最終更新: 2026-07-05
介護保険の自己負担シミュレーション
介護保険の自己負担はサービス費用の1〜3割と限度額を超えた分の合計で決まります。負担割合の判定基準、要介護度別の早見表、在宅3ケースと施設入居の月額シミュレーション、高額介護サービス費で戻る額まで、はじめての方にやさしく解説します。
この記事の要点
- 介護保険の自己負担は原則サービス費用の1割(所得により2〜3割)で、月の限度額を超えた分は全額自己負担になります
- 在宅介護の自己負担は1割負担なら月5,032円〜36,217円(限度額の範囲内)+食費などの保険外費用が目安です
- 施設入居では介護費の1〜3割に加えて居住費・食費がかかり、特別養護老人ホーム(特養)で月10万〜15万円前後が目安です
- 自己負担が月44,400円を超えた分は、一般的な所得の世帯なら高額介護サービス費として払い戻されます
- ケアマネジャーに予算を伝えれば、限度額や予算の範囲内でケアプランを調整してもらえます
介護保険の自己負担はいくら?まず結論から
結論介護保険の自己負担は、サービス費用の1〜3割(多くの方は1割)に、限度額を超えた分の全額と保険外の費用を足した金額です。要介護度・所得・サービスの使い方でほぼ決まります。
介護保険の自己負担とは、介護サービスにかかった費用のうち、利用者ご本人が支払う部分のことです。介護保険では費用の7〜9割を保険がまかなってくれるため、原則としてサービス費用の1〜3割の負担で介護サービスを利用できます。65歳以上の利用者では、1割負担の方が大半です。
ただし、毎月実際に支払う金額は「何割か」だけでは決まりません。月々の自己負担は、次の3つの合計で考えるのが基本です。
- 介護サービス費用の1〜3割(負担割合によって決まる部分)
- 月の限度額(区分支給限度基準額)を超えて使った分の全額
- 介護保険の対象外の費用(食費・居住費・日常生活費など)
自己負担シミュレーションの3ステップ
結論「負担割合の確認→要介護度別の限度額の確認→使うサービスと保険外費用の足し算」の3ステップで、月額の目安はご家庭でも計算できます。
まずは計算の手順を押さえましょう。次の表の順番で確認していくと迷いません。
| ステップ | 確認すること | 確認できる場所・方法 |
|---|---|---|
| ステップ1 | 自分の負担割合(1〜3割) | 介護保険負担割合証(認定を受けると市区町村から毎年届きます) |
| ステップ2 | 要介護度ごとの月の限度額 | この記事の早見表、市区町村の介護保険窓口、ケアマネジャー |
| ステップ3 | 使いたいサービスの費用と保険外費用 | ケアプランの利用票、各事業所の料金表 |
負担割合証は毎年7月頃に更新されます。最新のものでご確認ください。
あなたの負担割合は?1割・2割・3割の判定基準
結論65歳以上の方の大半は1割負担です。一定以上の所得がある方は2割、現役並みの所得がある方は3割となります。
負担割合は、ご本人の所得と世帯の年金収入などをもとに市区町村が判定します。65歳以上・単身の方の場合の目安は次のとおりです。
| 負担割合 | 対象となる方の目安(65歳以上・単身の場合) |
|---|---|
| 1割 | 下記にあてはまらない方(住民税非課税の方、年金収入とその他の合計所得金額の合計が280万円未満の方など) |
| 2割 | 本人の合計所得金額が160万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額の合計が280万円以上340万円未満の方 |
| 3割 | 本人の合計所得金額が220万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額の合計が340万円以上の方 |
厚生労働省資料をもとにした単身世帯の目安です(2026年時点)。夫婦など2人以上の世帯では、合計346万円以上で2割、463万円以上で3割が目安になります。正確な割合は介護保険負担割合証でご確認ください。
要介護度別・自己負担の早見表(限度額まで使った場合)
結論在宅サービスには要介護度ごとに月の限度額(区分支給限度基準額)があり、限度額いっぱいまで使った場合の自己負担は、1割負担で月5,032円〜36,217円です。
在宅で訪問介護(ホームヘルプ)やデイサービス(通所介護)などを使う場合、介護保険が適用されるのは区分支給限度基準額という月の上限までです。要介護度が上がるほど限度額も大きくなります。
40〜64歳で介護保険を使う方(第2号被保険者)は所得にかかわらず1割負担で、65歳以上でも利用者の大半は1割負担です。まずは次の表の1割の列を基準にご覧ください。
なお、表の金額は限度額をすべて使い切った場合の上限の目安で、実際には限度額まで使わない方も多くいます。限度額を超えてサービスを使うこともできますが、超えた分は全額(10割)自己負担になります。この限度額は在宅サービスの仕組みで、施設に入居した場合は後述の別の計算になります。
| 区分 | 限度額(月・費用ベース) | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 要支援1 | 約5.0万円分(5,032単位) | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
| 要支援2 | 約10.5万円分(10,531単位) | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
| 要介護1 | 約16.8万円分(16,765単位) | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
| 要介護2 | 約19.7万円分(19,705単位) | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
| 要介護3 | 約27.0万円分(27,048単位) | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
| 要介護4 | 約30.9万円分(30,938単位) | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
| 要介護5 | 約36.2万円分(36,217単位) | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
区分支給限度基準額をもとに1単位=10円で概算(厚生労働省資料・2026年時点)。実際の単価は地域やサービスの種類でわずかに異なります。2割・3割負担で月44,400円を超えた部分は、一般的な所得の世帯なら高額介護サービス費の払い戻し対象になります。
在宅介護の自己負担シミュレーション:モデルケース3つ
結論1割負担の在宅介護では、軽めの利用で月8,000円前後、標準的な利用で月4万円前後、限度額を超えるフル利用で月7万〜8万円前後(保険外費用込み)が目安です。
金額のイメージがつかめるよう、在宅介護の3つのモデルケースで試算してみましょう。いずれも自己負担1割・1単位=10円の概算です。
ポイントは、食費・滞在費など保険外の費用が意外と大きいことです。デイサービスでは1回600〜800円程度の食費、ショートステイでは1日2,000〜3,000円程度の食費・滞在費がかかるのが一般的です。
また、表の要介護5のケースのように限度額を超えると、超過分の負担が急に重くなります。毎月大きく超過するようになったら、施設入居と費用を比較してみる目安の時期ともいえます。
| モデルケース | 1か月のサービス内容(例) | 自己負担の内訳(目安) | 月額合計(目安) |
|---|---|---|---|
| 要介護1・軽めの利用 | デイサービス(通所介護)週1回+訪問介護(ホームヘルプ)週2回+歩行器のレンタル | 保険内約5万円分の1割=約5,000円+デイの食費など約3,000円 | 月約8,000円 |
| 要介護3・標準的な利用 | デイサービス週3回+訪問介護週3回+ショートステイ(短期入所生活介護)月4日+介護ベッドのレンタル | 保険内約25万円分の1割=約25,000円+食費・滞在費など約15,000円 | 月約4万円 |
| 要介護5・フル利用+限度額超過 | 訪問介護1日2回+デイサービス週3回+ショートステイ月6日+福祉用具のレンタル | 限度額36.2万円分の1割=約36,000円+超過2万円分は全額負担+食費・滞在費など約20,000円 | 月約7.6万円 |
加算や地域単価を含まない概算例です(2026年時点)。デイサービスの食費、ショートステイの食費・滞在費、おむつ代などは介護保険の対象外のため別途かかります。
施設に入居した場合の月額シミュレーション
結論施設では介護サービス費の1〜3割に加えて、居住費(家賃)・食費・日常生活費がかかります。特別養護老人ホーム(特養)で月10万〜15万円前後、介護付き有料老人ホームで月15万〜30万円前後が目安です。
施設に入居すると在宅の限度額とは別の計算になり、「介護サービス費の1〜3割+居住費+食費+その他」の合計を毎月支払います。要介護3・1割負担・30日利用の目安で比較してみましょう。
特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上の方が対象の公的施設で、費用は全国的な基準で決まっています。住民税非課税世帯であれば特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)により居住費・食費が軽減され、月6万〜8万円程度まで下がるケースもあります。
介護老人保健施設(老健)はリハビリをして在宅復帰を目指す施設で、費用の構造は特養とおおむね同じです。一方、介護付き有料老人ホームは民間施設のため家賃や管理費の幅が大きく、立地や人員体制で月額が変わります。気になる施設の実際の料金表の取り寄せは、相談員が無料でお手伝いします。
| 費用項目 | 特養(多床室) | 特養(ユニット型個室) | 介護付き有料老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 介護サービス費(1割) | 約2.5万円 | 約2.8万円 | 約2.1万円 |
| 居住費・家賃 | 約2.8万円 | 約6.2万円 | 約6万〜15万円 |
| 食費 | 約4.3万円 | 約4.3万円 | 約4万〜7万円 |
| 日常生活費・管理費など | 約1万円 | 約1万円 | 約3万〜8万円 |
| 月額合計(目安) | 約10.6万円 | 約14.3万円 | 約15万〜30万円 |
要介護3・自己負担1割・30日の概算です(2026年時点)。特養の居住費・食費は国の基準費用額(2024年8月改定。食費1,445円/日・多床室915円/日・ユニット型個室2,066円/日)をもとに、介護サービス費は主な加算を含めた目安で計算しています。介護付き有料老人ホームは関西圏の目安で、別途入居一時金がかかる場合があります。
高額介護サービス費でいくら戻る?計算例
結論1か月の自己負担(1〜3割の部分)が所得に応じた上限額を超えると、超えた分が高額介護サービス費として払い戻されます。一般的な所得の世帯の上限は月44,400円です。
自己負担には月ごとの上限額が設けられています。計算例を見てみましょう。要介護4・2割負担の方が限度額近くまで在宅サービスを使うと、自己負担は月約61,800円になります。一般的な所得の世帯なら上限は44,400円のため、差額の約17,400円が払い戻されます。2割・3割負担の方ほど恩恵の大きい制度です。
注意点として、限度額を超えて全額自己負担した分や、食費・居住費、福祉用具の購入費・住宅改修費は対象外です。申請は初回のみで、2回目以降は自動的に指定口座へ振り込まれる自治体が一般的です。対象になると市区町村から案内が届くので、忘れずに手続きしてください。世帯の所得区分ごとの上限額は次のとおりです。
| 所得区分(目安) | 月の上限額 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上)の方がいる世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万円以上)の方がいる世帯 | 93,000円(世帯) |
| 住民税課税で課税所得380万円未満の世帯(一般的な世帯) | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税で、年金収入等が年80万円以下の方 | 15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方など | 15,000円(個人) |
厚生労働省リーフレット(2021年8月改正)をもとに作成。2026年時点。
自己負担を抑えるチェックリスト
結論介護費用の軽減制度の多くは申請しないと使えません。高額介護サービス費や負担限度額認定などを漏れなく活用することが、負担を抑える近道です。
介護費用の軽減制度はほとんどが申請制で、知らないまま利用していないご家庭も少なくありません。次のチェックリストで確認してみてください。
- 介護保険負担割合証で自分の負担割合(1〜3割)を確認した
- 高額介護サービス費を申請した(初回のみの申請で、以降は自動振込の自治体が一般的)
- 住民税非課税世帯なら、施設やショートステイの食費・居住費が軽くなる負担限度額認定を申請した
- 医療費も高い場合は高額医療・高額介護合算療養費制度を確認した
- 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度の対象になるか施設に確認した
- おむつ代や施設サービス費の一部など、介護費用の医療費控除を確定申告で申請した
- 紙おむつ支給や介護用品券など、市区町村独自の助成制度を調べた
- 限度額や予算を超えないよう、ケアマネジャーにケアプランの調整を相談した
費用が心配なときはケアマネジャーに相談を
結論介護の自己負担は固定ではありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)に予算を伝えれば、限度額や予算の範囲内でケアプランを調整してもらえます。
在宅介護のケアプラン(サービス計画)の作成やケアマネジャーへの相談は、全額が介護保険から給付されるためケアプラン作成の自己負担は0円です。「月3万円までに抑えたい」といった希望を伝えれば、その範囲でサービスの組み合わせを考えてもらえます。
相談現場では、先に月の予算を決めてからサービスを組み立てたご家族のほうが、無理なく介護を続けられている印象があります。目安になるのは、ご本人の年金収入の範囲に収まるプランです。貯蓄を取り崩す前提の計画は介護が長期になったときに苦しくなりがちなので、最初にケアマネジャーへ率直に予算を伝えることをおすすめします。
在宅の費用感がつかめたら、施設に入居した場合との比較もしておくと、いざというときに慌てずにすみます。特養や介護付き有料老人ホームなど関西4府県の施設の費用相場や空き状況は、介護の窓口の相談員が無料でお調べします。月々の予算に合わせた候補探しから、どうぞお気軽にご相談ください。
よくある質問
介護保険の自己負担は月いくらくらいですか?
在宅介護で1割負担の場合、介護サービスの自己負担は月5,032円〜36,217円(限度額の範囲内)で、これにデイサービスの食費などの保険外費用が加わります。施設入居では特別養護老人ホーム(特養)で月10万〜15万円前後、介護付き有料老人ホームで月15万〜30万円前後が目安です。
自己負担が2割・3割になるのはどのような人ですか?
65歳以上で一定以上の所得がある方です。単身の場合、年金収入とその他の合計所得金額の合計が280万円以上で2割、340万円以上で3割が目安とされています。正確な割合は、市区町村から毎年届く介護保険負担割合証で確認できます。
限度額を超えてサービスを使うとどうなりますか?
超えた分には介護保険が適用されず、全額(10割)自己負担になります。高額介護サービス費の払い戻し対象にもなりません。超過が続く場合は、ケアマネジャーにプランの調整や、施設入居との費用比較を相談するのが一般的です。
高額介護サービス費は自動的に戻ってきますか?
初回のみ市区町村への申請が必要で、2回目以降は自動的に指定口座へ振り込まれる自治体が一般的です。対象になると市区町村から申請の案内が届くので、忘れずに返送してください。支給を受ける権利は2年で時効になるとされています。
年金だけで介護費用はまかなえますか?
在宅介護で1割負担なら、年金の範囲内に収まるご家庭が多いのが実情です。施設は種類による差が大きく、特養は負担軽減制度を使えば年金で対応しやすい一方、介護付き有料老人ホームでは年金との差額を貯蓄などで補う方もいます。予算に合わせた選び方はケアマネジャーや相談員に相談できます。
夫婦2人とも介護サービスを使う場合、負担は軽くなりますか?
高額介護サービス費の上限額は世帯単位で計算されるため、同じ世帯で2人以上が利用する場合は自己負担を合算できます。世帯合計が上限(一般的な所得の世帯で月44,400円)を超えた分が払い戻されます。
参考(一次情報)
- 厚生労働省 介護保険制度の概要
- 厚生労働省 高額介護サービス費の負担限度額が見直されます(リーフレット・2021年8月改正)
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1280(居住費の基準費用額の見直し・2024年8月)
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