最終更新: 2026-07-20
親を扶養控除に入れる条件とは?別居でも仕送りで対象になるケースを解説
扶養控除とは、生計を一にする親族の年間所得が一定額以下の場合に受けられる所得税・住民税の控除です。別居している親でも仕送りにより対象になり得る条件、年齢や同居の有無による38万円〜58万円の控除額の違い、年末調整・確定申告での手続き方法を解説します。
この記事の要点
- 親を扶養控除の対象にするには、親の年間合計所得金額が48万円以下で、子と生計を一にしていることが主な条件です
- 扶養控除の金額は、70歳未満の親なら38万円、70歳以上で別居していれば48万円、70歳以上で同居する老親等なら58万円です
- 別居していても、生活費や療養費を月3万〜5万円程度など定期的に仕送りしていれば生計を一にすると認められやすいとされますが、法律上の金額基準はありません
- 扶養控除の対象にできるのは、同じ親について兄弟姉妹のうち1人だけで、複数人が同時に申告することはできません
- 税法上の扶養控除(所得48万円以下で判定)と、健康保険の被扶養者(主に年収130万円未満で判定)は、判定基準が異なる別の制度です
扶養控除とは、どのような制度ですか?
結論扶養控除とは、生計を一にする親族の年間合計所得金額が48万円以下である場合に、納税者本人の所得から一定額を差し引ける所得税・住民税の制度です。
扶養控除とは、配偶者以外の親族を経済的に養っている場合に、その所得金額に応じて税金の負担を軽くする所得控除の一つです。会社員の年末調整や自営業の方の確定申告のときに毎年目にする言葉ですが、対象になる条件や控除額の仕組みを正しく理解している方は意外と多くありません。
実家を出て別々に暮らす親の生活費を仕送りしている場合、この仕送りが自分の税金を減らすことにつながるのか気になる方も多いはずです。結論からいえば、別居していても一定の条件を満たせば、親を扶養控除の対象にできます。
この記事では、親を扶養控除の対象にするための所得要件、年齢や同居の有無による控除額の違い、別居していても認められる仕送りの考え方、年末調整・確定申告での手続き方法、兄弟姉妹がいる場合の注意点、健康保険の扶養との違いまで、はじめて調べる方にもわかるように順番に整理します。
親を扶養控除の対象にするには、どんな条件を満たす必要がありますか?
結論親を扶養控除の対象にするには、親の年間合計所得金額が48万円以下であることと、納税者本人と「生計を一にしている」ことの2つの条件を満たす必要があります。
1つめの条件は、親のその年の合計所得金額が48万円以下であることです。親の収入が公的年金のみで65歳以上の場合、年金収入から公的年金等控除額110万円を差し引いて所得を計算するため、年金収入が158万円以下であればおおむねこの所得要件を満たします。ただし遺族年金や障害年金は非課税のため、この所得の計算には含めません。
2つめの条件は、納税者本人と「生計を一にしている」ことです。生計を一にすると聞くと同居を思い浮かべる方が多いのですが、必ずしも同じ家に住んでいる必要はありません。別居していても、仕送りなどにより生活を支えている実態があれば認められます。この考え方は次の項目で詳しく解説します。
- 所得要件:その年の合計所得金額が48万円以下(年金収入のみ・65歳以上なら年金収入158万円以下が目安)
- 生計要件:納税者本人と生計を一にしていること(同居でなくても仕送り等により認められる場合がある)
親の年齢や同居の有無で、扶養控除の金額はどう変わりますか?
結論扶養控除の金額は、親が70歳未満なら38万円、70歳以上で別居していれば48万円、70歳以上で同居する老人扶養親族(同居老親等)なら58万円と、年齢・同居の有無によって3段階に分かれます。
年齢は、その年の12月31日時点で70歳以上かどうかで判定します。70歳未満の親は「控除対象扶養親族」として38万円、70歳以上の親は「老人扶養親族」として48万円が基本の控除額です。さらに老人扶養親族のうち、納税者本人または配偶者と常に同居している同居老親等に該当すると、48万円に10万円が加算されて58万円になります。
注意したいのは、親が施設に入所している場合です。特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)、介護老人保健施設(老健、要介護1以上)、グループホーム(認知症対応型共同生活介護、要支援2以上+認知症の診断+原則同一市区町村)などに入所していると、これまで同じ住所で暮らしていたとしても、施設入所は「同居」に該当しないと扱われるのが一般的です。この場合、58万円の同居老親等ではなく、48万円の別居老親等が適用される考え方になります。ただし48万円の控除自体は、施設に入所していても、生計を一にしていれば引き続き受けられます。個別の判定に迷う場合は、税務署にご確認ください。
| 区分 | 対象となる親の年齢・同居の目安 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|---|
| 控除対象扶養親族(一般) | 70歳未満の親 | 38万円 | 33万円 |
| 老人扶養親族(別居老親等) | 70歳以上で別居している親(施設入所を含む) | 48万円 | 38万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上で納税者本人または配偶者と常に同居している親 | 58万円 | 45万円 |
出典:国税庁タックスアンサーNo.1180「扶養控除」(所得税)、総務省資料(個人住民税)。年齢はその年の12月31日時点で70歳以上かどうかで判定します。控除額は近年見直しが行われておらず、2026年7月時点でも同じ金額が適用されていますが、所得税はその年の所得に対して、住民税は前年の所得にもとづき翌年度に課税される点が異なります。
別居している親でも「生計を一にする」と認められるのは、どんな場合ですか?
結論別居している親でも、生活費や療養費を定期的に仕送りしていれば「生計を一にする」と認められる可能性があります。国税庁は金額基準を定めておらず、月3万円〜5万円程度を目安とする考え方もあります。
生計を一にするというと同じ家に住んでいることをイメージしがちですが、国税庁の考え方はそれとは異なります。日常の生活費や療養費などについて、常に生活資金の送金が行われている場合には、たとえ別居していても生計を一にすると扱われます。単身赴任中の家族や、進学のために離れて暮らす子どもへの仕送りと同じ考え方が、離れて暮らす親への仕送りにもあてはまります。
一方で、仕送りの金額について、法律上「これだけ送れば良い」という明確な基準は定められていません。実務上は、生活費の主要な部分をまかなえる程度の金額を、毎月など定期的に送金している実績があるかどうかが重視される傾向にあります。数か月に一度まとまった額を送る場合や、お小遣い程度の少額にとどまる場合は、生計を一にしていると判断されにくくなることがあります。
重要なのは、仕送りの記録を残しておくことです。銀行振込であれば通帳や振込明細が記録として残りますが、現金の手渡しでは記録が残りにくいため、できる限り振込にしておくと、あとから送金の実態を説明しやすくなります。金額の妥当性や自分のケースが対象になるかどうかの最終的な判断は、税務署や国税庁のタックスアンサーで確認することをおすすめします。
| 仕送りの状況(例) | 「生計を一にする」と判断されやすいかの傾向 |
|---|---|
| 生活費や療養費を毎月など定期的に送金している | 認められやすい傾向があります |
| 数か月に1度など不定期にまとまった額を送金している | 送金の実態次第で判断が分かれます |
| 年に数回、お小遣い程度の少額を送っている程度 | 認められにくい傾向があります |
これは国税庁が公表している法令上の金額基準ではなく、送金の頻度や性質にもとづく一般的な判断傾向を整理したものです(2026年7月時点の考え方)。実際の判定は個々の生活実態にもとづき行われるため、迷う場合は税務署にご確認ください。出典:国税庁タックスアンサーNo.1180「扶養控除」の考え方。
年末調整や確定申告では、扶養控除をどう手続きすればよいですか?
結論年末調整の対象になる会社員は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に親の情報を記入し、毎年11月頃までに勤務先へ提出します。自営業の方などは確定申告書に記入します。
会社員など年末調整の対象になる方は、勤務先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、扶養に入れる親の氏名・続柄・生年月日・マイナンバー・所得の見積額などを記入して提出します。70歳以上の親を扶養に入れる場合は、老人扶養親族に該当する欄への記載や、同居しているかどうかのチェックも必要です。
自営業の方や、年末調整の対象にならない方、医療費控除など他の控除もあわせて申告したい方は、確定申告書に記入します。確定申告書第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄に対象となる親の情報を記入し、第一表の「扶養控除」欄に該当する控除額を記入する流れです。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力するだけで控除額が自動計算されます。
いずれの方法でも、勤務先や税務署から、別居している親への仕送りの実態を確認する資料の提出を求められることがあります。銀行振込の明細や通帳のコピーなど、仕送りの記録は数年分保管しておくと、申告時やあとからの確認でスムーズです。
| 項目 | 年末調整(給与所得者) | 確定申告(自営業など) |
|---|---|---|
| 主な書類 | 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 確定申告書(第一表・第二表) |
| 提出先・時期の目安 | 勤務先へ、毎年11月頃までに提出 | 税務署へ、翌年2月中旬〜3月中旬に提出 |
| 記入する内容 | 扶養親族の氏名・続柄・所得の見積額などを記入 | 第二表に親族情報、第一表の扶養控除欄に控除額を記入 |
| 仕送りの証明 | 求められた場合に振込明細等を提示 | 求められた場合に振込明細等を提示 |
出典:国税庁「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」記載の手引き、確定申告の手引き(2026年7月時点)。確定申告の受付期間は例年2月16日頃〜3月15日頃ですが、年により多少前後する場合があるため、最新の期日は国税庁ホームページでご確認ください。
兄弟姉妹で仕送りをしている場合、扶養控除は誰が使えますか?
結論同じ親について、扶養控除の対象にできるのは兄弟姉妹のうち1人だけです。複数人が実際に仕送りをしていても、控除を重複して受けることはできません。
親の生活費を兄弟姉妹で分担して仕送りしているご家庭は少なくありませんが、税法上、1人の親族を複数の納税者が同時に扶養控除の対象にすることはできません。実際に仕送りをしている人数にかかわらず、確定申告や年末調整で親を扶養控除の対象として申告できるのは、兄弟姉妹のうち1人だけと決まっています。
どちらが扶養控除を使うかは兄弟姉妹の話し合いで決めますが、一般的には、課税所得が最も高い人が申告すると、所得税は累進税率のため軽減額が大きくなりやすいといわれています。ただし扶養控除以外にも、健康保険の扶養や会社の扶養手当など、扶養に入れることで影響する制度が別にあるため、税金の軽減額だけで決めず、家族全体で話し合うことをおすすめします。
なお、誤って複数人が同時に同じ親を扶養控除の対象として申告してしまった場合、税務署から是正を求められることがあります。年によって担当する人を交代する場合は、前年の担当者が扶養控除等申告書からその親を外すのを忘れないよう、家族間で申し送りをしておくと安心です。
- 扶養控除は、同じ親について兄弟姉妹のうち1人しか使えません
- 一般的には所得(課税所得)が最も高い人が申告すると軽減額が大きくなりやすいとされています
- 年ごとに担当を交代する場合は、外れる側が扶養控除等申告書の記載を見直す必要があります
扶養控除と健康保険の被扶養者は、同じ制度ですか?
結論扶養控除(税法上の扶養)と健康保険の被扶養者(社会保険上の扶養)は、判定基準が異なる別の制度です。所得税は所得48万円以下、健康保険は主に年収130万円未満で判定します。
「扶養」という言葉が共通しているため同じ制度だと思われがちですが、税法上の扶養控除と、健康保険における被扶養者の認定は別の制度です。以下は、それぞれの主な判定基準を比較したものですが、両方の基準を同時に満たすとは限らない点に注意が必要です。
健康保険の被扶養者になるには、多くの場合、年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害がある方は180万円未満)であることに加え、別居している場合は、本人の収入が援助を受けている送金額より少ないことなどが条件になります。ここでいう「収入」は、扶養控除の判定に使う「所得」とは異なり、遺族年金や障害年金などの非課税収入も含めて判定するのが一般的です。
そのため、扶養控除の対象にはなるが健康保険の被扶養者にはなれない、あるいはその逆のケースもあり得ます。健康保険組合によって基準の運用が異なる場合もあるため、親を健康保険の扶養に入れたい場合は、勤務先の健康保険組合や協会けんぽに個別に確認することをおすすめします。
| 比較項目 | 扶養控除(税法上の扶養) | 健康保険の被扶養者(社会保険上の扶養) |
|---|---|---|
| 判定する基準 | 合計所得金額 | 年間収入 |
| 主な金額基準 | 48万円以下 | 130万円未満(60歳以上等は180万円未満) |
| 非課税の年金の扱い | 所得の計算に含めない | 収入に含めるのが一般的 |
| 主な手続きの窓口 | 税務署・年末調整(勤務先) | 健康保険組合・協会けんぽ(勤務先経由) |
出典:国税庁タックスアンサーNo.1180「扶養控除」、全国健康保険協会(協会けんぽ)の被扶養者認定基準にもとづく整理(2026年7月時点)。健康保険の収入基準や運用は加入する健康保険組合により異なる場合があるため、詳細は勤務先の健康保険担当にご確認ください。
親と世帯分離をすると、扶養控除に影響はありますか?
結論親と世帯分離をしても、「生計を一にする」実態があれば扶養控除は引き続き受けられます。世帯分離は、高額介護サービス費(一般的な上限は月44,400円)などの判定に使う住民票上の手続きで、税法上の扶養控除とは基準が異なります。
世帯分離とは、同居したまま住民票上の世帯だけを分ける手続きです。介護保険サービスの利用者負担(高額介護サービス費や負担限度額認定など)は住民税非課税の「世帯」単位で判定されるため、世帯分離によって親だけの世帯にすると、負担段階が下がる場合があります。
一方、扶養控除の判定基準は住民票の世帯ではなく「生計を一にしているかどうか」です。そのため、介護保険の負担軽減を目的に世帯分離をしても、実際に生活費を仕送りするなどして生計を一にする実態が続いていれば、扶養控除は引き続き受けられるのが基本的な考え方です。ただし、世帯分離によって健康保険の扶養や会社の扶養手当の扱いが変わる可能性もあるため、あわせて確認しておくと安心です。
介護の窓口の相談現場では、施設入居や世帯分離を検討し始めたタイミングで、扶養控除や健康保険の扶養がどうなるのか分からず不安になるというご相談を数多くお受けします。税金や制度の扱いは個別の事情によって変わるため、正確なところは税務署や市区町村の窓口へ確認しながら進めると安心です。
施設探しや費用の見通しについてお悩みの場合は、関西4府県(大阪・京都・兵庫・奈良)にお住まいの方であれば、介護の窓口の相談員が無料でご相談に応じます。対応エリア外にお住まいの方は、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。
よくある質問
一言でいうと、扶養控除とはどのような制度ですか?
一言でいうと、扶養控除とは、生計を一にする親族の年間合計所得金額が48万円以下などの要件を満たす場合に、納税者本人の所得から一定額を差し引ける制度です。親を扶養控除に入れると、年齢や同居の有無に応じて38万円から58万円が控除されます。
別居している親でも扶養控除の対象にできますか?
別居している親でも、扶養控除の対象にできます。生活費や療養費を定期的に仕送りしており「生計を一にする」と認められ、親の年間合計所得金額が48万円以下であれば、別居老親等として48万円の控除を受けられます。
仕送りはいくら送っていれば扶養控除の対象になりますか?
仕送りの金額について、法律上の明確な基準は定められていません。重要なのは、生活費の主要な部分をまかなえる金額を定期的に送金している実績で、判断に迷う場合は税務署や国税庁のタックスアンサーで確認することをおすすめします。
兄弟姉妹で仕送りをしている場合、扶養控除は誰が申告できますか?
兄弟姉妹で仕送りをしている場合でも、扶養控除を申告できるのは同じ親について1人だけです。実際に複数人で仕送りをしていても控除の重複はできず、一般的には所得が最も高い人が申告すると軽減額が大きくなりやすいといわれています。
扶養控除と健康保険の被扶養者は同じ基準で判定されますか?
扶養控除と健康保険の被扶養者は、判定基準が異なる別の制度です。扶養控除は所得48万円以下、健康保険は主に年収130万円未満で判定するため、それぞれ別に確認する必要があります。
親と世帯分離をすると、扶養控除に影響はありますか?
親と世帯分離をしても、扶養控除の判定には基本的に影響しません。世帯分離は住民票上の世帯を分ける手続きで、扶養控除の基準である「生計を一にしているか」とは別の基準だからです。ただし健康保険の扶養など他の制度への影響は別途確認しておくと安心です。
参考(一次情報)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1180「扶養控除」
- 国税庁 法令解釈通達「生計を一にする」の意義
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「被扶養者とは」
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