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最終更新: 2026-07-12

障害者控除対象者認定書とは

障害者控除対象者認定書とは、身体障害者手帳がなくても要介護認定などの心身の状態をもとに市区町村長が交付し、所得税の障害者控除(27万円)や特別障害者控除(40万円)を受けられる証明書です。認定基準の目安や申請窓口、年末調整・確定申告での記入方法を解説します。

この記事の要点

  • 障害者控除対象者認定書とは、身体障害者手帳や療育手帳がなくても、市区町村長の認定により所得税・住民税の障害者控除を受けられることを証明する書類です
  • 控除額は所得税で障害者控除27万円・特別障害者控除40万円・同居特別障害者控除75万円、住民税で26万円・30万円・53万円です
  • 対象になりやすい目安は、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)ランクB・C、または認知症高齢者の日常生活自立度ランクIII以上ですが、認定基準は市区町村により異なります
  • 申請窓口は市区町村の高齢福祉課や介護保険課で、申請書と介護保険被保険者証、本人確認書類などが主に必要です
  • 年末調整の扶養控除等申告書や確定申告で控除を申告でき、申告し忘れていた年分があっても還付申告により5年間さかのぼって手続きできます

障害者控除対象者認定書とはどのような制度ですか?

結論障害者控除対象者認定書とは、身体障害者手帳や療育手帳を持っていない65歳以上の方について、市区町村長が要介護認定などの資料をもとに心身の状態を審査し、障害者に準ずると認めたことを証明する書類です。この認定書があれば、所得税・住民税の障害者控除(27万円)または特別障害者控除(40万円)を受けられます。

「親は要介護3の認定を受けているけれど、障害者手帳は持っていない。それでも税金の控除は受けられないのだろうか」と感じたことはないでしょうか。実は、身体障害者手帳や療育手帳がなくても、市区町村長の認定を受ければ所得税・住民税の障害者控除の対象になる仕組みがあります。それが障害者控除対象者認定書です。

この制度は所得税法施行令にもとづくもので、65歳以上の方のうち、精神または身体に障害があり、その程度が身体障害者や知的障害者に準ずると市区町村長等が認定した場合に、税務上は手帳を持つ方と同じように障害者控除の対象として扱う、という仕組みです。手帳の取得には診断や申請の手間がかかり、心身が衰えた高齢の方の全員が手帳を持っているとは限らないため、これを補う制度として設けられています。

対象になりやすいのは、要介護認定を受けている方や、寝たきり・認知症の症状が進んでいる方です。ただし要介護度の数字だけで自動的に区分が決まるわけではなく、別の基準にもとづいて市区町村が個別に判定します。次の項目から、具体的な控除額や判定基準を順番に見ていきましょう。

  • 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれも持っていない65歳以上の方
  • 要介護認定を受けている、または寝たきり・認知症の症状がある方
  • 新たに手帳を取得する手間や時間をかけずに、税負担だけでも軽くしたいと考えているご家族

通常の障害者控除・特別障害者控除・同居特別障害者控除はどう違いますか?

結論所得税の控除額は、障害者控除が27万円、特別障害者控除が40万円、特別障害者と常に同居している場合の同居特別障害者控除は35万円が加算されて75万円です。住民税ではそれぞれ26万円・30万円・53万円になります。

控除額は障害の程度によって3段階に分かれており、市区町村から交付される認定書にも「障害者」または「特別障害者」のどちらに該当するかが明記されます。この区分によって、受けられる控除額が変わる仕組みです。

同居特別障害者控除は、特別障害者に該当する控除対象配偶者や扶養親族が、納税者本人・配偶者・生計を一にするその他の親族のいずれかと常に同居している場合に、特別障害者控除40万円へさらに35万円が上乗せされる仕組みです。ここでいう「同居」は住民票が同じかどうかではなく、実際に日常生活をともにしているかどうかで判断されます。

注意したいのは、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)や介護老人保健施設(老健)、介護付有料老人ホームなどの施設に入所している場合です。これまで同じ住所で暮らしていたとしても、施設入所は「同居」に該当しないと扱われるのが一般的で、同居特別障害者の35万円加算は適用されません。ただし特別障害者控除40万円自体は、施設に入所していても引き続き対象になります。入院による一時的な不在とは扱いが異なる点も、あわせて知っておくと安心です。

区分対象となる人の目安所得税の控除額住民税の控除額
障害者(普通障害者)障害の程度が比較的軽いと認定される人27万円26万円
特別障害者障害の程度が重いと認定される人40万円30万円
同居特別障害者特別障害者に該当する人と、納税者本人などが常に同居している場合75万円(40万円+35万円加算)53万円(30万円+23万円加算)

出典:国税庁・総務省資料(2026年時点)。同居特別障害者は、特別障害者に該当する控除対象配偶者・扶養親族が、納税者本人・配偶者・生計を一にする他の親族のいずれかと常に同居していることが条件です。施設入所の場合は同居に該当しないと扱われるのが一般的です。

どのくらいの要介護度や自立度なら認定書の対象になりやすいですか?

結論多くの市区町村では、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)ランクB・C、または認知症高齢者の日常生活自立度ランクIII以上に該当すると特別障害者、ランクA・IIに該当すると障害者(通常の控除)と判定する運用を目安としています。ただし認定基準は市区町村により異なります

判定のもとになるのは、要介護認定の際に主治医が作成する主治医意見書や、認定調査員が作成する認定調査票に記載された「自立度」の情報です。次の表は、多くの市区町村が参考にしている対応の目安です。

要介護度との関係でいうと、要介護3〜5程度の方は寝たきり度ランクB・Cや認知症高齢者の自立度ランクIII以上に該当しやすい傾向がありますが、これはあくまで傾向であり、要介護度だけで自動的に区分が決まるわけではありません。要介護1・2でも認知症の症状が強い場合は特別障害者と判定されることがある一方、要介護3でも身体機能の低下が中心で自立度がランクAにとどまり、通常の障害者控除にとどまることもあります。

また、認定基準の運用そのものが自治体ごとに異なります。同じ心身の状態でも、住んでいる市区町村によって障害者・特別障害者のどちらと判定されるかが変わる可能性がある点には注意が必要です。正確な判定は、お住まいの市区町村の窓口に直接確認することをおすすめします。

認定区分の目安障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)認知症高齢者の日常生活自立度
障害者(普通障害者)相当ランクA(A1・A2)ランクII(IIa・IIb)
特別障害者相当ランクB・C(B1・B2・C1・C2)ランクIII(IIIa・IIIb)・IV・M

多くの市区町村が参考にしている一般的な対応の目安です(2026年時点)。実際の認定基準・運用は市区町村により異なります。判定は要介護認定の主治医意見書・認定調査票の記載内容にもとづき、お住まいの市区町村が行います。出典:厚生労働省の自立度判定基準、市区町村の障害者控除対象者認定基準。

申請窓口や必要書類は何ですか?

結論申請窓口は、お住まいの市区町村の高齢福祉課や介護保険課(自治体により名称は異なります)です。申請書のほか、申請対象者の介護保険被保険者証や、窓口に来る方の本人確認書類が主に必要です。

申請できるのは、原則としてその年の12月31日時点で65歳以上であり、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれも持っていない方です。すでにいずれかの手帳を持っている場合は、この認定書ではなく手帳の等級で障害者控除・特別障害者控除の判定が行われます。

要介護認定を受けている方であれば、申請時に市区町村が主治医意見書や認定調査票の情報を確認して判定するため、新たに医師の診断書を用意する必要がないケースが多いです。ただし要介護認定を受けていない方や、記載内容だけでは判定が難しい場合は、追加で医師の診断書等を求められることがあります。

申請は本人だけでなく、扶養している家族が代理で行える自治体がほとんどです。委任状の要否や窓口の受付時間は自治体により異なるため、訪問前に電話などで確認しておくとスムーズです。

項目内容
対象となる人65歳以上で、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれも持っていない人
申請窓口お住まいの市区町村の高齢福祉課・介護保険課など(名称は自治体により異なります)
主な必要書類障害者控除対象者認定申請書、申請対象者の介護保険被保険者証、窓口に来る人の本人確認書類
手数料無料としている自治体が多い
代理申請家族などが代理で申請できる自治体が多いが、委任状が必要な場合がある

必要書類・手数料・代理申請の可否は自治体により異なります(2026年時点)。要介護認定を受けている場合は主治医意見書・認定調査票の情報を活用できるため追加の診断書が不要なことが多い一方、要介護認定を受けていない場合などは医師の診断書を求められることがあります。出典:市区町村資料。

認定書はいつの時点の状態で判定され、毎年申請が必要ですか?

結論所得税・住民税の障害者控除は、その年の12月31日時点の状態で判定するのが原則のため、認定書もその年の状態にもとづいて交付されます。心身の状態が続く限り、多くの自治体では毎年申請が必要です。

たとえば2026年分の確定申告や年末調整で控除を受けたい場合は、2026年12月31日時点の心身の状態にもとづいた認定書が必要になる、という考え方です。年の途中で要介護度が変わった場合や、施設に入所した場合も、基準になるのはその年の年末時点の状態です。

認定書の有効期間は自治体によって異なり、その年限りとして翌年以降は再申請が必要な自治体が多い一方、複数年分をまとめて交付する自治体もあります。毎年自動的に更新されるものではないため、控除を受け続けたい場合は、有効期間を確認し、必要に応じて忘れずに再申請しましょう。

介護の窓口の相談現場では、「手帳がないから障害者控除は関係ないと思っていた」というお声を、要介護3以上の認定を受けた親御さんを扶養するご家族から数多くいただきます。なかには、認定書の存在を知らないまま何年分もの控除を受け損ねていたケースも見られます。心当たりのある年があれば、あとから振り返って手続きできる場合もありますので、次の項目もあわせてご確認ください。

年末調整・確定申告ではどのように記入しますか?

結論会社員などは、年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者控除の欄に記入します。自営業の方や確定申告をする方は、確定申告書の第二表と第一表にそれぞれ記入します。

年末調整では、扶養控除等申告書の中にある控除対象扶養親族の欄に対象となる親などの氏名・続柄・生年月日を記入し、「障害者」区分の「特別障害者」または「その他の障害者」のいずれかにチェックを入れます。同居特別障害者に該当する場合は、その旨のチェック欄にもチェックします。勤務先によっては、認定書のコピーの提出や提示を求められることがあります。

確定申告の場合は、確定申告書第二表の「配偶者や親族に関する事項」の欄に対象者の情報と障害者区分を記入し、第一表の「所得から差し引かれる金額」のうち「障害者控除」の欄に控除額を記入します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力するだけで金額が自動計算されます。

項目年末調整(給与所得者)確定申告
主な書類給与所得者の扶養控除等(異動)申告書確定申告書(第一表・第二表)
記入する欄控除対象扶養親族の欄に氏名等を記入し、特別障害者・その他の障害者・同居特別障害者のいずれかにチェック第二表の配偶者や親族に関する事項欄に対象者情報を記入し、第一表の障害者控除欄に控除額を記入
認定書の提出勤務先から写しの提出・提示を求められる場合がある税務署から写しの提出・提示を求められる場合がある
向いている人年末調整の対象になる会社員など自営業の人、医療費控除など他の控除もあわせて申告したい人、年末調整で申告し忘れた人

書式・記入欄の名称は年度により変更されることがあります(2026年時点)。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って入力するだけで控除額が自動計算されます。詳細は勤務先の給与担当または税務署にご確認ください。出典:国税庁資料。

控除の対象となる親族の範囲はどこまでですか?

結論障害者控除の対象になるのは、納税者と生計を一にする配偶者や親族で、その年の合計所得金額が48万円以下であることが条件です。同居していなくても、生活費や療養費を送金していれば対象になり得ます。

「生計を一にする」とは、必ずしも同じ家に住んでいることを意味しません。国税庁の考え方では、別居していても生活費や療養費などを常に送金している場合は「生計を一にする」に該当するとされ、同居していても互いに独立した家計で生活していると認められる場合は該当しないことがあります。単身赴任や、離れて暮らす親に仕送りをしているといったケースの多くは「生計を一にする」に含まれます。

所得の要件については、親の主な収入が公的年金のみの場合、65歳以上であれば年金収入が158万円以下であれば、おおむね合計所得金額48万円以下の目安を満たします(公的年金等控除額110万円を差し引いて計算)。ただし遺族年金や障害年金は非課税のため、この所得の計算には含まれません。

なお、障害者控除だけを単独で受けることはできず、まずその親族が控除対象配偶者または扶養親族として扶養控除等の対象になっていることが前提です。扶養親族の要件を満たしているかどうかも、あわせて確認しておきましょう。

実際にどのくらい税金が軽くなりますか?

結論課税所得に所得税率20%が適用される方の場合、障害者控除で約8万円、特別障害者控除で約11万円、同居特別障害者控除で約20.3万円の軽減額が目安になります(所得税・住民税の合計)。

軽減額は「所得税の控除額×所得税率」に「住民税の控除額×住民税の税率(所得割はおおむね一律10%)」を加えて計算します。所得税率は課税所得の金額に応じて5%〜45%の累進税率のため、所得が高い人ほど、同じ控除額でも軽減される金額は大きくなる仕組みです。

たとえば課税所得400万円程度(所得税率20%の目安)の方が親を扶養しており、同居特別障害者控除75万円が適用される場合、所得税と住民税を合わせておよそ20万円の負担軽減が見込めます。対象となる親などを扶養控除等の対象にできる家族が複数いる場合は、所得が最も高い人が申告すると軽減額が大きくなりやすい点も覚えておくとよいでしょう。

控除区分所得税の控除額住民税の控除額軽減額の目安(所得税率10%の場合)軽減額の目安(所得税率20%の場合)
障害者控除27万円26万円約5.3万円約8.0万円
特別障害者控除40万円30万円約7.0万円約11.0万円
同居特別障害者控除75万円53万円約12.8万円約20.3万円

軽減額は、所得税の控除額×所得税率に、住民税(所得割)の控除額×10%を加えた概算です(復興特別所得税は含みません)。所得税率は課税所得に応じた5%〜45%の累進税率で、実際の軽減額は他の所得控除の有無等によって変動します。2026年時点の税率にもとづく試算です。

認定を受け忘れていた場合、過去の年分もさかのぼれますか?

結論確定申告をしていなかった年分については、還付申告により5年間さかのぼって障害者控除を申告できます。年末調整で申告し忘れた会社員の方も、確定申告(還付申告)をすれば同様に控除を受けられます。

還付申告は、確定申告の期限とは関係なく、対象となる年の翌年1月1日から5年間、税務署にいつでも提出できます。たとえば2026年中であれば、2021年分までさかのぼって申告できる計算です。過去の年分について市区町村に認定書の交付を申請できるかどうかは自治体により対応が分かれるため、まずは窓口に確認しましょう。

すでに確定申告書を提出済みで、あとから障害者控除の記入漏れに気づいた場合は、更正の請求という別の手続きで訂正します。還付申告・更正の請求のいずれも、まずは市区町村で該当する年分の認定書を発行してもらうことが出発点になります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談すると確実です。

  • 還付申告:確定申告書を提出していない年分が対象で、翌年1月1日から5年間申告できます
  • 更正の請求:すでに提出した確定申告書の訂正が対象で、法定申告期限から原則5年以内に手続きします

還付申告・更正の請求の窓口はどちらも税務署です。過去の年分の認定書発行については、お住まいの市区町村へご確認ください。介護費用全般に不安がある場合は、介護の窓口の無料相談もあわせてご活用ください。

よくある質問

障害者控除対象者認定書を一言でいうと何ですか?

身体障害者手帳や療育手帳がなくても、市区町村長が要介護認定などの資料をもとに心身の状態を審査し、所得税の障害者控除(27万円)または特別障害者控除(40万円)の対象になることを証明する書類です。

要介護3や要介護4なら必ず特別障害者に認定されますか?

必ずではありません。判定は要介護度そのものではなく、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)や認知症高齢者の日常生活自立度のランクをもとに市区町村が行うため、要介護3以上でも障害者(通常の控除)にとどまる場合や、逆に要介護2以下でも特別障害者と認定される場合があります。

身体障害者手帳を持っている場合はどうなりますか?

手帳をお持ちの場合、この認定書は不要です。身体障害者手帳の等級や療育手帳の程度に応じて、通常の障害者控除または特別障害者控除がそのまま適用されます。

親と別居していても控除を受けられますか?

受けられる場合があります。障害者控除の対象になるのは生計を一にする親族で、必ずしも同居は条件ではなく、生活費や療養費を送金していれば対象になり得ます。ただし同居特別障害者の35万円加算は、常に同居していることが条件です。

施設に入所している親は同居特別障害者になりますか?

特別養護老人ホーム(特養)や介護付有料老人ホームなどの施設に入所している場合、同じ住所であっても「同居」とは扱われないのが一般的で、同居特別障害者の35万円加算は適用されません。特別障害者控除40万円自体は、施設に入所していても引き続き対象になります。

申告し忘れていた年分もさかのぼって控除を受けられますか?

還付申告は5年間さかのぼって行えるため、過去に障害者控除の申告を忘れていた年分があれば、市区町村で該当する年分の認定書の交付を受けたうえで、還付申告により控除を受けられる場合があります。

参考(一次情報)

  • 国税庁 タックスアンサーNo.1160「障害者控除」
  • 総務省「個人住民税における障害者控除」
  • 厚生労働省「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)・認知症高齢者の日常生活自立度」判定基準
  • 市区町村(高齢福祉課・介護保険課)「障害者控除対象者認定基準」

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