最終更新: 2026-07-11
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは、手術でおなかに作った排泄口にパウチ(袋)を装着し排泄物をためる方法のことです。介護施設で必要になるケア内容、看護師配置による対応可否の違い、見学時の確認質問、費用負担の考え方までやさしく解説します。
この記事の要点
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは、手術でおなかに作る排泄口のことで、便を出す消化管ストーマと尿を出す尿路ストーマの2種類に分かれます
- パウチにたまった排泄物を1日数回廃棄する作業は医行為にあたらないとされ、状態が安定していれば装具(面板)の交換も看護職員と連携した介護職員が対応できるとされています
- 看護職員が日中中心の特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上)や、夜間も配置が手厚い介護老人保健施設(老健)は、ストーマケアに対応する例が多い傾向です
- ストーマ用品(装具)の購入費は介護保険の対象外で全額自己負担ですが、年間の医療費が10万円を超えるなどの条件を満たせば医療費控除の対象になり得ます
- 身体障害者手帳(ぼうこう又は直腸機能障害、多くは4級)を取得すると、日常生活用具給付等事業でストーマ用装具費用の助成を受けられる場合があります
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは?基礎知識と主な原因疾患
結論ストーマとは、病気やけがで排泄の通り道が使えなくなったときに、手術でおなかに新しく作る排泄口のことです。人工肛門(消化管ストーマ)と人工膀胱(尿路ストーマ)の2種類があり、専用のパウチ(袋)を装着して排泄物をためます。
ストーマとは、大腸がんや膀胱がんの治療、あるいは炎症性腸疾患や事故によるけがなどが原因で、これまでの経路で排泄ができなくなったときに、手術でおなかの皮膚に新しく作る排泄口のことです。ストーマには筋肉による排泄のコントロール機能がないため、おなかに装着したパウチ(排泄物をためる袋)に便や尿を一時的にため、たまったら廃棄するという生活になります。
ストーマは大きく、便を排出する消化管ストーマ(人工肛門)と、尿を排出する尿路ストーマ(人工膀胱)の2つに分かれます。ストーマを保有する方は「オストメイト」と呼ばれます。
ストーマを造る主な原因疾患には、大腸がん(直腸がんなど)、膀胱がん、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、腸閉塞、事故によるけが、先天性の疾患などが挙げられます。がんの手術にともなって造られることが多いとされていますが、原因や経緯は一人ひとり異なります。
なお、この記事の医療に関する説明はあくまで一般的な情報の整理です。ストーマの管理方法やケアの内容は病状や体の状態によって異なるため、実際の判断は主治医・かかりつけ医や、ストーマ外来・皮膚排泄ケア認定看護師にご相談ください。
消化管ストーマと尿路ストーマの違いは?一時的ストーマと永久的ストーマ
結論消化管ストーマは便を、尿路ストーマは尿を排出する点が違います。さらにどちらも、将来閉鎖する見込みのある一時的ストーマと、閉鎖を予定しない永久的ストーマに分かれます。
ストーマは「何を排出するか」と「将来閉鎖する見込みがあるか」という2つの軸で整理すると理解しやすくなります。表にまとめました。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 消化管ストーマ(人工肛門) | 小腸・大腸の一部をおなかに出し、便を排出します。造る部位により結腸ストーマ・回腸ストーマなどと呼ばれます |
| 尿路ストーマ(人工膀胱) | 尿管や膀胱の一部をおなかに出し、尿を排出します。膀胱を摘出する手術などにともなって造られることが多いとされています |
| 一時的ストーマ | 腸を休ませる、傷の回復を待つなどの目的で造られ、状態が落ち着けば閉鎖(ストーマ閉鎖術)して元の排泄経路に戻すことがあります |
| 永久的ストーマ | 肛門や膀胱そのものを摘出した場合など、生涯にわたって使い続けることを前提に造られます |
一般的な分類の目安です(2026年時点)。実際にどちらに該当するかは病状や手術の内容によって異なるため、主治医にご確認ください。一時的ストーマか永久的ストーマかは、施設探しやご本人の気持ちの整理にも関わる情報でもあります。施設に相談する際は、消化管ストーマか尿路ストーマか、閉鎖の見込みがあるかもあわせて伝えると、より具体的な相談がしやすくなります。
介護施設で必要になるケアとは?パウチ交換・皮膚トラブル・入浴の対応
結論施設で必要になる主なケアは、パウチにたまった排泄物の廃棄、数日おきの装具(面板)交換、皮膚トラブルへの対応、入浴時の配慮の4つです。内容によって対応する職種が分かれます。
ストーマには、皮膚に貼り付ける粘着剤つきの土台である面板と、排泄物をためる袋であるパウチを組み合わせて使います。面板とパウチが一体になった単品系と、面板にパウチをはめ込む二品系があり、あわせて「ストーマ装具」と呼ばれます。
ストーマのケアは、毎日何度もある作業と、数日に1回程度の作業に分かれます。施設で必要になる支援を整理すると、次の4つに集約されます。
| ケアの内容 | 具体的な作業 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| パウチ内の排泄物の廃棄 | パウチにたまった便や尿を、1日数回トイレで廃棄します | 専門的な管理を要しない範囲では、介護職員でも対応できるとされています |
| 装具(面板)の交換 | 皮膚に貼った面板ごと新しい装具に貼り替えます(製品により1〜7日に1回程度が目安) | ストーマと周辺の状態が安定していれば、看護職員と連携のうえ介護職員が対応できる場合があるとされています |
| 皮膚トラブルへの対応 | 面板まわりの赤み・ただれ・かゆみの観察と処置を行います | 専門的な処置が必要な場合は看護職員が担うのが基本です |
| 入浴時の配慮 | 装具をつけたまま入浴する、または入浴のタイミングに合わせて装具を扱います | 多くの場合、特別な準備をしなくても入浴できるとされています |
厚生労働省の通知等をもとにした一般的な目安です(2026年時点)。実際に介護職員が対応できる範囲は、ストーマの状態や施設ごとの体制によって異なります。入浴については、ストーマがあるからといって特別な準備が必要になるとは限らないとされています。単品系の装具であればそのまま入浴し、二品系であれば入浴用の小さいパウチに付け替える方法もあります。個浴か大浴場かによっても配慮の仕方は変わるため、見学の際に浴室の設備とあわせて確認しておくと安心です。
パウチ交換は医行為にあたる?介護職員と看護師の役割分担
結論パウチ内の排泄物を廃棄する作業は医行為にあたらないとされています。装具(面板)の交換も、ストーマの状態が安定していれば、看護職員との連携のもとで介護職員が対応できるとする行政解釈が示されています。
医療的ケアの多くは医師や看護師しか行えない医行為にあたりますが、ストーマのケアは他の医療的ケアと少し事情が異なります。厚生労働省は2005年の通知(医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について)で、専門的な管理が必要ない場合には、ストーマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てる作業は医行為にあたらないと整理しています。
さらに2011年には、公益社団法人日本オストミー協会からの照会に対して厚生労働省医政局医事課が、ストーマとその周辺の状態が安定しており専門的な管理が必要ない場合には、皮膚保護機能をもつストーマ装具の交換も、原則として医行為にはあたらないとの考えを示したとされています。この整理は、面板とパウチが分かれる二品系・一体型の単品系のどちらの装具にも当てはまるとされています。
ただし、これはあくまで状態が安定していることが前提です。皮膚に赤みやただれがある、出血している、装具がうまく貼れないといった場合は専門的な判断が必要になるため、看護職員が対応し、必要に応じて医師の診察につなげるのが基本とされています。介護職員が対応する場合も、医師や看護職員との連携体制があることが欠かせません。
つまり、パウチ交換ができるかどうかは、施設の種類そのものよりも、看護職員がいて介護職員と連携できる体制になっているかどうかで決まるといえます。次の章で、施設タイプ別の傾向を見ていきましょう。
施設によって対応は違う?看護職員配置と施設タイプ別の比較
結論看護職員が日中中心か24時間に近い体制かによって、ストーマケアへの対応のしやすさは変わります。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)は対応例が多く、グループホームは看護配置の義務がなく対応が限られる傾向です。
ストーマのケアそのものは、他の医療的ケアと比べて対応できる施設が広い傾向にあるとされています。とはいえ、看護職員がどの時間帯にいるかによって、皮膚トラブル時の対応力や夜間の安心感は変わります。施設タイプ別の一般的な傾向を表にまとめました。
| 施設タイプ | 看護職員配置の傾向 | ストーマケア対応の傾向 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 日中を中心に配置。夜間は介護職員のみでオンコール対応が一般的 | 原則要介護3以上が対象。日中の装具交換や排泄物の廃棄は対応例が多い傾向 |
| 介護老人保健施設(老健) | 特養より手厚く、夜間も看護職員を配置する施設が多い | 看護体制を活かして対応しやすい傾向。在宅復帰を目指す施設のため入所期間は要相談 |
| 介護付き有料老人ホーム | 日中の看護職員配置が基準。24時間看護体制の施設は一部 | 看護職員の勤務時間内であれば対応例が多く、24時間看護の施設は夜間のトラブルにも対応しやすい |
| 住宅型有料老人ホーム | 施設としての看護職員配置義務はない | ご本人が自己管理できる場合や、訪問看護と組み合わせる場合に対応しやすい |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 施設としての看護職員配置義務はない | 訪問介護・訪問看護との連携が前提になりやすい。安否確認と生活相談が基本サービス |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 看護職員の配置義務はない | 要支援2以上、認知症の診断、原則同一市区町村が入居要件。対応できる施設は限られる傾向 |
厚生労働省が定める人員配置基準などをもとにした一般的な傾向です(2026年時点)。同じ施設タイプでも看護職員の配置時間や研修体制は施設ごとに異なるため、個別の確認が欠かせません。医療依存度がとくに高い場合は、医師・看護職員を24時間に近い体制で配置する介護医療院が候補になることもあります。
見学・相談時に何を確認すればいい?チェックリスト
結論見学や入居相談では、パウチ交換・装具交換を誰が行うか、皮膚トラブル時の対応、入浴時の配慮、夜間のトラブル対応の4点を中心に、具体的に質問することが大切です。
相談現場では、「ストーマがあるから施設に入れないのでは」と心配されるご家族に多く出会いますが、実際には対応できる施設は少なくありません。パンフレットにストーマの記載がなくても、看護職員が皮膚トラブルの相談に乗ってくれる体制が整っていることもあるため、書面だけで判断せず、必要なケアの内容を具体的に伝えて確認することが大切です。介護の窓口では、ストーマのケアに対応できる関西の施設を、相談員が無料でお調べします。
「ストーマ対応可」という説明だけで安心せず、実際に対応する職種や時間帯まで具体的に確認しておくと、入居後のミスマッチを防ぎやすくなります。見学や電話相談では、次のような質問をしてみましょう。
- パウチ内の排泄物の廃棄や、装具(面板)の交換は、日中・夜間それぞれ誰が対応してくれますか
- 皮膚に赤みやただれが出たとき、どのように対応し、必要な場合はどの医療機関を受診しますか
- 入浴のときの装具の扱い(つけたまま入浴するか、付け替えるか)と介助の方法を教えてください
- ストーマ用品(装具)はご本人・ご家族が用意するのか、施設で保管・管理してもらえますか
- 夜間にパウチが外れる、便や尿が漏れるといったトラブルが起きた場合の連絡・対応の流れはどうなっていますか
- ストーマ外来や皮膚排泄ケア認定看護師など、専門職と連携できる医療機関はありますか
質問の答えを聞くだけでなく、実際にどのくらいの頻度で受け入れてきた実績があるかもあわせて確認すると、対応の確かさを判断しやすくなります。
ストーマ用品の費用はどれくらい?介護保険と医療費控除の関係
結論ストーマ用品(装具)の購入費は介護保険の対象外で、原則全額自己負担です。ただし医師が治療上必要と認めた場合は医療費控除の対象になり得るほか、身体障害者手帳を取得すると自治体の給付制度を利用できる場合があります。
ストーマ装具(面板・パウチ)は消耗品のため、継続して費用がかかります。装具の購入費そのものは介護保険の給付対象に含まれておらず、原則として全額自己負担になる点は、他の医療的ケアと少し異なる注意点です。一方で、税制上の負担軽減や、障害福祉の給付制度を使える場合があります。主な仕組みを表にまとめました。
| 負担軽減の仕組み | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 医療費控除(確定申告) | 医師が治療上必要と認めたストーマ用装具の購入費が対象になり得ます | 1年間の医療費が10万円(所得200万円未満の方は総所得金額等の5%)を超えた分が対象です。確定申告のたびに、医師が記載する証明書の添付が必要とされています |
| 身体障害者手帳 | ぼうこう又は直腸の機能障害として、多くの場合4級に認定されます | 消化管・尿路の両方にストーマがある場合など、より上位の等級になることもあります |
| 日常生活用具給付等事業 | 身体障害者手帳の交付を受けると、市区町村からストーマ用装具費用の給付を受けられる場合があります | 給付基準額は自治体により異なりますが、消化管ストーマで月8,858円、尿路ストーマで月11,639円程度を目安としている地域が多いとされています。自己負担(購入費のおおむね1割が目安)や所得制限がある場合があります |
2026年時点の一般的な制度の目安です。介護保険の自己負担には月の上限(高額介護サービス費)がありますが、ストーマ用品の費用はその対象に含まれません。制度の詳細や対象条件は、税務署・お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。
まとめ|ストーマがあっても老人ホーム探しはあきらめないでください
結論パウチ内の排泄物の廃棄だけでなく、状態が安定していれば装具交換も介護職員が対応できるとされています。看護職員との連携体制を施設ごとに確認すれば、対応できる施設は十分に見つかります。
ストーマがあると聞くと、入居できる施設が限られるのではと不安になるご家族は少なくありません。しかし実際には、排泄物の廃棄や、状態が安定した装具交換は介護職員でも対応できるとされており、対応できる施設の幅は思っているより広いといえます。大切なのは、施設の種類だけで判断せず、看護職員の配置と連携体制を一つひとつ確認することです。
経管栄養(胃ろう)やたんの吸引など、ほかの医療的ケアについても、介護保険の対象になるものとならないものが混在しています。医療的ケア全体の考え方は医療的ケアの記事、胃ろうについては胃ろうの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
介護の窓口では、ストーマのケアに対応できる関西の施設探しを、相談員が無料でお手伝いしています。見学時に何を聞けばよいか迷ったときも、状況に合わせてご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
一言でいうと、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは何ですか?
一言でいうと、ストーマとは、病気やけがで排泄の通り道が使えなくなったときに、手術でおなかに新しく作る排泄口のことです。人工肛門(消化管ストーマ)と人工膀胱(尿路ストーマ)があり、専用のパウチを装着して排泄物をためます。原因疾患は大腸がんや膀胱がんなどが代表的です。
ストーマがあると老人ホームには入れませんか?
入れないわけではありません。パウチ内の排泄物の廃棄や、状態が安定した装具交換は介護職員でも対応できるとされており、対応できる施設は少なくありません。看護職員の配置と連携体制を施設ごとに確認することが大切です。
ストーマ装具(パウチ)の交換は介護職員にお願いできますか?
ストーマとその周辺の状態が安定していれば、看護職員との連携のもとで介護職員が対応できるとされる行政解釈が2011年に示されています(厚生労働省医政局医事課)。ただし皮膚に赤みやただれがあるなど専門的な判断が必要な場合は、看護職員が対応するのが基本です。
ストーマ用品の費用は介護保険で賄えますか?
介護保険の対象外で、原則全額自己負担です。ただし医師が治療上必要と認めた場合は医療費控除の対象になり得るほか、身体障害者手帳を取得すると、市区町村の日常生活用具給付等事業でストーマ用装具費用の助成を受けられる場合があります。
夜間にパウチが漏れないか心配です。どんな施設が候補になりますか?
看護職員が夜間も配置されている介護老人保健施設(老健)や、24時間看護体制の一部の介護付き有料老人ホームなどが候補になりやすいとされています。ただし体制は施設ごとに異なるため、夜間のトラブル対応の流れを具体的に確認することが欠かせません。
特別養護老人ホーム(特養)ではストーマがある方でも入居できますか?
原則要介護3以上という入所要件を満たしていれば申し込みは可能です。日中を中心とした看護職員の配置のもとで、装具交換や排泄物の廃棄に対応している施設は多い傾向ですが、実際の受け入れ可否は施設ごとの体制によって異なるため、個別の確認が必要です。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「ストーマ装具の交換について」(医政医発第0705003号)
- 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」
- 国税庁「ストマ用装具に係る費用の医療費控除の取扱いについて」
- 公益社団法人日本オストミー協会
- 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
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