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最終更新: 2026-07-11

パーキンソン病でも施設に入れる?

パーキンソン病とは、脳内のドパミン神経が減少し振戦や筋固縮などの症状が進行する神経の病気です。症状の進行度に応じて有料老人ホームや特養、介護医療院など選べる施設が変わり、服薬管理やリハビリ体制の見極め方、費用負担の軽減もやさしく解説します。

この記事の要点

  • パーキンソン病は振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害という4つの症状が中心で、多くは50歳代後半から60歳代で発症するとされています。
  • パーキンソン病の症状の重さを表すヤール分類はI度からV度までの5段階に分かれ、III度以上になると転倒や日常生活の介助の必要性が高まるとされています。
  • パーキンソン病の治療薬L-ドパは、症状が進むと1回の効果が数時間程度しか続かなくなる「ウェアリングオフ現象」が起こりやすくなり、服薬時間が30分ずれるだけで症状が変動することもあるため、施設では服薬時間を正確に守れる看護体制が重要になります。
  • パーキンソン病は指定難病の対象になり得る病気で、認定されると所得区分に応じて医療費の自己負担上限額が月額2,500円〜30,000円程度に抑えられる場合があります。
  • 特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上が入居条件のため、パーキンソン病で要介護度が低いうちは介護付き有料老人ホームなど他の選択肢も並行して検討する必要があります。

パーキンソン病とはどんな病気?主な症状は?

結論パーキンソン病とは、脳内でドパミンを作る神経細胞が減少し、振戦・筋固縮・無動・姿勢反射障害という4つの症状が中心となって現れる神経の病気です。多くは50歳代後半から60歳代で発症するとされています。

パーキンソン病とは、脳の中脳にある黒質という部分のドパミン神経細胞が徐々に減少し、体の動きをうまくコントロールできなくなる神経疾患です。原因がはっきりと解明されていない部分も多く、加齢とともに発症する方が増える病気とされています。

代表的な症状は振戦(安静にしていても手足が震える)・筋固縮(筋肉がこわばる)・無動(動作の開始が遅くなる)・姿勢反射障害(バランスを崩しやすくなる)の4つで、「4大症状」と呼ばれます。症状は体の片側から始まり、時間をかけて両側に広がっていくことが多いといわれています。

初期には手のふるえや歩幅の狭まりなど軽い変化から始まりますが、進行すると寝返りや立ち上がりにも介助が必要になる場合があります。症状の現れ方や進むスピードには個人差が大きいため、気になる変化があれば早めに主治医・かかりつけ医にご相談ください。

  • 振戦は、安静にしているときにも手足が震える症状です
  • 筋固縮は、筋肉がこわばり関節を動かしにくくなる症状です
  • 無動(寡動)は、動作の開始が遅くなり、表情も乏しくなる症状です
  • 姿勢反射障害は、体のバランスを崩しやすく、転倒につながりやすい症状です

ヤール分類とは?重症度によって介護の必要度はどう変わる?

結論ヤール分類とは、パーキンソン病の症状の進み具合をI度からV度までの5段階で表す重症度の分類です。III度以上になると姿勢を保つ力が低下し、転倒や日常生活での介助の必要性が高まるとされています。

パーキンソン病の重症度を表す代表的な指標がホーン・ヤール重症度分類(ヤール分類)です。症状が体の片側だけに出ているI度から、車椅子やベッド上での生活が中心となるV度まで、5段階で評価します。

ヤール分類が上がるほど、姿勢を保つ力や歩く力が低下し、転倒のリスクが高まっていきます。特にIII度以降は「姿勢反射障害」が目立つようになり、日常生活のさまざまな場面で見守りや介助が必要になっていきます。

施設探しを考え始めるタイミングは家庭によって異なりますが、ヤール分類がIII度前後まで進み、自宅での転倒や薬の管理に不安を感じ始めた頃に検討を始めるご家族が多いようです。

ヤール分類主な状態生活の様子
I度症状は体の片側のみに出現日常生活への影響は少ない
II度症状が両側に出現動作は緩慢になるが、身の回りのことは自分でできる
III度姿勢反射障害が出現し、歩行がやや不安定になる転倒しやすくなり、見守りが必要な場面が増える
IV度起立・歩行に介助が必要な場面が増える支えがあれば歩行や立位を保てることもある
V度車椅子やベッド上での生活が中心になる全面的な介護が必要になる

ホーン・ヤール重症度分類に基づく段階の一例です。出典: 難病情報センター、国立精神・神経医療研究センター(2026年時点)。症状の現れ方や進み方には個人差があるため、正確な評価は主治医・かかりつけ医にご確認ください。

服薬管理はなぜ重要?オンオフ現象・ウェアリングオフとは?

結論パーキンソン病の治療の中心はL-ドパなどの薬物療法です。症状が進むと薬の効果が数時間程度しか続かなくなる「ウェアリングオフ現象」が起こりやすくなり、服薬時間が30分ずれるだけでも症状が変動することがあるため、正確な服薬管理が欠かせません。

パーキンソン病の治療では、不足したドパミンを補うL-ドパ(レボドパ)を中心とした薬物療法が行われます。服薬によって症状が大きく改善するため、決まった時間に薬を飲み続けることが症状のコントロールに直結します

発症から数年が経過すると、薬の効果が続く時間が短くなり、次の服薬前に症状が再び強く出るウェアリングオフ現象が起こりやすくなるとされています。さらに、服薬タイミングと関係なく体が動きやすい状態(オン)と動きにくい状態(オフ)が急に入れ替わる「オン・オフ現象」がみられることもあります。

こうした症状の変動があるため、服薬時間が30分ほどずれるだけでも動作性が大きく変わることがあるといわれています。施設での生活では、決まった時間に確実に服薬できる看護・介護体制が整っているかどうかが、日常生活の質を左右する重要なポイントになります。

服薬管理に対応できる施設はどう見極める?

結論パーキンソン病の服薬管理に対応できる施設かどうかは、看護師の勤務時間帯と、1日3回前後になることが多い服薬タイミングに人員体制が対応できているかを具体的に確認することで見極められます。

パーキンソン病の方が施設を選ぶ際は、「看護師が何時から何時まで勤務しているか」「夜間や早朝の服薬にも対応できるか」を必ず確認しましょう。24時間看護師が常駐する施設は多くありませんが、日中は看護師、夜間は介護職員が決められた手順で対応する体制が整っているかがポイントです。

また、パーキンソン病の薬は種類や飲むタイミングが複雑になりやすいため、主治医からの情報を施設の看護・介護職員へどのように引き継ぐか、情報共有の仕組みも確認しておくと安心です。

  • 看護師の勤務時間帯(日中のみか、夜間・早朝も対応可能か)
  • 1日の服薬回数と、決まった時間に服薬介助できる人員体制があるか
  • 体調急変時に連携する医療機関(協力医療機関)が決まっているか
  • 薬の種類や量が変更になった場合の情報共有の仕組み

転倒リスクが高いのはなぜ?リハビリを続けられる施設は?

結論パーキンソン病ではヤール分類III度以上になると姿勢反射障害やすくみ足によって転倒しやすくなるため、理学療法士(PT)によるリハビリを継続できる施設を選ぶことが転倒予防につながります。

パーキンソン病の転倒リスクが高い理由はいくつかあります。姿勢を立て直す反射が弱くなる「姿勢反射障害」、一歩目が踏み出しにくくなる「すくみ足」、さらに自律神経の乱れによる起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が下がりふらつく状態)などが重なりやすいためです。

転倒を防ぐには、筋力やバランス能力を保つためのリハビリを止めずに続けることが大切とされています。施設に入居した後も理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による機能訓練を受けられるかどうかは、施設選びの大きなポイントです。

介護老人保健施設(老健)はリハビリ専門職が常駐していることが多く、在宅復帰を目指しながら集中的にリハビリを受けたい時期に選ばれています。一方、介護付き有料老人ホーム(介護付き有料)でも機能訓練指導員を配置し、日々の生活の中でリハビリを取り入れている施設があります。

在宅で過ごす期間には、歩行が不安定になった際の車椅子や、起き上がりを補助する介護用ベッドのレンタル(福祉用具貸与)も選択肢になります。これらの福祉用具は原則として要介護2以上の認定を受けている方が対象です(例外的に利用できる場合もあります)。

施設の種類看護体制の傾向リハビリ専門職検討したい段階の目安
介護付き有料老人ホーム(介護付き有料)日中の看護師配置が基準。施設により24時間対応も施設ごとに機能訓練指導員やPTを配置ヤールII度〜IV度
介護老人保健施設(老健)24時間看護体制PT・OT・STが常駐することが多いヤールIII度〜IV度、在宅復帰に向けたリハビリ目的の入所
特別養護老人ホーム(特養)日中中心。施設により夜間看護あり機能訓練指導員を配置(常駐は施設による)ヤールIV度〜V度、要介護3以上
介護医療院24時間看護体制で医療管理が手厚いPT・OT・STを配置ヤールIV度〜V度、医療的ケアが多い段階

施設ごとの人員配置や対応できる時間帯には差があります。見学や問い合わせの際に、看護師の勤務体制やリハビリ専門職の配置人数を具体的に確認することをおすすめします。

難病医療費助成制度は使える?費用負担はどれくらい軽くなる?

結論パーキンソン病は国が指定する指定難病の一つで、ヤール分類III度以上かつ生活機能障害度II度以上などの基準を満たすと、医療費の自己負担上限額が所得区分に応じて月額2,500円〜30,000円程度に抑えられる場合があります。

パーキンソン病は指定難病として医療費助成制度の対象になり得る病気です。対象となるには、ヤール分類による重症度と、日常生活・通院にどの程度介助が必要かを示す「生活機能障害度」を組み合わせた基準を満たす必要があるとされています。

認定されると、医療費の自己負担割合が軽減されるほか、所得区分に応じた月ごとの自己負担上限額が設定され、それ以上は負担しなくてよい仕組みになっています。対象となる医療の範囲や手続きは自治体によって異なる部分もあるため、詳しくは主治医・かかりつけ医や、お住まいの保健所・自治体窓口にご相談ください。

なお、指定難病の医療費助成は医療機関でかかる医療費が対象です。施設に入居した後の介護サービス費については別の仕組みがあり、自己負担額が高額になった場合に払い戻される「高額介護サービス費」では、住民税課税世帯(一般区分)で月44,400円が自己負担の上限になっています。

所得区分自己負担上限額(月額)
生活保護世帯0円
低所得I(市区町村民税非課税、本人年収80万円以下)2,500円
低所得II(市区町村民税非課税)5,000円
一般所得I(市区町村民税課税〜7.1万円未満)10,000円
一般所得II(市区町村民税7.1万円〜25.1万円未満)20,000円
上位所得(市区町村民税25.1万円以上)30,000円

難病の医療費助成制度(指定難病)における自己負担上限額の区分です。出典: 厚生労働省、難病情報センター(2026年時点)。所得区分は市区町村民税(所得割)の課税額をもとに決まります。実際に助成を受けるには、ヤール分類や生活機能障害度などパーキンソン病ごとの重症度基準を満たしていると認定される必要があります。制度は改定される場合があるため、最新情報は自治体窓口や主治医・かかりつけ医にご確認ください。

誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクにはどう備える?

結論パーキンソン病ではヤール分類IV度前後まで進むと飲み込む力(嚥下機能)が低下しやすくなり、誤嚥性肺炎を繰り返すケースがあるため、言語聴覚士(ST)による嚥下訓練や食事形態の調整に対応できる施設を選ぶことが大切です。

パーキンソン病では、無動・寡動の症状がのどや口の筋肉にも影響し、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる嚥下障害が起こりやすくなるとされています。誤って気管に食べ物が入ることで肺炎を起こす誤嚥性肺炎は、パーキンソン病が進行した方の入院理由として多いとされ、注意が必要です。

施設を選ぶ際は、言語聴覚士(ST)による嚥下機能の評価や訓練を受けられるか、とろみをつけたり刻んだりする食事形態の調整(嚥下調整食)にきめ細かく対応できるかを確認しましょう。誤嚥や誤嚥性肺炎への向き合い方は症状によって異なるため、主治医・かかりつけ医とよく相談しながら進めることが重要です。

誤嚥性肺炎を繰り返す段階になると、医療的な管理がより手厚い施設が必要になることもあります。誤嚥性肺炎そのものの症状や原因、高齢者施設での予防の考え方については、別の記事でも詳しく取り上げていますので、あわせてご確認ください。

症状の進行度によって検討したい施設はどう変わる?

結論パーキンソン病では、ヤール分類I度〜II度なら見守り中心の住まい、III度〜IV度は介護付き有料老人ホームや介護老人保健施設(老健)、要介護3以上になれば特別養護老人ホーム(特養)や介護医療院も選択肢に入ってきます。

施設選びに正解は一つではありませんが、症状の進行度に合わせて候補を整理しておくと検討がスムーズになります。ここまで解説してきた服薬管理・リハビリ体制・嚥下への対応力を踏まえ、進行度別に検討したい施設を整理しました。

なお、特別養護老人ホーム(特養)は原則として要介護3以上でなければ申し込めません。パーキンソン病で要介護度がまだ低い段階では、介護付き有料老人ホーム(介護付き有料)や住宅型有料老人ホーム(住宅型有料)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、幅広い要介護度を受け入れる住まいもあわせて検討するとよいでしょう。

特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院は、住民税非課税世帯を対象に食費や居住費の負担を軽くする「補足給付」の対象になりますが、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は対象外です。費用の負担感も、施設選びの判断材料の一つになります。

進行度(ヤール分類)想定される状態検討したい施設
I度〜II度症状は軽く、日常生活はおおむね自立住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など見守り中心の住まい
III度転倒しやすくなり、介助の必要性が高まる介護付き有料老人ホーム(介護付き有料)、リハビリ目的なら介護老人保健施設(老健)
IV度起立・歩行に介助が必要な場面が増える介護付き有料老人ホーム、要介護3以上なら特別養護老人ホーム(特養)
V度車椅子・ベッド上中心の生活で医療的ケアの必要性が高まる医療連携の手厚い介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護医療院

要介護度の認定結果や医療的ケアの必要度によって、実際に入居できる施設は異なります。特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上が対象です。地域による施設数や体制の違いもあるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターにあわせて相談することをおすすめします。

施設探しはどこに相談すればいい?

結論パーキンソン病の施設探しに迷ったときは、要介護1〜5の方はケアマネジャー、要支援1・2の方は地域包括支援センターに相談すると、症状や介護度に合った施設候補を一緒に整理してもらえます。

パーキンソン病の施設探しでは、身体症状だけでなく、服薬管理やリハビリ、嚥下への対応力など確認すべき点が多くあります。要介護認定を受けている場合はケアマネジャーに、要支援や認定前の場合はお住まいの地域包括支援センターに相談すると、状況に合った施設をいっしょに整理してもらえます。

介護の窓口の相談現場では、パーキンソン病のご家族から「薬の管理をきちんとしてもらえる施設が分からない」「転倒が増えて自宅での介護に限界を感じている」といったご相談を多くいただきます。症状の進行度や今困っていることを整理して伝えると、施設側とのマッチングもスムーズに進みやすくなります。

施設探しに迷ったときは、介護の窓口の無料相談を利用して、症状の状況に合った施設を一緒に探すこともできます。まずは今の困りごとを整理するところから始めてみましょう。

よくある質問

パーキンソン病の方の施設選びを一言でいうと、何を基準にすればよいですか?

一言でいうと、症状の進行度(ヤール分類)に加えて、服薬管理の正確さとリハビリ体制への対応力を基準に選ぶことが大切です。要介護度が低いうちは介護付き有料老人ホーム、要介護3以上になれば特別養護老人ホーム(特養)、医療的な管理がより必要になれば介護医療院も選択肢になります。

パーキンソン病でも介護付き有料老人ホームに入居できますか?

多くの介護付き有料老人ホームは要介護1以上から受け入れており、パーキンソン病であることを理由に入居を断られることは基本的にありません。ただし服薬管理やリハビリ体制は施設ごとに差があるため、事前の確認が必要です。

特別養護老人ホーム(特養)にはいつから申し込めますか?

特養は原則として要介護3以上が申し込みの条件です。パーキンソン病の場合、ヤール分類がIII度〜IV度まで進み、要介護3以上と認定された段階で対象になることが多いとされています。

難病医療費助成制度はどこで申請できますか?

お住まいの地域を管轄する保健所や自治体の窓口で申請できます。対象となるにはヤール分類や生活機能障害度などの重症度基準を満たす必要があるため、詳しくは主治医・かかりつけ医にご相談ください。

施設のリハビリ体制はどのように確認すればよいですか?

見学時に理学療法士(PT)の配置人数や、機能訓練を受けられる頻度・時間を確認するとよいでしょう。介護老人保健施設(老健)はリハビリ専門職が常駐していることが多く、集中的にリハビリを受けたい時期の選択肢になります。

誤嚥性肺炎が心配な場合はどんな施設が向いていますか?

言語聴覚士(ST)による嚥下訓練や、とろみ・刻みなど食事形態を調整できる体制が整った施設が向いています。誤嚥性肺炎を繰り返す場合は、医療連携がより手厚い介護医療院なども選択肢になります。

参考(一次情報)

  • 厚生労働省
  • 難病情報センター(公益財団法人難病医学研究財団)
  • 国立精神・神経医療研究センター

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