡回・随時対応型訪問介護看護(月定額で、おむつ交換や体位変換のために1日複数回の短時間訪問を受けられるサービス)を組み合わせる形が代表的です。
一方で、在宅で看続けるには家族の覚悟と支援体制の両方が欠かせません。夜間の体位交換や、発熱・たんがらみなど急変時の対応も含めると、負担は想像以上に大きくなりがちです。主たる介護者が一人に偏らないよう、ショートステイの定期利用を最初からケアプランに組み込み、無理のない形を設計しておくことが長く続ける条件になります。
| サービス | 主な役割 |
|---|---|
| 訪問診療 | 医師が定期的に自宅を訪問し、診察・薬の処方から看取りまで対応 |
| 訪問看護 | 医療処置・体調管理・褥瘡ケア・家族への介護方法の助言 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 24時間365日対応。定期訪問に加え、緊急時はコールで随時対応 |
| 訪問入浴介護 | 浴槽を持ち込み、看護職員を含む3人程度で入浴を介助 |
| 短期入所生活介護(ショートステイ) | 施設に数日間宿泊し、家族の休息や急用に対応 |
各サービスの内容は2026年時点の一般的なものです。組み合わせは、ケアマネジャーが本人の状態と家族の状況に合わせて設計します。
施設の選択肢は?特養・介護医療院・介護付有料老人ホーム
結論特別養護老人ホーム(特養)・介護医療院・医療対応が手厚い介護付有料老人ホームが主な選択肢です。たん吸引や経管栄養、看取りへの対応力を必ず確認しましょう。
特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上を対象とする公的な施設で、費用を抑えながら終身で暮らせることが特長です。要介護5の方は入所判定で優先されやすい傾向がありますが、地域や施設によっては待機期間が生じます。たんの吸引や経管栄養など医療ニーズが高い方には、医師や看護師の体制が手厚い介護医療院や、看護職員の配置が充実した介護付有料老人ホームが候補になります。
施設を選ぶ際は、夜間の看護体制と看取り対応の有無を必ず確認してください。同じ種別でも、たん吸引や経管栄養に対応できるかは施設ごとに差があります。見学の際は「夜間に看護師はいますか」「最期までここで暮らせますか」と具体的に質問してみましょう。介護の窓口では、医療対応や看取りの実績を踏まえた施設探しを相談員が無料でお手伝いしています。
| 施設種別 | 月額費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 約8〜15万円 | 原則要介護3以上。費用が比較的抑えめで終身利用が基本。待機が生じる地域も |
| 介護医療院 | 約8〜17万円 | 医療と生活の場を兼ねる施設。たん吸引や経管栄養など医療ニーズの高い方向け |
| 介護老人保健施設(老健) | 約8〜16万円 | 在宅復帰を目指す中間施設。原則として長期の住まいには向かない |
| 介護付有料老人ホーム | 約15〜35万円 | 民間施設。看護体制や医療連携の水準は施設差が大きく、確認が必須 |
2026年時点の概算目安です。所得段階(負担限度額認定)・居室タイプ・地域により大きく変わり、介護付有料老人ホームは別途入居一時金がかかる場合があります。
看取り・ターミナルケアはどう考えればいい?
結論近年は特養や介護医療院など、施設での看取りが広がっています。どこでどのような最期を望むかを、本人の意思を中心に早めに家族で共有しておくことが大切です。
要介護5では、人生の最終段階(ターミナル期)をどこで過ごすかという問いと向き合う場面が出てきます。かつては病院で最期を迎えることが大半でしたが、現在は看取り介護加算など制度の後押しもあり、特養や介護医療院、看取りに対応した有料老人ホームで最期まで暮らす方が増えています。在宅でも、訪問診療と訪問看護の体制が整えば自宅での看取りは可能です。
看取り期には、無理な延命よりも痛みや苦しさを和らげるケアを中心に据えることが一般的です。延命治療をどこまで望むか、どこで過ごしたいかをあらかじめ話し合っておく取り組みは人生会議(ACP)と呼ばれ、医師やケアマネジャーを交えて進められます。一度決めた内容も、気持ちや状態の変化に応じて何度でも見直せますので、結論を急ぐ必要はありません。
起きやすい合併症とケア|褥瘡(床ずれ)・誤嚥性肺炎
結論ほぼ寝たきりの状態では、褥瘡(床ずれ)と誤嚥性肺炎が特に起きやすい合併症です。体位交換・口腔ケア・栄養管理により、予防や重症化の防止が期待できます。
同じ姿勢が続くと、腰やかかとなど体重のかかる部分の皮膚が傷つき、褥瘡(じょくそう・床ずれ)ができやすくなります。また、飲み込む力の低下によって食べ物や唾液が気管に入り込んで起こる誤嚥性肺炎は、要介護5の方の入院や体力低下につながる大きな原因のひとつです。
こうしたケアの中心は訪問看護師や施設の看護職員ですが、毎日の口腔ケア(歯みがきや口の中の清掃)は誤嚥性肺炎の予防に役立つとされ、家族が関われる大切なケアのひとつです。具体的な方法は、訪問看護師や歯科衛生士から教わることができます。
| 起きやすい合併症 | 主な原因 | 予防・ケアの例 |
|---|---|---|
| 褥瘡(床ずれ) | 同じ姿勢による皮膚の圧迫 | 2〜3時間おきの体位交換、体圧分散マットレス、栄養状態の改善 |
| 誤嚥性肺炎 | 嚥下機能の低下 | 食事の姿勢調整、とろみ食、毎日の口腔ケア |
| 関節拘縮 | 関節を動かさない状態が続く | 訪問リハビリテーションによる関節の運動 |
| 脱水・低栄養 | 食事量・水分量の不足 | 摂取量の記録、訪問看護や管理栄養士への相談 |
予防・ケアの内容は本人の状態により異なります。実施の際は主治医や訪問看護師にご相談ください(2026年時点の一般的な内容)。
家族の心のケア|介護うつを防ぐには?
結論要介護5の介護は長期戦になりやすく、家族の心身の疲れが介護うつにつながることがあります。レスパイト(休息)を計画的に取り入れることが、介護を続けるための前提です。
重度の介護では、眠れない・食欲がない・気分が沈むといった介護うつのサインが、介護する家族の側に現れることが少なくありません。自分がやらなければと抱え込むほど、共倒れのリスクは高まります。介護保険では家族の休息(レスパイト)を目的としたショートステイの利用も認められており、月に数日でも介護から離れる時間を意識的に確保することが大切です。
相談現場では、要介護5のご家族から「もう限界だと感じてから施設を探し始めたら、入所まで数か月かかった」というお話をよく伺います。在宅を続ける場合でも、限界が来る前に施設の情報収集や見学を始めておくことで、いざというときに落ち着いて選べます。施設の検討を並行して進めることは、在宅介護を諦めることではありません。
つらさを感じたら、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに早めに相談してください。介護の窓口でも、関西(大阪・京都・兵庫・奈良)で医療対応や看取りに対応できる施設の空き状況を、相談員が無料でお調べしています。
よくある質問
要介護5とはどのような状態ですか?
介護保険の8区分で最も重い区分で、要介護認定等基準時間が1日110分以上に相当する状態です。ほぼ寝たきりで、食事・排泄・入浴のすべてに全面的な介助が必要となり、意思の伝達が難しい方も多くみられます。
要介護5は寝たきりでないと認定されませんか?
必ずしも寝たきりとは限りません。認定は介護にかかる手間の量で判定されるため、身体をある程度動かせても、重い認知症の症状などで常時の見守りと介助が必要な場合に要介護5と判定されることもあります。
要介護5の在宅介護では自己負担は月いくらくらいですか?
支給限度額(月36,217単位・約36.2万円分)まで使った場合、1割負担で月およそ3.6万円が目安です。2割・3割負担の方も、高額介護サービス費により一般的な所得の世帯では月44,400円が実質的な上限になります。おむつ代や医療費などは別にかかります。
要介護5でも在宅介護はできますか?
可能です。訪問診療・訪問看護に、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護などを組み合わせ、医療と介護の両方の支援体制を整えることが前提になります。家族の負担が大きいため、ショートステイなど休息の仕組みも計画に組み込むことが大切です。
要介護5なら特別養護老人ホーム(特養)にすぐ入れますか?
特養は原則要介護3以上が対象で、要介護5は入所判定で優先されやすい傾向があります。ただし地域や施設により待機が生じるため、複数の施設に申し込みながら、介護医療院や介護付有料老人ホームも並行して検討するのが一般的です。
要介護5から介護度が下がることはありますか?
リハビリや体調の回復により、更新認定で区分が変わることはあります。ただし要介護5では現状維持または重度化するケースが多いのが実情です。状態が大きく変わった場合は、更新を待たずに区分変更申請を行うこともできます。
参考(一次情報)
- 厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか
- 厚生労働省 サービスにかかる利用料
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム
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