最終更新: 2026-07-05
要介護1とはどんな状態?
要介護1とは、歩行や入浴など生活の一部に介助が必要になり始める段階です。要支援2との違い、月約16.8万円分の支給限度額と週間プラン例、一人暮らしを続ける工夫、入居できる施設、区分変更の目安まで、はじめてのご家族向けにやさしく解説します。
この記事の要点
- 要介護1とは、身の回りのことに部分的な介助が必要になり始める段階で、要介護認定等基準時間は1日32〜50分が目安です
- 同じ基準時間帯の要支援2とは、状態の安定性や認知機能の低下の有無などで区分が分かれます
- 在宅サービスの支給限度額は月16,765単位(約16.8万円分)で、自己負担1割なら上限まで使っても月約1.7万円です
- 見守りサービスや福祉用具を活用すれば、一人暮らしを続けられるケースが多い段階です
- 入居先は住宅型有料老人ホームやサ高住などが中心で、特別養護老人ホーム(特養)は原則入居できません
要介護1とはどんな状態?8区分の中での位置づけ
結論要介護1とは、歩行や入浴など身の回りのことに部分的な介助が必要になり始める段階です。要介護1〜5のうち最も軽い区分で、介護保険の介護給付によるサービスを利用できます。
介護保険の要介護認定では、心身の状態に応じて非該当・要支援1・要支援2・要介護1〜5の8区分に分けられます。要介護1とは、そのうち部分的な介助が必要になり始める段階を指し、介護の手間を時間に換算した指標である要介護認定等基準時間が1日32〜50分に相当する状態が目安とされています。
要支援1・2との大きな違いは、受けられる給付の種類です。要支援では状態の維持・改善を目的とした予防給付が中心ですが、要介護1からは日常生活の介助を中心とした介護給付の対象となり、利用できるサービスの種類と月々の限度額が広がります。前後の区分と比べると、次のような位置づけです。
| 区分 | 基準時間(1日) | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 要支援2 | 32〜50分 | 生活の一部に支援が必要だが、状態は比較的安定している |
| 要介護1 | 32〜50分 | 部分的な介助が必要になり始め、状態の変化や軽い物忘れがみられる |
| 要介護2 | 50〜70分 | 歩行や排泄など、日常生活のより広い場面で介助が必要 |
出典: 厚生労働省の要介護認定資料をもとに作成(2026年時点)。基準時間は介護の手間を推計するための指標で、実際に介護にかかる時間そのものではありません。
要介護1の具体的な状態像|どんな場面で介助が必要?
結論立ち上がりや歩行が不安定になり、入浴や排泄の一部、家事や金銭管理などに見守りや介助が必要になることが多い状態です。食事や着替えはおおむね自分でできる方が中心です。
認定は全国一律の基準にもとづくコンピュータ判定と介護認定審査会の二段階で行われるため一人ひとり状況は異なりますが、要介護1と認定される方には次のような様子が多くみられます。
個人差が大きいのもこの区分の特徴です。足腰は比較的しっかりしていても、認知機能の低下が理由で要介護1と判定される方もいれば、その逆の方もいます。どの生活場面で、どんな介助が必要かをご家族がメモしておくと、この後のケアプランづくりや認定調査で状態を正確に伝えやすくなります。
また、要介護1は「まだ大丈夫」とサービス利用をためらいやすい時期でもあります。しかし早めに通所介護(デイサービス)などで体を動かす習慣をつくることは、筋力低下や閉じこもりを防ぎ、今の状態を長く保つことにつながります。介護サービスは「弱った人が使うもの」ではなく「弱らないために使うもの」と考えていただくのがおすすめです。
- 立ち上がりや歩行にふらつきがあり、手すりや杖(つえ)の支えが必要なことがある
- 浴槽をまたぐ、背中を洗うなど、入浴の一部に介助が必要
- トイレにはおおむね自分で行けるが、失敗が少しずつ増えてきた
- 薬の飲み忘れや日付の勘違いなど、軽い物忘れがみられる
- 調理・掃除・買い物などの家事や、金銭管理に部分的なサポートが必要
要支援2と要介護1の違いは?何で区分が分かれる?
結論要支援2と要介護1は、要介護認定等基準時間が同じ1日32〜50分の帯にあります。介護の手間の量は同程度でも、状態の安定性と認知機能の低下の有無などによって区分が分かれます。
審査では、心身の状態が安定しているか、認知機能の低下がみられるかという2つの視点が重視されます。おおむね6か月以内に状態が大きく変わり介護の量が増える可能性が高い場合や、理解力の低下により介護予防の取り組みの効果が見込みにくい場合に、要介護1と判定されるのが一般的です。
介護の手間の量が同じでも、区分によって使える制度は大きく変わります。主な違いは次のとおりです。
結果に納得がいかない場合は、都道府県の介護保険審査会への審査請求や、市区町村への区分変更申請という方法があります。認定調査のときに緊張して普段より元気に振る舞ってしまうのはよくあることなので、次の機会には日頃の様子をメモにまとめて調査員に渡す準備をしておきましょう。
| 項目 | 要支援2 | 要介護1 |
|---|---|---|
| 基準時間(1日) | 32〜50分 | 32〜50分(同じ帯) |
| 状態の見通し | 比較的安定している | おおむね6か月以内に変化する可能性がある |
| 認知機能 | 低下がほとんどみられない | 軽い低下がみられることがある |
| 給付の種類 | 予防給付(介護予防サービス) | 介護給付(介護サービス) |
| 支給限度額(月) | 10,531単位(約10.5万円分) | 16,765単位(約16.8万円分) |
| ケアプランの相談先 | 地域包括支援センターが中心 | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
出典: 厚生労働省資料をもとに作成(2026年時点)。金額は1単位=10円の地域で計算した概算です。
要介護1で使えるサービスと支給限度額|週間プラン例
結論在宅サービスは月16,765単位(約16.8万円分)まで介護保険で利用でき、自己負担1割の方なら上限まで使っても月約1.7万円です。訪問介護やデイサービスなどを組み合わせて計画を立てます。
要介護1になると、訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所生活介護(ショートステイ)、訪問看護、福祉用具貸与など、介護給付のサービスを幅広く利用できます。1か月の上限である区分支給限度基準額は月およそ16.8万円分(16,765単位)で、限度額の範囲内なら自己負担は所得に応じて1〜3割です。1割負担の方で最大約16,800円、2割で約33,500円、3割で約50,300円が月々の自己負担の目安になります。
実際には限度額いっぱいまで使う方ばかりではありません。要介護1で一人暮らしの方を想定した、週間プランの一例をご紹介します。
注意したいのは福祉用具のルールです。車いすや介護ベッド(特殊寝台)のレンタルは、要介護1では原則として保険給付の対象外とされています(状態によって例外的に認められる場合があります)。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは対象ですので、まずは転倒予防など住まいの安全対策から整えるのが一般的です。
| 曜日 | サービスの例 |
|---|---|
| 月 | 通所介護(デイサービス): 入浴・昼食・機能訓練 |
| 火 | 訪問介護(生活援助): 掃除・買い物 |
| 水 | 通所介護(デイサービス): 入浴・昼食・レクリエーション |
| 木 | 訪問介護(生活援助): 調理・洗濯 |
| 金 | 通所介護(デイサービス): 入浴・昼食・機能訓練 |
| 土・日 | ご家族の訪問や電話での見守り |
| 毎日 | 福祉用具貸与: 手すり・歩行器のレンタル |
あくまで一例です。この組み合わせの場合、自己負担1割で月1万〜1.5万円程度が目安です(2026年時点の概算。デイサービスの食費など保険外費用は別途。地域区分や事業所の加算により変動します)。
要介護1で一人暮らしは続けられる?
結論要介護1は、介護サービスと見守りの工夫を組み合わせることで、一人暮らしを続けられるケースが多い段階です。ただし火の元や服薬、転倒への備えは早めに整えておく必要があります。
工夫次第で一人暮らしを続けられることが多いのが要介護1の特徴です。デイサービスで入浴と栄養、人との交流を確保し、訪問介護で家事を補い、配食や見守りサービスで日々の安否確認を行う、という組み合わせが代表的です。次のような支えを重ねると、ご本人もご家族も安心しやすくなります。
一方で、夜間の転倒や火の始末、服薬の管理に不安が出てきたら、一人暮らしの続け方を見直すサインです。認知機能の低下がある場合はご本人が困りごとを自覚しにくいため、離れて暮らすご家族が帰省のたびに冷蔵庫の中身や郵便物、通帳の様子などを確認し、生活の変化を早めにつかむことが大切です。
一人暮らしが難しくなってきたときの選択肢は、施設入居だけではありません。ご家族との同居や住宅型有料老人ホームへの住み替えのほか、通い・訪問・泊まりを一つの事業所で組み合わせられる小規模多機能型居宅介護(小多機)という在宅サービスもあります。
- 自治体や民間の見守り・緊急通報サービス(ペンダント型の通報ボタン、人感センサーなど)
- 安否確認を兼ねた配食サービス(多くの市区町村に助成制度があります)
- 手すりの設置や段差解消などの住宅改修(介護保険から20万円を上限とする工事費の7〜9割が給付される仕組みがあります)
- 服薬カレンダーやお薬の一包化による飲み忘れ対策
- ガスコンロの自動消火機能や電気調理器への切り替えなど、火の元の対策
要介護1で入居できる施設は?特養には入れる?
結論住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、介護付き有料老人ホームが主な選択肢で、認知症の診断があればグループホームも検討できます。特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上のため、要介護1では対象外です。
要介護1は「まだ在宅で大丈夫」という方が多い一方、将来に備えて住み替えを考え始める方も増える段階です。検討できる主な施設は次のとおりです。
相談現場では、要介護1の段階で「施設はまだ早いのでは」と迷われるご家族が多い一方、動けるうちに見学だけ済ませておく方も増えています。ご本人が自分の目で見て住まいを選べるのは、心身に余裕のある今の時期だからこそです。人気の施設は空き待ちになることもあるため、候補を2〜3か所に絞っておくと、いざという時に慌てずにすみます。
介護の窓口では、関西4府県で要介護1から入居できる施設の空き状況や費用を、相談員が無料でお調べしています。「見学だけしてみたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
| 施設種別 | 要介護1での入居 | 特徴 |
|---|---|---|
| 住宅型有料老人ホーム | 可能 | 外部の在宅サービスを組み合わせて利用。施設数が多く選びやすい |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 可能 | 安否確認・生活相談付きの賃貸住宅。生活の自由度が高い |
| 介護付き有料老人ホーム | 可能(施設による) | 施設スタッフによる24時間体制の介護。重度化しても住み続けやすい |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 認知症の診断があれば可能 | 要支援2以上が対象。原則、施設と同じ市区町村に住民票が必要 |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 可能(タイプによる) | 所得に応じて費用を抑えやすい。介護型は要介護1以上が目安 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則不可 | 入居は原則要介護3以上。要介護1・2はやむを得ない事情がある場合の特例入所のみ |
2026年時点の一般的な入居基準です。受け入れ条件は施設ごとに異なるため、必ず個別にご確認ください。
認知症が進んで介護が増えたら?区分変更申請のタイミング
結論認定の有効期間の途中でも、心身の状態が変わったときは区分変更申請ができます。介助の量が増えた、認知症状が目立ってきたと感じたら、ケアマネジャーに相談しましょう。
要介護1は状態が動きやすい時期です。転倒による骨折や認知症の進行で介護の量が増えたのに区分がそのままだと、限度額が足りずサービスを増やせなかったり、超えた分が全額自己負担になったりすることがあります。その場合は区分変更申請を行い、実態に合った区分への見直しを検討します。
申請は市区町村の窓口で行い、ケアマネジャーや地域包括支援センターに代行してもらうこともできます。結果は原則30日以内に通知され、変更が認められた場合は申請日にさかのぼって新しい区分が適用されるのが一般的です。次のようなサインがみられたら、申請を検討するタイミングです。
なお、区分が上がると限度額は増えますが、利用量が増えればその分だけ自己負担も増えることがあります。区分変更は介護度を上げること自体が目的ではなく、必要なサービスを過不足なく使える状態に整えることが目的です。ケアマネジャーと相談しながら判断しましょう。
- 同じことを何度も聞く、日付や場所の間違いが増えた
- 転倒が増えた、一人での外出が難しくなった
- サービスを限度額近くまで使っても生活が回らなくなってきた
- 夜間に目が離せない時間が増え、ご家族の負担が大きくなってきた
ご家族が要介護1のうちに準備しておきたいこと
結論要介護1は、ご本人と話し合いながら将来に備えられる貴重な時期です。お金の把握、ご本人の希望の確認、施設の情報収集を少しずつ進めておくと、状態が変わったときに落ち着いて対応できます。
介護は、骨折や入院をきっかけに突然重度化することがあります。比較的落ち着いている今のうちに次の一手の準備を進めておくことが、結果的にご本人の希望をかなえ、ご家族の負担を減らすことにつながります。
介護保険のサービスは、一度決めたら終わりではなく、使いながら調整していくものです。迷ったときは一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど身近な専門職を頼ってください。施設選びに関する疑問があれば、介護の窓口の相談員も無料でご相談をお受けしています。
- ご本人の年金額や預貯金など、介護に使えるお金を大まかに把握しておく
- 「できるだけ自宅がいいか、施設も選択肢に入れるか」というご本人の希望を、元気なうちに聞いておく
- かかりつけ医やもの忘れ外来など、認知症について相談できる医療機関を確認しておく
- ケアマネジャー・地域包括支援センターと、ご家族の連絡体制をつくっておく
- 候補になりそうな施設の資料請求や見学を、1〜2か所でも済ませておく
よくある質問
要介護1はどのくらいの介護が必要な状態ですか?
介護の手間を時間に換算した要介護認定等基準時間で、1日32〜50分に相当する状態です。歩行や入浴、家事などに部分的な介助が必要になり始める段階で、食事や着替えなどはおおむね自分でできる方が多いのが特徴です。
要介護1で一人暮らしはできますか?
可能なことが多い段階です。デイサービスや訪問介護に、配食・見守りサービスなどを組み合わせて、自宅での生活を続けている方は少なくありません。ただし服薬や火の元の管理に不安が出てきたら、住み替えも含めた見直しを検討するタイミングです。
要介護1になるとお金はもらえますか?
介護保険から現金が支給される仕組みは原則ありません。その代わり、月16,765単位(約16.8万円分)までのサービス費用のうち7〜9割が保険から給付され、自己負担は1〜3割ですみます。自治体独自の紙おむつ支給や介護用品の助成などが使える場合もあるため、市区町村の窓口で確認してみましょう。
要介護1で特別養護老人ホーム(特養)に入れますか?
特養の入居は原則要介護3以上のため、要介護1では原則入居できません。認知症などで在宅生活が著しく困難といったやむを得ない事情がある場合に限り、特例入所が認められることがあります。要介護1では住宅型有料老人ホームやサ高住などが現実的な選択肢です。
要介護1でデイサービスは週何回まで利用できますか?
回数の上限が決まっているわけではなく、月16,765単位の限度額の範囲内で組み立てます。デイサービス中心なら週4〜5回程度まで収まる場合もありますが、訪問介護など他のサービスと併用するときは週2〜3回が目安になることが一般的です。ケアマネジャーと相談して決めましょう。
要介護1の認定はどのくらいで見直されますか?
新規認定の有効期間は原則6か月、更新認定は原則12か月で、市区町村の判断で短縮・延長されることがあります。有効期間の途中でも、状態が変わったときは区分変更申請が可能です。更新の案内は有効期間が終わる約60日前に届くのが一般的です。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
- 厚生労働省「区分支給限度基準額について」(社会保障審議会介護給付費分科会資料)
- WAM NET「介護保険制度の解説」(独立行政法人福祉医療機構)
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修の給付」関連資料
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