最終更新: 2026-07-20
介護保険負担割合証とは?1割・2割・3割の決まり方と提示のタイミング
介護保険負担割合証とは、要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方全員に、所得にかかわらず市区町村から毎年届く、自己負担割合が1割・2割・3割のどれかを示す書類です。判定基準や有効期間、提示先、紛失時の再発行方法までやさしく解説します。
この記事の要点
- 介護保険負担割合証とは、要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方全員に、所得にかかわらず毎年交付される、自己負担割合(1〜3割)を示す書類です
- 自己負担割合は本人の合計所得金額と同一世帯の第1号被保険者の年金収入等の合計額で決まり、単身世帯は年金収入等の合計280万円未満なら1割が目安です
- 2割負担は2015年8月、3割負担は2018年8月に導入された仕組みで、現在は所得に応じて1〜3割の3段階に分かれています
- 有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間で、市区町村から例年7月頃に新しい証が届きます
- ケアマネジャーや訪問・通所サービスの事業所に提示しないと、確認が取れるまで費用の全額(10割)を請求されることがあります
介護保険負担割合証とは、どのような書類ですか?
結論介護保険負担割合証とは、要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方全員に、所得にかかわらず毎年交付される、介護サービスの自己負担割合(1割・2割・3割のいずれか)を示す書類です。
介護保険負担割合証とは、介護サービスを利用したときに、費用のうち何割を自分で支払うかを示す書類です。市区町村が発行し、要介護認定または要支援認定を受けた方(事業対象者を含みます)であれば、毎年届きます。
「所得の多い一部の人だけに届く特別な書類」と誤解されがちですが、実際には所得の段階にかかわらず、認定を受けた方全員に交付されます。1割負担の方であっても負担割合証そのものは同じように届き、記載されている割合が「1割」になっているだけの違いです。
この記事では、似た名前で混同されやすい介護保険被保険者証との違い、自己負担割合が決まる所得基準、2割・3割負担が導入された経緯、有効期間と更新のタイミング、事業所への提示が必要な理由、紛失時の再発行方法まで、はじめて負担割合証を受け取ったご家族にもわかるように順番に解説します。
介護保険被保険者証とは何が違うのですか?
結論負担割合証と介護保険被保険者証の違いは記載内容です。被保険者証が要介護度や保険者情報を示すのに対し、負担割合証は自己負担割合(1割・2割・3割のいずれか)だけを示します。
介護保険被保険者証は、65歳になった月に第1号被保険者全員へ交付される書類で、被保険者番号、保険者(市区町村)、要介護度、認定の有効期間などが記載されています。一方の負担割合証は自己負担割合に特化した書類で、記載されているのは「1割」「2割」「3割」のいずれかという情報だけです。
2つの書類が分かれているのは、要介護度の認定と自己負担割合の判定が、そもそも別々の仕組みで決まるためです。要介護度は心身の状態をもとに、負担割合は所得をもとに、それぞれ独立して判定されます。サービスを契約するときは、この2枚をあわせて提示してはじめて、事業所側が正確な請求額を計算できる仕組みになっています。
| 比較項目 | 介護保険被保険者証 | 介護保険負担割合証 |
|---|---|---|
| 交付対象 | 65歳になった月に、第1号被保険者全員へ交付 | 要介護・要支援認定(事業対象者を含む)を受けた方へ交付 |
| 交付のタイミング | 65歳到達月に1回。以降は要介護度が変わるたびに更新 | 毎年7月頃に更新分が届く。新規認定時はその都度交付 |
| 有効期間 | 認定の有効期間に応じる(新規は原則6か月、更新は最長48か月) | 1年間(8月1日〜翌年7月31日) |
| 主な記載内容 | 被保険者番号、要介護度、認定の有効期間、保険者(市区町村)など | 自己負担割合(1割・2割・3割のいずれか) |
| 所得による内容の違い | 所得にかかわらず様式は共通 | 所得区分に応じて記載される割合が変わる |
出典: 厚生労働省の介護保険制度に関する資料。様式や運用に大きな変更はなく、2026年7月時点でも同じ考え方が適用されています。細かな運用は市区町村により異なる場合があります。
自己負担割合(1〜3割)はどのように決まりますか?
結論自己負担割合(1割・2割・3割)は、本人の合計所得金額と同一世帯の第1号被保険者の年金収入等の合計額の両方をもとに、市区町村が毎年判定します。世帯の人数によっても基準額が変わります。
自己負担割合の判定には、大きく3つの要素が関わります。1つ目はご本人の合計所得金額、2つ目は同じ世帯にいる第1号被保険者(65歳以上の方)全員の年金収入とそれ以外の合計所得金額を足した金額、3つ目は同一世帯にいる第1号被保険者の人数です。
判定は毎年行われ、その年の6月から7月にかけて、前年(1月〜12月)の所得をもとに市区町村が計算します。給与収入とは異なり、年金収入や不動産収入なども合計に含まれるため、退職後も一定の所得がある方は2割・3割になることがあります。
同一世帯かどうかは、住民票上の世帯を基準に判断されるのが一般的です。ひとり暮らしの親であれば単身世帯の基準、子ども世帯と同居していて親が2人とも65歳以上であれば2人以上世帯の基準が使われるなど、世帯構成によって基準額そのものが変わる点に注意が必要です。
- 本人の合計所得金額(収入から必要経費や控除を差し引いた金額)
- 同一世帯の第1号被保険者全員の、年金収入とそれ以外の合計所得金額の合計
- 同一世帯にいる第1号被保険者の人数(単身世帯か、2人以上世帯か)
1割・2割・3割の判定基準を早見表で確認するとどうなりますか?
結論自己負担割合は、単身世帯なら年金収入等の合計が280万円未満で1割、280万円以上340万円未満で2割、340万円以上で3割が目安です。2人以上世帯では基準額が上がります。
ここまでの3つの要素を踏まえて、実際の判定基準を早見表で整理します。ご自身やご家族がどの区分にあたるか、次の表で確認してみてください。
なお、40〜64歳の方(第2号被保険者)は所得にかかわらず一律1割です。2割・3割の対象になるのは65歳以上の方(第1号被保険者)だけという点も、あわせて押さえておきましょう。
また、要介護度(要支援1〜要介護5)が重いほど負担割合が上がるわけではありません。要介護5でも所得が基準以下であれば1割ですし、要支援1でも所得が高ければ2割・3割になることがあります。要介護度と負担割合はまったく別の基準で決まる点を、混同しないようにしましょう。
| 負担割合 | 本人の合計所得金額 | 同一世帯の第1号被保険者の年金収入等の合計額 |
|---|---|---|
| 1割 | 2割・3割の基準にあてはまらない方(住民税非課税の方を含む) | 2割・3割の基準にあてはまらない方 |
| 2割 | 160万円以上 | 単身世帯: 280万円以上340万円未満/2人以上世帯: 346万円以上463万円未満 |
| 3割 | 220万円以上 | 単身世帯: 340万円以上/2人以上世帯: 463万円以上 |
出典: 厚生労働省の資料にもとづく全国共通の基準(2018年8月改正分。2026年7月時点も同じ基準が適用されています)。本人の合計所得金額と年金収入等の合計額の両方の基準を満たした場合に2割・3割になり、どちらか一方だけ基準を超えても、実際の割合は1段階下がることがあります。正確な割合はお住まいの市区町村から届く負担割合証でご確認ください。
2割・3割負担はどのような経緯で導入されたのですか?
結論2割負担は2015年8月、3割負担は2018年8月に、それぞれ導入されました。高齢化の進行により、負担能力のある方には応分の負担を求める考え方にもとづく見直しです。
介護保険制度は2000年4月にスタートした当初、自己負担は所得にかかわらず一律1割でした。その後、高齢化の進行にともない介護サービスを利用する方が増え続け、制度を将来にわたって維持するための財源確保が課題になりました。
そこで2015年8月、一定以上の所得がある方を対象に2割負担が導入されました。さらに2018年8月には、現役世代並みの所得がある方を対象に3割負担が導入され、現在の1割・2割・3割という3段階の仕組みができあがりました。
この経緯を知っておくと、「なぜ自分の親だけ2割・3割なのか」といった疑問への理解が深まります。負担割合は制度が始まった当初からの仕組みではなく、その後の改正で段階的に追加された区分であるという点がポイントです。
| 時期 | 内容 | 対象となった方の目安 |
|---|---|---|
| 2000年4月 | 介護保険制度がスタートし、自己負担は一律1割 | サービスを利用するすべての方 |
| 2015年8月 | 一定以上の所得がある方に2割負担を導入 | 本人の合計所得金額160万円以上など |
| 2018年8月 | 現役世代並みの所得がある方に3割負担を導入 | 本人の合計所得金額220万円以上など |
出典: 厚生労働省の介護保険制度改正に関する資料。2015年8月・2018年8月がそれぞれの施行時期で、2026年7月時点でも同じ3段階の仕組みが続いています。
負担割合証の有効期間はいつからいつまでですか?
結論負担割合証の有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間で、市区町村から例年7月頃に新しいものが郵送されます。
負担割合証は1年ごとに判定と交付が行われる書類です。有効期間は8月1日から翌年7月31日までと定められており、前年の所得をもとに判定された割合が、その1年間適用されます。
新しい負担割合証は、例年7月頃に市区町村から郵送で届くのが一般的です。要介護認定を新たに受けた方には、認定のタイミングにあわせて別途交付されます。年の途中で65歳になった方や、新しく認定を受けた方も、認定結果の通知とあわせて割合を確認しておきましょう。
新しい負担割合証が届いたら、記載されている割合が前年と変わっていないか、有効期間が正しく更新されているかを確認したうえで、古いものと差し替えて保管します。ケアマネジャーや利用している事業所にも、更新後のコピーを渡しておくと安心です。
ケアマネジャーや事業所への提示はなぜ必要ですか?
結論サービス事業所は負担割合証の記載をもとに請求額を計算するため、提示しないと確認が取れるまで費用の全額(10割)を請求されることがあります。契約時と毎年8月の更新時には必ず提示しましょう。
訪問介護やデイサービスなどの事業所は、利用者ごとの負担割合を確認したうえで、1割・2割・3割のいずれかで請求額を計算しています。負担割合証が提示されないと、事業所側は正しい請求額を計算できません。
そのため、新しく契約するときはもちろん、毎年8月の更新のタイミングでも、最新の負担割合証をケアマネジャーや各事業所に提示することが必要です。複数の事業所を利用している場合は、それぞれの窓口に伝え忘れがないか確認しましょう。
確認が取れないまま利用を続けると、事業所によっては、確認が取れるまでの間、いったん費用の全額(10割)を請求し、あとから正しい割合との差額を精算するという対応を取ることがあります。一時的とはいえ手元の出費が増えるため、更新のタイミングを忘れないことが大切です。
| 提示先 | 主なタイミング | 提示しない場合に起こりうること |
|---|---|---|
| ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)・地域包括支援センター | ケアプランの作成時、認定・割合の更新時 | 自己負担割合が確定できず、ケアプランの調整に時間がかかることがあります |
| 訪問介護・デイサービスなどの居宅サービス事業所 | 契約時、毎年8月の更新時 | 確認が取れるまで、いったん費用の全額(10割)を請求される場合があります |
| 施設サービス事業所(特養・老健など) | 入所契約時、毎年8月の更新時 | 介護サービス費の請求額が確定できず、契約手続きに時間がかかることがあります |
各サービス事業所での具体的な取り扱いは、事業所や契約内容により異なる場合があります。詳細はケアマネジャーや各事業所、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください(2026年7月時点の一般的な取り扱いです)。
負担割合証を紛失した場合はどうすればよいですか?
結論負担割合証を紛失した場合は、毎年7月の更新を待たずに市区町村の介護保険担当窓口で再交付を申請できます。本人確認書類を持参すれば、即日対応してもらえることが多いです。
負担割合証をなくしてしまっても、慌てる必要はありません。介護保険被保険者証と同じように、市区町村の介護保険担当窓口(介護保険課・高齢福祉課など、名称は自治体により異なります)で再交付を申請できます。
申請には、窓口に行く方の本人確認書類が必要になるのが一般的です。ご本人が窓口に行けない場合でも、家族やケアマネジャーが代理で手続きできることが多いため、まずは担当のケアマネジャーや窓口に電話で確認してみましょう。
再交付までの日数は自治体によって差があり、即日交付できる窓口もあれば、後日郵送になる窓口もあります。急いでサービスを利用する予定がある場合は、その旨を窓口で伝えると対応してもらいやすくなります。
自己負担割合が年の途中で変わることはありますか?
結論自己負担割合の見直しは原則年1回・8月の更新時ですが、所得の更正や同一世帯の第1号被保険者数の変化があった場合は、年の途中でも見直され、新しい負担割合証が届くことがあります。
自己負担割合は原則として年に1回、8月の更新時に見直されますが、次のようなケースでは年の途中でも再判定が行われることがあります。1つ目は、確定申告のやり直し(修正申告)などにより所得が更正された場合です。2つ目は、同一世帯にいる第1号被保険者の人数が変わった場合です。同居していたきょうだいが転出した、家族が新たに転入した、世帯の誰かが亡くなったといった変化があると、世帯の人数を基準に決まる金額が変わり、割合が見直されることがあります。
割合が変わる場合は、市区町村から新しい負担割合証が届きます。届いたら有効期間の始まりの日付を確認し、ケアマネジャーや利用中の事業所にも速やかに新しい割合を伝えましょう。伝え忘れると、前の章で触れたとおり、一時的に費用の請求額が変わってしまうことがあります。
介護の窓口の相談現場では、負担割合証が届いてはじめて「思っていたより負担が重い」と気づき、費用の見通しを立て直すご家族のお話もよく伺います。在宅サービスだけでなく、特別養護老人ホーム(特養、原則要介護3以上・特例あり)、介護老人保健施設(老健、要介護1以上で在宅復帰を目指す方向け)、グループホーム(認知症対応型共同生活介護、要支援2以上+認知症の診断+原則同一市区町村が条件)といった施設サービスでも、同じ負担割合証にもとづいて費用が計算されます。早めに自分の割合を把握しておくと、施設探しの際の費用の見通しも立てやすくなります。
関西4府県(大阪・京都・兵庫・奈良)にお住まいの方は、介護の窓口の相談員が費用のシミュレーションを無料でお手伝いします。エリア外にお住まいの方は、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。
よくある質問
一言でいうと、介護保険負担割合証とはどのような書類ですか?
一言でいうと、介護保険負担割合証とは、要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方全員に毎年届く、自己負担割合(1割・2割・3割のいずれか)を示す書類です。所得の高低にかかわらず、認定を受けていれば全員に交付されます。
介護保険被保険者証と負担割合証はどちらも提示する必要がありますか?
はい、どちらも提示が必要です。介護保険被保険者証は要介護度と保険者情報を、負担割合証は自己負担割合(1〜3割)を示す書類で記載内容が異なるため、ケアマネジャーや事業所との契約時にはあわせて提示します。
自己負担割合はどこを見れば確認できますか?
自己負担割合は、市区町村から毎年7月頃に届く介護保険負担割合証で確認できます。単身世帯で年金収入等の合計が280万円未満なら1割、280万円以上340万円未満なら2割、340万円以上なら3割が目安です。
負担割合証を提示しないとどうなりますか?
負担割合証を提示しないと、事業所側で正確な自己負担割合が確認できず、確認が取れるまで費用の全額(10割)をいったん請求される場合があります。新規契約時や毎年8月の更新時には、忘れずに提示しましょう。
負担割合証を紛失した場合はどうすればよいですか?
負担割合証を紛失した場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で再交付を申請できます。介護保険被保険者証と同様、窓口で本人確認書類などを提示すれば、再発行してもらえるのが一般的です。
年の途中で自己負担割合が変わることはありますか?
あります。所得の更正(修正申告など)や同一世帯の第1号被保険者数の変化(転入・転出・死亡など)があった場合、市区町村が負担割合を再判定し、新しい負担割合証が届くことがあります。届いたら古いものと差し替えて保管してください。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「介護保険の利用者負担」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 各市区町村「介護保険負担割合証の交付について」の案内
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