介護の窓口ひとりで悩まない、施設探しを。

最終更新: 2026-07-20

介護費用は確定申告で戻る?

介護費用の確定申告(医療費控除)とは、1年間に支払った介護費用のうち対象になるものが10万円などの基準を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引ける制度です。対象になる費用の範囲や必要書類、申告方法をやさしく整理します。

この記事の要点

  • 介護費用の確定申告(医療費控除)は、支払った医療費等の合計から保険金等の補填額と10万円(総所得200万円未満の方は所得の5%)を差し引いた金額をもとに計算します(上限200万円)
  • 訪問看護など医療系の居宅サービスは自己負担額が対象になりますが、訪問介護など福祉系サービスは医療系サービスと併用する場合に限り対象になるのが原則です
  • 施設サービス費は、特別養護老人ホーム(特養)が自己負担額の2分の1、介護老人保健施設(老健)と介護医療院は全額が医療費控除の対象になります
  • おむつ代は、6ヶ月以上の寝たきりで医師が治療上必要と認めた場合や施設サービス費に含まれる場合に対象になり、有料老人ホームの家賃相当額や日常生活費は対象外です
  • 申告には医療費控除の明細書などの書類が必要で、e-Tax・郵送・税務署窓口の3つの方法があり、還付申告は翌年1月1日から5年間さかのぼって行えます

介護費用の確定申告(医療費控除)とは、どのような制度ですか?

結論介護費用の確定申告(医療費控除)とは、1年間に支払った医療費・介護費用のうち対象になるものが10万円(または所得の5%)を超えた分を所得から差し引き、所得税・住民税を軽くする制度です。

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に、本人や生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を所得から差し引ける所得控除の制度です。病院の診療費や薬代だけでなく、訪問看護や特別養護老人ホームの費用の一部など、条件を満たす介護保険サービスの自己負担分も対象に含まれます。

控除額は、「支払った医療費等の合計−保険金などで補填される金額」から、10万円と総所得金額等の5%のうち少ないほうを差し引いた金額です(上限200万円)。総所得金額等が200万円未満の方は10万円ではなく所得の5%が基準になるため、年金収入が中心の方などは医療費が10万円以下でも対象になる場合があります。

ここで押さえておきたいのは、控除額そのものがそのまま戻ってくるわけではないという点です。実際に還付されるのは控除額に所得税率を掛けた金額が中心で、住民税は翌年度分が軽減されます。この記事では、対象になる費用の範囲や施設の種類による違い、必要書類と申告方法を順番に整理します。

  • 支払った医療費等の合計: 1年間に実際に支払った、対象になる医療費・介護費用の総額です
  • 保険金などで補填される金額: 高額療養費や高額介護サービス費、生命保険の給付金など、あとで補填された金額を差し引きます
  • 10万円と総所得金額等の5%のうち少ないほう: 総所得金額等が200万円未満の方は、所得の5%が基準になります

医療費控除の対象になる介護費用・ならない介護費用はどれですか?

結論医療費控除の対象になる介護費用は、7つの項目に整理すると分かりやすく、訪問看護や特別養護老人ホームの費用の一部などは対象になる一方、有料老人ホームの家賃相当額などは対象外です。

介護保険サービスの費用は、医療費控除の対象になるものとならないものが細かく分かれています。ポイントは、看護や医学的管理に相当する部分かどうかで、日常生活の支援や居住に関わる部分は対象外になりやすいという点です。まずは主な費用を一覧で確認しましょう。

ここで挙げた費用は、いずれも利用者本人が自己負担した金額が対象になる点も共通しています。介護保険から給付された7〜9割の部分は自己負担していないため、控除の対象にはなりません。次の章から施設サービスの割合とおむつ代の条件を見ていきましょう。

費用の種類医療費控除の取り扱い
訪問看護・訪問リハビリテーションなど医療系の居宅サービス自己負担額が対象になります
訪問介護・通所介護など福祉系の居宅サービス医療系サービスとあわせてケアプランに位置づけられている場合に、対象になるものがあります
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの施設サービス費対象になりますが、施設の種類によって対象になる割合が異なります(次の章で解説します)
おむつ代(医師の証明書がある場合、または施設サービス費に含まれる場合)対象になります
通院のための公共交通機関の交通費対象になります(自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です)
有料老人ホームの家賃相当額・管理費・食費などの日常生活費対象外です
福祉用具のレンタル料・購入費、住宅改修費原則、対象外です

出典: 国税庁タックスアンサーNo.1125・No.1127(2026年7月時点の情報)。対象になる金額は施設や事業所が発行する領収書に記載されるのが一般的です。取り扱いは今後の税制改正により変更される場合があります。

入所する施設の種類によって、医療費控除の対象になる割合はどう違いますか?

結論入所する施設によって医療費控除の対象になる割合は異なり、特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1、介護老人保健施設と介護医療院は全額が対象になるのに対し、有料老人ホームの家賃相当額などは対象外です。

前の章で触れたとおり、施設サービス費の医療費控除には、施設の種類ごとに異なる特別な取り扱いがあります。同じ「施設に入所している」状態でも対象になる割合が大きく変わるため、入所を検討している施設がどの区分にあたるかを知っておくことが大切です。

特別養護老人ホーム(特養、指定介護老人福祉施設)は、施設サービスの対価(介護費・食費・居住費)の自己負担額のうち、2分の1に相当する金額が医療費控除の対象になるとされています。一方、介護老人保健施設(老健)介護医療院は、医療的なケアの必要性が高い施設と位置づけられているため、施設サービス費の自己負担額の全額が対象になります。

介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護の指定を受けた民間施設)は、特養や老健のような特別な軽減規定の対象に含まれていないため、家賃相当額や管理費、日常生活費は医療費控除の対象外となるのが一般的です。入居を検討する際は、費用の内訳のうちどこまでが介護保険サービスにあたるのか、契約前に確認しておくと安心です。

施設の種類入居条件の目安医療費控除の対象になる範囲
特別養護老人ホーム(特養)原則要介護3以上(特例あり)施設サービス費の自己負担額の2分の1
介護老人保健施設(老健)要介護1以上施設サービス費の自己負担額の全額
介護医療院要介護1以上(長期の医療的ケアが必要な方)施設サービス費の自己負担額の全額
介護付き有料老人ホーム施設ごとに設定(特定施設入居者生活介護の指定を受けた民間施設)家賃相当額・管理費・食費などは対象外

出典: 国税庁タックスアンサーNo.1125(2026年7月時点の情報)。施設サービス費は介護費・食費・居住費の自己負担分を指します。入居条件は一般的な目安で、特例や施設ごとの受け入れ基準により異なる場合があります。

おむつ代は、どんな条件を満たせば医療費控除の対象になりますか?

結論おむつ代は、おおむね6ヶ月以上の寝たきりで医師が治療上必要と認めた場合に医療費控除の対象になり、施設入所中は施設サービス費に含まれるため別の証明書は原則不要です。

大人用の紙おむつは、通常は日常生活用品として扱われ、医療費控除の対象になりません。ただし国税庁のタックスアンサーでは、一定の条件を満たす場合に限り、医師の証明書などがあれば対象になるとされています。在宅で介護している方にとっては見落としやすいポイントです。

要介護認定を受けている方については、毎年医師に証明書を書いてもらう代わりに、市区町村が交付する「おむつ使用の確認書」などを使える特例もあるとされています。証明書の様式や年ごとの取り扱いなど、より詳しい条件は、おむつ代の医療費控除だけを取り上げた別記事でくわしく解説しています。

特養や老健などの施設に入所中は、おむつ代が施設サービス費に含まれていて別料金にならないのが原則です。そのため前の章で説明した施設ごとの対象割合が、おむつ代の部分にもそのまま適用されます。なお、要介護認定を受けている方は、医療費控除とは別に、市区町村長の認定で障害者控除を受けられる障害者控除対象者認定書という制度もあり、こちらも個別記事でご案内しています。

  • 要件1: 傷病により、おおむね6ヶ月以上にわたって寝たきりの状態にあること
  • 要件2: 医師の治療を受けており、治療のうえでおむつの使用が必要と認められること(原則、医師が発行する「おむつ使用証明書」で確認します)

医療費控除は、実際にいくら戻ってくる計算になりますか?

結論医療費控除でいくら戻るかは、所得税率に応じて4段階で目安が変わり、控除額20万円の場合はおよそ3万円台から6万円台が戻る計算になります。

ここまで説明した対象範囲をもとに、具体的な金額でイメージしてみましょう。たとえば、特別養護老人ホームに入所している親の施設サービス費の自己負担が年36万円、その2分の1にあたる18万円が医療費控除の対象になり、あわせて訪問看護の自己負担が年12万円(全額が対象)だったとします。保険金などの補填がなければ、対象額の合計は30万円です。

総所得金額等が200万円以上の方であれば、ここから10万円を差し引いた20万円が医療費控除額になります(上限200万円)。この控除額に、申告する人の所得税率を掛けた金額と、住民税の軽減額(所得割のおおむね10%が目安)を足したものが、実際に軽くなる税額の目安です。

控除額そのものが現金で戻ってくるわけではなく、還付されるのは所得税が軽くなる分だけという点に注意しましょう。住民税は還付ではなく、翌年度分の税額が軽減される仕組みです。課税所得別の軽減額の目安を、下の表で確認してみましょう。

申告する人の課税所得所得税率軽減額の目安(所得税+住民税)
195万円以下5%約3万円
195万円超〜330万円以下10%約4万円
330万円超〜695万円以下20%約6万円
695万円超〜900万円以下23%約6.6万円

医療費控除額20万円の場合の概算で、復興特別所得税は含みません(2026年7月時点の税率にもとづく試算)。住民税の軽減は還付ではなく翌年度分の税額からの減額です。実際の金額は他の所得控除の有無などにより変動するため、目安としてご利用ください。

申告に必要な書類は、何を準備すればよいですか?

結論申告に必要な書類は、医療費控除の明細書を中心に5種類が基本で、領収書は提出ではなく自宅で5年間保管するのが原則です。

医療費控除の申告では、領収書の原本をそのまま提出する必要はありません。かわりに「医療費控除の明細書」に金額をまとめて記入し、確定申告書に添付する仕組みになっています。準備するものを整理すると、次の5つです。

  • 医療費控除の明細書: 支払った医療費・介護費用を項目ごとにまとめて記入する書類です。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、入力にあわせて自動で作成されます
  • 施設・事業所発行の領収書: 医療費控除の対象額が明記されているものが多く、明細書を作成したあとは提出不要ですが、自宅で5年間の保管が必要です
  • 介護保険負担割合証明書など自己負担割合が分かる書類: 領収書に記載された対象額を確認する際の参考資料として、手元にあると安心です
  • 源泉徴収票: 給与所得者や年金受給者の方が、勤務先や日本年金機構から受け取る書類で、所得金額の記入に使います
  • 還付金を受け取る口座の情報: 申告する本人名義の口座番号を確定申告書に記入します

確定申告の方法(e-Tax・郵送・税務署窓口)にはどんな違いがありますか?

結論確定申告の方法にはe-Tax・郵送・税務署窓口の3つがあり、いずれも医療費控除の明細書と確定申告書を提出する点は共通です。

書類がそろったら、確定申告書と医療費控除の明細書を税務署に提出します。医療費控除だけを目的とする申告(還付申告)は、通常の確定申告期間を待たずに提出できるため、都合のよいタイミングで進められます。提出方法は3つあり、生活スタイルに合わせて選べます。

申告方法準備するもの特徴
e-Tax(電子申告)マイナンバーカードと対応するスマートフォンなど24時間提出でき、還付が比較的早いとされています。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成から送信まで完結します
郵送作成した確定申告書一式税務署へ出向く時間が取りにくい方向けの方法です。通信日付印の日付が提出日として扱われます
税務署の窓口へ持参作成した確定申告書一式、本人確認書類その場で書き方を相談したい方向けです。申告期間中は混み合うことが多く、事前相談を予約できる税務署もあります

出典: 国税庁「医療費控除を受ける方へ」等(2026年7月時点の情報)。e-Taxの利用にはマイナンバーカードのほか、ID・パスワード方式による届出でも申告できる場合があります。詳しい手順は国税庁ホームページでご確認ください。

申告の期間はいつからいつまでで、家族の中で誰が申告すると有利ですか?

結論医療費控除の申告は、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日ごろ)を待たずに翌年1月1日から提出でき、5年前の年分までさかのぼれます。家族の中で所得税率が高い人がまとめて申告すると、軽減額は大きくなりやすいです。

所得税の確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日ごろまでの期間に行います。ただし医療費控除だけを目的とする還付申告の場合は、この期間にかかわらず、対象になる年の翌年1月1日から提出できます。申告し忘れていた年分があっても、還付申告なら5年間さかのぼって手続きできます。

医療費は、生計を一にする家族の分をまとめて1人が申告できる仕組みです。同居していなくても、仕送りなどで生活費や療養費を賄っている場合は「生計を一にする」に含まれることがあります。所得税は所得が高いほど税率が上がる仕組みのため、家族の中で所得税率が高い人がまとめて申告するほうが、軽減額は大きくなりやすいのが一般的です。

介護の窓口の相談現場では、「介護費用がかさんでいることは分かっていても、確定申告をすれば戻ってくるとは知らなかった」というお話をよく伺います。何にいくら払ったか分からなくなる前に、領収書だけでもまとめて保管しておくことが、申告への第一歩になります。

医療費控除の対象になる費用の判断に迷う場合や、施設探しとあわせて費用全体の見通しを相談したい場合は、介護の窓口(関西4府県・大阪、京都、兵庫、奈良対応)の相談員が無料でご相談に応じます。エリア外にお住まいの方は、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。

よくある質問

一言でいうと、介護費用の確定申告(医療費控除)とはどんな制度ですか?

一言でいうと、介護費用の確定申告(医療費控除)とは、1年間に支払った介護費用のうち対象になるものが10万円(または所得の5%)を超えた場合に、その超えた分を所得から差し引ける制度です。訪問看護や特別養護老人ホームの費用の一部などが対象になります。

有料老人ホームに入居している場合、費用はまったく医療費控除の対象になりませんか?

有料老人ホームに入居している場合でも、費用のすべてが対象外になるわけではありません。家賃相当額・管理費・食費などの日常生活費は対象外ですが、医師の証明書があるおむつ代など、施設の種類にかかわらず対象になる費用もあります。

確定申告をしないと、医療費控除は自動的に受けられませんか?

確定申告をしなければ、医療費控除は受けられません。医療費控除は年末調整では手続きできず、会社員や年金受給者の方も、対象になる介護費用を支払った年の翌年に自分で確定申告(還付申告)をする必要があります。

何年前の介護費用まで、さかのぼって申告できますか?

介護費用の医療費控除は、還付申告により、対象になる年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できます。過去に申告していなかった年分があれば、その年の領収書を確認してみましょう。

家族の中で、誰が申告すると軽減額が大きくなりますか?

家族の中では、所得税率が高い人が申告すると軽減額は大きくなりやすいです。生計を一にする家族の介護費用はまとめて1人が申告できるため、誰の名前で申告するかによって戻る金額が変わります。

おむつ代や障害者控除など、ほかにも介護費用に関わる税金の制度はありますか?

おむつ代や障害者控除のように、医療費控除以外にも介護費用にかかわる税金の制度があります。6ヶ月以上の寝たきりで医師が必要と認めたおむつ代の医療費控除や、要介護認定を受けた方が対象になりうる障害者控除対象者認定書などが代表例です。

参考(一次情報)

  • 国税庁 タックスアンサーNo.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1119「医療費控除に関する手続について」
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
  • 厚生労働省「介護保険サービスに係る利用料と医療費控除の対象範囲について」

記事を読んでも迷ったら、相談できます

ご家族の状況に当てはめてどうなのかは、相談員が一緒に整理します。無料です。

無料相談はこちら

このテーマの全体ガイド

老人ホームの費用

関連する施設を探す

あわせて読みたい

📍 近くで探す無料で相談