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最終更新: 2026-07-12

福祉用具購入費(特定福祉用具販売)とは

福祉用具購入費(特定福祉用具販売)とは、腰掛便座や入浴補助用具などレンタルになじまない福祉用具を介護保険で購入した際、費用の一部が支給される制度です。年10万円の限度額、対象品目、償還払い・受領委任払いという申請方法をやさしく解説します。

この記事の要点

  • 福祉用具購入費(特定福祉用具販売)とは、腰掛便座や入浴補助用具などレンタルになじまない福祉用具を介護保険で購入した際に費用の一部が支給される制度で、毎年4月〜翌3月の1年間に10万円までの支給限度基準額が設けられています
  • 対象品目は、腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具・排泄予測支援機器の6種類に限定されています
  • 支給割合は所得に応じて9割・8割・7割のいずれかで、10万円分を購入した場合の自己負担は1割の方で1万円、2割の方で2万円、3割の方で3万円が目安です
  • 対象になるのは要支援1・2および要介護1〜5の方で、要介護度に関わらず年10万円の枠は一律です。購入前にケアマネジャーへ相談し、都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入する必要があります
  • 申請方法には、全額を一旦支払い後日払い戻される償還払いと、自己負担分のみを支払う受領委任払いの2種類があり、対応の可否は市区町村により異なります

福祉用具購入費(特定福祉用具販売)とは、どんな制度ですか?

結論福祉用具購入費(特定福祉用具販売)とは、腰掛便座やポータブルトイレ、入浴補助用具など、レンタルになじまない福祉用具を介護保険を使って購入した際に、費用の一部が支給される制度です。毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間に10万円までの支給限度基準額が設けられ、所得に応じて費用の9〜7割が支給されます。

介護保険には、車椅子や介護ベッドなど13種目を月々の利用料の1〜3割負担で借りられる「福祉用具貸与」という仕組みがあります。ただし、腰かけ便座(ポータブルトイレ)や入浴用いすのように、レンタルには向かない用具もあります。こうした用具については、貸与ではなく購入費の一部を支給する仕組みが用意されており、これが福祉用具購入費(正式名称: 特定福祉用具販売)です。

支給限度基準額は年10万円で、要介護度に関わらず一律です。10万円分をまとめて1回で使い切ることも、複数回に分けて少しずつ使うことも可能で、年度(4月〜翌3月)が変わると改めて10万円分の枠を利用できます。

この記事では、対象になる品目、支給限度額と自己負担の目安、購入前にケアマネジャーへ相談すべき理由、そして償還払い・受領委任払いという2種類の申請方法までやさしく整理します。

対象になる品目にはどんなものがありますか?

結論福祉用具購入費の対象品目は、腰掛便座(ポータブルトイレ等)・自動排泄処理装置の交換可能部品・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具の部分・排泄予測支援機器の6種類に限定されています。

対象になる品目は、介護保険法施行規則で6種類に定められています。いずれも体に直接触れる場面で使う用具が中心です。6種類の内容を整理すると、次の表のとおりです。

対象品目具体例・内容
① 腰掛便座ポータブルトイレ、和式便器の上に置いて腰掛け式にする補高便座、洋式便器の立ち上がりを補助する据置式便座など
② 自動排泄処理装置の交換可能部品尿や便を自動で吸引する装置のうち、レシーバー・チューブ・タンクなど交換可能な部分(本体は福祉用具貸与の対象)
③ 入浴補助用具入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、浴槽の縁にかける入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト
④ 簡易浴槽空気式や折りたたみ式など、工事を伴わずに設置・取り外しができる浴槽
⑤ 移動用リフトのつり具の部分体を包み込んで持ち上げるスリングシートなど(リフト本体は福祉用具貸与の対象)
⑥ 排泄予測支援機器膀胱の状態をセンサーで感知し、排尿のタイミングを知らせる機器

対象品目は介護保険法施行規則にもとづく6種類です(2026年時点)。具体的な製品が対象になるかどうかは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認することをおすすめします(出典: 厚生労働省「介護保険における福祉用具」制度の概要)。

なぜレンタルではなく購入の対象になるのですか?

結論介護保険の福祉用具は、レンタル(貸与)できる13種目と、購入費が支給される6種目に分かれています。腰掛便座や入浴補助用具などが後者の対象になっているのは、他の人が使用したものを消毒しても再利用しにくい、衛生上の理由があるためです。

介護保険の福祉用具は、レンタルで利用する「貸与」と、購入費が支給される「特定福祉用具」に分かれています。この違いを生んでいるのが、用具の性質による使い分けです。車椅子や介護ベッドは体に直接触れる部分が少なく、消毒・洗浄をすればくり返し貸し出せるためレンタルの対象になっています。一方、腰掛便座や入浴用いすのように排せつや入浴で肌に直接触れる用具は、他の利用者への再貸与になじまないと考えられているため、購入費を支給する仕組みになっています。

この考え方から、自動排泄処理装置や移動用リフトのように、1つの用具の中でも本体はレンタル、肌に触れる交換可能部品やつり具だけが購入対象になるというように、部位によって扱いが分かれることがあります。迷ったときは、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに確認すると安心です。

なお、車椅子や介護ベッドなど貸与の対象品目の中には、原則要介護2以上でなければレンタルできない品目もあります(例外給付が認められる場合を除く)。これに対し、この記事で扱う福祉用具購入費の対象品目は、要介護度による利用制限が設けられていません。詳しくは次の章で解説します。

支給限度額と自己負担はどれくらいになりますか?

結論福祉用具購入費の支給限度基準額は、年10万円(毎年4月〜翌3月)です。所得に応じて費用の9割・8割・7割が支給され、10万円分を購入した場合の自己負担は、1割の方で1万円、2割の方で2万円、3割の方で3万円が目安です。

支給される割合は、他の介護保険サービスと同じく所得に応じて決まる1〜3割の自己負担割合にもとづきます。ご自身の負担割合は、市区町村から交付される介護保険負担割合証で確認できます。10万円の枠をすべて使った場合の支給額・自己負担額の目安は、次の表のとおりです。

負担割合10万円分購入した場合の支給額自己負担額の目安
1割負担の方9万円1万円
2割負担の方8万円2万円
3割負担の方7万円3万円

支給限度基準額(年10万円)の範囲内で、実際に購入した費用に応じて支給される仕組みです。10万円を超えた分は全額自己負担になります(2026年時点の制度にもとづく試算。出典: 厚生労働省「福祉用具購入費の支給」制度の概要)。

要支援・要介護度によって対象は変わりますか?

結論福祉用具購入費の対象になるのは、要支援1・2または要介護1〜5の認定を受けている方です。支給限度額は要介護度に関わらず年10万円で一律で、要介護度が重いほど金額が増える仕組みではありません。

要介護認定は非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の8区分に分かれています。このうち非該当と判定された方は、福祉用具購入費の対象にはなりません。介護ベッドや車椅子など一部の福祉用具貸与の品目は原則要介護2以上でなければ利用できませんが、福祉用具購入費の対象品目には、そうした要介護度による利用制限は設けられていません。要支援1の方でも要介護5の方でも、同じ10万円の枠を使えます。

また、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院といった介護保険施設に入所している間は、必要な設備が施設サービス費に含まれるため、福祉用具購入費は原則利用できません。一方、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームに入居している場合は、契約内容によって居宅とみなされ、引き続き福祉用具購入費を利用できることがあります。在宅で購入した福祉用具は施設入居後も返却の必要はありませんが、居室の広さによっては持ち込めないこともあるため、住み替えの前に確認しておくと安心です。

要介護度福祉用具購入費の対象
非該当(自立)対象外
要支援1対象(年10万円の枠内)
要支援2対象(年10万円の枠内)
要介護1対象(年10万円の枠内)
要介護2対象(年10万円の枠内)
要介護3対象(年10万円の枠内)
要介護4対象(年10万円の枠内)
要介護5対象(年10万円の枠内)

要介護区分は非該当・要支援1・2・要介護1〜5の8区分にもとづきます(2026年時点)。ケアプランの作成窓口は、要介護の方がケアマネジャー(介護支援専門員、ケアプラン作成の自己負担なし)、要支援の方が地域包括支援センターです(出典: 厚生労働省「福祉用具購入費の支給」制度の概要)。

購入前にケアマネジャーへの相談と指定事業者からの購入が必要なのはなぜですか?

結論福祉用具購入費は、都道府県等の指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」から購入した場合に限り支給の対象になります。指定を受けていない一般の店舗やインターネット通販で購入すると、年10万円の支給を受けられません。

福祉用具購入費を受け取るには、まずケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に相談し、必要な品目をケアプランに位置づけてもらうことが基本の流れです。そのうえで、都道府県または政令指定都市・中核市の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入する必要があります。同じ商品でも、指定を受けていない店舗やインターネット通販サイトで購入すると、介護保険からの給付を受けられません。

指定を受けた事業所には、福祉用具の専門知識を持つ福祉用具専門相談員が在籍しており、体の状態や住環境に合わせて品目を提案してくれます。購入後に体に合わなかったということがないよう、事前に自宅を訪問してもらい、試用してから決められる事業所を選ぶと安心です。

介護の窓口の相談現場では、「先に家電量販店やインターネット通販でポータブルトイレを購入してしまい、あとから介護保険が使えると知って相談に来られた」というお話をうかがうことがあります。福祉用具購入費は購入後の申請が基本ですが、指定事業者以外からの購入は給付の対象外になるため、必ず購入前にケアマネジャーへ相談することを心がけてください。

申請方法の「償還払い」と「受領委任払い」はどう違いますか?

結論福祉用具購入費の申請方法には、購入時にいったん全額を支払い、後日9〜7割分が払い戻される「償還払い」と、購入時に自己負担分(1〜3割)のみを支払う「受領委任払い」の2種類があります。受領委任払いに対応しているかどうかは市区町村や事業者によって異なります。

償還払いは、購入時にいったん費用の全額を事業者に支払い、あとから市区町村に申請して9〜7割分の払い戻しを受ける方法です。全国どの市区町村でも利用できる基本の方式ですが、購入時に一時的とはいえ全額の支払いが必要になる点は押さえておく必要があります。

受領委任払いは、購入時に自己負担分(1〜3割)のみを事業者に支払い、残りの9〜7割は市区町村が直接事業者に支払う方法です。まとまった現金を用意する負担が軽くなりますが、受領委任払いに対応しているかどうかは市区町村や事業者により異なり、対応できる事業者はあらかじめ市区町村への届出が必要です。2つの方式を整理すると、次の表のとおりです。

項目償還払い受領委任払い
購入時の支払い費用の全額(10割)自己負担分(1〜3割)のみ
9〜7割分の支給後日、市区町村から本人の口座に振込市区町村から事業者へ直接支払い
利用できる範囲全国どの市区町村でも利用可能市区町村・事業者が対応している場合のみ
向いているケース一時的な支払いに対応できる方まとまった現金の用意が難しい方

受領委任払いに対応しているかどうかは市区町村ごとに異なり、対応する事業者もあらかじめ市区町村への登録が必要です(2026年時点。出典: 市区町村介護保険担当課資料)。利用したい場合は、購入前にケアマネジャーまたは市区町村の介護保険担当課に確認することをおすすめします。

申請の流れと必要書類はどうなっていますか?

結論福祉用具購入費の申請は、ケアマネジャーへの相談、指定事業者の選定、購入、市区町村への申請書類の提出という順に進みます。介護保険の給付には時効があり、購入日から2年以内に申請するのが基本です。

実際の手続きは、次の表のようなステップで進みます。

ステップやること主な提出書類
① 相談必要な品目をケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に相談する-
② 事業者選定都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者を選ぶ-
③ 購入福祉用具専門相談員のアドバイスを受けながら品目を選び、購入する見積書
④ 申請書類の提出市区町村の介護保険担当課へ申請する支給申請書、領収書、福祉用具が確認できる写真・パンフレット、福祉用具が必要な理由書など
⑤ 支給審査のうえ、費用の9〜7割が支給される(償還払いの場合は本人口座へ振込)-

必要書類や様式は市区町村により多少異なります。申請の時効は購入日から2年が目安とされ、期限を過ぎると支給を受けられなくなるため、購入後は早めに申請することをおすすめします(2026年時点の一般的な流れ。出典: 市区町村介護保険担当課資料)。

紙おむつなどの消耗品は対象になりますか?

結論紙おむつや尿とりパッドなどの消耗品は、福祉用具購入費の対象には含まれません。使い切りの日用品はレンタル・購入費支給のいずれの仕組みにもなじまないため、市区町村の助成やおおむね6ヶ月以上の寝たきりを要件とする医療費控除など、別の制度で負担を軽くする形になります。

福祉用具購入費の対象になるのは、繰り返し使用する腰掛便座や入浴補助用具などの6品目に限られます。紙おむつ、尿とりパッド、使い捨て手袋、清拭用のおしぼりといった一度使ったらなくなる消耗品は、この制度の対象には含まれません。

紙おむつ代の負担を軽くする方法としては、お住まいの市区町村が実施する紙おむつの支給・購入費助成(現物支給や助成券など、内容は自治体ごとに異なります)や、一定の条件を満たした場合の所得税・住民税の医療費控除があります。医療費控除を受けるには、おおむね6ヶ月以上の寝たきりで医師が治療上必要と認めていることなどの要件があり、医師が発行するおむつ使用証明書が必要になるのが原則です。詳しい条件は主治医や税務署にご確認ください。

「介護保険で紙おむつも買えると思っていた」という思い違いは相談現場でも少なくありません。福祉用具購入費・貸与の対象品目と、消耗品への支援制度は別の仕組みだと理解しておくと、費用の見通しを立てやすくなります。自宅での生活を続けるための福祉用具選びに迷ったときや、将来的に住み替えも視野に入れて検討したい場合は、ケアマネジャーへの相談に加えて、介護の窓口でも関西エリアの施設探しを無料でお手伝いしています。

よくある質問

一言でいうと、福祉用具購入費とは何ですか?

一言でいうと、腰掛便座や入浴補助用具など、レンタルになじまない福祉用具を介護保険で購入した際に、年10万円までの範囲で費用の9〜7割が支給される制度です。要支援1・2、要介護1〜5の方が対象で、都道府県等の指定を受けた事業者から購入する必要があります。

対象になる品目には何がありますか?

腰掛便座(ポータブルトイレ等)、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分、排泄予測支援機器の6種類です。いずれも入浴や排せつなど、体に直接触れる場面で使う用具が中心です。

自己負担はいくらになりますか?

支給限度基準額10万円分を購入した場合、自己負担額の目安は1割負担の方で1万円、2割負担の方で2万円、3割負担の方で3万円です。10万円の枠を超えた分は全額自己負担になります。

どこで購入すればいいですか?

都道府県等の指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」から購入する必要があります。指定を受けていない一般の店舗やインターネット通販で購入すると、対象品目であっても介護保険からの給付を受けられません。購入前にケアマネジャーに相談することをおすすめします。

償還払いと受領委任払いはどちらを選べばいいですか?

償還払いは購入時に全額を支払い後日払い戻される方法、受領委任払いは購入時に自己負担分のみを支払う方法です。受領委任払いに対応しているかどうかは市区町村や事業者により異なるため、利用したい場合は購入前にケアマネジャーや市区町村の窓口に確認しましょう。

紙おむつも福祉用具購入費で買えますか?

紙おむつや尿とりパッドなどの消耗品は、福祉用具購入費の対象には含まれません。市区町村による紙おむつの支給・助成制度や、条件を満たした場合の医療費控除など、別の仕組みで負担を軽くする方法があります。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省「福祉用具購入費の支給」制度の概要
  • 厚生労働省「介護保険における福祉用具」(貸与・特定福祉用具販売の種目)
  • 介護保険法施行規則(特定福祉用具の種目に関する規定)
  • 公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具・住宅改修に関する資料
  • 市区町村介護保険担当課資料

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