最終更新: 2026-07-20
訪問入浴とは?サービス内容・料金・対象者を看護師同行の流れつきで解説
訪問入浴介護とは、看護職員1名・介護職員2名の3名体制で自宅を訪問し、専用の浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う介護保険サービスです。対象者や1回あたりの料金の目安、体調不良時に清拭へ切り替える判断基準、利用開始までの流れをやさしく解説します。
この記事の要点
- 訪問入浴介護とは、看護職員1名・介護職員2名の3名体制で自宅に専用浴槽を持ち込み、入浴の介助を行う介護保険サービスです
- 対象は原則要介護1〜5の方で、要支援1・2の方は介護予防訪問入浴介護という別区分を利用します
- 1回の利用時間は40〜50分程度で、自己負担1割の場合の料金は1,250円前後が目安です(2024年度介護報酬改定にもとづく概算)
- 訪問時のバイタルチェックで体調不良が確認されると、看護職員の判断で入浴を中止し、清拭や部分浴に切り替えます
- 利用開始の入口はケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)への相談で、家族の立ち会いは必須ではありません
訪問入浴介護とは、どのようなサービスですか?
結論訪問入浴介護とは、看護職員1名・介護職員2名の3名体制で自宅を訪問し、専用の浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う介護保険サービスです。1回の利用時間は40〜50分程度で、自己負担1割なら1,250円前後が目安です。
訪問入浴介護は「訪問入浴」と略して呼ばれることもあるサービスで、自宅の浴室での入浴が難しくなった方のために、組み立て式の浴槽一式を車に積んでご自宅まで届け、居間や寝室など浴室以外の場所でも入浴できるようにします。
給排水は、キッチンや洗面所の蛇口にホースをつないで行うのが一般的で、追加の給排水工事は必要ありません。訪問するのは看護職員1名と介護職員2名の合計3名が基本の体制で、介護職員が浴槽の設置・湯温の調整・入浴の介助を担当し、看護職員は訪問前後のバイタルチェックや入浴中の体調管理を担当します。
同じ「入浴を手伝ってくれるサービス」でも、デイサービス(通所介護)の入浴は施設の浴室を使うのに対し、訪問入浴介護はスタッフが浴槽ごと自宅に来てくれる点が異なります。外出や車での移動が難しい方でも、住み慣れた自宅で入浴を続けられるのが最大の特徴です。
訪問入浴介護は誰が対象になりますか?
結論訪問入浴介護の対象者は、原則要介護1〜5の認定を受け、寝たきりや医療的ケアなどにより自宅の浴槽での入浴が難しい方です。要支援1・2の方は、別区分の介護予防訪問入浴介護を利用します。
自宅の浴槽をまたぐ動作や浴室までの移動が難しくなった方の中には、もう入浴自体をあきらめるしかないと感じてしまうご家族も少なくありません。実際には、寝たきりに近い状態や経管栄養・在宅酸素などの医療的ケアがある方でも、専用の浴槽を使えば入浴を続けられるケースが多くあります。
制度上は要介護1から利用できますが、実際に利用しているのは、自宅の浴槽をまたぐ動作が難しい、デイサービスの入浴サービスでは対応が難しい医療的ケアがある、といった要介護度の高い方が中心です。要介護度が低く、手すりや福祉用具の活用で自宅の浴槽に入浴できる場合は、訪問介護の入浴介助や福祉用具貸与が優先されるのが一般的です。
要支援1・2の方は、訪問入浴介護ではなく介護予防訪問入浴介護を利用します。訪問介護の生活援助のように市区町村ごとの総合事業に移されたサービスではなく、全国共通の予防給付として提供される点が特徴です。
| 要介護度 | 利用するサービス区分 | 自己負担割合 |
|---|---|---|
| 要介護1〜5 | 訪問入浴介護 | 所得に応じて1〜3割 |
| 要支援1・2 | 介護予防訪問入浴介護 | 所得に応じて1〜3割 |
出典:厚生労働省の資料にもとづく区分です(2026年7月時点)。実際の利用回数や支給限度額は要介護度ごとに異なり、他の在宅サービスと合わせて調整します。
訪問入浴介護の料金はいくらですか?
結論訪問入浴介護の料金は、自己負担1割の場合1回1,250円前後が目安です(2024年度介護報酬改定にもとづく概算)。2割負担なら約2,500円、3割負担なら約3,750円になります。
訪問入浴介護の料金は、全国共通の「単位」で決められており、1単位=10円が基本です(都市部では最大11.40円など地域差があります)。2024年度の介護報酬にもとづく全身浴の基本料金は、自己負担1割の場合で1回1,250円前後が目安です。
主治医の意見などにより全身浴が難しく、清拭や部分浴で対応した場合は、所定単位数のおおむね9割程度で算定されるのが一般的です。負担割合別の目安を表にまとめました。
訪問入浴介護は月額制ではなく、利用した回数分の料金がかかります。週1回の利用なら1割負担で月5,000円前後、週2回なら月1万円前後が目安です。区分支給限度基準額の範囲内であれば、他の訪問系サービスと組み合わせても自己負担は所得に応じた1〜3割で済みます。
| 負担割合 | 全身浴の目安(1回) | 清拭・部分浴の目安(1回) |
|---|---|---|
| 1割 | 1,250円前後 | 1,130円前後 |
| 2割 | 2,500円前後 | 2,250円前後 |
| 3割 | 3,750円前後 | 3,380円前後 |
出典:厚生労働省の2024年度介護報酬改定にもとづく概算です(2026年7月時点)。地域区分や処遇改善加算などは含まないため、実際の請求額はこれより1〜2割ほど高くなるのが一般的です。正確な金額は事業所にご確認ください。
訪問入浴介護1回あたりの流れはどうなっていますか?
結論訪問入浴介護1回の流れは、到着後のバイタルチェックから入浴、片付けまで含めて40〜50分程度です。実際に湯船につかる時間は10〜15分程度が目安です。
スタッフ3名は、浴槽一式・給湯用のポンプ・タオルなどを積んだ専用車で訪問します。到着後、まず居間や寝室に防水シートを敷いて簡易浴槽を組み立て、キッチンなどの水道から給水・給湯を行います。
入浴前には、看護職員が体温・血圧・脈拍などのバイタルチェックを行い、その日の体調に問題がないかを確認します。問題がなければ、介護職員が中心となって着替え・洗身・洗髪などの介助を行い、入浴後にも体調確認を行って終了します。
- 1. 到着・準備:浴槽の組み立てと給排水の準備(5〜10分程度)
- 2. バイタルチェック:体温・血圧・脈拍を測定し、入浴の可否を確認
- 3. 脱衣・入浴:着替えの介助のあと、洗身・洗髪をしながら10〜15分程度湯船につかる
- 4. 着替え・整容:入浴後の着替え、整髪、保湿などのケア
- 5. 片付け・退室:浴槽の排水・消毒と後片付け(5〜10分程度)
体調不良や全身浴が難しいときはどうなりますか?
結論体調不良のときは、訪問時のバイタルチェックで体温や血圧に普段と違う変化が見られると、看護職員の判断で入浴を中止し、清拭に切り替えます。持病などで全身浴が難しい場合も、部分浴や清拭で対応します。
訪問入浴介護では、無理に入浴を行うことはありません。訪問時のバイタルチェックで、体温がおおむね37.5度を超える、血圧がふだんより大きく高い・低いといった変化が見つかった場合、その場で看護職員が入浴の可否を判断します。入浴が難しいと判断されれば、全身浴の代わりに、タオルで体をふく清拭や、手足だけお湯につかる部分浴に切り替えます。
体調が急に悪化したときだけでなく、床ずれや医療機器の装着などにより、そもそも全身をお湯につけるのが難しい方もいます。そうした場合も、傷口を避けながら部分浴を行う、清拭を中心にするなど、状態に合わせた方法に調整されます。
清拭や部分浴に切り替わっても、キャンセル扱いにはならず、前の章の表のとおり所定単位数のおおむね9割程度で利用料金が算定されるのが一般的です。当日の体調によって内容が変わることは珍しくないため、心配な変化があれば訪問前に事業所へ伝えておくと、スタッフも対応しやすくなります。
訪問入浴介護と訪問看護はどう違いますか?
結論訪問入浴介護と訪問看護の違いは目的です。訪問入浴介護は3名体制のうち看護職員1名が同行しても入浴介助が主目的で、医療処置は基本的に行いません。医療処置やリハビリが目的なら訪問看護を利用します。
訪問入浴介護にも看護職員が同行するため、医療的なケアもしてもらえるのではと考える方もいますが、役割は入浴前後の体調確認と入浴中の見守りが中心です。点滴やたんの吸引、褥瘡の処置といった医療処置が必要な場合は、別途訪問看護を利用する必要があります。
両方のサービスは役割を分けて併用することもできます。たとえば、平日の医療的なケアは訪問看護、入浴の日だけ訪問入浴介護、というように組み合わせているご家庭も少なくありません。違いを表で整理しました。
| 比較項目 | 訪問入浴介護 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 入浴の介助 | 医療処置・健康観察・リハビリなど |
| 訪問する人 | 看護職員1名+介護職員2名の3名体制 | 看護師・保健師・理学療法士など医療専門職 |
| 医療行為の実施 | 基本的に行わない(体調確認と入浴可否の判断が中心) | 医師の指示にもとづき実施できる |
| 必要な書類 | ケアプラン(主治医の意見を確認する場合あり) | 主治医が交付する訪問看護指示書 |
| 利用頻度の目安 | 週1〜2回程度 | 週1〜3回程度 |
出典:2026年7月時点の一般的な整理です。訪問入浴介護でも、持病の状態によっては主治医の意見を確認したうえで実施の可否が判断される場合があります。詳しくは主治医やケアマネジャーにご確認ください。
訪問入浴介護に家族の立ち会いは必須ですか?
結論家族の立ち会いは必須ではなく、スタッフ3名だけで訪問入浴介護は完結できます。ただし初回の訪問時は、浴槽を置くスペースや給排水の確認のため、同席しておくと安心です。
訪問入浴介護は、着替えの介助から入浴、片付けまでをスタッフ3名で行うため、ご家族が外出していても利用できます。仕事や他の家事の時間に合わせて利用日を設定できるのは、在宅介護を続けるうえで大きな助けになります。
とはいえ、契約内容の確認や体調の変化があったときの連絡先の共有など、最初の数回は同席しておくとスタッフとの意思疎通がスムーズです。当日までに準備しておきたいことを一覧にまとめました。
- 浴槽を設置するスペース(居間や寝室など、6畳程度あれば対応しやすいとされています)
- 給水・排水に使う洗面所やキッチンの水道の場所
- 着替え一式、バスタオル、保湿剤など入浴後に使うもの
- 体調の変化があった際の連絡先(ご家族の携帯電話番号など)
訪問入浴介護を利用するには、どうすればよいですか?
結論訪問入浴介護の利用は、ケアマネジャーへの相談から始まり5つのステップでサービス開始に至ります。要支援1・2の方は地域包括支援センターが最初の窓口になります。
訪問入浴介護は、訪問介護と同様に事業所へ直接申し込むのではなく、ケアプランへの位置づけが前提になります。利用開始までの流れを表にまとめました。
訪問入浴介護は自宅に浴槽を持ち込むサービスのため、住まいを変えずに入浴の負担を軽減できるのが利点です。ただし、医療的な管理や見守りの必要性がさらに高まり、訪問系サービスの組み合わせだけでは支えきれなくなる場面もあります。そのようなときは、原則要介護3以上を対象とする特別養護老人ホーム(特養)、要介護1以上から入所し在宅復帰へ向けたリハビリを行う介護老人保健施設(老健)、介護スタッフが24時間常駐し重度の方の入浴介助にも対応する介護付き有料老人ホームといった住まいへの住み替えも選択肢のひとつです。
介護の窓口の相談現場では、自宅の浴槽に入れなくなったことをきっかけに、入浴のためだけに住み替えを考えるべきか悩むご家族のご相談をお受けすることがあります。訪問入浴介護を使えば住まいを変えずに入浴を続けられる場合も多いため、まずはケアマネジャーに相談し、それでも支えきれなくなったときの選択肢として住み替えを検討する順番がおすすめです。関西4府県(大阪・兵庫・京都・奈良)にお住まいの方は、介護の窓口の相談員が訪問入浴介護と組み合わせやすい住まいや、将来の住み替え先を無料でお調べします。エリア外にお住まいの方は、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。
| ステップ | すること・ポイント |
|---|---|
| 1. ケアマネジャーに相談する | 要介護1〜5の方はケアマネジャー、要支援1・2の方は地域包括支援センターが窓口です |
| 2. ケアプランに位置づける | 入浴の頻度(週1〜2回程度が目安)や曜日・時間帯を、他のサービスと合わせて調整します |
| 3. 事業所を選ぶ | ケアマネジャーが候補の事業所を提案します。浴槽の搬入経路や駐車スペースも確認しておくと安心です |
| 4. 主治医に確認し契約する | 持病がある場合は、入浴の可否について主治医の意見を確認したうえで事業所と契約します |
| 5. サービス開始 | 初回訪問でスタッフが体調や住環境を確認し、以降は定期的に入浴介助が行われます |
出典:厚生労働省の資料等にもとづく一般的な流れです(2026年7月時点)。実際の手順や必要書類は事業所により多少異なります。
よくある質問
一言でいうと、訪問入浴介護とはどのようなサービスですか?
一言でいうと、訪問入浴介護とは、看護職員1名・介護職員2名の3名体制で自宅を訪問し、専用の浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う介護保険サービスです。自宅の浴槽での入浴が難しくなった方が、住み替えずに入浴を続けるための方法のひとつです。
訪問入浴介護は要支援でも利用できますか?
訪問入浴介護は、要支援1・2の方向けには介護予防訪問入浴介護という別区分で利用します。要介護の方の訪問入浴介護とは区分が異なりますが、内容や3名体制の考え方はほぼ同じです。窓口は地域包括支援センターになります。
訪問看護と訪問入浴介護は同時に利用できますか?
訪問看護と訪問入浴介護は、同時に利用できます。医療処置や健康観察は訪問看護、入浴の介助は訪問入浴介護と役割を分けて併用するご家庭は少なくありません。どちらもケアマネジャーが作成するケアプランに位置づけて利用します。
訪問入浴介護の当日、家族は何をすればよいですか?
訪問入浴介護は、家族の立ち会いが必須ではないため、外出していても利用できます。ただし初回は浴槽を置くスペースや給排水の確認のため、同席しておくと安心です。着替えやタオルなど身の回りのものは事前に準備しておきましょう。
入浴中に体調が悪くなったらどうなりますか?
訪問入浴介護では、訪問時のバイタルチェックや入浴中の様子から看護職員が体調の変化に気づいた場合、その場で入浴を中止し清拭に切り替える判断がなされます。無理に入浴が続けられることはありません。
訪問入浴介護の利用にケアマネジャーへの相談は必須ですか?
訪問入浴介護の利用には、ケアマネジャーへの相談が必須です。訪問介護などと同様にケアプランへの位置づけが必要なため、要介護1〜5の方はケアマネジャー、要支援1・2の方は地域包括支援センターへまず相談します。事業所に直接申し込むことはできません。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「訪問入浴介護」
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)「訪問入浴介護」
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