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最終更新: 2026-07-06

透析中でも老人ホームに入れる?

人工透析をしながら老人ホームで暮らす基本形は、週3回程度の通院透析を続けながらの施設生活です。壁になりやすい通院送迎・透析食・体調変動への対応、施設種類別の受け入れ傾向、医療費助成のしくみまで、はじめてのご家族にやさしく解説します。

この記事の要点

  • 人工透析をしながらの入居は可能で、週3回程度の通院透析を続けながら施設で暮らすのが基本形です
  • 壁になりやすいのは、通院送迎の確保・食事管理(水分・カリウムなど)・透析後の体調変動への対応の3つです
  • 送迎の担い手は施設・透析クリニック・介護タクシー・ご家族の4パターン。誰がどの曜日を担うかを入居前に決めておきます
  • 住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、提携する透析クリニック次第で受け入れ可となることが多い傾向です
  • 透析の医療費は特定疾病療養受療証などの助成で自己負担が月1万円程度までに抑えられるとされ、負担の中心は施設の月額費用です

人工透析をしていても老人ホームに入居できますか?

結論はい、週3回程度の通院透析を続けながら老人ホームで暮らすことは可能で、実際にそうした形で生活している方は少なくありません。ただし、受け入れ体制は施設ごとの差が大きいのが実情です。

人工透析(透析)とは、働きが低下した腎臓に代わって、血液中の老廃物や余分な水分を人工的に取り除く治療のことです。大きく分けて、医療機関に通って行う血液透析(HD)と、自宅などで行う腹膜透析(PD)があり、日本では血液透析が9割以上を占めるとされています。血液透析は週3回、1回4時間程度の通院が一般的とされています。

日本透析医学会の統計では、全国の透析患者は約34万人(2023年末時点)、平均年齢は70歳前後とされています。高齢の透析患者は年々増えており、透析をしながらの施設探しは、いまや特別なことではありません。基本の形は、施設に住まいを移し、これまでどおり(または施設の近くの)透析クリニックへ週3回通院するというスタイルです。透析そのものは施設ではなく医療機関で行うため、施設側に求められるのは治療ではなく、通院と日常生活を支える体制です。

なお、透析の回数や治療の内容は病状によって異なります。この記事は一般的な情報の解説です。実際の判断は主治医・かかりつけ医にご相談ください。

患者数などの数値は日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2023年末)」に基づく目安です(2026年時点)。

透析患者の施設選びで壁になりやすい3つのポイントは?

結論通院送迎の確保、水分・カリウムなどの食事管理、透析後の体調変動への対応の3つが壁になりやすいポイントです。

透析中の方の施設探しでは、介護の必要度や予算といった一般的な条件に加えて、透析ならではの確認事項があります。整理すると次の3つです。

  • 壁1: 通院送迎 週3回の通院を誰がどのように担うか。施設選びの最大の分かれ目になります
  • 壁2: 食事管理 水分・塩分・カリウム・リンなどに配慮した食事(透析食)を提供してもらえるか
  • 壁3: 体調変動への対応 透析後の血圧低下や倦怠感への見守り、シャントの管理に理解があるか

逆にいえば、この3つを解決できれば、透析対応を大きくうたっていない施設でも入居できる場合があります。次から順番に見ていきましょう。

壁1: 週3回の通院送迎はどう確保しますか?

結論送迎の担い手は、施設・透析クリニック・介護タクシー・ご家族の4パターンが基本です。誰がどの曜日を担うのかを、入居前に具体的に決めておくことが大切です。

透析の通院は原則として週3回、長期にわたって続きます。送迎を誰が担うかは、透析中の方の施設選びの最大の分かれ目といってよいポイントです。主なパターンは次のとおりです。

実際には、行きはクリニックの送迎車、帰りは施設のスタッフが対応のように組み合わせるケースもあります。透析クリニックの無料送迎はエリアがクリニックごとに決まっているため、候補の施設が送迎エリア内にあるかどうかを最初に確認すると、探す範囲を一気に絞り込めます。

送迎の担い手特徴費用のかかり方の目安
施設のスタッフによる送迎職員が車で送り迎えする。対応できる施設は限られる無料の場合もあれば、1回数百円〜数千円の実費の場合もある
透析クリニックの送迎車クリニックが無料送迎を行っている場合、施設まで巡回してくれることが多い無料が一般的(送迎エリア内に限る)
介護タクシー(通院等乗降介助)介助付きで通院できる。要介護1以上の方はケアプランに入れて介護保険を使える場合がある介助部分は1回100円前後(1割負担の場合)に運賃・迎車料金などが加わる
ご家族による送迎費用は抑えられるが、週3回×往復の負担が長期間続くガソリン代などの実費

費用は概算の目安です(2026年時点)。介護保険の通院等乗降介助は要支援の方は原則対象外で、利用にはケアプランへの位置づけが必要です。詳しくはケアマネジャー(介護支援専門員)にご確認ください。

壁2: 透析食(食事管理)には対応してもらえますか?

結論透析中は水分・塩分・カリウム・リンなどの管理が必要とされるため、腎臓に配慮した食事(透析食)を提供できる施設かどうかを入居前に確認します。

透析を受けている方は腎臓の働きが低下しているため、水分や塩分のほか、カリウム・リン・たんぱく質などの摂取管理が必要とされています。制限の内容や程度は病状や体格によって一人ひとり異なり、主治医や管理栄養士の指示に基づいて行われます。

施設側の対応力は、厨房の体制によって差があります。管理栄養士が献立を調整できる施設や、給食会社の療養食(治療食)メニューを選べる施設は対応しやすい一方、通常食のみの施設では個別対応が難しいこともあります。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの介護保険施設には、医師の指示に基づく療養食を提供した場合の療養食加算という仕組みがあります。有料老人ホームでは、透析食が追加料金になる場合もあります。見学や問い合わせでは、次の点を確認しましょう。

  • 透析食・腎臓病食の提供実績があるか(追加料金の有無も)
  • カリウム・リン・塩分・水分量の個別調整に対応できるか
  • 水分制限の見守り(飲み物の管理や声かけ・記録)をしてもらえるか
  • 売店での買い物や差し入れなど、間食のルールをどう扱っているか

壁3: 透析後の体調変動には対応してもらえますか?

結論透析の後は血圧の低下や強い倦怠感が起こりやすいとされています。透析日の見守り体制、入浴日の調整、シャント管理への理解が施設側の確認ポイントです。

血液透析では数時間かけて体の水分量を調整するため、透析後は血圧低下・ふらつき・倦怠感が起こりやすいとされています。透析から戻った日の見守りを手厚くしてもらえるか、転倒予防の配慮があるかは大切な確認点です。また、透析当日は入浴を避けるのが一般的とされるため、入浴日を透析のない日に調整できるかも聞いておきましょう。

血液透析の方の腕には、シャント(透析のときに血液の出入り口となるよう、腕の血管をつなぎ合わせた部分)があるのが一般的です。シャント側の腕での血圧測定を避ける、腕時計や重い荷物で圧迫しないなどの配慮が必要とされており、職員がシャントの扱いを理解しているかも安心材料になります。具体的な注意点は、通院先の透析クリニックの指示に沿う形になります。

あわせて、看護職員の配置が日中のみか24時間か、協力医療機関と透析クリニックとの連携体制、体調が急に変化したときの対応の流れも確認しておくと安心です。

施設の種類別に見る透析患者の受け入れ傾向は?

結論住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、提携する透析クリニック次第で受け入れ可となることが多い傾向です。特別養護老人ホーム(特養)などは送迎体制が課題になりやすく、施設ごとの差が大きいのが実情です。

施設の種類ごとの一般的な傾向は次のとおりです。同じ種類でも施設による差がとても大きいため、あくまで比較の出発点としてご覧ください。

相談現場では、ホームページに透析対応の記載がない施設でも、透析クリニックの送迎エリア内だったことで受け入れが決まった例が少なくありません。反対に、透析可と案内されていても、よく聞くと送迎はご家族の対応が条件だったというケースもあります。資料の表記だけで判断せず、送迎の主体・曜日・費用まで具体的に確認することが、入居後のミスマッチを防ぐ近道です。

介護の窓口では、通院先の透析クリニックやお住まいの地域をうかがったうえで、送迎エリアや受け入れ実績をふまえた関西4府県の施設を相談員が無料でお調べします。

施設の種類受け入れ傾向の目安ポイント
住宅型有料老人ホーム比較的受け入れやすい提携クリニックの送迎エリア内なら可となる施設が多い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)比較的受け入れやすい外出の自由度が高く通院と両立しやすい。送迎手段の確保が前提
介護付き有料老人ホーム施設による看護体制は比較的手厚いが、送迎対応の有無で分かれる
特別養護老人ホーム(特養)施設による(難しい場合も)原則要介護3以上。職員送迎が難しく、家族送迎やクリニック送迎が条件になりやすい
介護老人保健施設(老健)施設による在宅復帰を目指す中間施設。透析通院に対応する施設もあるが、入所期間は要相談
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)難しい場合が多い要支援2以上+認知症の診断が条件。少人数体制のため週3回の送迎対応が難しい傾向
介護医療院施設による医療ニーズの高い方向け。透析は外部の医療機関への通院が基本
ケアハウス(軽費老人ホーム)施設による自立度が高い方向け。自力またはクリニック送迎で通院できれば可の場合がある

一般的な傾向の目安です(2026年時点)。実際の受け入れは各施設の体制・方針や、透析クリニックとの位置関係によって異なります。出典: 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の各サービス解説を参考に作成。

クリニック併設型の施設や腹膜透析(PD)の場合は?

結論透析クリニックが併設・隣接された施設なら、送迎の壁をほぼ解消できます。自宅や居室で行う腹膜透析(PD)の方は、バッグ交換を支える看護体制が確認ポイントです。

都市部を中心に、同じ建物や隣接地に透析クリニックを併設した住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が増えています。移動の負担がほとんどなく、体調が変化したときも医療側と施設側が連携しやすいのが強みです。数が限られ人気も高いため、早めに情報を集めて空き待ちの登録をしておくと動きやすくなります。

腹膜透析(PD)とは、お腹の中に入れた透析液を1日数回交換することで、体にたまった老廃物や水分を取り除く治療とされています。通院は月1〜2回程度が一般的とされ、通院送迎の壁は小さくなります。一方で、透析液のバッグ交換は医行為にあたるとされ、原則としてご本人または看護職員などが行う必要があります。就寝中に機械で行うAPDという方法もあります。

日本透析医学会の統計では、腹膜透析の患者は約1万人と透析全体の3%程度にとどまるため、受け入れ経験のある施設は多くありません。看護職員が日中だけか24時間いるか、バッグ交換を誰が担うかを軸に、個別に確認していく形になります。血液透析と腹膜透析のどちらを選ぶかといった治療そのものの判断は、主治医とご本人・ご家族との相談によります。

透析患者の老人ホーム費用はどのくらいかかりますか?

結論透析の医療費そのものは、公的な助成によって自己負担が月1万円程度までに抑えられるとされています。実際の負担の中心は、施設の月額費用と送迎などの周辺費用です。

血液透析の医療費は1人あたり月40万円程度かかるとされていますが、健康保険の特定疾病療養受療証の交付を受けると、透析にかかる自己負担は月1万円(上位所得者は2万円)までとされています。さらに、人工透析を受けている方は身体障害者手帳(腎臓機能障害)の対象になる場合が多く、手帳があると自治体の重度障害者医療費助成などにより、負担がいっそう軽くなる地域もあります。主な制度は次のとおりです。

つまり、費用面で比べる中心は施設の月額費用(家賃・管理費・食費など)です。透析があることを理由に月額利用料が大きく上がることは一般的にありませんが、送迎が有料の施設では月数千円〜数万円の上乗せ、透析食の追加料金がかかる場合があります。また、介護保険の自己負担が高額になった月は、高額介護サービス費(一般的な所得の世帯で月44,400円が上限)として払い戻される仕組みもあります。費用の見通しづくりも含めて、介護の窓口の相談員が無料でお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。

制度内容の目安申請の窓口
特定疾病療養受療証人工透析を行う慢性腎不全の方の自己負担が月1万円まで(上位所得者は2万円)加入している健康保険(国民健康保険・協会けんぽなど)
自立支援医療(更生医療)人工透析などにかかる医療費の自己負担を軽減(所得に応じた上限あり)市区町村の障害福祉の窓口
重度障害者医療費助成自治体独自の助成で、医療費の自己負担がさらに軽くなる場合がある(内容は自治体ごとに異なる)市区町村の医療助成の窓口
身体障害者手帳(腎臓機能障害)人工透析中の方は交付対象になる場合が多い。各種助成やサービスの入口になる市区町村の障害福祉の窓口

2026年時点の一般的な目安です。出典: 厚生労働省の高額療養費制度(長期高額疾病)・自立支援医療の資料。所得や自治体によって内容が異なるため、詳細は各窓口にご確認ください。

よくある質問

特別養護老人ホーム(特養)は透析をしていても入れますか?

原則要介護3以上という入所要件を満たしていれば、申し込み自体は可能です。ただし週3回の透析通院の送迎に施設が対応できるかは差が大きく、ご家族の送迎やクリニックの送迎が条件になる場合もあります。申し込みの前に、送迎体制を必ず確認しておきましょう。

透析の送迎費用は介護保険で安くなりますか?

要介護1以上の方が介護タクシー(通院等乗降介助)をケアプランに入れて利用する場合、乗り降りの介助部分に介護保険が適用され、1回100円前後(1割負担の場合)に運賃を加えた額が目安とされています。要支援の方は原則対象外です。透析クリニックの無料送迎が使えれば費用はかからないため、まずは送迎エリアを確認してみましょう。

認知症があり透析もしています。グループホームに入れますか?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、要支援2以上で認知症の診断があることが条件で、原則として同一市区町村の施設から選びます。ただし少人数の職員体制のため、週3回の透析送迎に対応できる施設は限られる傾向です。クリニックの送迎車が施設まで来られるか、ご家族が送迎を担えるかがポイントになります。

透析をしていると老人ホームの費用は高くなりますか?

透析自体の医療費は、特定疾病療養受療証などの助成により自己負担が月1万円程度までに抑えられるとされ、施設の月額利用料が透析を理由に大きく上がることも一般的にはありません。ただし、送迎が有料の施設では月数千円〜数万円の追加、透析食の追加料金がかかる場合があります。総額は施設ごとの見積もりで確認しましょう。

腹膜透析(PD)でも老人ホームに入れますか?

受け入れ実績のある施設は限られますが、看護職員がバッグ交換を支援できる施設などでは入居できる場合があります。バッグ交換は医行為にあたるとされ、介護職員だけの体制では対応が難しいのが一般的です。看護職員の配置が日中のみか24時間かを軸に、個別に確認することが大切です。

透析をしている高齢者はどのくらいいますか?

日本透析医学会の統計では、全国の透析患者は約34万人(2023年末時点)で、平均年齢は70歳前後とされています。高齢の透析患者は年々増えており、透析をしながらの住まい探しは決して特別なことではなくなっています。

参考(一次情報)

  • 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2023年末)」
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 厚生労働省「自立支援医療(更生医療)について」
  • 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」

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